おじいちゃんと剣と魔法が紡ぐ第二の人生!!おじいちゃんが知らず知らずに無双する物語!!
天寿と閻魔様
ピッ、ピッ、ピッ 無機質な機械音が、まだ自分が生きていることを教えてくれる。儂こと、三村南吉は今、生死の境にいた。なんのことはない。病魔に体を侵されただけである。もう齢百十を数え、充分過ぎる程にこの世を謳歌した。この世に悔いはない。
「おじいちゃん!死なないで!!」
かわいいひ孫がそう呼びかけてくればするが、無理なものは無理である。
「す、すまないね。こんな……おじいちゃんで。」
最後の力を振り絞って話しかける。嗚呼、もうお迎えが来たようだ。ゆっくりと視界が狭まっていく。周りの子供たちも泣いているようだ。(子どもたちとは言いつつ五十を超えたものもいるが)
決して聖人とは言えないこんな自分にずっと寄り添ってくれた妻が目に浮かぶ。二十年以上まえに旅立ったが、それでも今も色褪せず顔か思い浮かぶ。
「美智子、、今、、そっちに行くよ……………」
ピーーーーーー!
最後にこんな音が聞こえ、意識は闇に落ちた。最後に日付が今にも変わろうとしている時計が見えた。
そしてどれくらいの時間が立っただろうか。目が覚めた。
「ここは………」
後ろには穏やかな川が流れている。さしずめ、三途の川といったところか。前に人の列が続いている。どうやら自分は最後尾のようだ。死んだからなのかからだはふつうにうごかせる。少しづつ進んでいく列についていくと、いつの間にやら裁判所を彷彿とさせる建物の中にいた。ここはどうやら待合室のようだ。
「いつの間にこんなところに………」
いくら周りをあまり気にしていなかったにしても、流石にこんなに景色が変わったらわかる。どういうからくりを使ったのか思案してみるものの納得の行く答えは出てこない。そうしているうちにも名前が呼ばれるごとに待合室の人は減っていき、最後には儂一人になった。
「三村南吉さん。来てください。」
とうとう儂の名前が呼ばれた。
「はいはい。」
扉をくぐると本当の裁判所のように人がいた。しかし裁判員以外の席には誰もいないが。
「ふむ。今日は貴様で最後か。ではなるべく早く終わらせよう。ここで貴様が天国生きか地獄行きか、はたまた現世でもう一回過ごすかを決める。貴様の行いが結果に出るのだ。どうなろうと自業自得だ。いいな?」
さしずめ閻魔様といったところか。しかし大柄だ。三メートルはありそうな大きさだ。
「はいはい。構いませんよ。」
「ふむ。素直なのはよろしい。」
そう言うと閻魔様は分厚い本を取り出した。
「ここには貴様の生前の行いが全て記されておる。これをもとに判断していく。」
パラパラと本をめくったがこれで全て見たようだ。
「ふむ。特にこれといって歴史に残ることをしたわけではないようだな。」
「まあ人並み程度にはいい人生を送らせてもらいましたよ。」
「まあ、もう少し良ければ天国行きでもいいが、現世ということにしておこう。」
「はいはい。わかりました。」
まあそんなものだろう。
「ふむ。ずいぶんと素直だな。」
「地獄に行かないだけ儲けものでしょう。」
「まあな。ここで本来なら申し開きを聞くんだが、その様子だとなさそうだな。」
「はいはい。ありませんよ。」
それを聞いた閻魔様はなにか思い出したように、
「ふむ。ここまですばやく終わるのは久方ぶりだな。……そうだ。お主、異界に行く気はないか?」
「異界ですと?」
「ああ。………これはここだけの話なんだが。」
そう言うと閻魔様は少し声を潜めて、
「最近地球にかなりの人間が異界より迷い込んできてな。バランスを取るためにこちらからも送ることになったんだがいかんせん人選は慎重に行わなければならないのだ。お主を漢と見込んでの頼みじゃ。」
何やらそういう都合があるようだ。
「その世界はどういう世界なんですかな?」
「それがの、地球と違い魔法という術がある世界なんじゃが、キ技術力は地球で言う産業革命よりも前なんじゃ。それにそちらに行くとこの世界の人間とはほぼ会えなくなるからの。」
「ふむ。構いませんぞ。もとよりこの世に未練なんぞありませんからな。」
十分この世界を生きたのだ。今更後悔していることはない。そう思って言うと嬉しそうに閻魔様は、
「本当か!すまないな。無理を言って。」
「いえいえ。この老いぼれで良ければ。」
「それでは手続きがあるからこちらに来てくれ。」
他の人が通るのであろう3つの大きな扉の隣にある普通の大きさの扉を通った。
応接室のような豪華な作りの部屋だった。
「さて。異界についてはそちらに行って実際に見てもらうとして、異界での外見はそのままでよいか?」
今の外見は然るべき服を着れば仙人にも見えてしまうような白髪と白髭だ。しかし
「下手にいじる必要もありますまい。」
「そうか。ではそのように手配しておこう。ちなみに異界と言ってもスラム街みたいな治安の悪さは一部の地域に限られるので気にする必要はないぞ。」
「それでは寿命はどうなりますかな?」
流石にまたすぐ死にとうない。
「一応人間と同じ百年ほどの予定ではあるが、まあそこは向こうでの生活次第だな。」
少し歯切れが悪い答えなのが気になりはするが、深く聞くことでもないな。
「わかりました。」
「あ、一応魔法というのがあるとおり、この世界とはだいぶ常識が違うからな。そこは気をつけてくれ。」
「わかったわい。」
「それじゃあ、残りは向こうの世界で調べてくれ。」
「わかりました。親切にどうも。」
「気にしなくていい。それじゃあ、良い第二の人生を……」
閻魔様がそういうなり、意識が薄れていった。
そうして眠った南吉のそばで、
「どうか、この悲しきものに多くの幸あらんことを…」
静かに閻魔はつぶやいた。
「おじいちゃん!死なないで!!」
かわいいひ孫がそう呼びかけてくればするが、無理なものは無理である。
「す、すまないね。こんな……おじいちゃんで。」
最後の力を振り絞って話しかける。嗚呼、もうお迎えが来たようだ。ゆっくりと視界が狭まっていく。周りの子供たちも泣いているようだ。(子どもたちとは言いつつ五十を超えたものもいるが)
決して聖人とは言えないこんな自分にずっと寄り添ってくれた妻が目に浮かぶ。二十年以上まえに旅立ったが、それでも今も色褪せず顔か思い浮かぶ。
「美智子、、今、、そっちに行くよ……………」
ピーーーーーー!
最後にこんな音が聞こえ、意識は闇に落ちた。最後に日付が今にも変わろうとしている時計が見えた。
そしてどれくらいの時間が立っただろうか。目が覚めた。
「ここは………」
後ろには穏やかな川が流れている。さしずめ、三途の川といったところか。前に人の列が続いている。どうやら自分は最後尾のようだ。死んだからなのかからだはふつうにうごかせる。少しづつ進んでいく列についていくと、いつの間にやら裁判所を彷彿とさせる建物の中にいた。ここはどうやら待合室のようだ。
「いつの間にこんなところに………」
いくら周りをあまり気にしていなかったにしても、流石にこんなに景色が変わったらわかる。どういうからくりを使ったのか思案してみるものの納得の行く答えは出てこない。そうしているうちにも名前が呼ばれるごとに待合室の人は減っていき、最後には儂一人になった。
「三村南吉さん。来てください。」
とうとう儂の名前が呼ばれた。
「はいはい。」
扉をくぐると本当の裁判所のように人がいた。しかし裁判員以外の席には誰もいないが。
「ふむ。今日は貴様で最後か。ではなるべく早く終わらせよう。ここで貴様が天国生きか地獄行きか、はたまた現世でもう一回過ごすかを決める。貴様の行いが結果に出るのだ。どうなろうと自業自得だ。いいな?」
さしずめ閻魔様といったところか。しかし大柄だ。三メートルはありそうな大きさだ。
「はいはい。構いませんよ。」
「ふむ。素直なのはよろしい。」
そう言うと閻魔様は分厚い本を取り出した。
「ここには貴様の生前の行いが全て記されておる。これをもとに判断していく。」
パラパラと本をめくったがこれで全て見たようだ。
「ふむ。特にこれといって歴史に残ることをしたわけではないようだな。」
「まあ人並み程度にはいい人生を送らせてもらいましたよ。」
「まあ、もう少し良ければ天国行きでもいいが、現世ということにしておこう。」
「はいはい。わかりました。」
まあそんなものだろう。
「ふむ。ずいぶんと素直だな。」
「地獄に行かないだけ儲けものでしょう。」
「まあな。ここで本来なら申し開きを聞くんだが、その様子だとなさそうだな。」
「はいはい。ありませんよ。」
それを聞いた閻魔様はなにか思い出したように、
「ふむ。ここまですばやく終わるのは久方ぶりだな。……そうだ。お主、異界に行く気はないか?」
「異界ですと?」
「ああ。………これはここだけの話なんだが。」
そう言うと閻魔様は少し声を潜めて、
「最近地球にかなりの人間が異界より迷い込んできてな。バランスを取るためにこちらからも送ることになったんだがいかんせん人選は慎重に行わなければならないのだ。お主を漢と見込んでの頼みじゃ。」
何やらそういう都合があるようだ。
「その世界はどういう世界なんですかな?」
「それがの、地球と違い魔法という術がある世界なんじゃが、キ技術力は地球で言う産業革命よりも前なんじゃ。それにそちらに行くとこの世界の人間とはほぼ会えなくなるからの。」
「ふむ。構いませんぞ。もとよりこの世に未練なんぞありませんからな。」
十分この世界を生きたのだ。今更後悔していることはない。そう思って言うと嬉しそうに閻魔様は、
「本当か!すまないな。無理を言って。」
「いえいえ。この老いぼれで良ければ。」
「それでは手続きがあるからこちらに来てくれ。」
他の人が通るのであろう3つの大きな扉の隣にある普通の大きさの扉を通った。
応接室のような豪華な作りの部屋だった。
「さて。異界についてはそちらに行って実際に見てもらうとして、異界での外見はそのままでよいか?」
今の外見は然るべき服を着れば仙人にも見えてしまうような白髪と白髭だ。しかし
「下手にいじる必要もありますまい。」
「そうか。ではそのように手配しておこう。ちなみに異界と言ってもスラム街みたいな治安の悪さは一部の地域に限られるので気にする必要はないぞ。」
「それでは寿命はどうなりますかな?」
流石にまたすぐ死にとうない。
「一応人間と同じ百年ほどの予定ではあるが、まあそこは向こうでの生活次第だな。」
少し歯切れが悪い答えなのが気になりはするが、深く聞くことでもないな。
「わかりました。」
「あ、一応魔法というのがあるとおり、この世界とはだいぶ常識が違うからな。そこは気をつけてくれ。」
「わかったわい。」
「それじゃあ、残りは向こうの世界で調べてくれ。」
「わかりました。親切にどうも。」
「気にしなくていい。それじゃあ、良い第二の人生を……」
閻魔様がそういうなり、意識が薄れていった。
そうして眠った南吉のそばで、
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