逆襲開始!

ひろあき

第一話 期待

「次!ショート!」

「よっしゃあ!こい!」

カキーン!

キャプテンの人生ひとおがショートの俺の方へ打つ。

打球が甲高い音を残して俺の方へはずんでくる。

パシッ!ピシュッ

ステップを踏み、捕球、そしてすぐに送球。
うーん、うまいなあ俺。ほれぼれしちゃうよ。

パシッ!

ファースト役の監督が俺の送球を捕ると、深くうなずいた。

また人生が叫ぶ。

「連携行くぞ!ゲッツ-!セカンド!」

「ういーっす、よいしょー。ほい、ショート-っ」

パシッ、ピシュッ

清橋きよはしのやつ、かるーく投げてくるくせにいちいちうまいな。

パシッ!

「おっしゃあ、ナイス送球!ファーストいきます!」

ピシュッ!

俺がそう叫びながら清橋の送球を捕球し二塁ベースを踏んで、監督の待つファーストへ

パシッ!!

蒼川あおかわ!お前また肩強くなったな!だいぶ送球いいぞ!」

「ありがとうございます!身体が出来上がっているのを感じます!」

椿樹つばき!休んでる暇ないぞ!」

カキーーン!!

うわっ、さっきより強い打球が飛んでくる!…が

「まかせろっ!!」

パシッ!ズサーーッ

「っしゃあ!!」

「へいへいショート!寝てる暇ないぜ!」

仲間から厳しいヤジか飛んでくる。そうやってお互いを鼓舞しながら、俺たちはそのまま日が暮れるまで練習をした。

ーーーーー
練習終了後、監督も球ひろいをしている俺に近づきながら声をかける。

「このぶんなら近倉ちかくら高校に行っても問題なさそうだな!」

「はい!もうスタメンを奪取する気でいます!」

監督が豪傑に笑いながら言う。

「はっはっは!そいつはいい心意気だなあ!」

監督が1つ球を拾う。満面の笑みでかごに投げ入れた。

「お前の高校での活躍が楽しみだなあ」

近くで球拾いをしていた人生は、我慢ならないという表情で言い返す。人生は手が大きいから、3つも片手でボールを持っている。

「おいおい椿樹、そうは言っても気を抜くなよ?本土の野球のレベルは一度しか見たことがないんだからな!監督も、椿樹をあんまり付け上がらせないでくださいよ!」

俺は、大丈夫大丈夫という風に右手をひらひらさせながら答える。

「大丈夫だって!でももっとレベルアップしないとな!高校でもすぐレギュラー入るぞ!」

「…わかった、だがお前がもっと強くなれるよう、今度からは打球をもっと早くするから気をつけろよ!」

「よし、本土レベルで頼むぞ!」

「おいおい、ワシへの送球はなるべく優しくな!わっはっは!」

わははははははっ!!

周りにも自然と笑いが広がっていった

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