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コピー使いの異世界探検記

鍵宮ファング

第210話 救いの手紙

【ギルド 食堂】
「ぷはーっ!やはりクエストの後といえばコイツじゃのぅ」
「オッサンか!けど、確かにコレは疲れに効くかも」

 タクマはツッコミを入れつつ、元気ドリンクとか言ういかにもヤバそうなジュースを飲む。高麗人参が使われているのか、すごくエナジードリンクとよく似た味がする。
 ただ、その分疲れによく効くのは確かだ。
 しかも、今では1番人気なのか、ギルドで食事をしている人の殆どがそれを飲んでいる。しかし、ナノには早すぎるため、ナノだけはホットミルクを飲んでいる。

「うめぇ!親父、ピザ2枚追加!」
「ますたぁ殿、すてぇきをもう一つ頼むでござる!」
「2人ともそんなに頼んで、もういいじゃあないですか」

 ノエルは周りの目を見て2人に言う。それもそうだ。
 アリーナは1人でピザを頼んで、これから来る2枚を含めればもう8枚目だ。更に、吾郎に関しては、これでおかわり5枚目。しかも、しれっとナノも負けじとナッツパンをカリカリと食べている。
 流石は我がパーティの大食い三銃士。あれだけ食べてもまだ食べる。
 するとリュウヤは、心配するノエルの背中を叩いた。

「でぇじょぶだぁ。それを見越して……じゃーん!」
「ぬぇ!?そ、その財布の中身ってまさか」
「和食屋『剣崎』デルガンダル支店での売り上げでありんす。毎日昼時にお客が来るから、こんなに」
「ホント、リューくんがウチらの仲間でホンマに良かったわ。やっぱりタツ姐も、料理男子の部分に惚れたから結婚したん?」

 ナノから唐突に純粋な質問を投げられたおタツは、驚きのあまり、物を喉に詰まらせて咽せる。確かにかの有名なリョーさんも料理のできる男はモテると言っていたし、リュウヤ自身最高に和風なイケメンでもある。
 その様子を見て、吾郎はカカカッと大笑いした。酒が回っているのか、顔が赤らんでいる。

「まあまあナノ殿、そういった気持ちも、大人になればなんとなーく分かってくるものでござるよ」
「あ、吾郎爺酔ってますね。珍しい」
「さて!もう一度食べる為に運動をするとしよう。と言う事で一曲、聞いてほしいでござる」

 肉と酒で燃え上がった吾郎は、刀をマイク代わりに演歌を歌い始めた。声は渋くこぶしも出ているものの、音程が上下に迷走しすぎて耳が痛くなる。
 頼む、誰か助けてくれ。そう願っていると、もっとうるさい男が乱入してきた。案の定、それはフラッシュだった。

「ワーッハッハッハッハ!私も宴会に混ぜてくれないかな!」
「って馬鹿、まったく違うでしょうが」

 お決まりかのように、後ろからリオに殴られ強制的に落ち着かせられる。更に吾郎にも、氷で作ったバケツを被せ、酔いを醒めさせた。
 相変わらず冷たく無表情だが、やり終えた後、フフッと笑った。

「イテテ。にしてもリオお嬢様、メアお嬢様と再会してから笑うようになりましたな!」
「確かに、リオリオよう笑うわ」
「ば、馬鹿!余計なこと言うんじゃないわよ!もう!」

 リオは顔を赤くし、照れ隠しにまたフラッシュの腹筋をポカポカと殴った。用事があるようだったが、段々とブレていく。
 と思うと、リオはハッと用事を思い出し、タクマに8枚の招待状を渡した。
 しかも、宛名にはタクマ一行の名前が記されていた。

「んだこれ、果たし状か?いい度胸してやがるぜ!」
「違わい、これをどう見たら果たし状に見えると言うのじゃ」
「しかしこいつは一体?何故俺達に?」

 タクマは封を開きながら訊いた。すると、中から『カプリブルグ城舞踏会 招待状』と書かれたカードが顔を表した。
 カプリブルグ?聞いたこともない国だ。

「実はね、貴方達の噂を聞いたカプリブルグの国王が興味を持ってね。私達にコレを渡せと。全く、私は郵便屋じゃないのに」
「アハハ。それはなんとも、ドンマイです」

 リオは差出人からの頼みに対してぼやきつつ、椅子に腰掛けた。そして、ポケットから更に手紙を取り出し、タクマ達に「それで、ここからは私事だけど……」と前置きを置いて封を開けた。
 中には「親愛なる友・リオへ」から始まる文が綴られていた。内容はどこからどう見ても「かのタクマ一行に会うのが楽しみです」といったような内容だった。どこにも不自然な点はない。

「むふぅ、おろ?リオ殿、その手記は一体何でござるか?」
「ただの手紙に見えるでありんすが……」
「そう見えるわよね。けどコレはね、ちょっと触ってみて」

 言うとリオは、ナノに紙を渡した。ナノも、言われた通り素直に紙を触る。しかし、どこか不満げな顔を見せる。

「ウチには分からんわ。タツ姐、パス」
「えっ、えぇ?けど何か、ちょっと触り心地が違うでありんす」
「なぁ、こんな紙っきれの何が違うんだ?」
「実はですなこの紙、こうして見ると……ほら!」

 フラッシュはなんと、紙をステーキプレートの上にさっとさらした。一応食べ終えてはいるものの、油まみれのプレートにさらしては油を吸ってしまう。
 そう心配した矢先、紙の文字がスーッと消え、奥から「助けて」と言う文字が現れた。893などが時折契約書などに使う炙り式の紙だ。

「どわはぁっ!なんじゃこの呪いの手紙!」
「リュウヤさん、驚きすぎです。けど助けてって……」
「きっと彼女の身に何かあったに違いないわ。そこでなんだけど」
「またで申し訳ないが、カプリブルグの王女・キャシー姫の救出を依頼したいのだ」

 用件を伝えると、2人は「どうか」と軽く頭を下げた。しかし、不思議だ。
 いや、これは王女からの依頼以前に、一友人としての頼み。それを断るつもりは一切ない。なのに何故、キャシー姫の依頼を俺らに頼むのだろうか。
 気になったタクマは、率直に理由を聞いてみた。するとリオは、黙り込んだ後ゆっくりと「出禁よ」と呟いた。

「出禁って、カプリブルグにですか?」
「リオ、一体何をしたのじゃ?」
「何もしてないわよ。ただちょっと、城下町に遊びに行っただけなの」

 そう言うリオの目から、涙がこぼれ落ちる。話を聞いている限り、王女と喧嘩したと言ったようなものは感じられない。となると、親、もとい国王との間で問題があったのだろう。

「とにかく、できるだけのお礼をするわ。だから、代わりに──」
「何を今更、んなこと当たり前田のクラッカー!舞踏会にも全力で参加して、そのご友人の姫様助けたるぜ!」

 リュウヤはドリンクを片手に立ち上がり、ぬおー!と雄叫びのようなものをあげた。がしかし、残念ながらこのギャグは50年以上も前のネタ。タクマにはまぁ分かったとして、他の仲間達には意味が分からず、場の空気が凍りつく。
 それに気付いた途端、リュウヤは無言でドリンクを飲み干し、忘れろと言わんばかりにそっと席についた。

「……しかし、カプリブルグはペルドゥラスの国じゃろ?そう簡単に船なんて乗れぬぞ?」
「何言ってんだメイ、一体いつから船がねぇと錯覚してんだ?」
「アリーナちゃん?まさか、そう言えば!」

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