コピー使いの異世界探検記
第217話 腹立たしき悪女
【カプリブルグ 宿屋】
「ぬわぁぁぁぁぁ!!何なんですかあの傍若無人なクソババァは!」
「あんなに腹立ったの、久々かも」
「妾ののじゃは、ババ臭い……」
メア、ノエル、タクマの3人はサージの腹立たしさが爆発し、背中から真っ赤なオーラと共に湯気を出していた。
しかも、なかなかこういった事に怒らない吾郎も、今回ばかりは見逃せなかったのか、お菓子を前にしても手をつけなかった。普段なら宿屋のお菓子はナノやアリーナと分けて小腹を満たしているのに。
そう思っていると、突然リュウヤが勢いよく机を叩いた。あまりそう言う事をする奴じゃないため、一同は驚き止まる。
「……ごめん、ちょっとあのオバハンの言ってた事が何かさ。初めてだわこんな気持ち、何なんだいったい……」
「そうだ。あの王女、ナノの事を奴隷とかって……ああ、思い出しただけで腹立ってくるでありんす!」
「別にええって、ウチは何も嫌な思いしとらんで」
複雑な気持ちにモヤモヤしていると、ナノはベッドをトランポリン代わりにして、飛び跳ねながら言った。
「確かに、家族ではあるけど、ウチは元々奴隷やったし。今更何言われても平気やで」
「ナノ殿は強いでござるな。しかしあの様子……」
「そうでありんすな。あの驕り様、きっと娘や出席者を出汁になにかやるつもりでありんす」
「けど、ババァの一言で一撃抹殺命令だぞ?あんな状態でキャシー姫救出とか、本当に出来る?」
タクマはあの時の様子を思い出して呟く。傲慢のオーブを持っている以上、彼女が罪源の器である事は確定だ。確かにちょっと持ってそうな性格はしてるけど、何故かそう思う。
じゃあ一体、残りの3つのオーブのうち一つは誰が持っていると言う事になるのだろうか。
「けどま、俺らの第一目的はちゃんリオの友達のキャシー姫を助ける事だ。それに、ウチには潜入のスペードシェルが居るだろ?」
リュウヤは訳の分からない単語を言いながらチラリとおタツの方を向いた。するとおタツは任されよ、と苦無を構えて返答した。
そうだった。おタツさんはクノイチ、忍びと言えば潜入だ。と言う事は、例のスペードシェルはスペシャリストと言う事になる。いや違う、そこじゃない。
「そんなこともあろうかと、城の地図を記憶しておいたでありんす」
おタツは墨で書き上げた地図を広げ、一番奥の部屋にピンク色のう○こを模したビニールフィギュアを置いた。例のサージ国王のイメージだ。相当根に持っているらしい。
「タツ姐、そんな事も出来るん!?」
「うむ。敵陣の地形を記憶し、それを利用するもまた戦術の一つでござる。流石、忍びはサムライとは一味違うでござるな」
「吾郎爺、ちょっと趣旨変わってますよ?」
ノエルのツッコミを交えつつ、7人は地図を囲んで作戦会議を始めようとした。
するとその時、これから始めようと声を上げると同時に部屋の扉が叩かれた。まだ時間的にも昼時だし、人が来てもおかしくない時間帯だが、アリーナの失言で処刑しに来たなんて可能性もある。
「俺が出る」
そう言い、タクマは剣に手をかけながら扉を開けた。そして、開いた瞬間、刀身を少し出した。
すると、殺意を感じ取った客人は「うわぁ!」と情けない悲鳴をあげてすっ転ぶ音がした。
声からしても、人を殺すような覚悟は持ち合わせていないようだ。そう判断し、タクマは扉を開けて客人の姿を見た。そして、その顔を見た瞬間、ナノ以外の仲間は目を丸くした。
なんと、やってきた客人というのは、ハルトマンだったのだ。
久々の登場のため軽く説明すると、彼の名はハルトマン・ガルーディオ。ガルキュイで仮死状態の所を助けた借りのある憲兵、賞金首捜査課である。簡単に言えば、刑事に当たる。
「ハルトマンさん!?どうしてここに?」
「これはこれは5章ぶりの登場じゃな。今更なんの用じゃ?」
「こらメアちゃん、メタい事言わないでありんす」
「実はここ最近、カプリブルグで獅子仮面の怪人を目撃したという相次いでてね。今こうして聞き込みをしていたんだ」
「獅子仮面?これまた変なのが来たもんだなぁ。それで、ハルっさんはコイツを追っていると?」
ソファの上で仰け反りストレッチをしつつ、リュウヤは訊く。ハルトマンは、「多分ね」と歯切れの悪い答えを返し頷いた。
「多分って、分かんないのに追っとるん?」
「分からないけど、何故だか彼を追わないといけない様な気がしてね」
「使命感的な感じでありんしょうかねぇ。んっ、へっくしゅん!」
「フフ、おタツさんがくしゃみなんて珍しいですね。ヘクチッ」
すると突然、おタツとノエルが一緒にくしゃみをするようになった。そんな事一度もなかったのに珍しい。
なんて思いながら手に持っているものを見てみると、そこに置かれていたお菓子から、強めなミントの香りがしてきた。
「チョコミントか?ごめん一つちょうだい」
タクマは2人に断ってから、籠のチョコ菓子を一口取って食べた。すると、案の定強すぎるミントの辛味が口の中に広がり、鼻をくすぐった。
そして、鼻が刺激され、くしゃみを出した。
「タクマ殿まで、一体この菓子はなんでござるか?」
「や、やめてくれ〜」
「や、やめてくれ?へっくしゅん!」
「私はミントアレルギーなんだ。匂いだけでもくしゃみが出る」
ハルトマンは突然、手で鼻を覆いながら顔を背け、部屋の外に出て行ってしまった。
そして、帰ったと思ったら最後にドアをノックし「何か見つけたら私に教えてくれ!」と急ぎで言い残し、去っていった。
何か悪いことをしてしまったようだ。タクマは申し訳なさそうに、ドア越しに頭を下げた。
「ぬわぁぁぁぁぁ!!何なんですかあの傍若無人なクソババァは!」
「あんなに腹立ったの、久々かも」
「妾ののじゃは、ババ臭い……」
メア、ノエル、タクマの3人はサージの腹立たしさが爆発し、背中から真っ赤なオーラと共に湯気を出していた。
しかも、なかなかこういった事に怒らない吾郎も、今回ばかりは見逃せなかったのか、お菓子を前にしても手をつけなかった。普段なら宿屋のお菓子はナノやアリーナと分けて小腹を満たしているのに。
そう思っていると、突然リュウヤが勢いよく机を叩いた。あまりそう言う事をする奴じゃないため、一同は驚き止まる。
「……ごめん、ちょっとあのオバハンの言ってた事が何かさ。初めてだわこんな気持ち、何なんだいったい……」
「そうだ。あの王女、ナノの事を奴隷とかって……ああ、思い出しただけで腹立ってくるでありんす!」
「別にええって、ウチは何も嫌な思いしとらんで」
複雑な気持ちにモヤモヤしていると、ナノはベッドをトランポリン代わりにして、飛び跳ねながら言った。
「確かに、家族ではあるけど、ウチは元々奴隷やったし。今更何言われても平気やで」
「ナノ殿は強いでござるな。しかしあの様子……」
「そうでありんすな。あの驕り様、きっと娘や出席者を出汁になにかやるつもりでありんす」
「けど、ババァの一言で一撃抹殺命令だぞ?あんな状態でキャシー姫救出とか、本当に出来る?」
タクマはあの時の様子を思い出して呟く。傲慢のオーブを持っている以上、彼女が罪源の器である事は確定だ。確かにちょっと持ってそうな性格はしてるけど、何故かそう思う。
じゃあ一体、残りの3つのオーブのうち一つは誰が持っていると言う事になるのだろうか。
「けどま、俺らの第一目的はちゃんリオの友達のキャシー姫を助ける事だ。それに、ウチには潜入のスペードシェルが居るだろ?」
リュウヤは訳の分からない単語を言いながらチラリとおタツの方を向いた。するとおタツは任されよ、と苦無を構えて返答した。
そうだった。おタツさんはクノイチ、忍びと言えば潜入だ。と言う事は、例のスペードシェルはスペシャリストと言う事になる。いや違う、そこじゃない。
「そんなこともあろうかと、城の地図を記憶しておいたでありんす」
おタツは墨で書き上げた地図を広げ、一番奥の部屋にピンク色のう○こを模したビニールフィギュアを置いた。例のサージ国王のイメージだ。相当根に持っているらしい。
「タツ姐、そんな事も出来るん!?」
「うむ。敵陣の地形を記憶し、それを利用するもまた戦術の一つでござる。流石、忍びはサムライとは一味違うでござるな」
「吾郎爺、ちょっと趣旨変わってますよ?」
ノエルのツッコミを交えつつ、7人は地図を囲んで作戦会議を始めようとした。
するとその時、これから始めようと声を上げると同時に部屋の扉が叩かれた。まだ時間的にも昼時だし、人が来てもおかしくない時間帯だが、アリーナの失言で処刑しに来たなんて可能性もある。
「俺が出る」
そう言い、タクマは剣に手をかけながら扉を開けた。そして、開いた瞬間、刀身を少し出した。
すると、殺意を感じ取った客人は「うわぁ!」と情けない悲鳴をあげてすっ転ぶ音がした。
声からしても、人を殺すような覚悟は持ち合わせていないようだ。そう判断し、タクマは扉を開けて客人の姿を見た。そして、その顔を見た瞬間、ナノ以外の仲間は目を丸くした。
なんと、やってきた客人というのは、ハルトマンだったのだ。
久々の登場のため軽く説明すると、彼の名はハルトマン・ガルーディオ。ガルキュイで仮死状態の所を助けた借りのある憲兵、賞金首捜査課である。簡単に言えば、刑事に当たる。
「ハルトマンさん!?どうしてここに?」
「これはこれは5章ぶりの登場じゃな。今更なんの用じゃ?」
「こらメアちゃん、メタい事言わないでありんす」
「実はここ最近、カプリブルグで獅子仮面の怪人を目撃したという相次いでてね。今こうして聞き込みをしていたんだ」
「獅子仮面?これまた変なのが来たもんだなぁ。それで、ハルっさんはコイツを追っていると?」
ソファの上で仰け反りストレッチをしつつ、リュウヤは訊く。ハルトマンは、「多分ね」と歯切れの悪い答えを返し頷いた。
「多分って、分かんないのに追っとるん?」
「分からないけど、何故だか彼を追わないといけない様な気がしてね」
「使命感的な感じでありんしょうかねぇ。んっ、へっくしゅん!」
「フフ、おタツさんがくしゃみなんて珍しいですね。ヘクチッ」
すると突然、おタツとノエルが一緒にくしゃみをするようになった。そんな事一度もなかったのに珍しい。
なんて思いながら手に持っているものを見てみると、そこに置かれていたお菓子から、強めなミントの香りがしてきた。
「チョコミントか?ごめん一つちょうだい」
タクマは2人に断ってから、籠のチョコ菓子を一口取って食べた。すると、案の定強すぎるミントの辛味が口の中に広がり、鼻をくすぐった。
そして、鼻が刺激され、くしゃみを出した。
「タクマ殿まで、一体この菓子はなんでござるか?」
「や、やめてくれ〜」
「や、やめてくれ?へっくしゅん!」
「私はミントアレルギーなんだ。匂いだけでもくしゃみが出る」
ハルトマンは突然、手で鼻を覆いながら顔を背け、部屋の外に出て行ってしまった。
そして、帰ったと思ったら最後にドアをノックし「何か見つけたら私に教えてくれ!」と急ぎで言い残し、去っていった。
何か悪いことをしてしまったようだ。タクマは申し訳なさそうに、ドア越しに頭を下げた。
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