コピー使いの異世界探検記
第199話 強欲な九尾
「はぁぁぁぁ!!〈だるま落とし〉!」
「まずはコイツだ!アタシの銃弾でも舐めてな!」
メアの掛け声の後、ナノとアリーナは武器を手に取り攻撃を仕掛けた。しかし、グリスはヨダレを垂らしたままわざと攻撃を食らった。効いているのか、撃たれた箇所から不思議な液体が血のように流れ出た。
「んだコイツ、アタシの銃食らってヘラヘラしてやがるぜ。気持ち悪い」
「やはり巨体だからこの程度の傷は針に刺された程度、という事でありんすか」
「じゃとしても、攻撃を続ければ倒す事は可能じゃ!」
「えぇ、次はウチが行くでありんす!」
ナノとアリーナの二人と入れ替わるように、メアはナイフを投げた。更に、おタツも爆散手裏剣で応戦した。
だが、どれだけ血のようなものを流したとしても、グリスは平気な顔をしたまま攻撃をしようとはしなかった。まさか好みの女の子に殺されるのが本望だとでも言うのだろうか。だとしたら馬鹿すぎる。
腐っても奴は罪源の仮面が一柱。女癖が悪くても、そう簡単に命を投げるようなふざけた真似はしないでありんす。
おタツは考えた。するとその時、グリスの足元からシュー、と音を立てながら煙がが上がった。
「わわっ!グリス、何女の子の前で粗相しとんのや!」
「いや、違う。これは……」
『そうさ、オレっちの血は黄金の血。なーんでも溶かす、最強の溶解液なんだぜヒャッホー!』
グリスの言う通り、立ち上がった足元には、溶かされたような跡が残っていた。更に、血の滴り落ちた所が、突然液状化したように溶け出した。
そうか。だからあのクソキツネはアタシの銃弾とか、メイやおりょうのナイフを食らってわざと血を出させたのか。
アリーナはグリスのやり方に気付き、悔しそうに唇を噛んだ。溶解作用のある血液、とどのつまり傷を負えば負うほど逆に相手が有利になっていく。それも、ちょっとでも触れたら即溶けるとなれば、迂闊に近付く事はおろか飛び散らされればお終いだ。
「ナノ、近接は危険じゃ。ここはミサイルで行くぞ!」
「オーケイ!ウチのミサイルが火ぃ吹くで!」
了解したナノは、ハンマーを背中に戻し、早速ミサイルを三発お見舞いした。しかし、グリスは腕から流れる血を撒き散らし、そのミサイルを溶かしてしまった。中から湿った火薬が落ちてくる。
やっぱり予想通りやってきやがった。ミサイルもダメとなると、ナノの使える武器が無くなっちまうじゃあないか。アリーナはマントを弄りつつ様子を伺った。
『予想通りやってきやがった。そこの強気そうな女、思ったな?』
「お、思ってねぇよ!勝手に人の心覗いて……ハッ!」
『それ見ろ!オレっちは心も覗けちゃうんだ、凄いっしょ!……と油断させて』
アリーナは動揺しながらもナノが使えそうだと確信した武器を掴んだ。だがその時、地面の黄金が触手のように動き、アリーナを殴り上げた。
そのせいで、アリーナのマントからいくつか大事な武器が落ちてしまう。
「アリーナ!貴様、何をしたでありんす!」
「ぐっ!テメェら、足元気を付けろ!野郎、血程度の奴じゃあねぇぜ!」
「足元?ナノ、危ない!」
彼女の言う足元を見た時、ナノが立っている付近の金がタコの触手のようになるのが見えた。
その事に気付いたメアは、金の触手にナイフを投げつつ、ナノと共に回避した。
『いっ。へぇ、そこの金髪なかなかやるじゃあないの』
「ナイスだメイ!とにかく使えそうな武器持っていきやがれ!」
「アリリン、メアメア、ほんまおおきに!」
礼を言ったナノは、足元に落ちていたワイヤー付きの双鎌を手に取り、早速振り回してみた。
使い方は全く分からない。でもなんとなくおタツなら使い方を知ってそうな武器。それでもナノは、分からないなりに工夫し、まずは囚われているアリーナの救出を優先した。するとその時、片方の鎌が偶然グリスの爪に当たり、黄金の触手が崩れ落ちた。
「あ、当たった」
『痛ってー!オレっち自慢の極上ネイルが剥がれちまったぜ!』
「イツツ。でもこれで、なんとなくやり方はわかった気がするぜ。ナル、お手柄だ!」
救出されたアリーナは、釣り糸のようなものを使って選ばれなかった武器を回収しつつ、ナノの事を褒めた。
だがその時、ずっとお座り状態のまま動かなかったグリスが突然立ち上がった。しかも、ペストマスクから覗く目は、怒り狂ったかのように充血していた。
「コイツ、本気でありんすよ。はっ、やっ!」
『オレっちの血を食らわないよう、近接から遠距離に変えた事は褒めちゃうぜ。けど!オレっち自慢の爪はどうしてくれんだぁ!?2000年前、最後に創り上げたオレっちの自信作をよぉぉぉ!!こんな異形じゃあ作れない代物なんだよクソアマ共がぁ!』
おタツの苦無をわざと食らいながら、グリスはペストマスクの嘴部分を引き裂くように口を開き、咆哮と共に怒りを露わにした。
攻撃を食らった部位からもそうだが、特に爪からは止め処なくドバドバと血が流れ出ている。しかも、口から垂れる唾液も、溶解作用があるのか滴り落ちた部分が溶けていく。
「どどどどど、どないする!?ウチのせいで怒らせてもうた!」
「落ち着くのじゃナノ。落ち着いて、今のこの地形を把握するのじゃ」
「把握って、どうするつもりなんだ?このまま金じゃねぇ部分に逃げても、あんなクソ巨体じゃあすぐ追いつかれちまうぞ!」
『ンゥ?もしかしてオレっちと鬼ごっこをしたいのかなぁ?イイけど、今のオレっちイライラしちゃってるからさぁ、捕まえたら殺しちゃうかもネ』
様子を見ているグリスは、どう動いても確実に捕まえるため、敢えて何もしなかった。
人間は「どうしようかな」と動きを止めている時がチャンスだ。でもそれじゃあダメ。その時に攻撃を仕掛ければ避けられちゃう。だからあえて待つのサ、動いた瞬間に攻撃をされれば、その時こそ本当に何もできないからネ。
グリスは考えながら、ニチャァと気持ち悪く歯を見せる。どれも尖っていて、人を食おうものなら即座に串刺しになりそうに思える。
「そうだ。アリーナ、ちょっとマント見せてもらうでありんす」
「あ、馬鹿お前!勝手に見てんじゃ、あんっそこ触んな!」
突然、おタツは思い付きアリーナのマントに首を突っ込んだ。そして、ガサゴソとゴミを散らかし、バズーカ砲のような超兵器を取り出した。
初めて見る上にそんなあり得ないものまで出てきた事に、ナノとメアは共に目を丸くして驚いた。
「な、何やそれ!てか、さっきから思うけどどうなっとるんそのマント!」
「説明は後。それよりレイス帝国からかっぱらったそれ、まさか!」
「えぇ!リュウヤの見ていた“えいが”の知識でありんすが、ぶち込むでありんす!」
力強く言ったおタツは、素早い判断力でグリスの口部に標準を定め、ドカンと一発お見舞いした。そして、グリスの歯にぶつかると同時に、何も見えなくなるような閃光が走り、同時に熱気も襲ってきた。
『うおぁっ!何なんだコイツは!この緑髪アサシンが、ぶっ殺……す?』
視界を塞ぐ煙を息で吹き消し、尻尾に隠した槍で四人を貫く。
しかし、煙がはけた奥には、彼女達のシンボルカラーの布を巻き付けられた丸太だけが残されており、肝心の本人達はどこにもいなかった。
「まずはコイツだ!アタシの銃弾でも舐めてな!」
メアの掛け声の後、ナノとアリーナは武器を手に取り攻撃を仕掛けた。しかし、グリスはヨダレを垂らしたままわざと攻撃を食らった。効いているのか、撃たれた箇所から不思議な液体が血のように流れ出た。
「んだコイツ、アタシの銃食らってヘラヘラしてやがるぜ。気持ち悪い」
「やはり巨体だからこの程度の傷は針に刺された程度、という事でありんすか」
「じゃとしても、攻撃を続ければ倒す事は可能じゃ!」
「えぇ、次はウチが行くでありんす!」
ナノとアリーナの二人と入れ替わるように、メアはナイフを投げた。更に、おタツも爆散手裏剣で応戦した。
だが、どれだけ血のようなものを流したとしても、グリスは平気な顔をしたまま攻撃をしようとはしなかった。まさか好みの女の子に殺されるのが本望だとでも言うのだろうか。だとしたら馬鹿すぎる。
腐っても奴は罪源の仮面が一柱。女癖が悪くても、そう簡単に命を投げるようなふざけた真似はしないでありんす。
おタツは考えた。するとその時、グリスの足元からシュー、と音を立てながら煙がが上がった。
「わわっ!グリス、何女の子の前で粗相しとんのや!」
「いや、違う。これは……」
『そうさ、オレっちの血は黄金の血。なーんでも溶かす、最強の溶解液なんだぜヒャッホー!』
グリスの言う通り、立ち上がった足元には、溶かされたような跡が残っていた。更に、血の滴り落ちた所が、突然液状化したように溶け出した。
そうか。だからあのクソキツネはアタシの銃弾とか、メイやおりょうのナイフを食らってわざと血を出させたのか。
アリーナはグリスのやり方に気付き、悔しそうに唇を噛んだ。溶解作用のある血液、とどのつまり傷を負えば負うほど逆に相手が有利になっていく。それも、ちょっとでも触れたら即溶けるとなれば、迂闊に近付く事はおろか飛び散らされればお終いだ。
「ナノ、近接は危険じゃ。ここはミサイルで行くぞ!」
「オーケイ!ウチのミサイルが火ぃ吹くで!」
了解したナノは、ハンマーを背中に戻し、早速ミサイルを三発お見舞いした。しかし、グリスは腕から流れる血を撒き散らし、そのミサイルを溶かしてしまった。中から湿った火薬が落ちてくる。
やっぱり予想通りやってきやがった。ミサイルもダメとなると、ナノの使える武器が無くなっちまうじゃあないか。アリーナはマントを弄りつつ様子を伺った。
『予想通りやってきやがった。そこの強気そうな女、思ったな?』
「お、思ってねぇよ!勝手に人の心覗いて……ハッ!」
『それ見ろ!オレっちは心も覗けちゃうんだ、凄いっしょ!……と油断させて』
アリーナは動揺しながらもナノが使えそうだと確信した武器を掴んだ。だがその時、地面の黄金が触手のように動き、アリーナを殴り上げた。
そのせいで、アリーナのマントからいくつか大事な武器が落ちてしまう。
「アリーナ!貴様、何をしたでありんす!」
「ぐっ!テメェら、足元気を付けろ!野郎、血程度の奴じゃあねぇぜ!」
「足元?ナノ、危ない!」
彼女の言う足元を見た時、ナノが立っている付近の金がタコの触手のようになるのが見えた。
その事に気付いたメアは、金の触手にナイフを投げつつ、ナノと共に回避した。
『いっ。へぇ、そこの金髪なかなかやるじゃあないの』
「ナイスだメイ!とにかく使えそうな武器持っていきやがれ!」
「アリリン、メアメア、ほんまおおきに!」
礼を言ったナノは、足元に落ちていたワイヤー付きの双鎌を手に取り、早速振り回してみた。
使い方は全く分からない。でもなんとなくおタツなら使い方を知ってそうな武器。それでもナノは、分からないなりに工夫し、まずは囚われているアリーナの救出を優先した。するとその時、片方の鎌が偶然グリスの爪に当たり、黄金の触手が崩れ落ちた。
「あ、当たった」
『痛ってー!オレっち自慢の極上ネイルが剥がれちまったぜ!』
「イツツ。でもこれで、なんとなくやり方はわかった気がするぜ。ナル、お手柄だ!」
救出されたアリーナは、釣り糸のようなものを使って選ばれなかった武器を回収しつつ、ナノの事を褒めた。
だがその時、ずっとお座り状態のまま動かなかったグリスが突然立ち上がった。しかも、ペストマスクから覗く目は、怒り狂ったかのように充血していた。
「コイツ、本気でありんすよ。はっ、やっ!」
『オレっちの血を食らわないよう、近接から遠距離に変えた事は褒めちゃうぜ。けど!オレっち自慢の爪はどうしてくれんだぁ!?2000年前、最後に創り上げたオレっちの自信作をよぉぉぉ!!こんな異形じゃあ作れない代物なんだよクソアマ共がぁ!』
おタツの苦無をわざと食らいながら、グリスはペストマスクの嘴部分を引き裂くように口を開き、咆哮と共に怒りを露わにした。
攻撃を食らった部位からもそうだが、特に爪からは止め処なくドバドバと血が流れ出ている。しかも、口から垂れる唾液も、溶解作用があるのか滴り落ちた部分が溶けていく。
「どどどどど、どないする!?ウチのせいで怒らせてもうた!」
「落ち着くのじゃナノ。落ち着いて、今のこの地形を把握するのじゃ」
「把握って、どうするつもりなんだ?このまま金じゃねぇ部分に逃げても、あんなクソ巨体じゃあすぐ追いつかれちまうぞ!」
『ンゥ?もしかしてオレっちと鬼ごっこをしたいのかなぁ?イイけど、今のオレっちイライラしちゃってるからさぁ、捕まえたら殺しちゃうかもネ』
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人間は「どうしようかな」と動きを止めている時がチャンスだ。でもそれじゃあダメ。その時に攻撃を仕掛ければ避けられちゃう。だからあえて待つのサ、動いた瞬間に攻撃をされれば、その時こそ本当に何もできないからネ。
グリスは考えながら、ニチャァと気持ち悪く歯を見せる。どれも尖っていて、人を食おうものなら即座に串刺しになりそうに思える。
「そうだ。アリーナ、ちょっとマント見せてもらうでありんす」
「あ、馬鹿お前!勝手に見てんじゃ、あんっそこ触んな!」
突然、おタツは思い付きアリーナのマントに首を突っ込んだ。そして、ガサゴソとゴミを散らかし、バズーカ砲のような超兵器を取り出した。
初めて見る上にそんなあり得ないものまで出てきた事に、ナノとメアは共に目を丸くして驚いた。
「な、何やそれ!てか、さっきから思うけどどうなっとるんそのマント!」
「説明は後。それよりレイス帝国からかっぱらったそれ、まさか!」
「えぇ!リュウヤの見ていた“えいが”の知識でありんすが、ぶち込むでありんす!」
力強く言ったおタツは、素早い判断力でグリスの口部に標準を定め、ドカンと一発お見舞いした。そして、グリスの歯にぶつかると同時に、何も見えなくなるような閃光が走り、同時に熱気も襲ってきた。
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