名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜
第6章 牢獄からの脱出 3
ダクトの中は思っていたよりも広く、圧迫感というようなものは一切感じなかった。
しかし、ダクトの中はホテルが新しいこともあってか、常にペンキのような異様な匂いが充満していた。
7001号室を出て、エレベーターの前の廊下を音を立てないよう細心の注意をはらって進んでいく。
途中3方向に分かれたダクトを右方向に曲がると、突き当たりに明かりが見えた。
恐らく7011号室の浴室の換気扇だ。圭介は慎重に換気扇を取り外し、それから換気扇のカバーを取り外すと、持ってきていたシーツの梯子を浴室へと垂らした。
梯子を伝い浴室の床に足をつけると、圭介は誰にも気づかれないようにゆっくりと浴室のドアノブに手をかけた。
「誰だ?」
ドアの向こうで勉の声がした。
「僕です。圭介です」
圭介はドアから顔を出すと、口の前で人差し指を立てた。
「一体どうやってここに?」
「ダクトの中を這ってきたんです。それより大事な話があります」
圭介は3人を側へ近づけると、小声で今回の計画を伝えた。
「妻と娘を置いて僕は先に逃げるのか?そんなこと出来るわけないじゃないか」
計画を聞いた勉は圭介顔をまっすぐ見てそう言った。
「大丈夫ですよ。向こうの部屋にはオッサン、いや鳥羽警部もいますからいざと言う時は必ず守ってくれます。お願いです。この事件を解決するためには勉さんの力が必要なんです」
「私は大丈夫だよ、お父さん」
美琴が笑顔で勉の肩をポンと叩いた。
表情こそ笑顔ではあったが、美琴の目にはかすかに涙が浮かんでいた。
「分かった。圭介くん、一緒に行こう」
勉は圭介の手を力強く握ると、その覚悟に満ちた目を圭介に向けた。
「それじゃあ浴室に来てください。シーツで作った簡易の梯子がありますから、そこからダクトの中に入ります」
圭介は踵を返すと浴室へと歩みを進めた。
「僕が先に行きますから勉さんは道の案内をお願いします」
「任せてくれ。このホテルの設計図は何度も目を通している」
勉は圭介の後に梯子を使ってダクト内に入ると、圭介の後ろ姿を追った。
「部屋の検討は付いているのか?」
「そのことなんですけど、客室意外に鍵が掛けられる場所って70階にありますか?」
「あぁ、清掃道具が入れられる予定の部屋が北側にあるよ」
「もしかしてそこって窓とかないですよね?」
「ないよ。あそこはホテルの従業員しか出入り出来ないからね」
「じゃあそこまで案内してもらっていいですか?」
「分かった」
圭介はダクトを右方向に曲がると廊下の上に通じるダクトを静かに這い始めた。
しかし、ダクトの中はホテルが新しいこともあってか、常にペンキのような異様な匂いが充満していた。
7001号室を出て、エレベーターの前の廊下を音を立てないよう細心の注意をはらって進んでいく。
途中3方向に分かれたダクトを右方向に曲がると、突き当たりに明かりが見えた。
恐らく7011号室の浴室の換気扇だ。圭介は慎重に換気扇を取り外し、それから換気扇のカバーを取り外すと、持ってきていたシーツの梯子を浴室へと垂らした。
梯子を伝い浴室の床に足をつけると、圭介は誰にも気づかれないようにゆっくりと浴室のドアノブに手をかけた。
「誰だ?」
ドアの向こうで勉の声がした。
「僕です。圭介です」
圭介はドアから顔を出すと、口の前で人差し指を立てた。
「一体どうやってここに?」
「ダクトの中を這ってきたんです。それより大事な話があります」
圭介は3人を側へ近づけると、小声で今回の計画を伝えた。
「妻と娘を置いて僕は先に逃げるのか?そんなこと出来るわけないじゃないか」
計画を聞いた勉は圭介顔をまっすぐ見てそう言った。
「大丈夫ですよ。向こうの部屋にはオッサン、いや鳥羽警部もいますからいざと言う時は必ず守ってくれます。お願いです。この事件を解決するためには勉さんの力が必要なんです」
「私は大丈夫だよ、お父さん」
美琴が笑顔で勉の肩をポンと叩いた。
表情こそ笑顔ではあったが、美琴の目にはかすかに涙が浮かんでいた。
「分かった。圭介くん、一緒に行こう」
勉は圭介の手を力強く握ると、その覚悟に満ちた目を圭介に向けた。
「それじゃあ浴室に来てください。シーツで作った簡易の梯子がありますから、そこからダクトの中に入ります」
圭介は踵を返すと浴室へと歩みを進めた。
「僕が先に行きますから勉さんは道の案内をお願いします」
「任せてくれ。このホテルの設計図は何度も目を通している」
勉は圭介の後に梯子を使ってダクト内に入ると、圭介の後ろ姿を追った。
「部屋の検討は付いているのか?」
「そのことなんですけど、客室意外に鍵が掛けられる場所って70階にありますか?」
「あぁ、清掃道具が入れられる予定の部屋が北側にあるよ」
「もしかしてそこって窓とかないですよね?」
「ないよ。あそこはホテルの従業員しか出入り出来ないからね」
「じゃあそこまで案内してもらっていいですか?」
「分かった」
圭介はダクトを右方向に曲がると廊下の上に通じるダクトを静かに這い始めた。
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