ガンズ・バイ・デイズ―高校生サバゲーマーの魔法世界奮闘記―
BRIEFING:16 じぶん
「・・・」
変な夢を見た。
私、迎 日向の幼馴染の空牙が行方不明になり既に一週間が経った。
警察は現場の遺留品、痕跡の少なさから大掛かりな組織だった犯行として捜査本部が立ち上がった。
そうしたある日、夢を見た。
「私」は中世な感じのお姫様になってて、お兄ちゃんがいた。
そして、そこには相手役と言わんばかりに空牙が居た・・・。
「私」を見つけるなり、少しもじもじしてて、「私」の方も恥ずかしくなった。
そうしたらドリルロールのザ・お嬢様みたいな人や、ザ・王子様とか一杯出て来て、それを見て改めて「私」は自覚し、失った哀しみと夢の人物への嫉妬に襲われた。
「私」は、空牙くんが好き。
大好きなんだって。
ねぇ、空牙くん。
もし、また逢えたら、私貴方に伝えるね。
大好きだって。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・?」
不思議な夢を見ました。
私、マリア・アーティフィシャルは今日から学校の新しい学期を迎え、よりクウガ様の側に立つに相応しい淑女として、王女として邁進しなければならないのですが・・・どうも今朝方の夢が頭から離れないのです。
「私」はある一人の少女でした。
ですが、町や衣服が私の知っている物ではなく、また、身近な物に至る迄、新鮮な光景に溢れて居ました。
ですが「私」の心は落ち込んだまま。
そう、まるで結婚をされかけていた、クウガ様と出逢う前の私の心と同じ、世界から色が消えている様な感覚。
傍らの小さな絵立てには魔法で作ったと思われる鮮明なクウガ様の絵が飾ってあり、見ていると涙が溢れた。
そこで何かを言葉を紡ごうとして、目覚めたのです。
今迄味わう事の無かった不思議な夢に、私は、私の心は囚われたままでした。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふぁぁああ・・・」
欠伸をし、気だるげに服を着替える。
全く現代でもファンタジーも学校は何と無くイヤだね。
「おはよう、クウガ」
「おはよ、レオ」
濃紺のブレザー、胸に輝く校章バッジのそれはとても現代めいた服装だった。
「・・・タキシードと違って随分着こなしているな」
「まあ、あんまり制服には差が無い様でさ」
「そうなのか、それは良かった」
「あはは・・・」
「何せ、もじもじしていて見てて気分の良い物では無かったからな」
「酷いなオイ!?」
「事実は事実だ」
「せやかて工藤・・・」
「クドー?」
「いや、なんでもない」
なんでオレは漫才しているんだろう。
「む、そろそろ行くぞ」
「あ、ああ」
急かされるように寮を出る。
こう、なんか感動的だよね、最初だけさ。
道が色彩に溢れ、陽光が照らす様な感覚。
いずれ褪せてなれるんだろうなぁ・・・。
「とりあえず、教員室に向かえ」
「ああ、そうだな、すまんなレオ」
「気にするな、ではな」
そして、別れた後教員室目指して歩を進める。
「確かこっちだよな?」
試験を受けた際の記憶を頼りに探し、ようやく見つけ当てた。
「失礼します・・・転入予定の天城ですが・・・」
やっぱり職員室ってやだよね。
ほら、サバゲーだし、髪赤だしで目をつけられてたしね。
そうでなくてもやっぱり緊張するよ。
「ああ、君がクウガ・アマギ君ですね」
かなり長めの金髪、体形を隠す程ゆったりした服装の柔和というか優男が立ち上がる。
「私は今日から君の担任になるアルベール・トワイライトと申します、今日から少なければ半年の間ですがよろしくお願いしますね」
「あ、はい、よろしくお願いしますアルベール先生」
差し出してきたアルベール先生の手を握り、握手する。
「では案内しましょう、着いてきて下さい」
にこやかにいい、先を歩く先生。
その後を一緒に着いて行く。
見回せば、そこは花や生き物があり、成る程夏休みもしっかり手入れされているのが伺えた。
「ここが君のクラスになる201だよ」
「201・・・」
「そうそう、君は異世界から来たんだって?」
「あ、はい」
「こうして見るのは初めてなんだ、なにがあったら相談してね、あ、後気軽にバラさないでね」
気軽にバラさないでね、というのも一応対外的に異世界からって事は秘した方が良いらしく、「隅っこの辺境の地で見つかった魔法使い」という触れ込みがなされていた。
例外は各国王族と学園長、並び教職員。
流石にコレに嘘を付くのはまずかろうと判断されての事だった。
「じゃあ、合図したら入ってきなさい」
「は、はい」
やっべー・・・超緊張する。
実は初めてなのだ、こう転校する側って。
凄いドキドキしてる、スナイパーなのに情けないレベル。
みればアルベール先生が手をくいくいと合図している。
意を決して、扉を開き、中に入る。
「知っているかもしれませんが、彼はクウガ・アマギくんは何処にも属さない辺境の地の出身で余り我々の決まり事に慣れていません。
是非仲良くしてあげて下さいね」
そういい、軽く背を押す先生。
それに応える様に名乗る。
「えと、天城 空牙って言います。
色々と迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします」
軽く頭を下げて、そう言う
軽く拍手が上がり受け入れられた旨を感じる。
「では最初の授業は外で行います、皆さん移動して下さいね」
「あ、リズリットさんも同じなんだ、よろしくな」
「ふん、ま、せいぜい頑張るのね」
ぷいっとしてさっさとドリルロールを揺らして出ていってしまった。
それに合わせて次々と出て行く。
「・・・おー、こわ・・・っと、オレも急がないと」
駆け出して向かうと、グラウンドに複数の木刀ならぬ木剣が並べてあった。
「これは・・・?」
意味を解せず頭を捻ってると、アルベール先生がぱんぱんと手を鳴らす。
「では本日も剣技を学んでいきますよ。
皆さんはそれぞれの国の貴族として魔法だけでなく心身共に貴族として恥ずかしく無い様にしなければいけません。
では先ず素振りから始めますよ、皆さん手に取って下さい」
わらわらと皆木剣を手にしていく。
合わせる様に手に取ると、まあまあの重さだが、木刀程じゃ無いから割と軽く感じる。
もしかしたらサバゲーで鍛えられたのかもしれない。
「では準備運動がてらにいきますよ、無闇矢鱈に振るのではなく切先を意識して綺麗に振って下さいね。
はい、イチ、ニ。イチ、ニ」
号令に合わせて上げ下げを繰り返す。
好きに振るのと違って抑制されると中々に力を使う気がする。
ああ、あと刀状じゃ無いからかな?
「はい、良いですよ。
では男子は模擬戦をしましょう。
女子は型を憶えましょう」
「ふーむ、よいしょ」
ひゅんひゅんと軽く振ってならす。
「あ、あの、僕と組みませんか?」
「ひょ?」
振り返り見ると、背丈の低い男子が此方を見ていた。
髪は長く、所謂女子のロングストレートのような印象。
ちゃんと手入れしてあり、伸ばしただけの無精さは全くない。
きれいにさらさらと風に靡いてる。
所謂男の――――。
「僕、アルト・ケルトルスって言います、あの、その、良ければ」
「オイ、アルト、何してんだ何時も通りコッチに来いよ」
「ぁ・・・」
急いた様子で自己紹介を中断させる様に三人組のグループがアルトを呼んでいる。
「悪いな転入生、こいつは何時もオレ達となんだ」
「・・・」
つかつかと、オレは歩いて行き、アルトの肩に腕を回して言い放つ。
正面切って、肩を落としたこいつの代わりに言い放つ。
「 や な   こ っ た 」
「なんだと・・・・・」
へらへらと笑いながら断る。
うん、ワザと気に障る言い方をしたからな。
要は「そういう」ことなんだろう。
―――――全く、転校早々、イヤなもんを見せてくれたな。
久しぶりの―――――「教育」だ。
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変な夢を見た。
私、迎 日向の幼馴染の空牙が行方不明になり既に一週間が経った。
警察は現場の遺留品、痕跡の少なさから大掛かりな組織だった犯行として捜査本部が立ち上がった。
そうしたある日、夢を見た。
「私」は中世な感じのお姫様になってて、お兄ちゃんがいた。
そして、そこには相手役と言わんばかりに空牙が居た・・・。
「私」を見つけるなり、少しもじもじしてて、「私」の方も恥ずかしくなった。
そうしたらドリルロールのザ・お嬢様みたいな人や、ザ・王子様とか一杯出て来て、それを見て改めて「私」は自覚し、失った哀しみと夢の人物への嫉妬に襲われた。
「私」は、空牙くんが好き。
大好きなんだって。
ねぇ、空牙くん。
もし、また逢えたら、私貴方に伝えるね。
大好きだって。
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「・・・?」
不思議な夢を見ました。
私、マリア・アーティフィシャルは今日から学校の新しい学期を迎え、よりクウガ様の側に立つに相応しい淑女として、王女として邁進しなければならないのですが・・・どうも今朝方の夢が頭から離れないのです。
「私」はある一人の少女でした。
ですが、町や衣服が私の知っている物ではなく、また、身近な物に至る迄、新鮮な光景に溢れて居ました。
ですが「私」の心は落ち込んだまま。
そう、まるで結婚をされかけていた、クウガ様と出逢う前の私の心と同じ、世界から色が消えている様な感覚。
傍らの小さな絵立てには魔法で作ったと思われる鮮明なクウガ様の絵が飾ってあり、見ていると涙が溢れた。
そこで何かを言葉を紡ごうとして、目覚めたのです。
今迄味わう事の無かった不思議な夢に、私は、私の心は囚われたままでした。
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「ふぁぁああ・・・」
欠伸をし、気だるげに服を着替える。
全く現代でもファンタジーも学校は何と無くイヤだね。
「おはよう、クウガ」
「おはよ、レオ」
濃紺のブレザー、胸に輝く校章バッジのそれはとても現代めいた服装だった。
「・・・タキシードと違って随分着こなしているな」
「まあ、あんまり制服には差が無い様でさ」
「そうなのか、それは良かった」
「あはは・・・」
「何せ、もじもじしていて見てて気分の良い物では無かったからな」
「酷いなオイ!?」
「事実は事実だ」
「せやかて工藤・・・」
「クドー?」
「いや、なんでもない」
なんでオレは漫才しているんだろう。
「む、そろそろ行くぞ」
「あ、ああ」
急かされるように寮を出る。
こう、なんか感動的だよね、最初だけさ。
道が色彩に溢れ、陽光が照らす様な感覚。
いずれ褪せてなれるんだろうなぁ・・・。
「とりあえず、教員室に向かえ」
「ああ、そうだな、すまんなレオ」
「気にするな、ではな」
そして、別れた後教員室目指して歩を進める。
「確かこっちだよな?」
試験を受けた際の記憶を頼りに探し、ようやく見つけ当てた。
「失礼します・・・転入予定の天城ですが・・・」
やっぱり職員室ってやだよね。
ほら、サバゲーだし、髪赤だしで目をつけられてたしね。
そうでなくてもやっぱり緊張するよ。
「ああ、君がクウガ・アマギ君ですね」
かなり長めの金髪、体形を隠す程ゆったりした服装の柔和というか優男が立ち上がる。
「私は今日から君の担任になるアルベール・トワイライトと申します、今日から少なければ半年の間ですがよろしくお願いしますね」
「あ、はい、よろしくお願いしますアルベール先生」
差し出してきたアルベール先生の手を握り、握手する。
「では案内しましょう、着いてきて下さい」
にこやかにいい、先を歩く先生。
その後を一緒に着いて行く。
見回せば、そこは花や生き物があり、成る程夏休みもしっかり手入れされているのが伺えた。
「ここが君のクラスになる201だよ」
「201・・・」
「そうそう、君は異世界から来たんだって?」
「あ、はい」
「こうして見るのは初めてなんだ、なにがあったら相談してね、あ、後気軽にバラさないでね」
気軽にバラさないでね、というのも一応対外的に異世界からって事は秘した方が良いらしく、「隅っこの辺境の地で見つかった魔法使い」という触れ込みがなされていた。
例外は各国王族と学園長、並び教職員。
流石にコレに嘘を付くのはまずかろうと判断されての事だった。
「じゃあ、合図したら入ってきなさい」
「は、はい」
やっべー・・・超緊張する。
実は初めてなのだ、こう転校する側って。
凄いドキドキしてる、スナイパーなのに情けないレベル。
みればアルベール先生が手をくいくいと合図している。
意を決して、扉を開き、中に入る。
「知っているかもしれませんが、彼はクウガ・アマギくんは何処にも属さない辺境の地の出身で余り我々の決まり事に慣れていません。
是非仲良くしてあげて下さいね」
そういい、軽く背を押す先生。
それに応える様に名乗る。
「えと、天城 空牙って言います。
色々と迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします」
軽く頭を下げて、そう言う
軽く拍手が上がり受け入れられた旨を感じる。
「では最初の授業は外で行います、皆さん移動して下さいね」
「あ、リズリットさんも同じなんだ、よろしくな」
「ふん、ま、せいぜい頑張るのね」
ぷいっとしてさっさとドリルロールを揺らして出ていってしまった。
それに合わせて次々と出て行く。
「・・・おー、こわ・・・っと、オレも急がないと」
駆け出して向かうと、グラウンドに複数の木刀ならぬ木剣が並べてあった。
「これは・・・?」
意味を解せず頭を捻ってると、アルベール先生がぱんぱんと手を鳴らす。
「では本日も剣技を学んでいきますよ。
皆さんはそれぞれの国の貴族として魔法だけでなく心身共に貴族として恥ずかしく無い様にしなければいけません。
では先ず素振りから始めますよ、皆さん手に取って下さい」
わらわらと皆木剣を手にしていく。
合わせる様に手に取ると、まあまあの重さだが、木刀程じゃ無いから割と軽く感じる。
もしかしたらサバゲーで鍛えられたのかもしれない。
「では準備運動がてらにいきますよ、無闇矢鱈に振るのではなく切先を意識して綺麗に振って下さいね。
はい、イチ、ニ。イチ、ニ」
号令に合わせて上げ下げを繰り返す。
好きに振るのと違って抑制されると中々に力を使う気がする。
ああ、あと刀状じゃ無いからかな?
「はい、良いですよ。
では男子は模擬戦をしましょう。
女子は型を憶えましょう」
「ふーむ、よいしょ」
ひゅんひゅんと軽く振ってならす。
「あ、あの、僕と組みませんか?」
「ひょ?」
振り返り見ると、背丈の低い男子が此方を見ていた。
髪は長く、所謂女子のロングストレートのような印象。
ちゃんと手入れしてあり、伸ばしただけの無精さは全くない。
きれいにさらさらと風に靡いてる。
所謂男の――――。
「僕、アルト・ケルトルスって言います、あの、その、良ければ」
「オイ、アルト、何してんだ何時も通りコッチに来いよ」
「ぁ・・・」
急いた様子で自己紹介を中断させる様に三人組のグループがアルトを呼んでいる。
「悪いな転入生、こいつは何時もオレ達となんだ」
「・・・」
つかつかと、オレは歩いて行き、アルトの肩に腕を回して言い放つ。
正面切って、肩を落としたこいつの代わりに言い放つ。
「 や な   こ っ た 」
「なんだと・・・・・」
へらへらと笑いながら断る。
うん、ワザと気に障る言い方をしたからな。
要は「そういう」ことなんだろう。
―――――全く、転校早々、イヤなもんを見せてくれたな。
久しぶりの―――――「教育」だ。
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