ソルミア魔獣討伐記〜魔獣になった彼女と共に〜
5話
(…ナオ……ナオくん……!)
…ん…。今俺はどこにいるんだろうか…。というかなんで俺は眠ってたんだ…?
ぼんやりと考えながら少し痛む頭を抑えて、俺はうっすらと目を開く。差し込んでくる光の眩しさに耐えながらも、俺は周囲を見渡して…すぐさまここが異世界であることを理解した。右隣に生えている、人の頭ほどもあるおどろおどろしい色のキノコと、空に浮かぶ二つの太陽のような星を見れば、誰だって地球じゃないことはすぐわかる。
それよりも。…やはりさっきメイの声が聞こえたような気がしたのは空耳、か。
…メイを助けられなかった。今の俺にはメイが無事であることを祈ることしかできない。本当に、無力だ。
…だが、それでいいのか?
あの男が最後に言っていたことが耳の奥に響く。歯を噛み締め、上を向く。
…俺はこの世界で何だってやってやる。メイがもしこの世界にいるのなら、地の果てまでも探しにいく。いないのならば、元の世界に戻るために、メイに会いに行くためにあの男の言うことが何だろうが聞いてやる。
「メイ…待っててくれよ」
…ようやく落ち着いた所で立ち上がり、体の土を払う。ここがどんな世界だろうと、何も知らないまま生きていくことはできない。まず、街でも村でも人のいるところを探そう。
あいつが本当に俺に頼みたいことがあるならば、あっちからコンタクトを取ってくるはず。ならば、それまで俺はこの世界にメイがいるのかどうかを調べよう。もしいるならば、一刻も早く会うために。
俺を絶望の縁から引き上げてくれたメイを今度は俺が助ける。俺に喜びと、希望と、愛をくれたのは、メイなのだから。
…と、そう意気揚々と決意したはいいが。残念ながら目視できる範囲には木々と気持ち悪いキノコしかない。俺は大きなため息を一つついて、適当な方向へ歩き出した。
さて。森の中を彷徨いながらとりあえず自分の今の状況を確認しよう。
服装はいつの間にかこの世界の服や靴であろうものに変わっている。麻のようなものでできている粗末な服だ。着心地はそこまで良くない。持ち物は無し。スマホも財布もない。あっても使うことはないだろうが。
「ん…?何だこれ…」
…いや。一つだけ服のポケットに入っているものがあった。取り出してみると、それは一枚のカード。いわゆるクレジットカードのような形と大きさで、表面は光を反射して鈍色に輝いている。そして両面は植物が巻きついたようなデザインで飾られており、中央にはローマ数字の「I」のようなものが刻まれている。
   かなり凝ったカードのようだが、自分が持っていた記憶は勿論無い。つまりそれはあいつが俺の服を変えた時に入れたということでもある。要するにこれは異世界において必要なものなのだろう。
そうぼんやり考えながらカードを弄びつつ歩いていたその時だった。手がカードの中央にあったローマ数字に触れた瞬間、フォン、という軽い小さな音と共に俺の目の前に何やら画面が表示されたのだ。
「っ!」
それはまるでアニメなどで見たホログラムのようで、半透明に透き通っていた。俺は最初こそびっくりして目をつぶってしまったが、好奇心には勝てず恐る恐る画面に目を走らせた。
…ん…。今俺はどこにいるんだろうか…。というかなんで俺は眠ってたんだ…?
ぼんやりと考えながら少し痛む頭を抑えて、俺はうっすらと目を開く。差し込んでくる光の眩しさに耐えながらも、俺は周囲を見渡して…すぐさまここが異世界であることを理解した。右隣に生えている、人の頭ほどもあるおどろおどろしい色のキノコと、空に浮かぶ二つの太陽のような星を見れば、誰だって地球じゃないことはすぐわかる。
それよりも。…やはりさっきメイの声が聞こえたような気がしたのは空耳、か。
…メイを助けられなかった。今の俺にはメイが無事であることを祈ることしかできない。本当に、無力だ。
…だが、それでいいのか?
あの男が最後に言っていたことが耳の奥に響く。歯を噛み締め、上を向く。
…俺はこの世界で何だってやってやる。メイがもしこの世界にいるのなら、地の果てまでも探しにいく。いないのならば、元の世界に戻るために、メイに会いに行くためにあの男の言うことが何だろうが聞いてやる。
「メイ…待っててくれよ」
…ようやく落ち着いた所で立ち上がり、体の土を払う。ここがどんな世界だろうと、何も知らないまま生きていくことはできない。まず、街でも村でも人のいるところを探そう。
あいつが本当に俺に頼みたいことがあるならば、あっちからコンタクトを取ってくるはず。ならば、それまで俺はこの世界にメイがいるのかどうかを調べよう。もしいるならば、一刻も早く会うために。
俺を絶望の縁から引き上げてくれたメイを今度は俺が助ける。俺に喜びと、希望と、愛をくれたのは、メイなのだから。
…と、そう意気揚々と決意したはいいが。残念ながら目視できる範囲には木々と気持ち悪いキノコしかない。俺は大きなため息を一つついて、適当な方向へ歩き出した。
さて。森の中を彷徨いながらとりあえず自分の今の状況を確認しよう。
服装はいつの間にかこの世界の服や靴であろうものに変わっている。麻のようなものでできている粗末な服だ。着心地はそこまで良くない。持ち物は無し。スマホも財布もない。あっても使うことはないだろうが。
「ん…?何だこれ…」
…いや。一つだけ服のポケットに入っているものがあった。取り出してみると、それは一枚のカード。いわゆるクレジットカードのような形と大きさで、表面は光を反射して鈍色に輝いている。そして両面は植物が巻きついたようなデザインで飾られており、中央にはローマ数字の「I」のようなものが刻まれている。
   かなり凝ったカードのようだが、自分が持っていた記憶は勿論無い。つまりそれはあいつが俺の服を変えた時に入れたということでもある。要するにこれは異世界において必要なものなのだろう。
そうぼんやり考えながらカードを弄びつつ歩いていたその時だった。手がカードの中央にあったローマ数字に触れた瞬間、フォン、という軽い小さな音と共に俺の目の前に何やら画面が表示されたのだ。
「っ!」
それはまるでアニメなどで見たホログラムのようで、半透明に透き通っていた。俺は最初こそびっくりして目をつぶってしまったが、好奇心には勝てず恐る恐る画面に目を走らせた。
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