名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜
第5章 生贄の檻 2
69階、オーシャンビューレストラン。エレベーターを降りると、正面には夕陽に照らされた海が窓いっぱいに広がっていた。
まさにその名の通り、このレストランはここから見える景色を売りにしているようだ。
勉と茜、鳥羽、城ノ口、亜美、圭介は1つのテーブルを囲み、談笑しながら運ばれてきた食事に手をつけていた。
先程知り合った3人は隣のテーブルで、見知らぬ女性と食事をとっていた。
茜の話によると、彼女は茜の母親らしい。
夫婦で別のテーブルに掛けているのは、仲が悪い訳ではなく、単に3人が彼女に一緒に食事をしようと誘ったからである。
周りのテーブルにもいかにも金持ちと言った風貌の大人達が座っていた。
それらの人間に関しては茜も顔も知らない人間がほとんどで、勉が招待した仕事の知り合いだと言う。
「なぁ、ここ一体何人の人間がいるんだ?」
圭介が亜美を挟んだ隣に座っている茜に顔を覗かせる。
「ん?確か500人くらいだったよね?」
茜は頬張ったローストビーフを急いで飲み込んで答えると隣の勉に視線を向けた。
「あぁ、このレストランには最大700人入れるようになってるが、今日は500人ってとこだね」
「それ全員勉さんのお知り合いなんですか?」
鳥羽は食事の手を止め、勉に好奇の目を向けた。
「そうですよ。この歳になると顔を覚えるのも一苦労で」
勉は笑って頭をかいた。
「茜も大変なんじゃない?こんな大きな財閥の1人娘でしょ?いろんな習い事とかさせられそうじゃん」
亜美が小声で茜に囁く。
「全然だよ。お父さんは子供の頃に英才教育でバシバシ鍛えられたみたいだけど、私にはそんな辛いことさせられないって割と自由に生きてるよ」
「へぇ、でも未来の赤澤財閥を背負って立つ人間がそんなに自由で大丈夫なのか?」
話を聞いていた圭介が2人の会話に割って入る。
「大丈夫大丈夫。赤澤財閥を継ぐのは私じゃなくて私の未来の旦那さんだから」
茜はまるで他人事のように否定すると、不気味な笑みを浮かべた。
苦笑いを浮かべた圭介は、茜の未来の旦那を気の毒に思いながら、ローストビーフの最後の一口を口に入れた。
それと同時に圭介は背後に視線を感じた。
慌てて振り返っても、全員会話や食事に夢中で、誰1人こちらに視線を向けている人間は見当たらなかった。
圭介は妙な胸騒ぎを覚えながら正面に向き直ると、心配そうな顔で亜美が顔を覗き込んだ。
「どうしたの?急に振り返ったりして」
「いや、なんでもないよ」
圭介は不安を拭い去ると、亜美に笑顔で返した。
まさにその名の通り、このレストランはここから見える景色を売りにしているようだ。
勉と茜、鳥羽、城ノ口、亜美、圭介は1つのテーブルを囲み、談笑しながら運ばれてきた食事に手をつけていた。
先程知り合った3人は隣のテーブルで、見知らぬ女性と食事をとっていた。
茜の話によると、彼女は茜の母親らしい。
夫婦で別のテーブルに掛けているのは、仲が悪い訳ではなく、単に3人が彼女に一緒に食事をしようと誘ったからである。
周りのテーブルにもいかにも金持ちと言った風貌の大人達が座っていた。
それらの人間に関しては茜も顔も知らない人間がほとんどで、勉が招待した仕事の知り合いだと言う。
「なぁ、ここ一体何人の人間がいるんだ?」
圭介が亜美を挟んだ隣に座っている茜に顔を覗かせる。
「ん?確か500人くらいだったよね?」
茜は頬張ったローストビーフを急いで飲み込んで答えると隣の勉に視線を向けた。
「あぁ、このレストランには最大700人入れるようになってるが、今日は500人ってとこだね」
「それ全員勉さんのお知り合いなんですか?」
鳥羽は食事の手を止め、勉に好奇の目を向けた。
「そうですよ。この歳になると顔を覚えるのも一苦労で」
勉は笑って頭をかいた。
「茜も大変なんじゃない?こんな大きな財閥の1人娘でしょ?いろんな習い事とかさせられそうじゃん」
亜美が小声で茜に囁く。
「全然だよ。お父さんは子供の頃に英才教育でバシバシ鍛えられたみたいだけど、私にはそんな辛いことさせられないって割と自由に生きてるよ」
「へぇ、でも未来の赤澤財閥を背負って立つ人間がそんなに自由で大丈夫なのか?」
話を聞いていた圭介が2人の会話に割って入る。
「大丈夫大丈夫。赤澤財閥を継ぐのは私じゃなくて私の未来の旦那さんだから」
茜はまるで他人事のように否定すると、不気味な笑みを浮かべた。
苦笑いを浮かべた圭介は、茜の未来の旦那を気の毒に思いながら、ローストビーフの最後の一口を口に入れた。
それと同時に圭介は背後に視線を感じた。
慌てて振り返っても、全員会話や食事に夢中で、誰1人こちらに視線を向けている人間は見当たらなかった。
圭介は妙な胸騒ぎを覚えながら正面に向き直ると、心配そうな顔で亜美が顔を覗き込んだ。
「どうしたの?急に振り返ったりして」
「いや、なんでもないよ」
圭介は不安を拭い去ると、亜美に笑顔で返した。
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