ソルミア魔獣討伐記〜魔獣になった彼女と共に〜
プロローグ
夕陽の差し込む放課後の教室。
俺、伊藤直人は目の前の女子と向かい合うように立っている。
その可愛い女子の名前は桐谷芽衣。俺のクラスメイトで高1から一緒だったこともあり、高2になってふと話す機会があって…俺は彼女を好きになった。
そして春の温もりがそろそろ寂しくなってきた初夏の今日。俺は、彼女に告白する。
勿論、いろいろ考えた。今のままでいいんじゃないか、失敗したらどうするんだ、と。
けれど、この想いは抑えられるものじゃなかった。
日に日に感じる胸の鼓動。自分へ向けられる明るい笑顔。何気ない会話。
…そして。癒えるはずがないと思っていた心の傷が彼女によってゆっくりと、ゆっくりと塞がれていったのに気がついた。
それらすべてが、俺の気持ちを速めていった。
だから、決めたんだ。言わなきゃ男じゃねえ、言ってやる、って。
一回、深呼吸する。目を閉じ、心を落ち着かせて、そして。
「桐谷、俺はお前が好きだ。俺の彼女になってくれないか?」
言った。言ってしまった。しかも、何時間も考えていたセリフと全然違う事を。
でも、俺は彼女の目を真っ直ぐ見る。
返事を、待つ。
そして、何時間も経ったんじゃないかと感じるくらい間を開けた後、彼女の口が開いた。
「はい。こちらこそ、お願いします」
頭がボーッとする。俺は頬をつねり、夢じゃないことを何回も確認する。…痛い。
「…ホントに夢みたい。私ね、ずっと考えてたんだ。いつか直人君が好きだ、って言ってくれる日を。でもそんな日絶対来ないって思ってた。だから、叶って嬉しい…っ」
「俺も、だよ。まさかそんなこと思ってもらえてるなんて考えたことなかった。断られたらどうしようってずっと考えてた。だから、俺もすごい嬉しいよ」
桐谷、いやメイが俺に抱きついてくる。涙でぐしょぐしょにした顔を見られたくなかったのかもしれない。俺もこらえるの、限界なんだけどな。
ゆっくりとメイを抱きしめ返す。初めて味わった彼女の体の感触は柔らかくて、甘い匂いがした。
そして俺達はかなり長い間、涙を流しながら抱き合っていた。沈みゆく夕陽が俺達を照らしながら祝ってくれている、そんな気がした。
あの日味わった絶望も、今なら忘れられる。そう思えるほど、俺は幸せだった。
でもこの時はまだ知らなかった。この時想像してた甘い生活が、全てあいつにぶっ壊されるなんて。
俺、伊藤直人は目の前の女子と向かい合うように立っている。
その可愛い女子の名前は桐谷芽衣。俺のクラスメイトで高1から一緒だったこともあり、高2になってふと話す機会があって…俺は彼女を好きになった。
そして春の温もりがそろそろ寂しくなってきた初夏の今日。俺は、彼女に告白する。
勿論、いろいろ考えた。今のままでいいんじゃないか、失敗したらどうするんだ、と。
けれど、この想いは抑えられるものじゃなかった。
日に日に感じる胸の鼓動。自分へ向けられる明るい笑顔。何気ない会話。
…そして。癒えるはずがないと思っていた心の傷が彼女によってゆっくりと、ゆっくりと塞がれていったのに気がついた。
それらすべてが、俺の気持ちを速めていった。
だから、決めたんだ。言わなきゃ男じゃねえ、言ってやる、って。
一回、深呼吸する。目を閉じ、心を落ち着かせて、そして。
「桐谷、俺はお前が好きだ。俺の彼女になってくれないか?」
言った。言ってしまった。しかも、何時間も考えていたセリフと全然違う事を。
でも、俺は彼女の目を真っ直ぐ見る。
返事を、待つ。
そして、何時間も経ったんじゃないかと感じるくらい間を開けた後、彼女の口が開いた。
「はい。こちらこそ、お願いします」
頭がボーッとする。俺は頬をつねり、夢じゃないことを何回も確認する。…痛い。
「…ホントに夢みたい。私ね、ずっと考えてたんだ。いつか直人君が好きだ、って言ってくれる日を。でもそんな日絶対来ないって思ってた。だから、叶って嬉しい…っ」
「俺も、だよ。まさかそんなこと思ってもらえてるなんて考えたことなかった。断られたらどうしようってずっと考えてた。だから、俺もすごい嬉しいよ」
桐谷、いやメイが俺に抱きついてくる。涙でぐしょぐしょにした顔を見られたくなかったのかもしれない。俺もこらえるの、限界なんだけどな。
ゆっくりとメイを抱きしめ返す。初めて味わった彼女の体の感触は柔らかくて、甘い匂いがした。
そして俺達はかなり長い間、涙を流しながら抱き合っていた。沈みゆく夕陽が俺達を照らしながら祝ってくれている、そんな気がした。
あの日味わった絶望も、今なら忘れられる。そう思えるほど、俺は幸せだった。
でもこの時はまだ知らなかった。この時想像してた甘い生活が、全てあいつにぶっ壊されるなんて。
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