コピー使いの異世界探検記
第271話 怒髪衝天
「追い詰めたぞ、Dr.Z!」
『おやオヤ、どちらが勝ったかと思えば、君達は確カ……』
「御託など聞きたくもない。この刀が抜刀される前に、分かるでござるな?」
『刀……して、その“刀”とやらは何処にあるのデスカ?』
コイツは何を言っているんだ?吾郎の刀は、ちゃんと吾郎の腰に……
しかし、確認してみると、なんとそこに刀はなかった。代わりに、何故かZがその刀を手に持っていた。一瞬の出来事に、吾郎ですらも目を丸くしてしまう。
『いやハヤ、念の為アルルから時静石の指輪を奪っておいて正解でシタ。生憎、タイムリープ装置は壊れてしまいまシタがネ』
「タイム……?とにかく、ウチの旦那を返してもらうでありんす!」
おタツは言いながら、苦無を構える。言わずもがな、タクマ達の怒りはまさに怒髪衝天にまで達していた。相手が人でもお構いなし、下手な事をすれば武器が飛んでもおかしくはない状況だった。
だがZは、タクマ達の怒り様が面白いようで、ニヤニヤし続けている。その舐めた態度が、タクマ達の逆鱗を刺激する。
『ククク、クカカカカ!本当ニ、君達は面白いデス。タクマ君は純真ですからネ、自分の命を捨ててまで、オニキス君達を助けるかと予想していまシタが、まさか見殺しにするトハ』
「貴殿、質問に答えてもらおう。これ以上余計な事を喋るのであれば、其方の首を斬る」
「見殺しになんかしてへんで!ウチは、ウチらは信じて進んだんや!メアメアもフラりんも生きて戻ってくるって!」
『生きて戻って来るゥ?カーッカッカッカッカ!滑稽ダ、君達が私の所に来たその瞬間、メア君達は皆毒ガスで死にまシタよ』
「貴様……キサマァァァァァァァァ!!」
メア達が死んだ。ニヤニヤしながら言うZに堪忍袋の尾が切れたタクマは、獣のように叫びながら剣を振り下ろした。
しかし、地面に剣先が振り下ろされる頃には、既にZは姿を消していた。
『何処を狙っているのデスカ?』
「そっちか!」
『弱い』
「このっ!」
『だから誰も守れないのデス』
「今なんつったぁぁ!!」
「きゃっ!」
怒りで何も見えなくなったタクマは、瞬間移動を繰り返すZに剣を振り下ろす。しかしその刹那、おタツの悲鳴でタクマは踏みとどまった。
何故なら、Zはおタツとの沿線上に立ち、おタツを盾にしたからだ。急な方向転換で何とかおタツを傷つけずに済んだが、床を斬りつけた反動で、タクマの肩から鈍い音がした。
「タクマ殿!くそう、卑怯者めが!」
「あかん!タっくんの肩、外れとるで!」
『本当に残念ダ。そのままこの女を斬っていれば、君の肩は外れずに済んだと言うノニ』
ダメだ。隙があるようで、全くない。まるで掴んでも掴んでも手から逃げ出す鰻のように、迂闊に動けない。現にそのせいで、おタツさんを斬るところだった。
とその時、背後からゆっくりと嫌な足音が聞こえてきた。振り返ると、入り口からリュウヤが降りてきているのが見えた。
「リュウヤ!リュウヤ……?」
しかし、様子がおかしかった。目は白濁としていて、顔が全体的に青かった。魂が抜け出したようで、少し恐怖を感じる。
「お前様、一体何処に行っていたでありんすか!心配したでありんすよ!」
「っ!ダメでござるおタツ殿!」
無事の再会を安堵していると、突然リュウヤは刀を振り上げた。真っ先に異変に気付いた吾郎は、奪われた刀を取り返し、真っ先に刀を弾き返した。
やはり、タダで帰ってきてはくれなかった。白濁としていて、どんな目をしているのかは分からないが、リュウヤは酔っ払いのようにフラフラと動きながら吾郎相手に斬りかかる。
「リューくん!やめて、ウチらが分からへんの!」
『無駄デス。リュウヤ君は私の洗脳薬で今や私の命令にだけ従う人形となりまシタ。最早、君達のことなど分からないでショウ』
「くそっ!リュウヤ、お願いだ!目ぇ覚ましてくれ!俺が、俺が全部悪かった!怒らせるような事したなら全部謝る!ちゃんと奢ったりとか、落とし前も付ける!だから頼む!」
タクマは必死に声をかける。しかしリュウヤの耳には届いておらず、遂には吾郎に一撃を与えてしまった。
じわじわと赤黒く染まる着物を見て、ナノの顔が青ざめた。
『よろしい。リュウヤ君、こちらに来たマエ』
「吾郎爺!そんな、リュウヤが吾郎爺を攻撃するだなんて……」
「嘘や。リューくん!いつもみたいに、冗談って言うてな!」
「………」
『うるさい小蠅どもだ。大人しく黙るのデス!』
その刹那、タクマ達は何かに蹴られたような衝撃を与えられて後退してしまった。しかも不自然なことに、武器がZの目の前に集められてしまった。
生憎俺達はノエルじゃない。とどのつまり、拳では戦えないし、ましてや俺自身が拳を使えば自分を殴るのと同意になってしまう。
Dr.Z、やはり奴は時を止めて、その間に攻撃をしているようだ。まさに、絶体絶命だ。
「くそっ。こんな所で……やられるわけには……!」
『さぁリュウヤ君、私はウィルス散布マシンのメンテナンスで忙しくナル。自分の手で、仲間達を殺して差し上げなさい』
命令が下ると、リュウヤは頭を下げてゆっくりとこちらに近付いてきた。理性を失っている。本当に殺る気だ。
恐怖したタクマ達は、思わず目を瞑ってしまう。
そして────
Zが斬られた。
『おやオヤ、どちらが勝ったかと思えば、君達は確カ……』
「御託など聞きたくもない。この刀が抜刀される前に、分かるでござるな?」
『刀……して、その“刀”とやらは何処にあるのデスカ?』
コイツは何を言っているんだ?吾郎の刀は、ちゃんと吾郎の腰に……
しかし、確認してみると、なんとそこに刀はなかった。代わりに、何故かZがその刀を手に持っていた。一瞬の出来事に、吾郎ですらも目を丸くしてしまう。
『いやハヤ、念の為アルルから時静石の指輪を奪っておいて正解でシタ。生憎、タイムリープ装置は壊れてしまいまシタがネ』
「タイム……?とにかく、ウチの旦那を返してもらうでありんす!」
おタツは言いながら、苦無を構える。言わずもがな、タクマ達の怒りはまさに怒髪衝天にまで達していた。相手が人でもお構いなし、下手な事をすれば武器が飛んでもおかしくはない状況だった。
だがZは、タクマ達の怒り様が面白いようで、ニヤニヤし続けている。その舐めた態度が、タクマ達の逆鱗を刺激する。
『ククク、クカカカカ!本当ニ、君達は面白いデス。タクマ君は純真ですからネ、自分の命を捨ててまで、オニキス君達を助けるかと予想していまシタが、まさか見殺しにするトハ』
「貴殿、質問に答えてもらおう。これ以上余計な事を喋るのであれば、其方の首を斬る」
「見殺しになんかしてへんで!ウチは、ウチらは信じて進んだんや!メアメアもフラりんも生きて戻ってくるって!」
『生きて戻って来るゥ?カーッカッカッカッカ!滑稽ダ、君達が私の所に来たその瞬間、メア君達は皆毒ガスで死にまシタよ』
「貴様……キサマァァァァァァァァ!!」
メア達が死んだ。ニヤニヤしながら言うZに堪忍袋の尾が切れたタクマは、獣のように叫びながら剣を振り下ろした。
しかし、地面に剣先が振り下ろされる頃には、既にZは姿を消していた。
『何処を狙っているのデスカ?』
「そっちか!」
『弱い』
「このっ!」
『だから誰も守れないのデス』
「今なんつったぁぁ!!」
「きゃっ!」
怒りで何も見えなくなったタクマは、瞬間移動を繰り返すZに剣を振り下ろす。しかしその刹那、おタツの悲鳴でタクマは踏みとどまった。
何故なら、Zはおタツとの沿線上に立ち、おタツを盾にしたからだ。急な方向転換で何とかおタツを傷つけずに済んだが、床を斬りつけた反動で、タクマの肩から鈍い音がした。
「タクマ殿!くそう、卑怯者めが!」
「あかん!タっくんの肩、外れとるで!」
『本当に残念ダ。そのままこの女を斬っていれば、君の肩は外れずに済んだと言うノニ』
ダメだ。隙があるようで、全くない。まるで掴んでも掴んでも手から逃げ出す鰻のように、迂闊に動けない。現にそのせいで、おタツさんを斬るところだった。
とその時、背後からゆっくりと嫌な足音が聞こえてきた。振り返ると、入り口からリュウヤが降りてきているのが見えた。
「リュウヤ!リュウヤ……?」
しかし、様子がおかしかった。目は白濁としていて、顔が全体的に青かった。魂が抜け出したようで、少し恐怖を感じる。
「お前様、一体何処に行っていたでありんすか!心配したでありんすよ!」
「っ!ダメでござるおタツ殿!」
無事の再会を安堵していると、突然リュウヤは刀を振り上げた。真っ先に異変に気付いた吾郎は、奪われた刀を取り返し、真っ先に刀を弾き返した。
やはり、タダで帰ってきてはくれなかった。白濁としていて、どんな目をしているのかは分からないが、リュウヤは酔っ払いのようにフラフラと動きながら吾郎相手に斬りかかる。
「リューくん!やめて、ウチらが分からへんの!」
『無駄デス。リュウヤ君は私の洗脳薬で今や私の命令にだけ従う人形となりまシタ。最早、君達のことなど分からないでショウ』
「くそっ!リュウヤ、お願いだ!目ぇ覚ましてくれ!俺が、俺が全部悪かった!怒らせるような事したなら全部謝る!ちゃんと奢ったりとか、落とし前も付ける!だから頼む!」
タクマは必死に声をかける。しかしリュウヤの耳には届いておらず、遂には吾郎に一撃を与えてしまった。
じわじわと赤黒く染まる着物を見て、ナノの顔が青ざめた。
『よろしい。リュウヤ君、こちらに来たマエ』
「吾郎爺!そんな、リュウヤが吾郎爺を攻撃するだなんて……」
「嘘や。リューくん!いつもみたいに、冗談って言うてな!」
「………」
『うるさい小蠅どもだ。大人しく黙るのデス!』
その刹那、タクマ達は何かに蹴られたような衝撃を与えられて後退してしまった。しかも不自然なことに、武器がZの目の前に集められてしまった。
生憎俺達はノエルじゃない。とどのつまり、拳では戦えないし、ましてや俺自身が拳を使えば自分を殴るのと同意になってしまう。
Dr.Z、やはり奴は時を止めて、その間に攻撃をしているようだ。まさに、絶体絶命だ。
「くそっ。こんな所で……やられるわけには……!」
『さぁリュウヤ君、私はウィルス散布マシンのメンテナンスで忙しくナル。自分の手で、仲間達を殺して差し上げなさい』
命令が下ると、リュウヤは頭を下げてゆっくりとこちらに近付いてきた。理性を失っている。本当に殺る気だ。
恐怖したタクマ達は、思わず目を瞑ってしまう。
そして────
Zが斬られた。
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