コピー使いの異世界探検記
第202話 真紅の死闘
タクマは剣に全力を宿して振る。オニキスも剣に力を宿して振る。力の差からして、タクマの方が劣勢ではあるが、それでもタクマは腕を犠牲にする覚悟で剣を振った。
オニキスの剣がぶつかる時、偶に腕からパキッと痛そうな音が鳴る。でも耐えろ、そうでもしなきゃ、そうでもしなきゃ……
「おらおらどうしたぁ!もうへばっちまったのか?」
「んな事、まだまだ!《コピー・ランディオ》!」
「フン!そんな大岩が何だァ!おらぁ、はぁッ!!」
タクマの放った大岩は、呆気なくオニキスの剣に斬られ、その片割れを投げ返された。しかしタクマも、その岩を斬り、もう一度跳ね返した。
流石に今度は小さすぎて斬るまでもなかったのか、オニキスは跳ね返された岩を避け、上空から一撃をお見舞いする。
「まずいっ!」
「食らえ!《クリムゾン・カッター》!」
タクマは瞬時に攻撃を見極め、右側に体をくねらせて回避した。すると、オニキスが斬った跡から赤黒い円状ノコギリが出現し、大きくターンを描いてからタクマを追尾し始めた。しかも、地面を斬り裂く度雪だるまのように大きくなっていく。
幸い薄いお陰で簡単に避ける事は可能だが、オニキスの猛攻を受け流しつつとなると厄介だ。
「オレはなァ!テメェみたいな野郎が大っ嫌いなんだ!その目、まるでオレを馬鹿にしているようで腹が立つ!」
「そんな、俺は馬鹿になんて……」
「だがテメェは強く成長した!熟したソレを一思いにぶっ殺す、考えただけでも最高の美酒じゃあないか!」
そうか、オニキスが前例にない二つのオーブを使いこなしていた理由が分かったぞ。
ガラに対する怒りで赤と言うのは分かっていた。だがもう一つ、強欲は分からなかった。でも、今分かった。
それはきっと、奴が思う最強まで上り詰めた俺を殺して、俺から“最強”の称号を奪い取る、その称号が欲しいと言う欲望だ。“欲望”は目に見えるものだけじゃあないから道理にはかなっている。
でもここで死ぬ訳にはいかない。まして、殺される訳にもいかない。もし死ねば、怒り狂うオニキスが何をしでかすか分からない。その上、禁じてきた殺しを行った事になる。
そうなれば、今も帰りを待っているワトソンさんはどう思う?
『僕は信じてるんだ。どんなになっても、彼は彼だって』
ワトソンの優しい声と笑顔が、脳裏で再生される。
「残念だけど、俺は死なない!どれだけ、痛めつけられても、絶対に!」
「何故だ!何故テメェはそうまでして戦う!いい加減な理由しか持ち合わせてねぇくせによォ!」
「ワトソンさんが悲しむからだ!」
嘘偽りなく、タクマは叫んだ。すると、彼の名前を聞いた瞬間に隙が生じ、やっと一撃が通った。
やはり彼がワトソンの親友である事、まだ彼を忘れていない事は確実のようだ。
「貴様、何故奴の名を知っている!」
「会ったんだ、会って話をした!そして、今もあの人はお前を信じてる!信じて、待っているんだー!」
「んな事知るかァ!今のオレは、オレはァ!」
オニキスも雄叫びを上げ、赤黒い気を纏った一撃を与える。しかも、死神の鎌のように先端が曲がり、背中側からタクマの腕を突き刺した。それだけでなく、オニキスの血が体内で混ざり合い、気の遠くなるような痛みが駆け巡った。
まるで毒にでも侵されたような苦しさだ。少しでも気を抜けば、本当に気絶してしまう。いや、最悪死ぬだろう。
だがタクマは、ワトソンの信じる心を糧に、オニキスの剣をゆっくりと押し返していった。
「何っ!?」
「っく、ぬおぁぁぁぁぁぁぁ!!〈閃の剣〉!」
「ぐはぁっ!!」
なんと、タクマの一撃がオニキスの〈ロウ〉に命中し、彼は遠くに飛ばされた。しかもその先は、今いる路地と比べるまでもなく広い公園。
全力を出すにはもってこいの場所だ。
「はぁ、はぁ。クソ、侮っていたか……」
「オニキス!今度こそオレは、アンタを倒す!」
「面白ぇ。返り討ちにしてやるよ」
オニキスはベンチから立ち上がり、反吐を吐いてからもう一度剣を構えた。
どう足掻いても、戦いをやめる気はない。当たり前なのに、何故かやめてくれと思う自分が居る。思っても何も変わらないのに。
「おらぁぁぁぁぁ!!」
「ドラァ!」
剣と剣がぶつかり合い、耳障りな金属音が鳴り響く。更に、衝撃波によって、周りの草木が強風に吹かれた時と同じようにざわめき出す。
そして、今度はタクマが飛ばされた。幸い民家が盾になってくれたお陰で元の路地には戻らなかったが、全身を強く打ち付けられたショックで骨が悲鳴をあげ出した。今度こそ骨が折れる。そして、殺される。
ならばやむを得ない。自分の命を削る事になるが、この状態でまともにやり合うには、アレしかない。
「トドメだッ!死ねェェェェェェッ!!」
「うらぁっ!《コピー・クリムゾン》!」
タクマは指を鳴らしつつ、オニキスの天空斬を避けた。そして、苦肉の策で禁忌の魔法〈クリムゾン〉を発動した。
「ほぉ、やっぱりコイツァ、あの日の再現って事か。腹立たしい!」
オニキスの剣がぶつかる時、偶に腕からパキッと痛そうな音が鳴る。でも耐えろ、そうでもしなきゃ、そうでもしなきゃ……
「おらおらどうしたぁ!もうへばっちまったのか?」
「んな事、まだまだ!《コピー・ランディオ》!」
「フン!そんな大岩が何だァ!おらぁ、はぁッ!!」
タクマの放った大岩は、呆気なくオニキスの剣に斬られ、その片割れを投げ返された。しかしタクマも、その岩を斬り、もう一度跳ね返した。
流石に今度は小さすぎて斬るまでもなかったのか、オニキスは跳ね返された岩を避け、上空から一撃をお見舞いする。
「まずいっ!」
「食らえ!《クリムゾン・カッター》!」
タクマは瞬時に攻撃を見極め、右側に体をくねらせて回避した。すると、オニキスが斬った跡から赤黒い円状ノコギリが出現し、大きくターンを描いてからタクマを追尾し始めた。しかも、地面を斬り裂く度雪だるまのように大きくなっていく。
幸い薄いお陰で簡単に避ける事は可能だが、オニキスの猛攻を受け流しつつとなると厄介だ。
「オレはなァ!テメェみたいな野郎が大っ嫌いなんだ!その目、まるでオレを馬鹿にしているようで腹が立つ!」
「そんな、俺は馬鹿になんて……」
「だがテメェは強く成長した!熟したソレを一思いにぶっ殺す、考えただけでも最高の美酒じゃあないか!」
そうか、オニキスが前例にない二つのオーブを使いこなしていた理由が分かったぞ。
ガラに対する怒りで赤と言うのは分かっていた。だがもう一つ、強欲は分からなかった。でも、今分かった。
それはきっと、奴が思う最強まで上り詰めた俺を殺して、俺から“最強”の称号を奪い取る、その称号が欲しいと言う欲望だ。“欲望”は目に見えるものだけじゃあないから道理にはかなっている。
でもここで死ぬ訳にはいかない。まして、殺される訳にもいかない。もし死ねば、怒り狂うオニキスが何をしでかすか分からない。その上、禁じてきた殺しを行った事になる。
そうなれば、今も帰りを待っているワトソンさんはどう思う?
『僕は信じてるんだ。どんなになっても、彼は彼だって』
ワトソンの優しい声と笑顔が、脳裏で再生される。
「残念だけど、俺は死なない!どれだけ、痛めつけられても、絶対に!」
「何故だ!何故テメェはそうまでして戦う!いい加減な理由しか持ち合わせてねぇくせによォ!」
「ワトソンさんが悲しむからだ!」
嘘偽りなく、タクマは叫んだ。すると、彼の名前を聞いた瞬間に隙が生じ、やっと一撃が通った。
やはり彼がワトソンの親友である事、まだ彼を忘れていない事は確実のようだ。
「貴様、何故奴の名を知っている!」
「会ったんだ、会って話をした!そして、今もあの人はお前を信じてる!信じて、待っているんだー!」
「んな事知るかァ!今のオレは、オレはァ!」
オニキスも雄叫びを上げ、赤黒い気を纏った一撃を与える。しかも、死神の鎌のように先端が曲がり、背中側からタクマの腕を突き刺した。それだけでなく、オニキスの血が体内で混ざり合い、気の遠くなるような痛みが駆け巡った。
まるで毒にでも侵されたような苦しさだ。少しでも気を抜けば、本当に気絶してしまう。いや、最悪死ぬだろう。
だがタクマは、ワトソンの信じる心を糧に、オニキスの剣をゆっくりと押し返していった。
「何っ!?」
「っく、ぬおぁぁぁぁぁぁぁ!!〈閃の剣〉!」
「ぐはぁっ!!」
なんと、タクマの一撃がオニキスの〈ロウ〉に命中し、彼は遠くに飛ばされた。しかもその先は、今いる路地と比べるまでもなく広い公園。
全力を出すにはもってこいの場所だ。
「はぁ、はぁ。クソ、侮っていたか……」
「オニキス!今度こそオレは、アンタを倒す!」
「面白ぇ。返り討ちにしてやるよ」
オニキスはベンチから立ち上がり、反吐を吐いてからもう一度剣を構えた。
どう足掻いても、戦いをやめる気はない。当たり前なのに、何故かやめてくれと思う自分が居る。思っても何も変わらないのに。
「おらぁぁぁぁぁ!!」
「ドラァ!」
剣と剣がぶつかり合い、耳障りな金属音が鳴り響く。更に、衝撃波によって、周りの草木が強風に吹かれた時と同じようにざわめき出す。
そして、今度はタクマが飛ばされた。幸い民家が盾になってくれたお陰で元の路地には戻らなかったが、全身を強く打ち付けられたショックで骨が悲鳴をあげ出した。今度こそ骨が折れる。そして、殺される。
ならばやむを得ない。自分の命を削る事になるが、この状態でまともにやり合うには、アレしかない。
「トドメだッ!死ねェェェェェェッ!!」
「うらぁっ!《コピー・クリムゾン》!」
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