名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜

耕一

第3章 恐怖の"カグツチ" 7

 展望台は巨大なドームになっており、宝石が鎮座するショーケースまでの道にはレッドカーペットが敷かれていた。

辺りは砂利と岩で造られた枯山水と一定のリズムを刻む鹿威しが設置された池があった。

池には錦鯉が泳いでおり、いかにも和を強調している様子がそこら中からうかがえた。

ただ、その調和のとれた和は圭介に違和感を与えていた。

「この和に対してレッドカーペットってさすがにおかしくねーか?」
圭介が亜美に耳打ちする。

「確かにちょっと変よね」
亜美も同じく違和感を感じているらしかった。

「そんなことよりすごいだろ?この宝石」
2人の話し声が聞こえていたのか、勉が2人の間に割って入って宝石の入ったショーケースを指さした。

ショーケースの中は黒い座布団のようなクッションの上に置かれた血の宝石ブラッドジュエル以外何もない、実に質素なものとなっていた。

「これが伝説の血の宝石ブラッドジュエルってやつか」
鳥羽は感心した様子でショーケースを覗くと、顎を摩った。

「この宝石がカグツチの血だなんてなんかロマン感じちゃいますね!!」
まるで女子のように胸の前で両手を組む城ノ口にやや引き気味の亜美が尋ねる。

「カグツチの血?」

「そう。君たちも日本神話に登場するイザナギとイザナミは知っているだろ?」
宝石に夢中で上の空の城ノ口に代わって勉が答える。

「はい。確かその2人がこの日本を作ったんですよね?」

「そうそう。この日本を作った後に2人は各地を治める神様を生み始めたんだ。それに続いて、石や土の神様、家の神様、風の神様、川や海の神様、山の神様と、たくさんの神様を生んだんだが、火の神様を生んだとき、イザナミは大やけどをしてしまい、それが原因でイザナミは死者の国黄泉の国へといってしまうんだ」

「なんだか可哀想ですね」
亜美が悲しそうな表情を浮かべる。

「いいや、もっと可哀想なのは生まれた火の神、カグツチの方だよ」

「どういうことですか?」
横で聞いていた鳥羽が口を挟む。

「カグツチはイザナミが死んだのはおまえのせいだと激怒され、実の父親、イザナギに斬り殺されてしまうんです」

「酷い……」
亜美が口を手で覆う。

「その時飛び散った血しぶきが1つの宝石となって、血の宝石ブラッドジュエルと呼ばれているんですよ」

「ちなみにこの宝石って誰が発見したんですか?」
鳥羽が胸ポケットから手帳とペンを取り出す。

どうやら鳥羽は今回の事件と宝石の発見が何か関係しているのではと考えているようであった。

「それは後ほど紹介しますよ。夕食の時なら顔を見せると思いますから。それじゃあ次はお部屋にご案内しますね」
勉はそう言うと踵を返し、客室へ降りる階段の扉を開けた。

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