コピー使いの異世界探検記
第218話 密会
「では、拙者とリュウヤ殿で今日の事をアリーナ殿に報告してくるでござる」
「流石に自業自得といえアイツを独り船で隔離も悪いしよ。美味い寿司で顎外してくら」
「あんまし無理しちゃ、めっ!って伝えといてな。頼んだで」
「うむ。承ったでござる」
一行は宿屋前で分かれ、リュウヤと吾郎はアリーナの所へ今のところ得た情報を。それ以外の5人は情報収集兼観光で大通りの方へ向かった。
カジノに武具屋、新鮮な野菜や肉が並んだ商店街。特に、ケバブと似た屋台には他国からやってきた国のお偉いさん方が並んでいる。やはり明日開催のためか、船を降りた時よりも多くの人たちで賑わっている。皆前日だというのに煌びやかなドレスに身を包んで貴族らしく振舞っている。
それに比べて、サージの気まぐれで呼ばれた自分達といえば、貴族とは似ても似つかないユ○クロで選んだような服に、夏祭りからそのまま抜け出してきたような着物姿。一応αの餞別で着飾る事はいくらでもできるが、今着る必要もないしここはただの一般人として観光をしよう。
「大変ですわ。呼んだ人数が集まらないと出席させられないって言ってるザマス」
「何だって!?しかし風邪を引いた息子を無理やり引き連れるわけにもいかない」
するとその時、風に乗って嫌なニュースが舞い込んできた。他の人からすればどうでもいい事かもしれない。しかし、こちらはアリーナが居る。彼女の枠が空いてしまった以上、代わりを見つけなければならなくなる。しかし、リオは出禁だしフラッシュは呼んじゃいけない気がするし、このままではパーティーに出席できない。
タクマの顔から、一瞬にして笑顔が消える。
「どうかしたでありんすか?」
「ああいや、レストラン何処がいいかなって」
「せやなぁ。こんなに沢山レストランあったら、何処で食べるか迷うもんなぁ」
ナノは目をキラキラと輝かせながら、虫の鳴く腹をさすった。美味しそうな匂いのせいか、さっきからヨダレの分泌量が多くなっている気がする。
それに、時間も時間だ。早く店を決めないと混んでしまう。
「じゃあ……」
「「ここにしましょう!」」
すると、ノエルとおタツは互いに別々のレストランを指差した。ノエル側はガッツリ肉系。おタツは野菜を使ったヘルシー系なレストラン。流石に女子に脂っこい肉はウケないらしい。
「あらららら、キレイに割れてもーた」
「けど妾も肉はちょっとのぅ」
「うーん。じゃあ、今日は……」
じゃあ今日はおタツの方に行こう。そう言おうと思ったが、その時に一つだけ勘が働いた。ノエルなら何かいい案が出るのではないか、と。
タクマは彼の知恵に賭け、迷っていた指をステーキハウス側に向けた。
「男女分かれて、何か食うか!」
「じゃな。偶にはそう言うのも悪くない」
──そして、ステーキハウスに移動したタクマは、料理が来るまでの待ち時間に風の噂で聞いたことを話した。
「ぬぇぇ!?招待人数揃わないと入れてもらえない!?」
「あの王女様が何考えてるのか知らないけど、そうみたい。そこで、ノエルなら何かいい案思い浮かぶと思って」
「成程。確かにそれは言いにくいですね。とは言っても、別の誰かを連れてくるとか出来ないんですか?」
「出来たらいいんだけどね……」
タクマは素朴な疑問にごもっとも、と頷き、天井を見た。
メルサバの二人組はダメ、デンジさんはフォーデンの罪源被害を調査をしてて忙しいからダメ。ロード兄弟もきっと忙しいだろうし、かと言ってノブナガ様を連れてくるのは難しい。これまでに出会ってきた人を洗いざらい出してみたが、どれも実現は難しそうな人ばかりだった。
ノエルもそれを察したのか、腕を組んで深く考え込む。
「そうですよね。舞踏会といえ、皆忙しそうですもの」
「そこなのよ。流石にその辺の国民さん連れてく訳にも行かんし……」
するとその時、後ろの席の方から騒がしい声が聞こえてきた。店員が客と揉めているようだ。
丁度後ろだったため、2人は長椅子の上から様子を覗いた。すると、黒いフードを被った男が、ステーキの焼き加減について文句を言っていた。
「いいか?コイツはレアじゃねぇ、ブルーだ。レア頼んでこんなほぼ生肉のブルーを出すとかふざけてんのか?」
「申し訳ございません。すぐに焼き石を用意いたします」
「それにこのポテト、揚げ加減が足りねぇ。ここのコックは何を学んで飯作ってんだ?あぁん?」
そう言ってガンを飛ばすと、男は「もういい!」と突然キレ出し、席を立った。
「ど、何処に行くんです?」
「こんなのよりもっとマシなステーキを俺が焼く。分かったら厨房に連れてけ」
「ここ、困りますお客様!そんな勝手な事できません!」
「うるせぇ!元・兵舎調理係とこの腑抜けコックのどっちが美味いか分からせてやる!」
流石にマズイ。というか、こんな横暴なクレーマー初めて見た。実力があるから文句を言えると言うのだろうか、店員がめちゃくちゃ困っている。
男の横暴さに見かねたタクマは、男に声をかけた。
「ちょっと、店員さんが困ってるじゃない」
「子供連れも居るんですから、大人げないことしないでください」
「黙れ部外者、これは俺の問題だ。口出し……ん?」
「あれ?この声?」
聞き覚えがある。このドスの効いた声、もうあの時の覇気は感じないが、オニキスとよく似ている。そう思い、タクマは失礼しますと一言言ってから、男のフードを剥いだ。
すると案の定、中からオニキスが現れた。
「流石に自業自得といえアイツを独り船で隔離も悪いしよ。美味い寿司で顎外してくら」
「あんまし無理しちゃ、めっ!って伝えといてな。頼んだで」
「うむ。承ったでござる」
一行は宿屋前で分かれ、リュウヤと吾郎はアリーナの所へ今のところ得た情報を。それ以外の5人は情報収集兼観光で大通りの方へ向かった。
カジノに武具屋、新鮮な野菜や肉が並んだ商店街。特に、ケバブと似た屋台には他国からやってきた国のお偉いさん方が並んでいる。やはり明日開催のためか、船を降りた時よりも多くの人たちで賑わっている。皆前日だというのに煌びやかなドレスに身を包んで貴族らしく振舞っている。
それに比べて、サージの気まぐれで呼ばれた自分達といえば、貴族とは似ても似つかないユ○クロで選んだような服に、夏祭りからそのまま抜け出してきたような着物姿。一応αの餞別で着飾る事はいくらでもできるが、今着る必要もないしここはただの一般人として観光をしよう。
「大変ですわ。呼んだ人数が集まらないと出席させられないって言ってるザマス」
「何だって!?しかし風邪を引いた息子を無理やり引き連れるわけにもいかない」
するとその時、風に乗って嫌なニュースが舞い込んできた。他の人からすればどうでもいい事かもしれない。しかし、こちらはアリーナが居る。彼女の枠が空いてしまった以上、代わりを見つけなければならなくなる。しかし、リオは出禁だしフラッシュは呼んじゃいけない気がするし、このままではパーティーに出席できない。
タクマの顔から、一瞬にして笑顔が消える。
「どうかしたでありんすか?」
「ああいや、レストラン何処がいいかなって」
「せやなぁ。こんなに沢山レストランあったら、何処で食べるか迷うもんなぁ」
ナノは目をキラキラと輝かせながら、虫の鳴く腹をさすった。美味しそうな匂いのせいか、さっきからヨダレの分泌量が多くなっている気がする。
それに、時間も時間だ。早く店を決めないと混んでしまう。
「じゃあ……」
「「ここにしましょう!」」
すると、ノエルとおタツは互いに別々のレストランを指差した。ノエル側はガッツリ肉系。おタツは野菜を使ったヘルシー系なレストラン。流石に女子に脂っこい肉はウケないらしい。
「あらららら、キレイに割れてもーた」
「けど妾も肉はちょっとのぅ」
「うーん。じゃあ、今日は……」
じゃあ今日はおタツの方に行こう。そう言おうと思ったが、その時に一つだけ勘が働いた。ノエルなら何かいい案が出るのではないか、と。
タクマは彼の知恵に賭け、迷っていた指をステーキハウス側に向けた。
「男女分かれて、何か食うか!」
「じゃな。偶にはそう言うのも悪くない」
──そして、ステーキハウスに移動したタクマは、料理が来るまでの待ち時間に風の噂で聞いたことを話した。
「ぬぇぇ!?招待人数揃わないと入れてもらえない!?」
「あの王女様が何考えてるのか知らないけど、そうみたい。そこで、ノエルなら何かいい案思い浮かぶと思って」
「成程。確かにそれは言いにくいですね。とは言っても、別の誰かを連れてくるとか出来ないんですか?」
「出来たらいいんだけどね……」
タクマは素朴な疑問にごもっとも、と頷き、天井を見た。
メルサバの二人組はダメ、デンジさんはフォーデンの罪源被害を調査をしてて忙しいからダメ。ロード兄弟もきっと忙しいだろうし、かと言ってノブナガ様を連れてくるのは難しい。これまでに出会ってきた人を洗いざらい出してみたが、どれも実現は難しそうな人ばかりだった。
ノエルもそれを察したのか、腕を組んで深く考え込む。
「そうですよね。舞踏会といえ、皆忙しそうですもの」
「そこなのよ。流石にその辺の国民さん連れてく訳にも行かんし……」
するとその時、後ろの席の方から騒がしい声が聞こえてきた。店員が客と揉めているようだ。
丁度後ろだったため、2人は長椅子の上から様子を覗いた。すると、黒いフードを被った男が、ステーキの焼き加減について文句を言っていた。
「いいか?コイツはレアじゃねぇ、ブルーだ。レア頼んでこんなほぼ生肉のブルーを出すとかふざけてんのか?」
「申し訳ございません。すぐに焼き石を用意いたします」
「それにこのポテト、揚げ加減が足りねぇ。ここのコックは何を学んで飯作ってんだ?あぁん?」
そう言ってガンを飛ばすと、男は「もういい!」と突然キレ出し、席を立った。
「ど、何処に行くんです?」
「こんなのよりもっとマシなステーキを俺が焼く。分かったら厨房に連れてけ」
「ここ、困りますお客様!そんな勝手な事できません!」
「うるせぇ!元・兵舎調理係とこの腑抜けコックのどっちが美味いか分からせてやる!」
流石にマズイ。というか、こんな横暴なクレーマー初めて見た。実力があるから文句を言えると言うのだろうか、店員がめちゃくちゃ困っている。
男の横暴さに見かねたタクマは、男に声をかけた。
「ちょっと、店員さんが困ってるじゃない」
「子供連れも居るんですから、大人げないことしないでください」
「黙れ部外者、これは俺の問題だ。口出し……ん?」
「あれ?この声?」
聞き覚えがある。このドスの効いた声、もうあの時の覇気は感じないが、オニキスとよく似ている。そう思い、タクマは失礼しますと一言言ってから、男のフードを剥いだ。
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