名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜

耕一

第1章 忠実なる我が子達 3

 深夜、月明かりが照らす部屋で、タケはソファに深く腰を下ろし、テーブルに5つほど並べられた黒い箱を満足げに眺めていた。

黒い箱にはランプが2つ上下に並んでついていた。

通常時には上の緑のランプが、爆発時には下の赤いランプが光る仕組みになっている。

もちろん今は作動させていないため、どちらのランプも光っていない。

当日になればこの黒い箱はホテルのあちこちに設置され、ホテル内に侵入しようとする警察たちを牽制する役目を果たす。

「明日が楽しみだ」
タケはニヤリと笑みを浮かべ、ソファから立ち上がった。

リビングからキッチンへ向かうと、タケは冷蔵庫の前で立ち止まった。

冷蔵庫の観音開きの扉を開いた。

薄暗い部屋の中、パッと冷蔵庫の明かりがタケの童顔を照らした。

タケは冷蔵庫から漏れる光に目を細めながら、ドアポケットに並ぶミルクカートンの1つを取り出した。

それを片手に、隣の食器棚からグラスを取り出す。

両手にミルクカートンとグラスを持ったタケはさっきまで座っていたソファに戻り、ミルクカートンからグラスへ液体を注いだ。

グラスに並々と注がれた液体を、タケはこぼさないように慎重に口をつけた。

「やっぱりオレンジジュースはうめーなぁ」
タケはグラスを天に掲げ、感嘆した。

『ブブッ』
ちょうどその時、ポケットに入れていたスマホが通知音を鳴らした。

「うん?なんだ?」
タケはグラスをテーブルに置くと、ズボンのポケットからスマホを取り出した。

ホームボタンを押し、指紋認証を一気にパスすると、ホーム画面が表示された。

その中からメッセージアプリに赤い通知マークがついているのを見つけて、タケはそれを人差し指でタップした。

アプリが立ち上がり、新着のメッセージが表示される。

『https://kaguchi .jp/』
メッセージの内容はURLだった。

タケは青く表示されたURLをタップした。

タケはテーブルに置いたグラスを手に取り、残りを全て飲み干すと、またテーブルに置き、スマホのディスプレイに視線を戻した。

スマホのディスプレイはウェブブラウザに切り替わり、炎の背景にポップアップが表示されていた。

『●●●●●●●●●』

パスワードを入力すると、さっきまで表示されていたポップアップが消え、炎の奥から人影が現れた。

「カグツチ様___」
タケは思わずため息をついた。

強さと美しさを兼ね備えた完璧な神。その姿にタケはうっとりしていた。

『全員揃ったようだな』
画面の下部が少し暗くなり、紅い文字が表示された。

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