コピー使いの異世界探検記
第223話 懐かしの恐怖
かくして、タクマ達は廊下を出て、キャシーの待つ部屋へと向かうことにした。
「これはまた、何か出そうな雰囲気でありんすな」
「ちょ、なんて事を言い出すんですか!やめてくださいよ!」
おタツの言う通り、扉を開けた先には灯りと言う灯りが全て消灯した薄暗い廊下があった。まさに、幽霊やら何やらが湧いて出るのにうってつけの場所だった。
そういや、前にもこんな所に来たことがあったっけか。タクマは旧メア邸へやって来た時の事を思い出し、その空間にどこか懐かしさを覚える。
「懐かしいのぅ。確かあの時、誰かさんは妾を見て大声で叫んでおったっけか」
「え、何何?それって誰なん?」
「あーこらメア!その事は、その、叫んだ人に悪いでしょうよ」
メアめ、さては俺の心を読んだな?一行が暗い廊下に恐怖する反面、メアは楽しそうな様子でタクマとの思い出を語った。
すると突然、何者かに背中を叩かれた。
「今度はなん……」
「宝を寄越せー!」
「ギィィィヤァァァァァ!!」
「「「キャァァァ!!」」」
後ろを振り返ると、そこにはなんと、ボロボロになった女海賊の幽霊が待っていた。しかも、タクマの悲鳴は思ったよりも大きく出てしまい、周りを巻き込んでまで驚かせてしまった。
……ん?女海賊?それどこかで見たような……あ。
まさかと思いよく見てみると、やはりそうだった。この幽霊、もとい侵入者は思った通り、アリーナの仮装だったのだ。
サーベルが突き刺さったように見えるカチューシャを付け、誰かに殴られたような痛々しいメイクを施し、某ド○キで買って来たようなボロボロのコスプレ衣装を身に纏っている。
「お宝くれなきゃイタズラすんぞ!」
「……あり?何だい、よく見りゃアリちゃんじゃないの」
「アリーナ殿、城の外には確か衛兵が居たような気がするでござるが、何故ここに?」
吾郎は不思議そうに訊く。するとアリーナは誇らしげに腰に手を当て、「このアリーナ様のメイク技術に驚いて逃げちまったぜ!」と鼻を高くして言った。
しかし、その目は露骨なまでに泳いでおり、すぐに嘘であるとバレてしまった。だが、あまりにも露骨すぎたので、特に誰も言及はしなかった。
──それから数分、タクマ一行は気を紛らわせる為に適当な歌を歌いながら、おタツの地図を頼りに階段へと歩みを進めた。
やはり、廊下の灯りも消えているため、どうしても霊的な何かを連想してしまう。
「タクマさん、手繋いでてもいいですか?」
「えっ、ノエル?ちょっと……」
「いいじゃないですか、男同士なんだから」
ノエルは怖くて耐えられないのか、タクマの手を取る。シルクの手袋で覆われているものの、温もりを感じる。しかも、色白な顔が月明かりに照らされ、更に可愛さが増している。
けど相手は男だ。なのに何故か、ドキドキが止まらない。タクマは複雑な気持ちを抑えつつ、彼の手を握り返そうとした。するとその時、うなじを何者かに触られた。
「ヒャッ!」
「俺の前でイチャコラしてんじゃあねぇ。腹立たしい」
冷たい手に驚き振り返ると、そこには鬼の形相でこちらを睨みつけるオニキスの姿があった。ついて来てはいるが、こんな事件に巻き込まれるとは思っても見なかったため、機嫌が悪いらしい。
とにかく、オニキスのため、キャシーのためにも、早く彼女を保護しなくては。
すると突然、目の前の燭台が倒れた。幸い火が消えていたため大事にはならなかったが、急な出来事に一行は悲鳴をあげる。
「ややや、やっぱり何か居ますって!」
「リューくん!お願いや、お化け追い払って〜!」
「任せい!この俺ちゃん、安倍晴明に憧れてるだけのリュウヤさんが、とっちめてやらぁ〜っ!」
そう言って、リュウヤは歌舞伎の六法を真似て燭台の前に向かった。何故歌舞伎の六法でなのかは突っ込まないが、こんな暗くて下に何が落ちてるか分からない中よくできるな。タクマは不思議に思いつつ、彼の肝の強さに感心する。
だが、その横で、オニキスもまた眼球に血を走らせながらイライラしていた。
「チッ、さっきから姿も表さずに……陰湿な奴め……」
しかし、そう言うオニキスの足は、何故かすごく震えていた。きっと今ここでそれを指摘したら殴られそうな気がするからあえて黙るが、まさか幽霊が怖いのだろうか。
でも、オニキスの言い分にも共感できる。秘密裏に行動するとはいえ、さっきから敵は姿を現していない。毒を仕込んだにしても何にしても、そろそろ敵にはお出まししてもらいたいものだ。
そう考えていた矢先、今度は背中側の燭台が音を立てて倒れた。しかも、落ちた燭台は、不幸にも台の花瓶に当たり、余計に大きな音が出てしまった。
「ギャァァ!出たのじゃあ!」
「むむっ!何奴……おろ?」
刀を構えて振り返ると、何故かオニキスは台の下に頭だけを隠した状態で居た。それを見た吾郎は「オニキス殿、何してるでござる?」と訊いた。
「丁度、タヌキ娘がいつもやってるのがどれくらい気持ちいいのか知りたかっただけだ」
「だ、誰がタヌキじゃ!というか、何故妾の寝る時の事を知っておる!恥ずかしいからさっさと出てくるのじゃ!」
「断る!誰に何と言われようと、俺は出ない!出るもんか!」
完全に、頭隠して尻隠さず。メアが引き剥がそうと奮闘するも、なかなか出ようとはしない。それどころか、何かキャラが変わっているような……
まあこっちの方は多分大丈夫だろう。タクマは2人の激闘に笑みを投げ、リュウヤの方を向いた。しかし、そこにはリュウヤ達の姿はなかった。
「これはまた、何か出そうな雰囲気でありんすな」
「ちょ、なんて事を言い出すんですか!やめてくださいよ!」
おタツの言う通り、扉を開けた先には灯りと言う灯りが全て消灯した薄暗い廊下があった。まさに、幽霊やら何やらが湧いて出るのにうってつけの場所だった。
そういや、前にもこんな所に来たことがあったっけか。タクマは旧メア邸へやって来た時の事を思い出し、その空間にどこか懐かしさを覚える。
「懐かしいのぅ。確かあの時、誰かさんは妾を見て大声で叫んでおったっけか」
「え、何何?それって誰なん?」
「あーこらメア!その事は、その、叫んだ人に悪いでしょうよ」
メアめ、さては俺の心を読んだな?一行が暗い廊下に恐怖する反面、メアは楽しそうな様子でタクマとの思い出を語った。
すると突然、何者かに背中を叩かれた。
「今度はなん……」
「宝を寄越せー!」
「ギィィィヤァァァァァ!!」
「「「キャァァァ!!」」」
後ろを振り返ると、そこにはなんと、ボロボロになった女海賊の幽霊が待っていた。しかも、タクマの悲鳴は思ったよりも大きく出てしまい、周りを巻き込んでまで驚かせてしまった。
……ん?女海賊?それどこかで見たような……あ。
まさかと思いよく見てみると、やはりそうだった。この幽霊、もとい侵入者は思った通り、アリーナの仮装だったのだ。
サーベルが突き刺さったように見えるカチューシャを付け、誰かに殴られたような痛々しいメイクを施し、某ド○キで買って来たようなボロボロのコスプレ衣装を身に纏っている。
「お宝くれなきゃイタズラすんぞ!」
「……あり?何だい、よく見りゃアリちゃんじゃないの」
「アリーナ殿、城の外には確か衛兵が居たような気がするでござるが、何故ここに?」
吾郎は不思議そうに訊く。するとアリーナは誇らしげに腰に手を当て、「このアリーナ様のメイク技術に驚いて逃げちまったぜ!」と鼻を高くして言った。
しかし、その目は露骨なまでに泳いでおり、すぐに嘘であるとバレてしまった。だが、あまりにも露骨すぎたので、特に誰も言及はしなかった。
──それから数分、タクマ一行は気を紛らわせる為に適当な歌を歌いながら、おタツの地図を頼りに階段へと歩みを進めた。
やはり、廊下の灯りも消えているため、どうしても霊的な何かを連想してしまう。
「タクマさん、手繋いでてもいいですか?」
「えっ、ノエル?ちょっと……」
「いいじゃないですか、男同士なんだから」
ノエルは怖くて耐えられないのか、タクマの手を取る。シルクの手袋で覆われているものの、温もりを感じる。しかも、色白な顔が月明かりに照らされ、更に可愛さが増している。
けど相手は男だ。なのに何故か、ドキドキが止まらない。タクマは複雑な気持ちを抑えつつ、彼の手を握り返そうとした。するとその時、うなじを何者かに触られた。
「ヒャッ!」
「俺の前でイチャコラしてんじゃあねぇ。腹立たしい」
冷たい手に驚き振り返ると、そこには鬼の形相でこちらを睨みつけるオニキスの姿があった。ついて来てはいるが、こんな事件に巻き込まれるとは思っても見なかったため、機嫌が悪いらしい。
とにかく、オニキスのため、キャシーのためにも、早く彼女を保護しなくては。
すると突然、目の前の燭台が倒れた。幸い火が消えていたため大事にはならなかったが、急な出来事に一行は悲鳴をあげる。
「ややや、やっぱり何か居ますって!」
「リューくん!お願いや、お化け追い払って〜!」
「任せい!この俺ちゃん、安倍晴明に憧れてるだけのリュウヤさんが、とっちめてやらぁ〜っ!」
そう言って、リュウヤは歌舞伎の六法を真似て燭台の前に向かった。何故歌舞伎の六法でなのかは突っ込まないが、こんな暗くて下に何が落ちてるか分からない中よくできるな。タクマは不思議に思いつつ、彼の肝の強さに感心する。
だが、その横で、オニキスもまた眼球に血を走らせながらイライラしていた。
「チッ、さっきから姿も表さずに……陰湿な奴め……」
しかし、そう言うオニキスの足は、何故かすごく震えていた。きっと今ここでそれを指摘したら殴られそうな気がするからあえて黙るが、まさか幽霊が怖いのだろうか。
でも、オニキスの言い分にも共感できる。秘密裏に行動するとはいえ、さっきから敵は姿を現していない。毒を仕込んだにしても何にしても、そろそろ敵にはお出まししてもらいたいものだ。
そう考えていた矢先、今度は背中側の燭台が音を立てて倒れた。しかも、落ちた燭台は、不幸にも台の花瓶に当たり、余計に大きな音が出てしまった。
「ギャァァ!出たのじゃあ!」
「むむっ!何奴……おろ?」
刀を構えて振り返ると、何故かオニキスは台の下に頭だけを隠した状態で居た。それを見た吾郎は「オニキス殿、何してるでござる?」と訊いた。
「丁度、タヌキ娘がいつもやってるのがどれくらい気持ちいいのか知りたかっただけだ」
「だ、誰がタヌキじゃ!というか、何故妾の寝る時の事を知っておる!恥ずかしいからさっさと出てくるのじゃ!」
「断る!誰に何と言われようと、俺は出ない!出るもんか!」
完全に、頭隠して尻隠さず。メアが引き剥がそうと奮闘するも、なかなか出ようとはしない。それどころか、何かキャラが変わっているような……
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