コピー使いの異世界探検記
第272話 俺、復活!
「えっ?」
悲鳴を聞いて目を開けると、そこには片腕を斬り落とされたZの姿があった。切り口からドバドバと血を流し、痛そうに肩を押さえている。
一体何が起きたんだ?いや、考えるまでもない。リュウヤがやったのだ。
『き、貴様ァ。私は味方デスよ!なのに何故!』
「……」
「リュー……君?」
「まさかお前!」
タクマはついに見つけたのだ。僅かな希望の光を。その時、リュウヤが笑ったような気がした。
だが、それはただの気の所為ではなかった。リュウヤは苦しむように顔を覆ったかと思うと、大笑いし始めた。
「敵を欺くならまずは味方から。悪いけど、奢ったり落とし前付けるのは俺っちの方だわ」
「嘘?ど、どういうことでありんすか、お前様?」
「そうでござるよ。だってリュウヤ殿、その目は完全に……」
「ああこれ?これはねぇ……」
そう言いながら、リュウヤは目に指をかける。すると、白濁とした皮のようなものがペリっと剥がれ、純粋な人間の黒目が現れた。そして、両目の皮を取ると、しゃがれたような声で「ゾンビカラコン〜!」と紹介した。
全く、まんまと騙された。きっと100均で買い揃えたのだろうが、こうも簡単に騙されるとむしろ清々しい。
『まさか貴様、私の薬が効いていなかったノカ!』
「どういう訳か、黄金のドラゴン様が助けてくれたのよ」
『しかし馬鹿な奴ダ!君がフラフラとお散歩している間に、メア君達は死にまシタヨ?』
しかしリュウヤは、Zのその言葉に対して馬鹿じゃねぇの?と言いたそうな顔を向けながら、斬り落とされた腕が持っていたリモコンを取ってボタンを押す。すると、外を映した映像がモニター一面に現れた。
よく見ると、そこには4人の人影があった。しかも、その色は見覚えがあった。そう、メア達だ。彼女達は、死んでいなかったのだ。
『タクマさーん!私達、生きてますよー!』
『ザマァ見ろZ!俺を殺そうたって、100光年早いんだよバーカ!』
『光年は距離じゃ。とはいえ、まさかリュウヤに騙されるとはのぅ』
『かーっ!あの白髪メガネが悔しがる顔を拝めないのは辛いぜー!』
「な、なんと……これもリュウヤ殿が……?」
吾郎が訊くと、リュウヤは「大正解!」とテンション高く言った。更には、指笛を鳴らして、フランを連れてきた。
殺したはずの4人が生きていてかつ、フランも来た。そんな想定外の状態に、Zはショートした機械のように目を泳がせていた。
『有り得ナイ!有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ!私は天才、私の計算コソが全て!私の思う通リニ事が進む!そう、進まなけレバおかしいのデス!』
「おかしくない!お前がリュウヤの芝居を見抜けなかった、その結果がコレだ!」
「お兄様、もうやめてください。もうこれ以上、無駄な命を……」
『命……?ククク、クカカカカ!……乳臭い口は閉じろ、お前ハもう私の妹ではナイ』
「フラりん!」
Zの情緒は、完全に崩壊していた。命と聞いて突然笑い出したかと思えば、フランを波動で投げ飛ばした。
そして、フランの身体がバラバラになった様を見てケラケラ笑い、一旦落ち着くとゆっくり口を開いた。
『人間の命に、価値などナイ』
その瞬間、場の空気が完全に止まった。それでも続けて、Zは喋る。
『私カラ見た人間ナド、ただの実験動物に過ぎナイ!薬を試シテ殺さセテ、データを採取スル、ソノ為ダケの存在デス!』
「じゃあ、街のあの人達も、フランさんを綺麗なゾンビとして復活させるために使ったと言うでありんすか?」
『それ以前ニ、コノ研究室モ人間の命ヲ資源に使って稼働してイマス。勿論、ウィルスの素モ、ウィルス散布マシンも、人間ヲ使っていマス』
真実を打ち明けたZは、狂ったように体を仰け反らせ、キャーッキャッキャ!と高笑いをした。
この外道め。どれだけ逆鱗を触れれば気が済むのだ。しかし、タクマ達は動けなかった。今にでも動きたいのに、体がZへの接近を拒否しているように動かない。
しかしその時、リュウヤも負けないように笑い出した。
「お前様、まさかお前様も?」
「リュウヤ殿、ダメでござる!奴は、時を操る術を──」
しかしリュウヤは、吾郎達の言葉を遮ってぽつりと一つ、質問を投げた。
「Dr.Z、本当にそう思って言ってんのかい?」
『勿論。確か君達ヲ守って死ンダあの男、そうだ怠惰の器ハルトマン!彼モ、価値のナイ存在でシタよ。想定外とは言エ、凶化薬の効果を知る良きモルモットとして活躍してくれまシタがネ』
「何だと……」
タクマの怒りは臨界点を突破しそうになっていた。だがその時、リュウヤはその答えを聞いて乾いた笑い声を上げ、刀を捨てた。
Zも、訳も分からずに笑う。
そしてリュウヤが顔を下げた時、嫌な風が吹いた気がした。
「そうかそうか。それが、お前の答えって奴か」
「おい、何する気だ?」
「……悪い皆。それとタツ、ナノの目、覆ってやってくれや」
「えっ?は、はい」
何が起きるのか分からない。しかし明らかに、リュウヤの様子がおかしかった。
明らかな異変を察知したおタツは、そっとナノの目を覆った。
「リュウヤ殿、まさか……」
「俺、ガチになるわ」
悲鳴を聞いて目を開けると、そこには片腕を斬り落とされたZの姿があった。切り口からドバドバと血を流し、痛そうに肩を押さえている。
一体何が起きたんだ?いや、考えるまでもない。リュウヤがやったのだ。
『き、貴様ァ。私は味方デスよ!なのに何故!』
「……」
「リュー……君?」
「まさかお前!」
タクマはついに見つけたのだ。僅かな希望の光を。その時、リュウヤが笑ったような気がした。
だが、それはただの気の所為ではなかった。リュウヤは苦しむように顔を覆ったかと思うと、大笑いし始めた。
「敵を欺くならまずは味方から。悪いけど、奢ったり落とし前付けるのは俺っちの方だわ」
「嘘?ど、どういうことでありんすか、お前様?」
「そうでござるよ。だってリュウヤ殿、その目は完全に……」
「ああこれ?これはねぇ……」
そう言いながら、リュウヤは目に指をかける。すると、白濁とした皮のようなものがペリっと剥がれ、純粋な人間の黒目が現れた。そして、両目の皮を取ると、しゃがれたような声で「ゾンビカラコン〜!」と紹介した。
全く、まんまと騙された。きっと100均で買い揃えたのだろうが、こうも簡単に騙されるとむしろ清々しい。
『まさか貴様、私の薬が効いていなかったノカ!』
「どういう訳か、黄金のドラゴン様が助けてくれたのよ」
『しかし馬鹿な奴ダ!君がフラフラとお散歩している間に、メア君達は死にまシタヨ?』
しかしリュウヤは、Zのその言葉に対して馬鹿じゃねぇの?と言いたそうな顔を向けながら、斬り落とされた腕が持っていたリモコンを取ってボタンを押す。すると、外を映した映像がモニター一面に現れた。
よく見ると、そこには4人の人影があった。しかも、その色は見覚えがあった。そう、メア達だ。彼女達は、死んでいなかったのだ。
『タクマさーん!私達、生きてますよー!』
『ザマァ見ろZ!俺を殺そうたって、100光年早いんだよバーカ!』
『光年は距離じゃ。とはいえ、まさかリュウヤに騙されるとはのぅ』
『かーっ!あの白髪メガネが悔しがる顔を拝めないのは辛いぜー!』
「な、なんと……これもリュウヤ殿が……?」
吾郎が訊くと、リュウヤは「大正解!」とテンション高く言った。更には、指笛を鳴らして、フランを連れてきた。
殺したはずの4人が生きていてかつ、フランも来た。そんな想定外の状態に、Zはショートした機械のように目を泳がせていた。
『有り得ナイ!有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ有り得ナイ!私は天才、私の計算コソが全て!私の思う通リニ事が進む!そう、進まなけレバおかしいのデス!』
「おかしくない!お前がリュウヤの芝居を見抜けなかった、その結果がコレだ!」
「お兄様、もうやめてください。もうこれ以上、無駄な命を……」
『命……?ククク、クカカカカ!……乳臭い口は閉じろ、お前ハもう私の妹ではナイ』
「フラりん!」
Zの情緒は、完全に崩壊していた。命と聞いて突然笑い出したかと思えば、フランを波動で投げ飛ばした。
そして、フランの身体がバラバラになった様を見てケラケラ笑い、一旦落ち着くとゆっくり口を開いた。
『人間の命に、価値などナイ』
その瞬間、場の空気が完全に止まった。それでも続けて、Zは喋る。
『私カラ見た人間ナド、ただの実験動物に過ぎナイ!薬を試シテ殺さセテ、データを採取スル、ソノ為ダケの存在デス!』
「じゃあ、街のあの人達も、フランさんを綺麗なゾンビとして復活させるために使ったと言うでありんすか?」
『それ以前ニ、コノ研究室モ人間の命ヲ資源に使って稼働してイマス。勿論、ウィルスの素モ、ウィルス散布マシンも、人間ヲ使っていマス』
真実を打ち明けたZは、狂ったように体を仰け反らせ、キャーッキャッキャ!と高笑いをした。
この外道め。どれだけ逆鱗を触れれば気が済むのだ。しかし、タクマ達は動けなかった。今にでも動きたいのに、体がZへの接近を拒否しているように動かない。
しかしその時、リュウヤも負けないように笑い出した。
「お前様、まさかお前様も?」
「リュウヤ殿、ダメでござる!奴は、時を操る術を──」
しかしリュウヤは、吾郎達の言葉を遮ってぽつりと一つ、質問を投げた。
「Dr.Z、本当にそう思って言ってんのかい?」
『勿論。確か君達ヲ守って死ンダあの男、そうだ怠惰の器ハルトマン!彼モ、価値のナイ存在でシタよ。想定外とは言エ、凶化薬の効果を知る良きモルモットとして活躍してくれまシタがネ』
「何だと……」
タクマの怒りは臨界点を突破しそうになっていた。だがその時、リュウヤはその答えを聞いて乾いた笑い声を上げ、刀を捨てた。
Zも、訳も分からずに笑う。
そしてリュウヤが顔を下げた時、嫌な風が吹いた気がした。
「そうかそうか。それが、お前の答えって奴か」
「おい、何する気だ?」
「……悪い皆。それとタツ、ナノの目、覆ってやってくれや」
「えっ?は、はい」
何が起きるのか分からない。しかし明らかに、リュウヤの様子がおかしかった。
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