魔王ノ聖剣

東雲一

二十三之剣 「反撃」

「始めようぜ、血を血で洗うような戦いをな!!ソラ!!」

カゲツは、ソラの方に迫っていき、岩で、コーティングされた大きな拳でソラを殴りかかる。それを、ソラは、剣で受け流し軌道をずらします。
カゲツの拳は、地面に直撃し、大地に亀裂を走らせると、派手な音を立てて、吹き飛ばす。凄まじい威力。並みの人間なら、一発でノックアウトだ。

「俺は、戦いなんかに興味なんてねーよ。ただ、許せねーだけなんだ。平気で、命を傷つけるようなお前が」

ソラは、カゲツの攻撃に巻き込まれないように、カゲツの後ろに回り込む。

「戦いに、興味がないだと。嘘だ!!嘘に決まっている!!お前も自らの力を思いっきり出し切りたいって内心思っているはずだ!!」

“土”

再び、地面から岩が飛び出しソラを襲う。今回は、前から一つ。少し、遅れて、後ろから一つ岩が飛び出しソラに襲いかかります。おそらく、前に気を取らせて、後ろから攻撃するというカゲツの戦略なのでしょう。
ですが、ソラは、前後の攻撃に気づいています。剣で、岩を切り裂き防ぐ。

「ああ、確かにな。力を出し切りたいと思ってる。俺の力を出し切って、お前を倒し、タナを、妖精たちを守ってみせる」

ソラは、剣先をカゲツの方に向ける。

「戯れ言を!!何かを守るために、力を使うだと。きれいごとを吐きやがって!!お前は、ここで何も守ることができず、俺の力に屈し殺されるんだよ」

カゲツは、ソラの方に全速力で駆け出す。拳は、岩が絶えず、へばりつき二倍、三倍と大きくなっていく。その拳で、ソラに攻撃を加えようとしています。

「お前には、一生分からねーよ」

ソラも、剣を構え、カゲツの方に駆け出します。
そして、ソラの姿が消えた。おそらく、いつもの、駿足。
気づいた時には、カゲツの後ろにソラは移動している。それに、ソラの持つ剣は、すでに振り下ろされています。ソラは、ゆっくりと、振り下ろした剣を背中にしまい込みます。

な、なんだと。岩の鎧で覆われた俺の胴体を切り裂きやがった。

カゲツの岩で覆われた胴体からは、ソラの剣で切り裂かれたことで、血が出ている。ですが、カゲツは、痛そうな表情を見せるものの、倒れ込む気配はありません。

確かに剣神ソラ、お前は強い。俺一人では、お前を倒すことはできないかもしれない。だが、お前を相手にしているのは、俺一人とは限らないんだぜ。

カゲツは、笑みを浮かべると、ソラに聞こえないように、遠方にいるエンゲツにテレパシーを送り指示を出す。

“エンゲツ、今だ、やれ”

“言われなくても、すでに準備はできている”

攻撃を回避し、敵に一撃を加えた瞬間が、人間の一番隙が生まれる時。エンゲツは、その瞬間を逃さず、ソラの後頭部に狙いを定め、銃を構えると引き金を引いた。

「バーン。さようなら、剣神さん......」

放たれた弾丸は、無防備のソラにまっすぐ直進し、その直後、何かがはじけ飛ぶような音が辺りに鳴り響いた。

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