魔王ノ聖剣

東雲一

五之剣 「一撃」

「くそー、もう終わりだ」
「私たちは、魔族たちに支配されて生活していくんだわ」

村人たちは、どうしていいのか分からず、動揺している。悲観的なムードが漂っている。かなり、まずい状況です。

「大丈夫だ!!俺がいる。俺がこの村を、みんなを守ってみせる!!」

ソラは、村人たちに向かって力強い口調で叫んだ。ソラの言葉に、村人たちは、少し安心した表情を浮かべています。まだ、全ての希望はたたれていません。剣神ソラが残っている。強力な力を手に入れた魔王を剣神なら倒してくれる、人々の中にそんな希望が湧いています。

「ソラ、頼む。魔王を倒してくれ」
「お願い。この村を救って」

あちらこちらから、ソラに応援する声が聞こえてくる。村人たちの強い思いが、ソラに託されます。
もともと、落ちこぼれだったソラですが、絶えず努力を積み重ね剣神と呼ばれるまでに成長してきました。自らの成長とともに、人々がソラに向ける目は、軽蔑から尊敬へ、そして、今、期待へと変わっています。

「テラ、力を貸して欲しい。俺だけじゃ、あいつを倒せるか分からない」

ソラは、友人テラの方を向いて協力を求めた。さすがのソラも、友人の手なしでは魔王を倒すことは難しいようだ。

「ああ、やろう。俺たちで魔王を倒して、平和な日常を取り戻そう」

テラも、魔王を倒さんとする戦意は残っている。ソラとテラ、最強の二人が力を合わせ最凶の魔王を倒しに行く。

「テラ、久々に“魔力結合マジカル・マージ”をやろう。今の魔王を倒すには、この技しかない」

「分かった。俺の全魔力をお前のために費やす。だから、ソラも全力で魔王を倒してくれ」

ソラは頷き、全身の力を抜くと、目を閉じた。“0の構え”だ。

そして、ソラが一瞬で消えたーー。

もともといなかったかのように、ソラが立っていた場所には、風が吹いているだけです。
どこにいったんだ。ソラ。完全に見失ってしまった。

「テラ、頼む。今だ。“魔力結合”だ!!一瞬で決着をつける」

いた。ソラは、すでに、両手で剣を構え、魔王に切りかかろうとしていた。先ほどの敵の時に見せていた速度とはケタはずれだ。これが、ソラの本気か。

「分かった。俺の魔力を受け取れ、ソラ。ぶちかましてやれ、魔王に!!」

テラは、両手で剣を掲げ、ソラに魔力を与える。テラの魔力がソラの剣に集まっていき、剣は光を帯び始めた。

“光×光”

光を帯びた剣は、二人の魔力が交わり巨大な光の大剣へと変わっていく。見たところ、大剣はソラの身長の三倍ほどの大きさはありそうだ。大きい。大き過ぎる。それに重そうですが、重さはどれくらいあるのでしょうか......。
そんなことはさておき、いいぞ、ソラ!!“魔力結合”が決まった!!二人の魔力がかけあわさってより大きな魔法を生み出しています。物語の序盤ですが、魔王をさっそく倒してしまうのではないでしょうか。

「うおおおおお!!」

ソラは、叫びながら、思いっきり、光の大剣を魔王に向かって振り下ろした。
全身全霊を剣にのせ、放たれたソラの一撃。凄まじい破壊音がしたかと思うと、周囲に衝撃波が伝わり疾風が吹き荒れる。地震のような地響きも起こっている。まるで、台風と地震が同時に起こったかのようです。まさに大災害。
だがーー。魔王に、ソラの攻撃が届いていない。必死のソラに比べて、魔王は、余裕の表情を浮かべている。
これは、一体、どういうことでしょう。

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