名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜

耕一

第2章 暗がりの黒翼 2

 7月23日午前0時過ぎ。

圭介は徹夜でモンスターファイトのランク上げしていた。

モンスターファイトは最近大手ゲーム会社のポケコンから発売されたテレビゲームで、種類豊富な武器から自分好みの武器を選び、モンスターと闘うというゲームである。

あまりの人気に発売日には人が店に押しかけ、即完売したというニュースをテレビで見たが、圭介はすでに予約済みだったので、そんな人の波に飲まれることなく、初日から楽しく遊ぶことができた。

このゲームを手に入れてからは家に引きこもりがちになり、学校で友達に自慢するために、ひたすらランク上げに没頭していた。

現在のランクは997。ランクの上限は999なので、すでに全クリを目前にしていた。

圭介の使っている武器は双剣という、その名の通り2つの剣を使って闘う武器で、すでに他のプレイヤーの中でも群を抜くほどの強さを誇っていた。

ここまで来るのに約1週間、徹夜で進めてきていた圭介の目は紅く充血し、眠気を通り越したヤバいゾーンに突入していた。

最初は楽しかったゲームも、ここまで来るとただの作業と化していた。

「えーっと、次はここか」
側に置かれたスマホで、もうすでに出回っているネットの攻略情報を検索し、圭介は次のランクへ進む。

そんな圭介を尻目に窓の方から
『コンコン』
とノックする音が聞こえた。

「ったくこんな時間に誰だよ」
ため息をつくと、圭介はコントローラーのposeボタンを押し、プレイ中のゲームを一時中断した。

コントローラーを床に置き、立ち上がると、圭介は音のした窓の方へ近づいた。

窓のところまで来ると外に黒いマントを着た人間の姿が見えた。

「誰だ?人がゲームやってる途中に邪魔する奴は」
窓をゆっくり開けると、圭介はあくびをしながら目を擦った。

圭介のあまりのだらけっぷりに黒いマントは一瞬狼狽したが、すぐに平生を取り戻し、圭介の手に黒いカードを置いた。

「お前の好敵手だ。とっとけ」
落ち着いた低い声でそれだけ言うと、クロウはゆっくりと上昇していき、圭介の視線から外れたところでドローンバイクに跨った。

クロウが去った後、圭介は今起きた現象が理解できず、ポカンと口を開けていた。

「ひとがういてた……」
圭介は目を擦りながら窓を閉めると、徐々に頭が回り始めたのか、身体中から汗を吹き出し始めた。

「ひ、人が……う、浮いてた!?!?」
圭介は視線を宙に泳がせ、その場に膝からゆっくりと崩れ落ちた。

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