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コピー使いの異世界探検記

鍵宮ファング

ドルーワーラミ 話422第

「うーん。これはまた……なるほど、興味深いね」

 一方、リュウヤは某名探偵のような丸縁メガネを掛け、最初に倒れた燭台を調べていた。そして、誰かに伝えるように独り言を呟き、蝋燭を手に取った。
 とは言え、結局のところ何一つ分からなかった。これでは名探偵ならぬ、迷子の方の迷探偵じゃあないか。なんて自身にツッコミを入れつつ、リュウヤはそっと立ち上がった。

「それでリューくん、何か分かった?」
「……。……!分からない」

 ナノに訊かれて焦ったリュウヤは、咄嗟にマッスルポーズを二発放った後、自信に満ちたイケボでそう答えた。そう、もうお手上げと言うことである。
 だが、やっぱりまだ疑問に思う事はいつくつかあるのもまた事実。仮に幽霊が出たってんなら、少なくともメアちゃんは気付いた筈。なのに、メアちゃんレーダーは反応せず、燭台が倒れた。とどのつまり、少なくとも幽霊は関係ない、と言うことになる。しかし、そうなれば問題が生じる。一体、誰が何のために倒したのか、だ。
 この燭台は鉄で出来ているようで、結構な重みがある。そのため、《ウィンド》とかの風魔法やそれに近い暴風が吹くと言った事がなければ、まず倒れることはあり得ない。いや、そもそもそんな風が室内で吹き荒れる筈がない。

「おいリョーマ、何深く考え込んでんだ?サッサとお宝持ってトンズラしようぜ?」
「アリーナ殿、その鏡はどうしたでござるか?」
「ん?あぁこれ、タクローの代わりにコイツが一枚落ちてたんだ。きっとこりゃ、お宝が自分から来てくれたに違いねぇぜ!」

 アリーナは突如として現れた謎の鏡を持ち上げ、「家宝は寝て待てとはまさにこの事だな!」と、ハイテンションで叫び喜んだ。だが、おタツは瞬時にアリーナの背後に回り、彼女の頭に激しいチョップを繰り出した。
 ドガっ!完全に頭蓋骨まで響いたような音が鳴り、アリーナの頭から湯気が立つ。更に、おタツも痛かったのか、赤く腫れた右手に息を吹きかけた。

「痛ってぇ〜!おいオバハン、アタシのいたいけな頭になんてことしやがる!」
「何処からこんなの持って来たでありんすか?早く元あった場所に返して……って、誰がオバハンですってぇ!?」
「まーまーまー、その辺にしんしゃい2人とも。な?とにかく今はキャシーちゃんの救出が先でしょうよ」

 バリバリに張り詰めた空気になりつつある中、リュウヤは場を和ませようと陽気に割って入った。だが、リュウヤの仲裁は全くもって効かず、2人の龍と虎のような鋭い視線に突き飛ばされてしまった。
 女の子はすげぇや、視線一つで人を吹き飛ばす力を発揮するなんて。リュウヤは何とか手に入れたおタツの地図を広げつつ、へへっと笑う。

「あーあ、2人ともまた始まったで……」
「これまた、リュウヤ殿がいたたまれぬ」
「ま、タツは俺ちゃんシバいても、アリちゃんまではシバかんから、そっとしときゃどうにかなるっしょ」
「あ、シバかれた事はあるねんな」

 流石はリュウヤだ。自分の妻が喧嘩してても、全く気にも止めていない。いや、流石に今回は両成敗とはいえ、これでいいのか。
 その横では、完全に口論のゴングが鳴り響き、ワーワーと騒ぎ立てている。

「うるせぇ!テメェと違って、アタシは15で航海士の免許持ってんだ!悔しかったら──」
「いやいやいや、そもそも免許の話なんてしてないでありんす。と言うか、若くして航海士の免許持ってたら何か偉いのでありんすか?えぇ?」

 もはや遮っては遮られ、食い気味に行っては食い気味に行かれの大論争に発展している。しかも、そこには何故か大きな炎が立ち込め、冷え込んだ廊下を暖めた。良くも悪くも、暖が取れた。
 と、ナノと吾郎も2人を諦めて呑気に暖まっていると、「な、なんじゃこりゃーッ!!」と突然叫び、リュウヤが立ち上がった。

「「んっ!?」」
「リューくん、どないしたん?」
「……アリちゃん、ちょっとその鏡持っててくんない?」
「え?あぁ、それくらいならいいけど」
「サンキュな。そのまま動かねぇでくれ」

 そう指示をすると、リュウヤは地図を鏡側に向け、もう片方の手で鏡を指した。そこを覗くと、鏡に写ったリュウヤと、正確な地図が写っていた。いや、写っていて当然だ。
 
「拙者達が普通に写っているでござるが、リュウヤ殿?」
「その地図、読めるか?」
「何バカな事を。ちゃんと城の間取りが書かれてるでありんしょう」
「じゃあさ、こっちのホントの方見てくれよ」

 青ざめた様子で、リュウヤは自身が持っている方の地図を見るように言った。そして、それを見た一行は、全てを理解した。
 なんとその地図は、全てが鏡写しの状態で描かれていたのだ。勿論、製作者であるおタツは鏡写しで描いた記憶など一切ないため、すぐに気付いた。

「おいこれ、何がどうなってるってんだよ!」
「そういえば、タっくんの匂いが消えとる」
「これ全部さ、俺ちゃんの仮説だけどよぉ……」

 考えたくもない。こんなホラー展開に俺ちゃんが巻き込まれちまうなんて。流石に笑えねぇよ。様々な感情が自身の中で渦巻く中、リュウヤは鏡に鋭く指を突きつけた。
 そして、大きく息を吸い、逆転させるかの如き勢いで叫んだ。

「鏡の中に、入っちまったぁぁぁぁぁ!!」

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