ソルミア魔獣討伐記〜魔獣になった彼女と共に〜
2話
全身を覆う黒のマントに白い髪。どこか西洋風の整った顔つきで、血で染められたかのような深紅の目。流石に尖った長い犬歯は無いようだが。
「おうおう、そんなに驚かなくてもいいじゃないか。ふふっ、まあいい。で、突然だけど、君たちの名前は伊藤直人と桐谷芽衣で合っているかい?」
…なっ!なんでこの男が俺たちのフルネームを知っているんだ?会って話したなら覚えているはずだし、親戚や先生でもない。なぜ、こいつが知っている…?
「…そうだとしたら何なんですか?俺はあなたに会った覚えもないんですが。というか挨拶も無いんですね」
「はあ…そんなに警戒しなくても。まあ仕方ない。では、改めて。私の名は…ソルミア。しがない一般人さ…と言っても信憑性はないか。まあでも、危害を与えるつもりはないよ。ほら、君の連れも怖がっているようだし言っておくけどね」
はっ!そうだった。確かにメイは怯えた表情で俺の後ろに隠れている。大丈夫、と軽く体を寄せ、俺はもう一度目の前のソルミアとかいう男と向かい合う。…名前からして外国人なのか?
「…で?何か用ですか?」
「ははっ、そんなに知りたいのかい?分かったよ。実は君たちに頼みたいことがあるんだけど、聞いてもらっていいかな?ちょっとした私の遊びなんだけどね」
「は?遊び?」
何言ってるんだ?こいつは。
「そう、遊び。もっと具体的に言うならば、異世界に行って私の手伝いをするってことかな。勿論、拒否権は無いよ」
…どうやら俺は重度の厨二病患者に遭遇してしまったらしい。後ろのメイも、はい?って顔をしてる。可愛い。
「…あの〜ちょっと何言ってるか分からないんですけど。そんなことより、俺たちの名前知ってたのは何でですか?教えた覚えは無いんですけど」
「異世界とか信じられないかな?…まあそうか。でもこれを見たら否が応でも納得すると思うよ。あ、ちなみに名前知ってたのも私が異世界人だから、だね」
そう意味不明な事を言うと、男は急に何かをつぶやくように口を動かした。その瞬間、俺の普段あてにならない勘が、過去最高警戒度で発動され、咄嗟に俺はメイを庇うように飛び出した。刹那、俺に襲いかかる砂、砂、砂…。
「ゲホッゲホッ…!何なんだよほんとに?!砂飛ばしすぎだろ!危うくメイにかかるとこだったんだぞ?」
…と心からの文句を言うがそこには誰もおらず、見事に空へと消えていく。さっきと変わったところと言えば、男がいたところに小さなクレーターがあるだけだ。…って、クレーター?!
状況からしてまるで男が今の一瞬で作ったようにしか思えない不可解な現象に、俺は首をひねる。
「ケホッ…ナ、ナオくん大丈夫?!怪我してない?」
「ああ、大丈夫だ。メイの綺麗な顔にかからなくて良かったよ」
ホントにメイにかからなくて良かったな…。もしかかってたらきっとぶっ殺してたな、あいつ。…ん?今メイがまた不意打ちずるいって言ったような…。
「…っ!ね、ねえナオくん!今の人が言ってた見たら納得するってこのことかな?」
「あ、ああ。そうかもな…。でもだとしたらあいつは何処へ行ったんだ…?」
「消えた…ってことはないよね…。だったら何処かに隠れてるか、空に跳んだ…ってええ?!」
「大正解だよ〜お二人さ〜ん」
なんとなく頭上に目をやった俺たちはまたもや絶句した。本日二度目だ。
そいつは跳んでいた。いや、飛んでいた。赤みがかった空をまるで鳥のように悠々と。
俺たちはただただ呆然とそれを見上げることしかできなかった。
読んでくれてありがとうございます。
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「おうおう、そんなに驚かなくてもいいじゃないか。ふふっ、まあいい。で、突然だけど、君たちの名前は伊藤直人と桐谷芽衣で合っているかい?」
…なっ!なんでこの男が俺たちのフルネームを知っているんだ?会って話したなら覚えているはずだし、親戚や先生でもない。なぜ、こいつが知っている…?
「…そうだとしたら何なんですか?俺はあなたに会った覚えもないんですが。というか挨拶も無いんですね」
「はあ…そんなに警戒しなくても。まあ仕方ない。では、改めて。私の名は…ソルミア。しがない一般人さ…と言っても信憑性はないか。まあでも、危害を与えるつもりはないよ。ほら、君の連れも怖がっているようだし言っておくけどね」
はっ!そうだった。確かにメイは怯えた表情で俺の後ろに隠れている。大丈夫、と軽く体を寄せ、俺はもう一度目の前のソルミアとかいう男と向かい合う。…名前からして外国人なのか?
「…で?何か用ですか?」
「ははっ、そんなに知りたいのかい?分かったよ。実は君たちに頼みたいことがあるんだけど、聞いてもらっていいかな?ちょっとした私の遊びなんだけどね」
「は?遊び?」
何言ってるんだ?こいつは。
「そう、遊び。もっと具体的に言うならば、異世界に行って私の手伝いをするってことかな。勿論、拒否権は無いよ」
…どうやら俺は重度の厨二病患者に遭遇してしまったらしい。後ろのメイも、はい?って顔をしてる。可愛い。
「…あの〜ちょっと何言ってるか分からないんですけど。そんなことより、俺たちの名前知ってたのは何でですか?教えた覚えは無いんですけど」
「異世界とか信じられないかな?…まあそうか。でもこれを見たら否が応でも納得すると思うよ。あ、ちなみに名前知ってたのも私が異世界人だから、だね」
そう意味不明な事を言うと、男は急に何かをつぶやくように口を動かした。その瞬間、俺の普段あてにならない勘が、過去最高警戒度で発動され、咄嗟に俺はメイを庇うように飛び出した。刹那、俺に襲いかかる砂、砂、砂…。
「ゲホッゲホッ…!何なんだよほんとに?!砂飛ばしすぎだろ!危うくメイにかかるとこだったんだぞ?」
…と心からの文句を言うがそこには誰もおらず、見事に空へと消えていく。さっきと変わったところと言えば、男がいたところに小さなクレーターがあるだけだ。…って、クレーター?!
状況からしてまるで男が今の一瞬で作ったようにしか思えない不可解な現象に、俺は首をひねる。
「ケホッ…ナ、ナオくん大丈夫?!怪我してない?」
「ああ、大丈夫だ。メイの綺麗な顔にかからなくて良かったよ」
ホントにメイにかからなくて良かったな…。もしかかってたらきっとぶっ殺してたな、あいつ。…ん?今メイがまた不意打ちずるいって言ったような…。
「…っ!ね、ねえナオくん!今の人が言ってた見たら納得するってこのことかな?」
「あ、ああ。そうかもな…。でもだとしたらあいつは何処へ行ったんだ…?」
「消えた…ってことはないよね…。だったら何処かに隠れてるか、空に跳んだ…ってええ?!」
「大正解だよ〜お二人さ〜ん」
なんとなく頭上に目をやった俺たちはまたもや絶句した。本日二度目だ。
そいつは跳んでいた。いや、飛んでいた。赤みがかった空をまるで鳥のように悠々と。
俺たちはただただ呆然とそれを見上げることしかできなかった。
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