奴隷として召喚された俺は世界最強の暗殺者になる
第6話 暗殺少女との出会い
「なぁ。暗殺者になりたいんだが、どうすればいい?」
「この特殊な紙に血を垂らせ。そしたら、お前のステータスが浮かび上がる」
亜人だから、冒険者が出来なかった。でも、暗殺者なら、この人なら、大丈夫な気がした。
そして、俺は血を垂らした。
【種族】亜人
【魔法適正】F
【物理適正】F
【スキル】治癒
【暗殺Lv】1
【暗殺階級】ブロンズ
と紙に浮かび上がった。
「お前、1人殺したのか?」
俺が亜人ということを気にしているそぶりは無くて一安心。
「殺したが、何故わかった?」
「スキルが発生している。殺してない奴はスキルは発生しない。後、お前のその目を見ればわかるさ」
「そういうことか。つまり殺せばスキルを手に入れられるということか?」
「少し違う。殺した奴のステータスを手に入れられる。殺した分だけ、強くなれるということだ」
「なるほどな」
「これでお前は暗殺者になった。依頼はそこの掲示板に書いてある。話は以上だ」
「了解だ。感謝する」
こいつが指差す方向には沢山の依頼書があった。そこには小さな少女が依頼書を眺めていた。
髪と目は赤くて、その横顔はとても可愛らしい。この歳でこんだけ顔が整っているのだから凄い。
「おい、お前。ここはお前みたいな子供が来るところではないと思うぞ」
開幕早々、思ったことを指摘してみる。
「はー?何言ってるのこのお兄さんは?そこの連れも私と同じくらいでしょ。それと、お兄さんだって子供じゃん」
なんとも正論をぶつけてきた。しかも見るところこいつは亜人ではない。
「そうだな」
「何が言いたかったのよ!意味わかんない」
「えーと。なんで依頼書を見ている?」
「なんなのよあんた!見ての通りよ!私は暗殺者でお金を稼ぐために依頼書を見ているのよ!頭悪いの?これぐらいわかるでしょ!」
「お金がないのか?」
「必要だって言ってるでしょ!何回も言わせないで!」
何回も聞いてないのだが。それにしてもこの歳で口調が強い。気が強いのか、相手に物怖じもしない。
「お前のレベルと階級を教えてくれ」
「レベルは32、階級はシルバーよ。それが何?なんか文句あるわけ?」
「何もない。十分だ。だったら取引しないか?」
「取引き?少し興味ある」
「リア。今、少しでも仲間が欲しい。なにかと人手があった方が有利だしな」
「まさか、この人を仲間にするのですか?」
「あぁ。仲間にするには十二分に価値がある。しかもこいつはお金を欲している。そして、俺たちは沢山のお金がある。これは仲間にする絶好のチャンスだろ」
「私は反対です。亜人ではない人を信用できません!」
こそこそとリアと話しているのをやめ、こいつに問いかける。
「何をこそこそと話しているのかわからないけど。何もないなら私を待たせないでくれない?」
「お前は亜人をどう思う?」
俺たちが亜人だとこいつにはわからない。わからないということは今こいつが思っていることの真実がわかると言うことだ。
「何よ。どうも思ってないわよ...。ただ私は亜人は好き。ただそれだけ!早く本題を話してくれない?いつになったら話すのよ!」
「わかった。話す」
「リア。意見は変わったか?」
「龍太郎がそうしたいなら。それに従う」
「そうか。ありがとう」
何故かこいつからは不信感や不外感などが感じられなかった。それはこいつと俺たちが似ているのかもしれないと思ったからだ。
「さて、本題だ。俺たちは今、聖金貨が1000枚以上ある。もし仲間になってくれたならその内500枚をお前にやる」
「え?聖金貨って‼︎嘘でしょ!本当?」
「手持ちはこれしか持ってきてないが、これで信用してもらえるか?」
俺は袋に入ってある100枚をこいつに見せる。100枚もの聖金貨に目を輝かしている。
「後は家に置いてあるからそこで渡そう」
「仲間になる!むしろこちらからお願いしたいくらい!これで私は!私は!感謝する!もう苦労しなくて済むんだ...。」
「私はエル・リネーネ。な、仲間になったげる」
「よし。交渉成立だな。俺は佐藤龍太郎。そいつはリアだ。これからよろしくなエル」
「エルよろしく」
「任せな!龍太郎とエルはさっき暗殺者になったばかりよね?私が引っ張ってあげる!」
「なんで俺たちが暗殺者になりたてって知ってるんだ?」
「見てただけじゃない!悪い?」
最初からチラチラと俺たちの動向を伺っていたのかエルの暗殺者としての技量は申し分ない。
「いや。俺たちは何も知らない。色々教えてくれ」
「わかってるっての!!」
元気いっぱいに返事をするエルを見ているとこちらまで嬉しくなる。先程までとのエルとは何処か違う。何か枷が取り除かれたように思う。
「あ、後。俺たち亜人だから」
「えーーーーーーーーーーーーー!!!って案外珍しくないか」
と、そんな感じで新しい仲間が加わり、俺たちの暗殺物語が始まった。
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