コピー使いの異世界探検記
第219話 大変身!オニキスの進化
「お、オニキスさん!?」
「タクマ!?それに猫娘まで、どうして此処に」
「どうしても何も、飯食いに来ただけだ」
あまりの驚き様に、つい身構えてしまう。しかし、見たところオニキスは武器を持っていなかった。
大丈夫だろうと思っていると、オニキスは深くため息を吐き、大人しく席に戻った。
「えっとその、何かウチの知り合いがごめんなさい」
「いえいえそんな。ご、ごゆっくりどうぞ」
「……チッ、余計な茶々入れやがって」
オニキスは腹を立てながら、ほぼ生焼けのステーキを食べた。そして、ため息を吐き「やっぱマズイ」と愚痴をこぼし、岩塩を振りかけた。
まさかオニキスが来るとは思わなかったが、もしかするとコレはチャンスなのかもしれない。幸いオニキスだと言う事がバレなければ、アリーナの代打は務まる筈。
しかし、助けてと言ってコイツが喜んで乗るかどうか。それこそ、乗るか反るかの賭けだ。
「なぁ、オニキス。お前まさか、此処でも?」
「復讐の対象が死んだ以上、最強を追い求める理由はなくなった。俺はただ残りの余生、すごく良い死に場所探す為に生きてるだけだ。俺がただの一匹狼だと思ったら、大間違いだぞ?」
「死に場所、ですか」
ノエルもオニキスの席でステーキを分けてもらいつつ、話を聞く。やはりあの一件以来、オニキスは変わってしまったらしい。勿論、いい意味で、だが。
目つきも前よりは良くなっているし、何よりノエルにマズいステーキを分け与えている。前まではそんな事しなかった。
なんて思って見ていると、オニキスはノエルにステーキを全部押し付け、目を逸らした。
「ま、マズいステーキなんざテメェにくれてやる。俺は迷惑な存在だからな」
「アハハ、またこうやって言うんですから」
……変わりつつあると言ったが、まだ迷惑な存在としてやっている事は変わらないようだ。
と、押し付け終えると今度、オニキスは荷物を纏めてレストランから出て行く準備を始めた。
「待って、話が……」
「断る」
「ホント、困ってるから頼……」
「やめろ触るな」
タクマは呼び止める。しかし、オニキスはタクマを煙たがり、ハエを振り払うように手を振った。
やはりコイツの勧誘は無理だったようだ。諦めムードになっていたその時、ノエルは「あーあ」と声を漏らした。
「舞踏会の招待状あるのになぁ。優勝したら賞金もらえるのになぁ。しかも最強の舞踏家達も勢揃いだから、楽しいだろうになぁ」
「ノエル?」
ノエルは棒読みで招待状を見せびらかし、オニキスの動きを止めた。
(武闘会?賞金?最強の武闘家?)
オニキスの脳内では、こう変換されていた。そう、ノエルは戦う方の「武闘会」を使い、オニキスの潜在意識を刺激したのだ。
例え一月と数日で変わったとしても、積み上げてきた二年間とその際に生まれた潜在意識には敵わない筈。少々バイオレンスである事は承知の上だが、コイツしか居ないのなら野生の心を動かすしか道はなかった。
「お前ら、“ブトウカイ”ってのは、本当なんだな?」
「お、おうとも。俺らと組んで、勝ったら賞金とか全部くれてやるからさ、どう?」
タクマはノエルの作戦に乗り、そっと人差し指を立てた。するとオニキスは、タクマの人差し指を掴み「乗った」と同意した。
──そして、食事を済ませたタクマ一行は、アリーナの代打としてオニキスが加わった事を皆に話した。すると案の定、皆オニキスの参戦に驚いた。
しかしその一方で、メア、ノエル、おタツ、そしてナノの4人は何を考えているのか、オニキスを貸してと、申請してきた。
「なぁ、タヌキ娘」
「なんじゃ女もどき?」
「まあな。俺が騙されたって事は分かった。すげー分かった。けど騙される俺も悪いしよ、そこは良いし、言った以上舞踏会にも出てやる」
「なら、一体何が不満でありんすか?」
「そりゃあトカゲ娘お前、何で……」
「何で俺がこんな目に遭わなきゃならねぇんだよぉぉぉ!!」
オニキスは椅子に拘束され、女子達の復讐と言わんばかりの勢いで女装させられていた。黒の中に赤ラインの入ったドレス、ポニーテールにされた髪、男の心を奪うような素晴らしいメイク。
確かに、顔立ちも良いし、髪も長いし、体もガッチリしていながらも細身だしと、最強の三拍子が揃っている。そりゃあ女装も似合うわけだ。
しかし、声はドスの効いたオニキスの声である為、あまりのギャップに腹が捩れそうになる。と言うか、吾郎に関してはあまりの可笑しさにベッドに倒れ込んでしまっている。
「テメェら、マジこれ終わったら覚悟しとけよ?」
「ちゃうやろオニちゃん?オニちゃんは女の子なんやらか、ちゃんと『ですわ』って最後に付けんと」
「絶対にぶっ……ころりですわ」
「おお!よくできてるよくできてる!オニキスはやっぱ最高だな。アッハッハッハ!」
もうこの空間に、4人の復讐を止める人は居なかった。それこそ、女の子達だけを動物名で呼ぶのだから、こうなっても仕方がない。
それに、似合っているし、何より女子達が楽しそうなら、こちらもこちらでメシウマだから。
「タクマ!?それに猫娘まで、どうして此処に」
「どうしても何も、飯食いに来ただけだ」
あまりの驚き様に、つい身構えてしまう。しかし、見たところオニキスは武器を持っていなかった。
大丈夫だろうと思っていると、オニキスは深くため息を吐き、大人しく席に戻った。
「えっとその、何かウチの知り合いがごめんなさい」
「いえいえそんな。ご、ごゆっくりどうぞ」
「……チッ、余計な茶々入れやがって」
オニキスは腹を立てながら、ほぼ生焼けのステーキを食べた。そして、ため息を吐き「やっぱマズイ」と愚痴をこぼし、岩塩を振りかけた。
まさかオニキスが来るとは思わなかったが、もしかするとコレはチャンスなのかもしれない。幸いオニキスだと言う事がバレなければ、アリーナの代打は務まる筈。
しかし、助けてと言ってコイツが喜んで乗るかどうか。それこそ、乗るか反るかの賭けだ。
「なぁ、オニキス。お前まさか、此処でも?」
「復讐の対象が死んだ以上、最強を追い求める理由はなくなった。俺はただ残りの余生、すごく良い死に場所探す為に生きてるだけだ。俺がただの一匹狼だと思ったら、大間違いだぞ?」
「死に場所、ですか」
ノエルもオニキスの席でステーキを分けてもらいつつ、話を聞く。やはりあの一件以来、オニキスは変わってしまったらしい。勿論、いい意味で、だが。
目つきも前よりは良くなっているし、何よりノエルにマズいステーキを分け与えている。前まではそんな事しなかった。
なんて思って見ていると、オニキスはノエルにステーキを全部押し付け、目を逸らした。
「ま、マズいステーキなんざテメェにくれてやる。俺は迷惑な存在だからな」
「アハハ、またこうやって言うんですから」
……変わりつつあると言ったが、まだ迷惑な存在としてやっている事は変わらないようだ。
と、押し付け終えると今度、オニキスは荷物を纏めてレストランから出て行く準備を始めた。
「待って、話が……」
「断る」
「ホント、困ってるから頼……」
「やめろ触るな」
タクマは呼び止める。しかし、オニキスはタクマを煙たがり、ハエを振り払うように手を振った。
やはりコイツの勧誘は無理だったようだ。諦めムードになっていたその時、ノエルは「あーあ」と声を漏らした。
「舞踏会の招待状あるのになぁ。優勝したら賞金もらえるのになぁ。しかも最強の舞踏家達も勢揃いだから、楽しいだろうになぁ」
「ノエル?」
ノエルは棒読みで招待状を見せびらかし、オニキスの動きを止めた。
(武闘会?賞金?最強の武闘家?)
オニキスの脳内では、こう変換されていた。そう、ノエルは戦う方の「武闘会」を使い、オニキスの潜在意識を刺激したのだ。
例え一月と数日で変わったとしても、積み上げてきた二年間とその際に生まれた潜在意識には敵わない筈。少々バイオレンスである事は承知の上だが、コイツしか居ないのなら野生の心を動かすしか道はなかった。
「お前ら、“ブトウカイ”ってのは、本当なんだな?」
「お、おうとも。俺らと組んで、勝ったら賞金とか全部くれてやるからさ、どう?」
タクマはノエルの作戦に乗り、そっと人差し指を立てた。するとオニキスは、タクマの人差し指を掴み「乗った」と同意した。
──そして、食事を済ませたタクマ一行は、アリーナの代打としてオニキスが加わった事を皆に話した。すると案の定、皆オニキスの参戦に驚いた。
しかしその一方で、メア、ノエル、おタツ、そしてナノの4人は何を考えているのか、オニキスを貸してと、申請してきた。
「なぁ、タヌキ娘」
「なんじゃ女もどき?」
「まあな。俺が騙されたって事は分かった。すげー分かった。けど騙される俺も悪いしよ、そこは良いし、言った以上舞踏会にも出てやる」
「なら、一体何が不満でありんすか?」
「そりゃあトカゲ娘お前、何で……」
「何で俺がこんな目に遭わなきゃならねぇんだよぉぉぉ!!」
オニキスは椅子に拘束され、女子達の復讐と言わんばかりの勢いで女装させられていた。黒の中に赤ラインの入ったドレス、ポニーテールにされた髪、男の心を奪うような素晴らしいメイク。
確かに、顔立ちも良いし、髪も長いし、体もガッチリしていながらも細身だしと、最強の三拍子が揃っている。そりゃあ女装も似合うわけだ。
しかし、声はドスの効いたオニキスの声である為、あまりのギャップに腹が捩れそうになる。と言うか、吾郎に関してはあまりの可笑しさにベッドに倒れ込んでしまっている。
「テメェら、マジこれ終わったら覚悟しとけよ?」
「ちゃうやろオニちゃん?オニちゃんは女の子なんやらか、ちゃんと『ですわ』って最後に付けんと」
「絶対にぶっ……ころりですわ」
「おお!よくできてるよくできてる!オニキスはやっぱ最高だな。アッハッハッハ!」
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