勇者が蔓延るこの世界で···
第三話 魔法
リードさんは俺に魔法の基礎を体育館に向かいながら説明してくれた。
【魔法】アルストシアには六つの魔法が存在する。
火の魔法、水の魔法、土の魔法、風の魔法、光の魔法、闇の魔法である。
自分の体内に存在するマナを使うことで魔法を扱うこと出来る。
リードさんのように宝石などにマナを保存する事で体内のマナを扱わず魔法が使用出来るらしい。
基本的にはどの魔法にもランクというものが存在する。ランクとは資格の有無により使用制限がかかるようだ。
ランクは上から順にS、A、B、C、D、Eの六段階で構成されている。
Eランク魔法、資格を問わず使える簡単な魔法である。マッチ代わりに火をつけたりする基礎中の基礎のようだ。
Dランク魔法、義務教育を終わることで扱うことが出来るようになる魔法である。
Eランクより高い魔力を使うことが出来る。応用魔法である。
Cランク魔法、一般兵以上の資格所有者が使える下級戦闘用魔法。
Bランク魔法、王国兵士、一般兵士長以上が使うことが出来る中級戦闘用魔法。
Aランク魔法、王国兵士長、兵士のリーダー格、勇者が扱うことが出来る上級戦闘用魔法。
Sランク魔法、勇者のみが扱うことが出来る最大戦闘用魔法だ。しかし使える人がほとんどいない超級の魔法である。
いくら才能があろうが資格を持たなくては意味をなさない。まぁ、どの世界でも同じだな。
「花月桂樹さん、着きましたよ、ここが第二体育館です」
「でか···こんな所で授業をするんですか?」
デカすぎる、普通の体育館の倍近くの広さだ。
てかこれで第二体育館なのか、国のすることはよく分からない。
「これで第二体育館って、第一体育館って一体どんなところなんですか?」
「第一体育館は地下にあります。試験を受ける人のみが使える特別な所なんです。」
リードさんは体育館のドアをあけた。
「お、ちょうどいい所に来たな花月、これから魔法の才能を調べるぞ。こっちへ来てくれ」
シャルロ先生は俺を手招きしている。
生徒達はざわついている、まぁ当然だな。いきなり授業中に知らない奴がシャルロ先生に呼ばれるんだからな。
「みんなよく聞いてくれ、こいつは明日からAクラスに入る花月だ。じゃあ花月、自己紹介よろしく」
前振りが雑っ!ここは第一印象が肝心だ、ここでぼっちになるかどうかの分岐点、さぁやってやるぜ!
「あ、花月 桂樹です!呼び方は花月でも桂樹でも好きな方で大丈夫です。 明日からお世話になります、みんなよろしくお願いしまちゅ!」
·····か、噛んでしまっただと!? なんて古典的なパターンなんだ!
あぁ、終わった···俺の異世界生活
「ふふっ、あははは!」
一人が笑い始めたらみんなも釣られて笑っている終わった、これから馬鹿にされ続けるのか。
「緊張してるのかな?可愛いね! 私はアスター、よろしくね! 花月君!」
茶髪ポニーテールの女子、アスターが近づいてきた。それに便乗するかのようにみんな近づいてきた。各々が俺に自己紹介をしてくれたが30人近くの人数にいきなり自己紹介されてもさすがに全員は覚えられん。
「自己紹介もそろそろいいだろう、ほら授業を始めるぞ」
みんなが元の並びに戻るとシャルロ先生が大きな結晶を持ってきた。
「花月はこちらに来たばかりでリード校長から簡単な内容しか聞いてないからほぼ何も知らないだろう。アスター、復習ついでに魔法結晶について説明してやれ」
「はい! 花月君、魔法についてはどれくらい分かってるかな?」
「まぁ、魔法の種類とランク、それぐらいかな」
「なるほど···花月君はどこから来たの?」
あー、異世界から来ましたなんて信じてもらえないよな。面倒なことになるのも困るし、とりあえず適当に誤魔化すか
「まぁ、ド田舎出身だよ」
「名前からしても東の方の国出身って感じかな?」
まぁ、日本は東の国って言われてた気がするし間違いではないか
「そんなところだね」
「まぁ、あっちの人は魔法より能力重視だからね。じゃあ簡単に説明するね」
アスターが一通り教えてくれた。
簡単な話、マナを結晶に送る事で魔法の才能を見ることが出来るらしい。
結晶の光った色で魔法の種類を判断するようだ。
才能といってもその時の成長環境などによっても変わってくる人もいるらしい為、定期的に行うらしい。
「ちなみに私は火の魔法に特化してるよ!他は風の魔法がそこそこでそれ以外全然ダメなんだよね」
アスターは火と風か、王道所の能力だな。
魔法は基本的には火、水、風、土がメインの人が多く、光を持っている人は割と少ない。勇者候補の人はメインで使う人が多いらしい。闇は今まで使う人は数人しか確認されていないらしい。
魔王率いる魔族はその逆で光を使える魔物ほぼ居らず闇を使う魔物は幹部クラスだという。
「説明はこんな所かな?」
「うむ、アスターちゃんと理解しているな。ではみんな順番に行っていくぞ」
クラスのみんなが各々行っていく。
俺はまぁ、やるとしても最後でいいかな。どうせ特に目立った才能も無いだろうし、
「花月君!測ってみよ!」
アスターに手を引っ張られ魔法結晶の前に立つ。
だが魔法の使い方なんてよく考えたら全然わからん、どうしよ?
「花月、結晶に手を近づけて自分の血液の流れを感じながら手のひらに集中するんだ。」
「はい、わかりました」
まぁ、とりあえずやってみよう。案外できたりして、
「じゃあ、始めますね」
俺は結晶に手を近づけ、集中してみた。
すると結晶は溢れんばかりに眩い光を放って結晶は砕け散った。
「うわっ!? びっくりしたー」
と周りを見回すとみんな目が点になっている。
あ、もしかしてやらかした?俺だけ結晶壊したからか?やばいよく考えたら学校の備品を壊したもんな、
「花月、お前·····」
シャルロ先生が俺を見つめている。やばい、相当高価なものなんだろう。早速問題児になってしまった。とにかく最初に謝ろう。
「す、すみません! 大切な備品を壊してしまいました! ごめんなさい!」
刮目せよ、このジャパニーズ土下座を!
·····はい、すいません、本当にごめんなさい!
「いや、別に壊れてしまったものは仕方ない、気にするな、それよりもあんな魔力は一体·····?」
「さ、さぁ、自分でも何がなんやら·····」
体育館が静まり帰った中でリードさんはこちらに向かい歩いてきた。まだいたんですね。
「花月桂樹君、どうやら貴方は光の魔法、しかもAランク級···もしかするとSランクが使えるようです。」
まじか、じゃあ俺も勇者候補なのか!?よしっ!幸先いいなこれ!俺強い系か!
「それにこの魔法力、完全に光特化と言うだけなら砕ける事はないでしょう。もしかすると他の魔法も特化しているのかもしれませんね、他の魔法結晶で先ほどよりイメージを弱く持って行ってみましょう。」
リードさんに言われた通り隣にあった結晶でさっきよりイメージを抑えて測ってみた。
「これは···闇以外の魔法は一通りCからB級位で使えますね」
あー微妙だなんとも言えないなこれ
「なんか微妙ですね」
「何を言っている、普通特化しているやつは特化した魔法でAランク、アスターのように別の魔法が使えてもCランク、良くてBランク。それ以外はDランク、しかもほとんどの人はDランクすらまともに使えないレベルだぞ。」
「そうですね、シャルロ先生の言う通り私は火の魔法Aランク、風の魔法Cランク、あとは全く使えないの」
「なるほど、じゃあ俺はかなり珍しいタイプなんですね」
「そうだな、花月みたいなタイプはかなり少ないな、しかも特化が光の魔法だからな。戦い方さえ理解できればすぐにでも勇者候補に入れるな」
「勇者候補?」
「勇者の試験を受けるには成績を残さないと行けないんだ、基本的には3年間のカリキュラムを受けて卒業資格を得ることで受けることが出来る。それ以外の場合は学校への貢献度、実技授業、学校行事で優秀な成績を取ることが出来れば1年生からでも勇者候補に入り、試験を受ける事が出来るぞ」
「要は実力さえあればすぐにでも勇者になれるってことですか?」
「そういう事だな。だが今は焦らずしっかり土台を固めることだな。みんなも同じだぞ!まずは基本をしっかり覚えること、分かったな?」
「はい!」
ここでチャイムがなった。
なんか一日が長く感じたな。
「今日の授業はここまで、今日はここでそのまま解散にする。忘れ物のないように」
「ありがとうございました!」
こうして授業が終わった。
授業が終わりみんなが俺の周りに集まってきた。
「花月君!凄いじゃん!」
「本当に魔法しらないの!?凄い才能だよ!」
「今度一緒に練習しようぜ!」
すっかり人気者だ、やべぇ、クラス上位カーストってこんなに気持ちいいのか、女子がいっぱい近づいてくる、たまらんわぁ
「花月、今日は色々あったし、アスターとアキレア、花月の面倒を見てやってくれ。今日からお前らのところの寮に入るからな案内してやれ.」
「OKっす、じゃあよろしくな! 桂樹」
シャルロ先生に呼ばれた2人が俺の方へよってきた。1人はアスター、もう1人はいかにも体育会系な爽やか男子、アキレアが話しかけてきた。
「アスターとアキレアと同じ寮なのか?」
「そうだよ! 部屋は私の隣の部屋だね!それじゃあ行こ!」
「そうだねとりあえず今日はなんか疲れたから早く寝たいな」
こうしてアスターとアキレアに寮へ案内してもらいベッドに入るとすぐに熟睡してしまった。
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