勇者が蔓延るこの世界で···
第二話 新生活
「お、俺がこの学校に入学!? てか勇者に資格とかあるんですか?」
「えぇ、『エーデル国指定 魔王討伐選定勇者』この世界にいる勇者は皆さんこの資格を持っていますよ」
「え? この世界にいる勇者···?」
「はい、この世界では国ごとに勇者としてのカリキュラムを経て、勇者選定試験を受け合格した人が勇者として魔王討伐を行うことが出来るようになっています」
「って事は勇者はこの世界に沢山いるんですか?」
「そうですね、この国、エーデル国だけでも少なくとも100人以上は資格を持っていますね」
「ま、マジですか·····」
「大真面目ですよ。それにこの資格を持っていればたくさんのメリットがありますからね」
「メリット? 一体何があるんですか?」
「勇者の資格を持ってからはギルドに所属してもらい、毎月一定以上の戦果をあげていただくことで勇者は他の職の人よりも多くの収入を得ることが出来ます。そして冒険の際にかかる費用も国からの一部負担、装備品から日常品まで様々な物を資格を持つことで安くお買い上げ頂けますよ。」
·····なんか俺の中の理想の勇者像が崩れていく気がする。妙にサラリーマンみたいな感じがするし、なんか勇者なのにメリットしょぼくない?
「普通なら国から全面的な支援を得られるんじゃないんですか? なんかメリットが弱い気がするんですが」
「本来ならば私達もそうあって欲しいのですが、まぁ、詳しい話は後日にしましょう。まぁ、立ち話もなんですから早く中にはいましょうか」
はぐらかされてるけどまぁ、受け入れるしかないか。
「そうですね、それではいきますか」
正門をくぐり、校舎の入口に着いた。
「リード校長、おはようございます。そちらの方は客人ですか?」
リードさんと俺の前には金髪ロングヘアーで身長は俺より高い、180cm位ある。顔立ちは凛としていて耳が長い。属にいう所のエルフだろうか?
「シャルロ先生、おはようございます。この人は明日からあなたのクラスに転入する、花月桂樹さんですよ」
「ど、どうも花月桂樹です。花月でも桂樹でも呼び方はおまかせします。よろしくお願いします」
「あぁ、君が例の転入生か、君のクラスの担任をしているシャルロだ。よろしくな花月、君の事情は聞いているよ。何か困ったことが会ったら相談しなさい」
シャルロ先生は俺の頭を雑に撫でる。なんだか男前だ。スーツ姿の胸元に慎ましやかながらも微かに膨らみがあるようにみえる。
「花月桂樹さん、シャルロ先生は男前ですが、エルフ属の立派な女性ですよ」
「あ、やっぱり女性ですよね、ちょっと男かどうか聞こうと思ってましたから聞かなくて良かったですよ」
雑に撫でていたシャルロ先生の手がピタリととまる。
「花月、私はどこをどう見ても女だろう?」
え、ちょっと待って笑顔なのに目のハイライトが消えてますよ!? 
「な、花月? 私は女にみえるよな?」
俺の頭の上に置かれた手でアイアンクローしないで! 死んじゃう、異世界来て速攻で死んじゃう!
「シャルロ先生は立派な女性ですよ! ただ、俺より背が高くてかっこよかったからです!」
「そうだよな、次からは気をつけるように」
「は、はい。気をつけます」
「シャルロ先生、そろそろ契約をしないといけないのでイチャイチャするのは明日からにしてくださいね」
「んなっ!? リード校長!べ、別に私はイチャイチャなどしてません!」
シャルロ先生は顔を真っ赤にして頬を膨らませている、あらやだ可愛い
「ふふっ、冗談ですよ。シャルロ先生、午後は実技授業でしたね。契約が終わり次第花月桂樹さんと見学しに行きますね。」
「わかりました!花月、来るのを楽しみにしているよ」
そこからシャルロ先生と解散しリードさんと俺は校長室へ向かった。
「あの、リード校長、質問なのですが」
「リードさんでいいですよ。堅苦しいのあまり好きではないので、それで質問とは?」
「は、はい。俺、この世界に来て無一文、家無し、言葉は何故か分かるけど色々と生活が成り立たないと思うんですけど·····」
「その件については心配無用ですよ。言葉や文字についてはこちらに来る時に能力として付与しておきましたから。」
「なるほど、それじゃあお金や家はどうするんですか?」
「家に着きましてはこの学校の横に学生寮がありますのでそちらで生活をすれば朝と夜はご飯が出ます。」
「お金に関しては授業の実力、学校への奉仕をする事で稼ぐことが出来ますので心配しないでください。今回は無理矢理こちらの世界へ連れてきましたのでお金の方はこちらで少しご用意しています。」
「良かったー、これで何とかなりそうです。」
安堵していると、リードさんは俺に何かが入ったカバンを用意した。
「こちらはこの世界でのお金になります。高い順に金貨、銀貨、銅貨、の三種類で成り立っています金貨は銀貨10枚分、銀貨は銅貨の10枚分として扱います。」
「中、見てもいいですか?」
「えぇ、私のポケットマネーなのであまり入ってはいませんが」
リードさんが用意してくれたカバンを開くと中には金貨、銀貨、銅貨がそれぞれ10枚ずつ入っていた。
多いのか少ないのかイマイチ分からんな。
「勇者になると月平均いくらですか?」
「だいたいの人は銀貨3枚くらいですね」
「なっ!? こ、こんなに頂けるんですか!?」
「無理を聞いていただきましたのでこれくらいは最低限ですよ。では本題に戻りましょう」
一通り生活に着いてなどの基礎を学んだ。
基本は異世界でも日本でもあまり変わらないらしい。
異なる部分としては魔法と能力についてだ。
一見同じようにも感じるが魔法は個人の才能により使えるものや使えないものがある。
火、水、土、風、光、闇、の6つの魔法の種類がある。
一方、能力は人それぞれ限界は違えど鍛える事が出来るものだ。
基礎的な身体能力の向上、五感の強化等、身体能力を一時的に向上をさせるものである。わかりやすく言えば補助魔法みたいなものだ。
魔法や能力は資格を持っている人のみが公で使えるらしい。資格を持たない人は資格を持った人の元で働いたり、農民、など様々な仕事があるのも変わらないらしい。
資格を持つことで勇者として人々の生活を守ることが主な仕事らしい。
この、育成総合専門学校では魔法や能力、戦闘について基礎中の基礎から学べるらしい。
「簡単にはこんな感じですね。能力や魔法については授業でこれから学ぶことになりますので頑張ってくださいね」
なんかテンション上がってきたな、これが異世界転移か、よし! 俺は勇者になってやる!
「はい! 頑張ります!」
「それでは、授業の見学行きましょう」
リードさんと俺は授業を行っているという体育館へ向かった。
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