色災ユートピア
31.次男の独白 "約束"
「ごめんな…二人を守ってくれ…。」
アウトサイダーが生まれたあの日、僕は二人を連れて逃げた。
兄さんは、僕に自分の力を託して死んだ。
「イヤだ!死にたくない!」
「お兄ちゃん、助けてぇっ!」
僕は、二人を救えなかった。
赦無も白理も、目の前でバラバラになって死んだ。
僕は独りになった。
「あぁ、大英雄様!息子の仇を!」
僕は、人間を救えなかった。
憎むがままに、その怒りを、憎悪を、アウトサイダーにぶつけた。
僕は、マリオネットになった。
「こいつを生贄にしよう。奴らはこいつを煙たがっているからな。」
僕は、僕を救えなかった。
人類は勝てた殺し合いを放棄して、僕の手足を奪って、大嫌いで憎いアウトサイダーと一緒の場所に閉じ込めた。
人類は、自ら救いを放棄した。
『ねぇ、人間が憎いでしょ?身勝手な大人を殺したいでしょ?』
僕は、アウトサイダーになった。
憎んで、憎んで、変質した。
その時から、僕は人間を殺す手立てを考えた。
「い、嫌だ!助けてくれ!」
僕は、復讐者になった。
人間は、嫌だ嫌だと泣きわめくばかりで、醜さしか残っていなかった。
僕は、人類を滅ぼした。
『どうして!?僕たちは力をあげたのに!』
僕は、約束を守るために動き始めた。
アウトサイダーを裏切って、自分が誰なのかも分からなくなった。
それでも、僕は"約束"を守るために、全て殺した。
満たされた。
満たされない。
一度だけでは殺し足りない。
でも、相手は覚えていない。
虚しい。
寂しい。
はるか昔、呪いさえなかったら。
僕がただ死ぬ人間だったら。
執着もしなかった。
「コドク?ヘー、俺はゼロ。名前がないから、とりあえずゼロでいいよ。よろしくな、コドク。」
僕は、記憶も全て失ったゼロに出会った。
一度目は、自分で全て解決しようとした。
失敗した。
「コドク?なんか寂しそうな名前だな。俺はゼロ、俺も寂しそうな名前だから、仲間だ!」
二度目は、ゼロに全てを話した。
ゼロは協力してくれたけど、僕たち二人じゃ足りなかった。
「貴様では、何も成し遂げられない。救うことなど出来はしない。」
僕は僕と別れた。
センチネルになるために。
赦無と白理の、味方になるために。
「大丈夫、何かあったら僕が何とかするよ。オリジナル。」
保険だった。
僕はいつか死ぬかもしれない。
その時、僕の記憶が消えてしまっていたら…そう思った時、僕は僕を残さなければと思って、気が気じゃなかった。
そうして生まれたのが、咎喰 狂異、僕のバックアップ。
ゼロが死んでもダメ、赦無が死んでもダメ、白理が死んでもダメ。
死んでいいのは僕だけ。
大好きな弟妹に恨まれても、嫌われても、それでいい。
僕が死んだって心が痛まないなら、それでいい。
だって、誰かは犠牲にならなきゃいけない。
だったら、今度こそ僕が、そうしないといけない。
僕だけが親違いで。
三人は親が一緒で。
知っているのは、覚えているのは僕だけ。
バックアップもいる。
力がある僕もいる。
僕が死んだって、残った僕が何とかしてくれるだろう。
これでようやく終わる。
長い旅も、悪夢のような時間も。
これからは、僕だけがいない時間を、何も覚えていない三人は、幸せに生きていくんだろう。
少し、寂しいけど。
ねぇ、僕は"約束"を守れていたかな───?
アウトサイダーが生まれたあの日、僕は二人を連れて逃げた。
兄さんは、僕に自分の力を託して死んだ。
「イヤだ!死にたくない!」
「お兄ちゃん、助けてぇっ!」
僕は、二人を救えなかった。
赦無も白理も、目の前でバラバラになって死んだ。
僕は独りになった。
「あぁ、大英雄様!息子の仇を!」
僕は、人間を救えなかった。
憎むがままに、その怒りを、憎悪を、アウトサイダーにぶつけた。
僕は、マリオネットになった。
「こいつを生贄にしよう。奴らはこいつを煙たがっているからな。」
僕は、僕を救えなかった。
人類は勝てた殺し合いを放棄して、僕の手足を奪って、大嫌いで憎いアウトサイダーと一緒の場所に閉じ込めた。
人類は、自ら救いを放棄した。
『ねぇ、人間が憎いでしょ?身勝手な大人を殺したいでしょ?』
僕は、アウトサイダーになった。
憎んで、憎んで、変質した。
その時から、僕は人間を殺す手立てを考えた。
「い、嫌だ!助けてくれ!」
僕は、復讐者になった。
人間は、嫌だ嫌だと泣きわめくばかりで、醜さしか残っていなかった。
僕は、人類を滅ぼした。
『どうして!?僕たちは力をあげたのに!』
僕は、約束を守るために動き始めた。
アウトサイダーを裏切って、自分が誰なのかも分からなくなった。
それでも、僕は"約束"を守るために、全て殺した。
満たされた。
満たされない。
一度だけでは殺し足りない。
でも、相手は覚えていない。
虚しい。
寂しい。
はるか昔、呪いさえなかったら。
僕がただ死ぬ人間だったら。
執着もしなかった。
「コドク?ヘー、俺はゼロ。名前がないから、とりあえずゼロでいいよ。よろしくな、コドク。」
僕は、記憶も全て失ったゼロに出会った。
一度目は、自分で全て解決しようとした。
失敗した。
「コドク?なんか寂しそうな名前だな。俺はゼロ、俺も寂しそうな名前だから、仲間だ!」
二度目は、ゼロに全てを話した。
ゼロは協力してくれたけど、僕たち二人じゃ足りなかった。
「貴様では、何も成し遂げられない。救うことなど出来はしない。」
僕は僕と別れた。
センチネルになるために。
赦無と白理の、味方になるために。
「大丈夫、何かあったら僕が何とかするよ。オリジナル。」
保険だった。
僕はいつか死ぬかもしれない。
その時、僕の記憶が消えてしまっていたら…そう思った時、僕は僕を残さなければと思って、気が気じゃなかった。
そうして生まれたのが、咎喰 狂異、僕のバックアップ。
ゼロが死んでもダメ、赦無が死んでもダメ、白理が死んでもダメ。
死んでいいのは僕だけ。
大好きな弟妹に恨まれても、嫌われても、それでいい。
僕が死んだって心が痛まないなら、それでいい。
だって、誰かは犠牲にならなきゃいけない。
だったら、今度こそ僕が、そうしないといけない。
僕だけが親違いで。
三人は親が一緒で。
知っているのは、覚えているのは僕だけ。
バックアップもいる。
力がある僕もいる。
僕が死んだって、残った僕が何とかしてくれるだろう。
これでようやく終わる。
長い旅も、悪夢のような時間も。
これからは、僕だけがいない時間を、何も覚えていない三人は、幸せに生きていくんだろう。
少し、寂しいけど。
ねぇ、僕は"約束"を守れていたかな───?
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