コピー使いの異世界探検記
第196話 衆怨、襲来
一方その頃、タクマがワトソンの家でゆっくりしている時の事。
「ワト、託の字。酒屋の親父がオニに似てるような奴が来たって話してたが、聞いたか?」
酒瓶の入ったバケットを持って帰って来たロックは、タクマにブドウジュースの瓶を渡しながら教えた。
すると、その話を聞いたワトソンは「それで、何買ってったか聞いた?」と訊く。その問いに対し、ロックはウィスキーと度数の低い酒だ。と落ち着いた声で返した。
「やっぱり」
「やっぱり?どういう事ですか?」
「オニの両親が好きだったお酒の種類だよ。彼は酒屋の常連でね、必ずこの二つを買っていたんだ」
まずい。じゃあつまり、そろそろ奴が来てしまうと言う事じゃあないか。このままではフォーデンで何が起こるか分からない。それも、禁句が故に誰もオニキスが来るなんて知らない以上、被害が出た時取り返しのつかない事になる。
タクマは急いでワトソン宅を飛び出し、メルサバへのワープゲートを開いた。
しかしその時、タクマと入れ替わるようにして、どこかで凄まじい爆発音が鳴り響いた。
【メルサバ】
「皆、大変だ!オニキスが……」
ゲートを通って帰ってきたタクマは、予め集合場所として借りていた空き家の扉を開けた。すると、待っていましたと言わんばかりに、リュウヤが吾朗の王将を取って立ち上がった。
もうすぐ来ると此方も予想していたようで、リラックスの為にゲーム大会をしていたようだ。ただ、何もせず遊んでいたのではなく、しっかりと新品同様の武器も届けられている。
「全く、2話も妾達を待たせおって。ちょっと寂しかったぞ」
「せやでタっくん。ストックだかなんだか知らないけど、ウチらの出番まで9日かかっとるんやで!」
「いやいや知らないから!それ言うなら作者に言って!」
ホントすみません(汗)
と、そんな話はさておき、タクマは早速ワープゲートを扉の前に開き、急ぐよう言った。
「ほれ、タクマの剣。新品同様ピッカピカだぜ」
「それじゃあ、ウチらは先に行くでありんす」
「タクマ殿、事前偵察お疲れ様でござる」
リュウヤは預かっていた剣を肩から下ろし、タクマに渡した。そして、おタツと手を繋ぎ、セメントの残った顔で笑い返し、吾朗はすれ違い様にタッチを交わし、ゲートの奥へ消えた。
それから続いて、メア、ノエル、ナノと出て行く中、部屋の片隅でリオだけが残り誰かを慰めているのが見えた。
「リオさん、どうしたんですかい?」
「タクマ。実はアルビスちゃんが……」
近くに来て見ると、青いドレスを纏った美しい少女が顔を両手で隠してうずくまっていた。それに、アルビスなんて名前聞いたことがない。
そう思い「どちら様?」と声をかけると、彼女は振り返り「アタシだよ馬鹿!」と強めに返した。
アタシ、そしてアルビス……まさか!
「まさか、アリーナ!?」
「そうだよ!文句あっか?」
「文句はないけど、どうして……あ!」
その時、タクマは何故彼女が変装しているのか、その理由を思い出した。彼女もオニキスとまでは行かないが、賞金首だった事を。
しかし今この状況を見るに、少なくともアリーナの身は安全に近い。そう考えたタクマはリオと一緒に背中をさすり「あっちならしばらくアリーナでやれるぜ?」と囁いた。
すると、アルビスは「マジで!?」と胸ぐらを掴んで訊いてきた。
「あ、あぁ。あっちにもっとやべー奴居るから──、ぶへっ!」
「よーし!そうと決まれば出港だ!ほら行くぜ、ヨーソロー!」
事実だと確信したアリーナは、ウィッグとドレスを高速で脱ぎ捨て、投げ飛ばしたタクマを引き連れてゲートを潜っていった。
「お願い。フラッシュの仇を、取って」
【フォーデン】
フォーデンに帰ってくると、そこには限界を迎えたような痛々しい悲鳴が聞こえて来た。燃え盛る業火に逃げ惑う人々。幸い死んでいる人間は見当たらないが、その光景はまさに煉獄そのものだった。息を止めようと、木が焼け焦げるような嫌な臭いが刺激してくる。
その無惨な光景を見て、メア達も息を呑んだ。
「おいおい何だこりゃあ。京都大火篇でも大塩平八郎でもこんなひでー事はしないぜ?」
「タクロー、まさかコレ全部、あの死神がやったって言うんじゃあないよな?」
絶望の表情を浮かべたアリーナは、タクマに訊いた。定かではないが、きっと奴がやったに違いない。そう考えたタクマは、黙って首だけを縦に振った。
「皆さん!安全な場所に逃げてください!」
「ここいらは妾が何とかする!早く!」
「で、でも君達はまだ子供じゃあないか。ほら君も──」
「ええから!とにかく逃げて!」
タクマ達が警戒して武器を取る中、メア、ノエル、ナノの3人は逃げる人々の誘導を進めていた。
すると、そこに現地で待っていたデンジが現れ、タクマに手を振った。
「あ!デンジさん、そちらの状況はどうでありんす?」
「まだ偵察程度だが、犯人がオニキスなのは間違いない。ただ……」
「ただ?何があったでござ──」
吾朗は続きを訊こうと口を開いた。だが、同時に近くで火柱が上がり、話を遮られてしまう。奴がもう近くに来ているようだ。
その場にいた9人は、一斉に音の方を振り返る。
「なっ、嘘……やろ……」
「アレが、オニキス……さん?」
目の前には、オニキスが立っていた。誰がどう見ようと、いつもちょっかいをかけてくる面倒なアイツにしか見えない。しかし、今の彼は何から何まで違った。
禍々しい剣。触るだけで火傷しそうな瘴気。衛星のように飛び回るオーブ。抑えられない怒りが露わになった顔。
例えるならばそう、破壊神や阿修羅のような、人知を超えた危険な存在が、目の前には立っていた。
「オニキス!お前、最強しか狩らないんじゃなかったのか!」
タクマは叫んだ。するとオニキスは、低い声で唸るように「最強狩り?」と呟いた。
「最強狩り?違うなぁ、今の俺は……」
「復讐の死神だ!」
「ワト、託の字。酒屋の親父がオニに似てるような奴が来たって話してたが、聞いたか?」
酒瓶の入ったバケットを持って帰って来たロックは、タクマにブドウジュースの瓶を渡しながら教えた。
すると、その話を聞いたワトソンは「それで、何買ってったか聞いた?」と訊く。その問いに対し、ロックはウィスキーと度数の低い酒だ。と落ち着いた声で返した。
「やっぱり」
「やっぱり?どういう事ですか?」
「オニの両親が好きだったお酒の種類だよ。彼は酒屋の常連でね、必ずこの二つを買っていたんだ」
まずい。じゃあつまり、そろそろ奴が来てしまうと言う事じゃあないか。このままではフォーデンで何が起こるか分からない。それも、禁句が故に誰もオニキスが来るなんて知らない以上、被害が出た時取り返しのつかない事になる。
タクマは急いでワトソン宅を飛び出し、メルサバへのワープゲートを開いた。
しかしその時、タクマと入れ替わるようにして、どこかで凄まじい爆発音が鳴り響いた。
【メルサバ】
「皆、大変だ!オニキスが……」
ゲートを通って帰ってきたタクマは、予め集合場所として借りていた空き家の扉を開けた。すると、待っていましたと言わんばかりに、リュウヤが吾朗の王将を取って立ち上がった。
もうすぐ来ると此方も予想していたようで、リラックスの為にゲーム大会をしていたようだ。ただ、何もせず遊んでいたのではなく、しっかりと新品同様の武器も届けられている。
「全く、2話も妾達を待たせおって。ちょっと寂しかったぞ」
「せやでタっくん。ストックだかなんだか知らないけど、ウチらの出番まで9日かかっとるんやで!」
「いやいや知らないから!それ言うなら作者に言って!」
ホントすみません(汗)
と、そんな話はさておき、タクマは早速ワープゲートを扉の前に開き、急ぐよう言った。
「ほれ、タクマの剣。新品同様ピッカピカだぜ」
「それじゃあ、ウチらは先に行くでありんす」
「タクマ殿、事前偵察お疲れ様でござる」
リュウヤは預かっていた剣を肩から下ろし、タクマに渡した。そして、おタツと手を繋ぎ、セメントの残った顔で笑い返し、吾朗はすれ違い様にタッチを交わし、ゲートの奥へ消えた。
それから続いて、メア、ノエル、ナノと出て行く中、部屋の片隅でリオだけが残り誰かを慰めているのが見えた。
「リオさん、どうしたんですかい?」
「タクマ。実はアルビスちゃんが……」
近くに来て見ると、青いドレスを纏った美しい少女が顔を両手で隠してうずくまっていた。それに、アルビスなんて名前聞いたことがない。
そう思い「どちら様?」と声をかけると、彼女は振り返り「アタシだよ馬鹿!」と強めに返した。
アタシ、そしてアルビス……まさか!
「まさか、アリーナ!?」
「そうだよ!文句あっか?」
「文句はないけど、どうして……あ!」
その時、タクマは何故彼女が変装しているのか、その理由を思い出した。彼女もオニキスとまでは行かないが、賞金首だった事を。
しかし今この状況を見るに、少なくともアリーナの身は安全に近い。そう考えたタクマはリオと一緒に背中をさすり「あっちならしばらくアリーナでやれるぜ?」と囁いた。
すると、アルビスは「マジで!?」と胸ぐらを掴んで訊いてきた。
「あ、あぁ。あっちにもっとやべー奴居るから──、ぶへっ!」
「よーし!そうと決まれば出港だ!ほら行くぜ、ヨーソロー!」
事実だと確信したアリーナは、ウィッグとドレスを高速で脱ぎ捨て、投げ飛ばしたタクマを引き連れてゲートを潜っていった。
「お願い。フラッシュの仇を、取って」
【フォーデン】
フォーデンに帰ってくると、そこには限界を迎えたような痛々しい悲鳴が聞こえて来た。燃え盛る業火に逃げ惑う人々。幸い死んでいる人間は見当たらないが、その光景はまさに煉獄そのものだった。息を止めようと、木が焼け焦げるような嫌な臭いが刺激してくる。
その無惨な光景を見て、メア達も息を呑んだ。
「おいおい何だこりゃあ。京都大火篇でも大塩平八郎でもこんなひでー事はしないぜ?」
「タクロー、まさかコレ全部、あの死神がやったって言うんじゃあないよな?」
絶望の表情を浮かべたアリーナは、タクマに訊いた。定かではないが、きっと奴がやったに違いない。そう考えたタクマは、黙って首だけを縦に振った。
「皆さん!安全な場所に逃げてください!」
「ここいらは妾が何とかする!早く!」
「で、でも君達はまだ子供じゃあないか。ほら君も──」
「ええから!とにかく逃げて!」
タクマ達が警戒して武器を取る中、メア、ノエル、ナノの3人は逃げる人々の誘導を進めていた。
すると、そこに現地で待っていたデンジが現れ、タクマに手を振った。
「あ!デンジさん、そちらの状況はどうでありんす?」
「まだ偵察程度だが、犯人がオニキスなのは間違いない。ただ……」
「ただ?何があったでござ──」
吾朗は続きを訊こうと口を開いた。だが、同時に近くで火柱が上がり、話を遮られてしまう。奴がもう近くに来ているようだ。
その場にいた9人は、一斉に音の方を振り返る。
「なっ、嘘……やろ……」
「アレが、オニキス……さん?」
目の前には、オニキスが立っていた。誰がどう見ようと、いつもちょっかいをかけてくる面倒なアイツにしか見えない。しかし、今の彼は何から何まで違った。
禍々しい剣。触るだけで火傷しそうな瘴気。衛星のように飛び回るオーブ。抑えられない怒りが露わになった顔。
例えるならばそう、破壊神や阿修羅のような、人知を超えた危険な存在が、目の前には立っていた。
「オニキス!お前、最強しか狩らないんじゃなかったのか!」
タクマは叫んだ。するとオニキスは、低い声で唸るように「最強狩り?」と呟いた。
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