ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―
BRIEFING:24 フューリ・ティルノスとオマケ1の冒険譚その2
「もっと、あなたの世界の話を聞きたい」
道を進みながら、フューリはそう声をかけてきた
「そうだなあ・・・・・例えば?」
「武器」
「ぶれないな、そんなに気になるのか?」
「気になる。私達の世界にとって、武器とは魔法の事、魔法の無い・・・魔力を使わない兵器なんて信じられない」
「うーん・・・そうだな、魔法が使えないから、色々作り上げたよ、戦闘機・・・空を音の速さで飛ぶ鉄の塊とか、大陸から大陸まで届くような超距離を飛び、1センチもズレないで命中する爆弾を運用する船。滅茶苦茶固い装甲と、どんな地形も走破できる車輪を付け、1撃で拠点を吹っ飛ばせるような砲を積んだ車とか」
「う、嘘。魔法も無しにそんなものが作れるわけがない」
「いいや、作れます、人間舐めんな、現代人舐めんな」
「現代人・・・・あなたの世界の人間をそう呼ぶの?」
「あー、いや、俺達からしたら、この世界の技術レベルは結構昔っぽいとこもあるから」
「心外、でも、納得」
「そっか・・・」
「・・・・行ってみたい、あなたの世界」
ぽう、としてそれだけを告げる
「んー、ま、行けたらな。俺だって戻りたいのは変わらないけど、期待を持たせてもな」
「約束」
「お、おう」
彼と指切りすると、起源がよさそうに言った。
「契約は完了した、破棄は不可、契約履行を楽しみにしている」
「いや、愉しみって言ったもだな」
「契約は契約、迂闊にしたクウガが迂闊」
若干彼の足が軽くなった。
ひょこっひょこっって、感じで。
「全くなんだよ・・・・」
奥に行くに従い、何か、濃度が濃くなる。
こう、息苦しい。
霧、みたいな。
「魔力、とても強い濃度の魔力が霧状になっている。気を付けて」
「うっへ、マジかよ・・・・」
霧状ってことは、質量があるって事か?
または・・・物質化するぐらい濃い魔力・・・?
バラクラバを付け、バブリシャスを噛見ながら口元を覆う。
「それらは?」
「ああ、俺達の世界で特殊部隊の人間が身元を隠す為や、顔を隠す際に使う奴でね、マスク代わりにな、で、こっちはまあ、お菓子だな」
「・・・・・」
キラキラとした目線を向ける。
「えと、一応、有るけど、いる?」
「いいの」
「お、おう」
食い気味に食いついてきた彼にバラクラバとバブリシャスを一粒渡す。
「ん、こ、こう・・・?」
フードの上からつけようとしてるこの子・・・。
「こうです」
フードを下ろし、セミロングの髪を露出させ、上からかぶせ、帽子部分を下す。
「ぷあっ」
「うんうん、良く似合ってる」
「このお菓子は」
「包みを開いて口にポイって」
「ぽい」
いうが早いか食べるが早いか、すぐにもぐっと口に入れる。
「んんんん!!」
目を煌かせて頬を押さえ、悦に入っている・・・・。
やだ可愛いこの子。
「ガムを噛むと、人間は集中出来るらしいからな」
「ん・・・なんとなく、集中できる気がする」
「それならよかった」
そんな事を離しながら歩くが、余計に濃くなる空気に、加えて、気配が濃くなる。
「変、さっきのを最後に・・・魔物が出てこない。こんなに濃い魔力があるのに」
「変、なのか」
「・・・・注意して、もしかしたら」
先に着くと、巨大な扉がある。
「封印が破れてる・・・・連絡通りね」
手をかざし、調べてるフューリ。
「そういえばさ、時折女言葉出るよな、フューリ」
「・・・気のせい」
「いや、気のせいじゃない」
「気のせいだって」
「まあ、いいさ」
ジャカッ、と確認してHK417CQBを取り出し、構える。
「そんなのじゃ無駄」
「だからって、何もしないのはできねえ」
「この威圧感、あなたはここで待っているべき」
「はあ?」
「即死しても困る」
「本当に酷いな」
溜息を付きながら、前に出る。
「どうなっても知らない、開ける・・・・」
ゴ、ギィィィ・・・・とゆっくり開ける。
すると、奥に鎮座していた”なにか”が、ゆっくり鎌首をもたげる。
そして――――――――吠えた。
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
凄まじい咆哮が体を揺さぶる。
「嘘・・・流石に、想定外・・・・」
「あのドラゴンっぽい何かはなんだよ!!」
「上位龍種・・・・人語を喋らないから真龍では無いと思うけど」
「ボスって事かい・・・!」
パパパパパッ!とモーターが動き、BB弾を目に向かって撃ち込む。
しゅんっ!と、目の下から何かが出て、防いだ。
「まさか・・・・・トカゲじゃないんだから瞬膜なんてズルいな・・・!」
「『凍てつき砕けよ。汝の敵を我は貫かん、【凍飛槍】』ッ!!!」
放たれた氷槍がドラゴンの皮膚を穿つ・・・かに思えた。
表面に当たると、はじけ飛び地面に落ちる。
「龍鱗・・・やはり、上位龍種」
「りゅ、龍鱗?」
「上位龍種以上が持つ魔法対抗性の鱗。強い竜であればある程龍鱗も強くなる・・・・っ!よけて!」
そういわれ、互いに突き飛ばしあい、ドラゴンのブレス攻撃を避けた。
光の奔流が中央を焼き飛ばす。
「おいおいおい・・・!」
「ブレスは厄介・・・・!」
「だったら・・・!!」
「クウガ!!」
飛び出すと、滑り込むようにして足元に入り、思いっきり両手で捻り込むように突き立てた。
まるでチェーンソーで金属板に当ててるように金切り音と火花が散り、何とか傷がつく。
一足飛びにはなれ、苦笑気味に零す。
「おいおい、硬すぎだろ・・・!」
振り払うような龍の腕によって、どんどん後ろへ下げられる。
「――――――――」
そうしている間にフューリが詠唱していたのが、強大な気配と冷気を感じる。
「『契約に従い、我が祈り、息吹に応えよ氷の女王。彼の者に凍て付く平穏を以てして、凍てつく眠りを与えよ。――――――【果て無き終わりの凍結晶華】っ!!』」
ピキキキキ、と龍鱗の上から凍てついたかと思えば、片腕と胴の間まで凍てつくが、そこで止まってしまう。
「不発か!?」
「違う、でも、抵抗が強い・・・・気をそらせれば・・・!!」
「じゃあ・・・・・!!」
駆け出し、フューリから距離を離しサイドポーチから、缶を取り出す。
「ツケといてやるよ!!熨斗付けて返しやがれッ!!」
ヒュカッ!!とぶん投げ、藻掻く龍の顔に当たる。
片腕が凍てついたのもあり、苛立っていたのだろう。
態々ブレスを吐いた。狙い通り。
いや、恐らく牙でも缶に刺されば火花の一つも立つと思ってたから。
だからブレスを吐いたのは好都合だ。
「教えてやるよ――――――――――」
カッ!!と閃光に缶が飲まれ、大爆発を起こした。
甲高い轟音が響き渡り、爆炎が上がる。
純粋な青白く赤い爆炎。
そして、苦悶の藻掻く声とパラパラと落ちてくる破片。
「ジフルオロエタンはガスガンのパワーソースでも珍しい可燃性ガスなので火の気にはご注意下さい、今みたいな目に遭いますので――――――――フューリ!!」
「ああああああああああああああああっっ!!!」
一気に半身が凍てつき、そこから氷の結晶がまるで花が咲いたように身体から突き出て”咲かせる”。
「すげえ・・・・奇麗だ・・・・・」
「これで・・・・おしまい・・・・」
杖を下ろし、がく、と膝をつくフューリ。
「すげえよフューリ!」
「クウガ、あなたこそ無茶――――――――」
その後の言葉は、猛烈な勢いで近付き振り払われた龍の腕によって掻き消えた。
宙を舞う肢体と、血の気が引く感覚をよそに
俺の悲鳴だけが、静かに響いた。
「フュゥゥゥゥウウウウウウウウリィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!」
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道を進みながら、フューリはそう声をかけてきた
「そうだなあ・・・・・例えば?」
「武器」
「ぶれないな、そんなに気になるのか?」
「気になる。私達の世界にとって、武器とは魔法の事、魔法の無い・・・魔力を使わない兵器なんて信じられない」
「うーん・・・そうだな、魔法が使えないから、色々作り上げたよ、戦闘機・・・空を音の速さで飛ぶ鉄の塊とか、大陸から大陸まで届くような超距離を飛び、1センチもズレないで命中する爆弾を運用する船。滅茶苦茶固い装甲と、どんな地形も走破できる車輪を付け、1撃で拠点を吹っ飛ばせるような砲を積んだ車とか」
「う、嘘。魔法も無しにそんなものが作れるわけがない」
「いいや、作れます、人間舐めんな、現代人舐めんな」
「現代人・・・・あなたの世界の人間をそう呼ぶの?」
「あー、いや、俺達からしたら、この世界の技術レベルは結構昔っぽいとこもあるから」
「心外、でも、納得」
「そっか・・・」
「・・・・行ってみたい、あなたの世界」
ぽう、としてそれだけを告げる
「んー、ま、行けたらな。俺だって戻りたいのは変わらないけど、期待を持たせてもな」
「約束」
「お、おう」
彼と指切りすると、起源がよさそうに言った。
「契約は完了した、破棄は不可、契約履行を楽しみにしている」
「いや、愉しみって言ったもだな」
「契約は契約、迂闊にしたクウガが迂闊」
若干彼の足が軽くなった。
ひょこっひょこっって、感じで。
「全くなんだよ・・・・」
奥に行くに従い、何か、濃度が濃くなる。
こう、息苦しい。
霧、みたいな。
「魔力、とても強い濃度の魔力が霧状になっている。気を付けて」
「うっへ、マジかよ・・・・」
霧状ってことは、質量があるって事か?
または・・・物質化するぐらい濃い魔力・・・?
バラクラバを付け、バブリシャスを噛見ながら口元を覆う。
「それらは?」
「ああ、俺達の世界で特殊部隊の人間が身元を隠す為や、顔を隠す際に使う奴でね、マスク代わりにな、で、こっちはまあ、お菓子だな」
「・・・・・」
キラキラとした目線を向ける。
「えと、一応、有るけど、いる?」
「いいの」
「お、おう」
食い気味に食いついてきた彼にバラクラバとバブリシャスを一粒渡す。
「ん、こ、こう・・・?」
フードの上からつけようとしてるこの子・・・。
「こうです」
フードを下ろし、セミロングの髪を露出させ、上からかぶせ、帽子部分を下す。
「ぷあっ」
「うんうん、良く似合ってる」
「このお菓子は」
「包みを開いて口にポイって」
「ぽい」
いうが早いか食べるが早いか、すぐにもぐっと口に入れる。
「んんんん!!」
目を煌かせて頬を押さえ、悦に入っている・・・・。
やだ可愛いこの子。
「ガムを噛むと、人間は集中出来るらしいからな」
「ん・・・なんとなく、集中できる気がする」
「それならよかった」
そんな事を離しながら歩くが、余計に濃くなる空気に、加えて、気配が濃くなる。
「変、さっきのを最後に・・・魔物が出てこない。こんなに濃い魔力があるのに」
「変、なのか」
「・・・・注意して、もしかしたら」
先に着くと、巨大な扉がある。
「封印が破れてる・・・・連絡通りね」
手をかざし、調べてるフューリ。
「そういえばさ、時折女言葉出るよな、フューリ」
「・・・気のせい」
「いや、気のせいじゃない」
「気のせいだって」
「まあ、いいさ」
ジャカッ、と確認してHK417CQBを取り出し、構える。
「そんなのじゃ無駄」
「だからって、何もしないのはできねえ」
「この威圧感、あなたはここで待っているべき」
「はあ?」
「即死しても困る」
「本当に酷いな」
溜息を付きながら、前に出る。
「どうなっても知らない、開ける・・・・」
ゴ、ギィィィ・・・・とゆっくり開ける。
すると、奥に鎮座していた”なにか”が、ゆっくり鎌首をもたげる。
そして――――――――吠えた。
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
凄まじい咆哮が体を揺さぶる。
「嘘・・・流石に、想定外・・・・」
「あのドラゴンっぽい何かはなんだよ!!」
「上位龍種・・・・人語を喋らないから真龍では無いと思うけど」
「ボスって事かい・・・!」
パパパパパッ!とモーターが動き、BB弾を目に向かって撃ち込む。
しゅんっ!と、目の下から何かが出て、防いだ。
「まさか・・・・・トカゲじゃないんだから瞬膜なんてズルいな・・・!」
「『凍てつき砕けよ。汝の敵を我は貫かん、【凍飛槍】』ッ!!!」
放たれた氷槍がドラゴンの皮膚を穿つ・・・かに思えた。
表面に当たると、はじけ飛び地面に落ちる。
「龍鱗・・・やはり、上位龍種」
「りゅ、龍鱗?」
「上位龍種以上が持つ魔法対抗性の鱗。強い竜であればある程龍鱗も強くなる・・・・っ!よけて!」
そういわれ、互いに突き飛ばしあい、ドラゴンのブレス攻撃を避けた。
光の奔流が中央を焼き飛ばす。
「おいおいおい・・・!」
「ブレスは厄介・・・・!」
「だったら・・・!!」
「クウガ!!」
飛び出すと、滑り込むようにして足元に入り、思いっきり両手で捻り込むように突き立てた。
まるでチェーンソーで金属板に当ててるように金切り音と火花が散り、何とか傷がつく。
一足飛びにはなれ、苦笑気味に零す。
「おいおい、硬すぎだろ・・・!」
振り払うような龍の腕によって、どんどん後ろへ下げられる。
「――――――――」
そうしている間にフューリが詠唱していたのが、強大な気配と冷気を感じる。
「『契約に従い、我が祈り、息吹に応えよ氷の女王。彼の者に凍て付く平穏を以てして、凍てつく眠りを与えよ。――――――【果て無き終わりの凍結晶華】っ!!』」
ピキキキキ、と龍鱗の上から凍てついたかと思えば、片腕と胴の間まで凍てつくが、そこで止まってしまう。
「不発か!?」
「違う、でも、抵抗が強い・・・・気をそらせれば・・・!!」
「じゃあ・・・・・!!」
駆け出し、フューリから距離を離しサイドポーチから、缶を取り出す。
「ツケといてやるよ!!熨斗付けて返しやがれッ!!」
ヒュカッ!!とぶん投げ、藻掻く龍の顔に当たる。
片腕が凍てついたのもあり、苛立っていたのだろう。
態々ブレスを吐いた。狙い通り。
いや、恐らく牙でも缶に刺されば火花の一つも立つと思ってたから。
だからブレスを吐いたのは好都合だ。
「教えてやるよ――――――――――」
カッ!!と閃光に缶が飲まれ、大爆発を起こした。
甲高い轟音が響き渡り、爆炎が上がる。
純粋な青白く赤い爆炎。
そして、苦悶の藻掻く声とパラパラと落ちてくる破片。
「ジフルオロエタンはガスガンのパワーソースでも珍しい可燃性ガスなので火の気にはご注意下さい、今みたいな目に遭いますので――――――――フューリ!!」
「ああああああああああああああああっっ!!!」
一気に半身が凍てつき、そこから氷の結晶がまるで花が咲いたように身体から突き出て”咲かせる”。
「すげえ・・・・奇麗だ・・・・・」
「これで・・・・おしまい・・・・」
杖を下ろし、がく、と膝をつくフューリ。
「すげえよフューリ!」
「クウガ、あなたこそ無茶――――――――」
その後の言葉は、猛烈な勢いで近付き振り払われた龍の腕によって掻き消えた。
宙を舞う肢体と、血の気が引く感覚をよそに
俺の悲鳴だけが、静かに響いた。
「フュゥゥゥゥウウウウウウウウリィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!」
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