名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜

耕一

第5章 生贄の檻 7

「そろそろ時間か。それじゃあここは頼んだぞ。タケ」
ツツはタケに持ち場の見張りを頼むと、踵を返して廊下の奥へと走っていった。

ここに来るまで多少トラブルはあったものの、今のところ作戦は予定通りに進んでいる。

ある日突然自分の前に現れたカグツチ様と言う存在は、自分の人生に至福を与えてくださった。

初めは疑心暗鬼だったが、ヒヤにも背中を押され、かつて日本を創造した神々と同等の存在となったのだ。

ツツはカグツチ様に出会ってから、これまでの出来事を脳裏に浮かべ、笑みを浮かべると、胸を張って突き当たりの扉を静かに開けた。

薄暗い室内に入ると、ツツは中央に円を描くように並べられた椅子の1つに腰を下ろした。

すでにタケを除いた全員が揃っていたが、幸い集会は未だ始まってはいなかった。

ツツの背筋に緊張が走り、額に冷や汗が垂れた。

「タケは持ち場から集会に参加してもらう。これもカグツチ様からのご指示だ」
木刀を腰に差したイワがそう言ってツツと目を合わせる。

「はい。今のところ人質の方にも目立った動きは見られないのでご安心を」

「よし。それではただいまからカグツチ様と我らカグツチ様の子による集会を始める」

イワが低い声で言うが早いか、スマホのディスプレイに巨大な人影が現れた。

『全員揃っているようだな』
神々しい紅い文字が、まるで直接語りかけるようにディスプレイ上に素早く並べられていく。

『作戦は予定通りカグツチ様のお言葉通り進んでおります』
灰色の文字がカグツチ様に力強く言葉を投じる。

『ほう。よくやった。現在の状況はどうだ?』
素早く返された紅い文字は、子それぞれに質問を投げかけていた。

『はい。現在69階にいた赤澤親子を含む10 人を人質にとり、2つの部屋に分けて監禁してあります。なお、赤澤親子は1つの部屋にまとめておきました』
先程まで人質を見張っていたツツが人質の監禁状況について答える。

『現在は僕が1人で人質を見張っていますが、特に変わった動きはありません』
どこか幼さを感じさせる緑色の文字が現在の人質についてリアルタイムで伝えた。

『私とネクはホテルのセキュリティシステムに侵入し、ホテル70階の1室から自在に操作出来るよう準備を整え、ホテルのエレベーターを完全に停止させました』
最後に水色の文字が報告を終えると、少し間を置きゆっくりと紅い文字が並べられた。

『立ち上がれ、我が子達よ。時は来た。許し難き者共に裁きの鉄槌を振り下ろす時が。1人目の生贄は______』

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