異世界で神から最強の力を手に入れたはずがそれが最弱だった件について

世界攻略

プロローグ〜始まり〜



   オレンジ色の夕焼け、学校の終わるチャイムが校内に鳴り響く。
 



   今、放課後の体育館裏で目の前に黒髪ロングの美少女が立っている。そう俺はこの子から告白を受けようとしている。




   今朝、机の中に手紙が入っており、体育館裏に来て欲しいと書いてあった。




   俺は告白を受けるのは今月で3回目のことだった。




   高校入学早々周りの女子たちから注目の的だったが中学の頃は眼鏡をかけ髪はボサボサで誰からも注目はされず、一人でのんのんと日々を送っていた。すなわち、高校デビューというやつだ。眼鏡はコンタクトにして髪もきっちり整えて、性格も変えるように努力した。


 

   周りからは竜二くんカッコいいなどと言われているが、自分はどこがカッコいいのかよく分からない。




   さて、そろそろ俺の自己紹介でも、俺は佐倉竜二、都内の高校に通う一年生、中学はオタクでぼっちだったが高校デビューを果たし今に至る。




「ねぇ、付き合ってくれるの、くれないのどっち?」




   黒髪ロングで美少女な彼女、双葉明日香は戸惑いながらも、強気な口調で言ってきた。




   こんな美少女に告白されて嬉しい限りだが、




「ごめん、気持ちは嬉しいけど俺、今付き合っている人がいるから双葉さんの気持ちには答えられない」




   俺は中学からずっと付き合っている彼女がいる。 




   その子もオタクでお互い一人ぼっちだった頃に班や委員会など、余り物で組まされていた時にお互いの趣味やぼっち経験などで意気投合して付き合い始めた。




 眼鏡や髪を変えた方が良いと言ってくれたのも彼女だ。
 面倒見もよく、俺は俺のことをよく考えとくれている彼女に惚れたに違いない。





……………………………………………………………………





「なんで?なんでなの?」




   真っ暗な瞳。どこか闇を抱えてそうな瞳。首を横にかしげる彼女は殺気をかもしだしている。




「なんでと言われましても、あんまり知らないし...」
 



初対面で突然告白されても俺はこの子をよく知らないし興味もない。




「はぁ?私はこんなに可愛くて、綺麗で、誰からにも相手にされないあの子と比べものにならないじゃない!私は竜二に何をされても受け入れるし、私も竜二が大好きだからいっぱい何かしてやりたい」




   可愛いとか自分で言っちゃうのかよという突っ込みを心の中で踏み止まった俺は俺の彼女を侮辱させられたことへの怒りをあらわにした。




「そうだよな、あいつとお前じゃ比べものにはならない、お前は可愛いだけが取り柄で他はなんなんだよ!俺の彼女はなぁ、人が困っていたらすぐさま助けに行くし、顔もお前よりは可愛いんだよ!」
 



   少し幼稚だったかもしれない、こと口げんかにおいては勝てたことが一度もない。




   自分の彼女のことを大声で叫んで顔が赤くなる。




「ねぇ」




   双葉がいきなり前に飛び出して抱きついてくる。




  そして、キス、双葉は舌を入れてきて口内を掻き乱してくる。




「おい、やめっっろって!」




   目の前の美少女がいきなりキスしてくるのだから嫌でも顔を赤らめてしまうのは男の性というものだろうか。




「なんだ、興奮しちゃった?あなたの彼女さんだったらこんな濃厚なキスはできないと思うのだけれど」




   顔を赤らめて上目遣いでこちらを見てくる双葉を俺は目を逸らさずにはいられなくなる。そんなに見つめられるとずっと目を見られるわけがない。




「こ、興奮してるわけないだろ!てか急にキスとかなんなんだよ!俺はもう帰るから、校門であいつが待っているし、それじゃ」
 



   俺は後ろを向き校門に向かい歩き始める。




「もう一回聞くけど私じゃダメ?」




「何度も言われてもダメなもんはダメだ、お前なら他にも付き合ってくれるやつが山ほどいるだろ」




「私はあんなゴミみたいな連中を相手には出来ない、竜二しかダメなの!竜二が良いの!」




「なんでそんなに俺のことが良いんだ?」




「だって、竜二はわからないかもしれないけど、中学の時、地味でいじめられていて誰にも相手にされてなかった私に話しかけてくれて、変われって言ったのは竜二だけだから!だから私は救われたんだ!命を救われたんだ!それで竜二が好きになったの!付き合って!」




どこか遠い記憶を探っているかのように思い浮かべながら話している。




「そんなの俺は知らない!勝手に妄想の話を作るな!俺はもう行く」




 俺は歩きながらそう答えたが、




「待って♡」




   後ろに向いた体を前に向けると




「うっっ、いったっ」








ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、ぐさ、
ぐさグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ








「好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き.....竜二大好き、何で私じゃダメなの、何であの子なの!」




   双葉は刃物で俺を刺しながらも好きという言葉を口にし、血を吸い、無理やりキスをする。




 刺された?今こいつに刃物で?そんな訳ない、俺はこれからが人生の始まりだっていうのに、なのに目の前で血を浴びながら笑っている彼女はなんなんだ、血、血、血、血ーーー、血が出てきている、一向に止まろうともしない。死ぬー死ぬー死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないーーーーーーーーーーー




「私ってね中学の頃からずっと竜二を見てきていたの、朝登校してる時も、竜二が一人で帰っている時も、一人で部屋で変なことしてる時も、その時は一番興奮したなー、それとね、一番許せなかったのは竜二とあの子がヤっている時!その時、私はねあの子に汚されてしまった竜二をね、殺そう、そして私も死のうと思ったよ。けど私の告白を受けてくれたら考え直そうとしたんだよ?けど竜二は私の告白を断った、それってもう殺すしかないよね?それと忘れていたんだけど、竜二の彼女もさっき殺したんだー、あの子の泣き顔ったら、ほんと今思い出しても笑えてくる。だからさ、私も悔いはないんだー、こうして竜二と一緒に死ねるんだから」




 双葉明日香は左手のポケットから茶色い目をした目玉を2つ出してきた。




「これ、あの子の両目なんだ〜、私があの子への強い想いを忘れないために持ってきたんだけど、もう要らないよね」




 彼女は両目を左手で思いっきり潰した。
 潰された両目をからは何か変な液体がにじみ出ている。
  あの目は彼女のものだ、特徴的な茶色い目をした人はなかなかいるものではない。




 くそくそくそくそ!くそがーーーーー




「お前...殺す!殺してやる!何としてでもだ!理沙を殺した報い必ず.....必ずーーーー」




   俺は最後の言葉を振り絞り、彼女(双葉明日香)への恨み憎しみ、そして、復讐心は今後死んでも忘れることはないだろう。




   そして彼女は最後に俺にキスをした後、自らお腹を刺し、俺の上に重なりながら、俺と彼女は息を途絶えた。
  双葉明日香は満面の笑みで死んでいったのだった。

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