異世界で神から最強の力を手に入れたはずがそれが最弱だった件について

世界攻略

第十五話 ゴブリン討伐



俺は背中に二本の剣を携えて三人は武器屋を後にした。
二本の剣の重みが伝わって、やっと冒険を出来るのかとワクワクしている。


俺たちは門を出て、そこから十分程度歩いたところに広い高原があった。緑が一面に輝いていて、周りが木々で囲まれている。




「エリシア、ここだよなゴブリンがいるっていう」




周りを見渡し、ゴブリンを探しているエリシアに俺は声を掛けた。




「そうだね、だけどゴブリンの気配が全く感じないんだよね」




「私、周りにゴブリンが居るか闇魔法で調べてみます」




「闇魔法ってそんなことも出来るのか」




「はい、竜二ならどんな属性でも魔法適性はあると思いますから、使ってみてください」




「そうなのか、それは楽しみだ」




「アリシャお願い」




「では、闇の中で眠る我の半身よこの願いに目覚めよ!ダークサーチディスモア!」




アリシャが両手を上の方向に差し出すと手のひらから紫の光が発射された。
雲が一瞬で紫になりここの一帯を紫の靄で包み込まれている。




「わかりました!ゴブリンは前方三百メートルの森の中に、えーと、十体はいます。こちらには全く気づいてない様子で呑気に食事をしています」




「ありがと、アリシャ、了解したわ」




「アリシャも使えるんだな」




「昨日も言いましたが私は闇魔法を司り、この世の全てを闇へと導くもの!だから出来て当たり前なのです!」




「みんな行くわよ!」




「おう」




「無視しないで〜」




俺たちは前方三百メートルにいるらしいゴブリンの居場所に向かった。
森の茂みに三人とも隠れて、ゴブリンの様子を伺う。
ゴブリンは談笑しながら座り、円で食事していた。


緑色の皮膚の上には鋼の鎧を全身に纏い、後ろに太い剣を携えている。
ゴブリンの手の平に持っているものは木の器に出来ており、緑の液体みたいなものが入っている。




「背後からグサッとやれば最大三体は倒せるわね」




「私たちが隠れてるのも知らず呑気なものです」




「あぁ、意外にも楽勝だな」 




「では、行くぞ」




エリシアは小声で「三、、二、、一、、行けー!」
合図で俺たちはゴブリンに向かって背後からエリシアは自前の細剣、アリシャは懐に隠し持っていた短剣、俺は鋼の剣でぶっ刺した。
背後から敵を倒すなんて申し訳ないが目を瞑る事にする。


お見事にゴブリンは俺たちが姿を現した途端慌てた様子だったが、三体は倒せた。
だが、仲間を殺されたことに他のゴブリン七体は怒っている様子だ。




「お前ら仲間を殺した絶対殺す!」




ゴブリンの目からは殺気が溢れ出ている。




「狩られる相手はお前たちだ、覚えてなさい」




エリシアが強い口調で挑発する。




「お前ら、人間風情にやられるかよ!返り討ちにしてやる!」




ゴブリン一体が先手を打って襲ってくる、他の七体も続いて襲ってくる。




「行くわよ、二人とも!」




真っ先に先行してきたゴブリンを俺が腹を横薙ぎにし、その衝撃で緑色の液体が出てくる。その隙にエリシアとアリシャは左右に別れ、エリシアはゴブリンの剣をかわしながら後ろに後退し、剣を縦に構えながらゴブリン目掛けて一気にスピードを上げ、切り裂く。
その後もエリシアは来た敵を次々と薙ぎ払う。


アリシャはというと




「我の闇魔法の力を思い知れ!ダークボルト!」




アリシャは右手をかざし、左手は右手に添え、紫色の邪悪な球をゴブリン目掛けて放った。
 



「グァッ!」




ゴブリンは驚いて後退するがその邪悪な球は追尾してくる。
そのゴブリンは邪悪な球をくらうと、一瞬にして砕け散った。


俺も最後の一体を軽々と倒した。
それにしても手応えがない、相手は弱すぎて話にならないし、止まっているかのように剣は振り下ろされてくる。
俺が強くなったからだと改めて自覚出来た。
それにしてもアリシャが使っていた魔法を俺も使ってみたい、一度帰ったら色々調べてみよう。




「案外楽勝だったわね」




「ゴブリンごときに手間取っていちゃ話になりませんからね、それにしても私の力を褒めてください。凄かったですよね?」




「凄いねーアリシャはー」




「竜二、何ですかその棒読みは感は」




「てかゴブリンって弱いのか?」




異世界ごとにゴブリンが強かったり、弱かったりあるからな以前アニメや漫画で見た話だけど。それにしても実感的には弱かった。




「えぇ、キングゴブリンは話が違ってくるけど、普通の野良のゴブリンは弱いわ」




「キングゴブリンってどんな奴なんだ?」 




なんか、エリシアとアリシャの後ろの木々から緑色の頭が飛び出ているんですけど⁉︎




「えーと、身長は五メートルくらいかな、あの木より少し高いくらいだね」




前にある木を指差してエリシアは比較する。
どんどんとその距離を縮めている。




「それって、大きな鎌を持っているか?」




ひょっこりと大きなお腹が木の隙間から顔を出した。顔はまだ木の葉っぱで隠されていてまだ出ていない。




「詳しいわね、キングゴブリンってのはね、でっかい鎌を武器として、使っているって有名でね、その威力は地面に亀裂を入れるほどになるんだよ」




「それって、今エリシアの後ろにいるやつか?」 




全身を現した。キングゴブリンの見た目は野良のゴブリンと全く変わらず、変わっている点はその大きな身長と後ろに背負っている鎌だけだ。




「キャーーーーー助けて助けて助けて助けてーーー」




エリシアとアリシャは後ろを振り向くと、キングゴブリンの姿を確認し、エリシアは悲鳴をあげながら、俺の後ろに隠れる。




「早く言いなさいよー、バカじゃないの竜二は!」




「ちょっとからかってみたかっただけだよ」




「何よそれ!竜二ひどい!」




エリシアは俺の背中をポコポコと叩く。




「俺が倒すから見守っといてくれ」




エリシアの頭に手をやり、ぽんぽんと撫でて、俺はキングゴブリンに剣を構えた。 




「竜二...」




エリシアはなぜか遠い目をして俺を見守っている。




「待って下さい、竜二!この相手は私に任せて下さい」




アリシャはエリシアと違い、キングゴブリンを見てもびくともしてなかった。




「ダメだ、アリシャでも、この相手は勝てないだろ」




「いいえ、倒します、我の力を見ていて下さい」




「俺が倒したいんだ!いいだろ?」




「無理です!私も使えるんだってことを今ここで証明します!」




「しょうがないな、わかったよ」




そこまで言われたら引き下がるしかない。




アリシャは笑いながら、キングゴブリンに向かって指をさす。




「我の眼の前に現れたのが運のつき!ふっ、ふっ、ふっ、左目が疼いて疼いて仕方ないぞ、解放せよ!漆黒のダークアイ!」




アリシャは左目の眼帯を取った。その眼は右目と比べて、紫に光っている。




だが、その効果は発揮しなかった。




ただの見せかけ、かっこをつけたかったみたいだ。




「我の名に命じる、いにしえの彼方、我に力を与えよ!最強にして、最大の力!ダークプロージョン!」 




紫色の球がアリシャの右の人差し指に集中し、キングゴブリン目掛けて放たれた。




「な、なんだと⁉︎」




キングゴブリン驚きを隠せない、現れて早々に殺されてしまうんだ、少し可愛そうな気がする。


その威力は凄まじく、紫色の爆発に覆われ、キングゴブリンもあっという間にちりとなり、周り一帯が、弾け飛んだ。




「アリシャ、お前...凄すぎだわ」




「アリシャって凄かったんだね私感心したわ」




「竜二とエリシアは我の力を見誤っていたな、さぁ我をもっと褒め称えよ!」
 



アリシャは自信満々の表情で見栄を張っている。




「竜二、さぁ終わったことだし帰るわよ」




「おう、帰ろうぜ」




「ま、待ってーよ、私を置いて行かないで〜無視は酷いよー」




アリシャは俺とエリシアの後を追ったのだった。




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