おじいちゃんと剣と魔法が紡ぐ第二の人生!!おじいちゃんが知らず知らずに無双する物語!!

ノベルバユーザー349130

新たな特性

怨嗟の骨龍レセントドラゴンの体は消え、そこには魔石が残っていた。しかし、

(また空魔石かの?)

(空魔石…、たしかに魔力が入っていないな。なぜだ?)

(分からんのじゃ。)

(………俺にもわからんな。)

(まあなるようになるじゃろ。)

空魔石とはいえ、流石に今までより大きさは二倍ほど大きかった。が、

(意外とこぶりなんじゃのー。)

(たしかにな。二倍程度で収まるものなのか?)

(まあそんなものなんじゃろ。)

南吉がそう納得しかけたところで、自分の体の異常に気づく。







(なんか特性が増えておる気がするんじゃが……。)

そう言いながら自己理解を発動させる南吉。そこには見知らぬ力がいくつかあった。

多重思考     自分の思考能力とほぼ同じ意志が複数できる。数の上限は魔力や慣れに左右される。

危険察知     自分の身体が危機にさらされるとき、事前に設定しておいた魔法、特性が発動する。

そして、不確定だった特性は一つの特性となっていた。

能力管理者    魔法や特性といった本人の能力を管理し、適切な行動を示してくれる。

(………魔法神の加護がなんでこうなるんじゃ?)

(さあな。まあ便利そうだし気にしなくていいだろ。)

そうじゃの。こうして納得した南吉だが、正解はこうである。







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丁度同じ時間、

「あー……そろそろ気づくかな?」

死者を裁きつつ閻魔は思う。一つの世界を管理する神の中でも上位の神が、魔法神の加護程度で送り出すわけがない。

「魔法とかになれてない人には、いい特性だと思うなー。」

ある程度の戦いをくぐり抜けたら、魔法神の加護が能力管理者に変わるように仕組んだのは閻魔本人だ。

「まあでも結構な修羅場をくぐり抜けなきゃじゃし、変わるのはまだかな………!?」

ちょうどこの瞬間、南吉が能力管理人を取得したのだ。そして当然、閻魔にも通達が行く。

「もうかー………かなり早いなー。まあいいか。」

閻魔の誤算は、南吉がマイクと出会ったことだろう。しかし、そのことについて閻魔はまだまだ気づかない。







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(危険察知はー……認識加速を多重起動で問題ないかの……?)

(まあいいんじゃないか?)

これなら不意打ちにも対処できると思い、採用する南吉。

(多重思考がよくわからんのじゃが……)

(使ってみたらどうだ?)

(そうじゃの。)

発動させると、南吉と違う南吉が話しかけてきた。

(やほー。)

(!!?なるほど……もう一人のわしがいる気分じゃ……)

(まあ本体であるお主より上位にはなれんで、お主の意識から外には出られんの。)

(ということはお主に何をしてもらうか頼めばええんじゃな?)

(そういうわけじゃ。あ、わしが代表で喋っておるが、現在ニ十程思考があるからの。)

(結構あるんじゃな。)

(お主、わし?まあどっちでもええわい。魔力が多いからの。)

(なるほどの。)

少しの間思案する南吉。

(十人分は、戦闘時の攻撃、五人分は防御、四人分はー、まあ他の補助じゃったり、魔法について好き勝手やっててええわい。一人分は警戒で頼むわい。)

(把握じゃ。他の皆にも伝えておくわい。なにか要件があったりすれば、多重思考の発動を思念すればわしが出るわい。)

(それじゃあ頼むぞ。)









(なかなか便利そうな特性じゃの。)

(多重思考との会話は俺にも聞こえないんだな。)

(あ、そうなんじゃの。)

特性との会話はマイクも聞こえないようだ。

(お前のしゃべることは聞こえるから、一人でしゃべるやばいやつだったぞ。)

(そんなふうなんじゃな。)

(というか、今日は疲れたから、……帰るか……)

(…………そうじゃな………)

すでにボロボロで疲労困憊な南吉達は、すぐに帰還を決意したのだった。










「お願いするわい。」

買い取り小屋にて空魔石を提出した南吉。

「わかりました。………あっ。これ大きいですね。」

怨嗟の骨龍レセントドラゴンの空魔石を見て受付の人が言う。

「そうじゃの。大変じゃったわい。」

「ふふ。お見事です。」

何気ない世間話を交わした南吉と受付嬢。

「はい。今日は8000ルクスです。どうぞ。」

「お、今日は儲けられたの。」

怨嗟の骨龍レセントドラゴンの空魔石をかなり高値で買い取ってくれたのでいつもより高めだった。
実を言うと、現場に向かうときまでの骸骨の分なども入っている。

「それじゃあ、失礼するわい。」

「はい。それじゃあまあ明日。」








その後、すぐに宿屋に帰った南吉たち。変えると、宿屋の店主や娘さんもいた。

「あ!!お帰りなさーい!!ってボロボロじゃん!!どうしたの!!?」

娘さんがすぐに声をかけてきた。

「………大丈夫か……?」

店主も心配そうに声をかけてきてくれた。

「大丈夫じゃ。砂埃をかぶっただけじゃ。」

「そう?」

「怪我はひどくないから、大丈夫じゃ。」

「………随分激闘をしたようだな。」

「まあの。」

「そう!!なら今日はごちそうにしなくちゃね!!」

「……そうだな。」

南吉は周りを見回す。

「………今日も閑古鳥じゃから出来ることじゃの。」

「それは言わない約束だよ!!」

今日の夕飯は特別豪華で、とても美味しかった。









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