コピー使いの異世界探検記
第169話 無常に響く分断の音
「アリリン!アンタが召喚したんやろ!どうにかならへんの!」
「アタシ返す魔法知らないから無理ー!」
「それくらい学習するのじゃ!この馬鹿者ー!」
メアの叫び声が監獄の中に響き渡る。その間、デビルベアはタクマ達を殺そうと襲いかかってくる。
ただ、首がないせいか、手当たり次第に周りのものを破壊して進んでいく。
「びえーん!どうじでごんなごとになっだんでずがぁ!」
「こらノエル、悲しいのは分かるけど人の背中に乗らない!泣きたいのはこっちだよ!」
自然と背中に乗るノエルに対し、タクマは言う。
「そうだタツ、撒菱撒いたらどうにかなるんじゃないの?」
「あっ!その手があったでありんす!さすがお前様」
「おう!そうと決まりゃ、ぶち撒けちゃえ!」
リュウヤは一瞬振り返り、デビルベアに指を差しながら合図を出した。
そして、「発射ー!」の合図で、おタツは撒菱を手に取り、投げた。「鬼はー内!福はー外!」
しかし、パニック状態のため、間違った呪文を唱える。
「や、やりましたか?」
「いや、彼奴の足が硬いせいか、全く効いてないでござる!」
「ほんなら仕方ない!気持ち悪くなるけど、〈だるま落とし〉!」
ナノはハンマーをグルグルと振り回し、デビルベアに対抗するように周りの壁を破壊した。
そして、デビルベアの爪とナノのハンマーがぶつかり合い、衝撃波が発生した。
「ナノナノ!無茶です、戻ってください!」
「待ってノエル。確かに、このまま逃げてばかりじゃ追いつかれるのも時間の問題だ。ここは戦った方がいい」
「けどタクマ、もう二人居ないぜ?」
そう言われてリュウヤを振り返ると、そこには既に二人の姿はなく、代わりに点線だけが置かれていた。
それを見たタクマは、驚きのあまり口を大きく開けて驚いた。
「あーもう!お主らはさっさと行け!ここは妾とナノナノに任せるのじゃ!」
「メア殿!女子二人に任せるなど拙者は反対で──」
「元はと言えば、あんな場所でメガ・ドゥンケルぶっ放した妾のせいでもある。責任くらい、取っても良いじゃろ?」
メアは言い、デビルベアを斬りつける。
そしてその目を見て、タクマは静かに頷いた。「行こう」
「た、タクマさん!」
「早く行くんやノエちん!ウチがチーターに変身すれば、すぐに駆け付けられる」
「ナノ殿、無理と判断すれば、すぐに逃げるでござるよ?」
吾郎は最後に言い、先に走っていった二人を追った。
──一方その頃、先に行ってしまったおタツとアリーナは、あの日の続きを始めるかのように、オーブの取り合いをしていた。
アリーナは紙のような身のこなしでおタツの手を避け、おタツは並走して対抗する。
「ったく、アンタもしつこいねぇ!」
「ウチの事おばさん言った事、年下といえ許しまへん」
「なら勝手に許さなくて結構!コイツはアタシが貰ったんだい!」
二人はバチバチの視線を合わせながら、角を曲がる。
すると、角を曲がった時、向かい側からやってくるタクマ達と出会した。
「あ!居ました!」
「けどこれ、このままだとぶつからね?」
リュウヤの言う通り、二人は全く気付いていない。しかも、その速さは人の足からは想像もできない時速100キロ。当然、ぶつかれば肉片に早変わりだ。
追いかけにきたが、タクマ達は血相を変えて逃げた。
「あれが人の足の本気だと言うでござるか!なんとも面白い!」
「言ってる場合か吾郎爺!」
「うぅ、私もう動けません……」
「仕方ない!ノエちゃん、腹括れ!」
リュウヤはバテて倒れそうになったノエルを担ぎ、全速力で走った。硬い地面に足跡がクッキリと残るように意識し、タクマと吾郎を突き放す速さで先に行く。
しかし、取り残された二人は、後ろから襲ってくる忍と海賊と接触しそうになる。
「うわぁぁぁ!吾郎爺ー!」
「最早、ここまで……」
するとその時、カチン。と映画でカットする際に使われるカチンコが鳴らされるような音が鳴った。
その瞬間、ぶつかる3秒前まで来ていたおタツやアリーナの姿が消え、同時に吾郎とリュウヤ、ノエルまで姿を消した。
「あれ?おーい!吾郎爺ー!リュウヤー!ノエルー!」
タクマは名前を呼んでみた。だが、帰ってくるのは、響いてくる自分の声だけで、誰も返事を返さない。
試しに頬をつねってみるも、痛みがある。故に夢ではない。
そして、その現象はタクマの方だけではなく……
──グルァァァァァ!!
「何じゃこやつ!全く刃が通らぬ!」
「メアメア、硬いならウチに任せるんや!」
ナノは自信満々に、頬の傷の血を拭き取り、デビルベアの甲殻を殴った。
そして、デビルベアの爪をリスに変化して回避し、大人版ナノに姿を変え、更に一撃を加えた。
すると、デビルベアの骨が折れたのか、筋肉質で硬かった腹がでっぷりと出てきた。
「今じゃ喰らえ!《メガ・ドゥンケル》!」
「これで終いや!〈餅つき〉!からのヤマアラシミサイル!」
カチン。
メアとナノが、デビルベアにトドメの一撃を放とうとした時、どこからかカチンコの音が鳴った。すると、デビルベアが目の前から消え、そこにメアとナノだけが取り残された。
「あれ?ウチ、勝ったん?」
「いや、まだトドメは刺せておらぬ。一体これは……」
メアは不思議に思い、先程までデビルベアが立っていた地点を触ってみた。
やはりさっきまで立っていたのは確かで、その証拠にまだ地面に温もりがある。そして、周りもデビルベアが破壊したまま、何も変わっていない。
「メアメア、ウチ怖い」
「安心するのじゃ。妾が手を繋いでやろう」
更にその頃、リュウヤとノエルも、カチンコの音により、二人だけ取り残されてしまった。
後ろを振り返っても、さっきまで居た二人は居ない。居るのはリュウヤとノエルの二人だけ。
「リュウヤさん、どうしました?」
「いや、気のせいだ。気楽に行きましょぜ」
しかし、二人は特に気にすることもなく、ゆっくりと歩き続けた。
またまたその頃、今度は吾郎とおタツがその場に取り残され、アリーナが姿を消した。
「あれ?あの海賊は?」
「おタツ殿、大丈夫でござるか?」
「えぇ。けどこれは一体……」
「アタシ返す魔法知らないから無理ー!」
「それくらい学習するのじゃ!この馬鹿者ー!」
メアの叫び声が監獄の中に響き渡る。その間、デビルベアはタクマ達を殺そうと襲いかかってくる。
ただ、首がないせいか、手当たり次第に周りのものを破壊して進んでいく。
「びえーん!どうじでごんなごとになっだんでずがぁ!」
「こらノエル、悲しいのは分かるけど人の背中に乗らない!泣きたいのはこっちだよ!」
自然と背中に乗るノエルに対し、タクマは言う。
「そうだタツ、撒菱撒いたらどうにかなるんじゃないの?」
「あっ!その手があったでありんす!さすがお前様」
「おう!そうと決まりゃ、ぶち撒けちゃえ!」
リュウヤは一瞬振り返り、デビルベアに指を差しながら合図を出した。
そして、「発射ー!」の合図で、おタツは撒菱を手に取り、投げた。「鬼はー内!福はー外!」
しかし、パニック状態のため、間違った呪文を唱える。
「や、やりましたか?」
「いや、彼奴の足が硬いせいか、全く効いてないでござる!」
「ほんなら仕方ない!気持ち悪くなるけど、〈だるま落とし〉!」
ナノはハンマーをグルグルと振り回し、デビルベアに対抗するように周りの壁を破壊した。
そして、デビルベアの爪とナノのハンマーがぶつかり合い、衝撃波が発生した。
「ナノナノ!無茶です、戻ってください!」
「待ってノエル。確かに、このまま逃げてばかりじゃ追いつかれるのも時間の問題だ。ここは戦った方がいい」
「けどタクマ、もう二人居ないぜ?」
そう言われてリュウヤを振り返ると、そこには既に二人の姿はなく、代わりに点線だけが置かれていた。
それを見たタクマは、驚きのあまり口を大きく開けて驚いた。
「あーもう!お主らはさっさと行け!ここは妾とナノナノに任せるのじゃ!」
「メア殿!女子二人に任せるなど拙者は反対で──」
「元はと言えば、あんな場所でメガ・ドゥンケルぶっ放した妾のせいでもある。責任くらい、取っても良いじゃろ?」
メアは言い、デビルベアを斬りつける。
そしてその目を見て、タクマは静かに頷いた。「行こう」
「た、タクマさん!」
「早く行くんやノエちん!ウチがチーターに変身すれば、すぐに駆け付けられる」
「ナノ殿、無理と判断すれば、すぐに逃げるでござるよ?」
吾郎は最後に言い、先に走っていった二人を追った。
──一方その頃、先に行ってしまったおタツとアリーナは、あの日の続きを始めるかのように、オーブの取り合いをしていた。
アリーナは紙のような身のこなしでおタツの手を避け、おタツは並走して対抗する。
「ったく、アンタもしつこいねぇ!」
「ウチの事おばさん言った事、年下といえ許しまへん」
「なら勝手に許さなくて結構!コイツはアタシが貰ったんだい!」
二人はバチバチの視線を合わせながら、角を曲がる。
すると、角を曲がった時、向かい側からやってくるタクマ達と出会した。
「あ!居ました!」
「けどこれ、このままだとぶつからね?」
リュウヤの言う通り、二人は全く気付いていない。しかも、その速さは人の足からは想像もできない時速100キロ。当然、ぶつかれば肉片に早変わりだ。
追いかけにきたが、タクマ達は血相を変えて逃げた。
「あれが人の足の本気だと言うでござるか!なんとも面白い!」
「言ってる場合か吾郎爺!」
「うぅ、私もう動けません……」
「仕方ない!ノエちゃん、腹括れ!」
リュウヤはバテて倒れそうになったノエルを担ぎ、全速力で走った。硬い地面に足跡がクッキリと残るように意識し、タクマと吾郎を突き放す速さで先に行く。
しかし、取り残された二人は、後ろから襲ってくる忍と海賊と接触しそうになる。
「うわぁぁぁ!吾郎爺ー!」
「最早、ここまで……」
するとその時、カチン。と映画でカットする際に使われるカチンコが鳴らされるような音が鳴った。
その瞬間、ぶつかる3秒前まで来ていたおタツやアリーナの姿が消え、同時に吾郎とリュウヤ、ノエルまで姿を消した。
「あれ?おーい!吾郎爺ー!リュウヤー!ノエルー!」
タクマは名前を呼んでみた。だが、帰ってくるのは、響いてくる自分の声だけで、誰も返事を返さない。
試しに頬をつねってみるも、痛みがある。故に夢ではない。
そして、その現象はタクマの方だけではなく……
──グルァァァァァ!!
「何じゃこやつ!全く刃が通らぬ!」
「メアメア、硬いならウチに任せるんや!」
ナノは自信満々に、頬の傷の血を拭き取り、デビルベアの甲殻を殴った。
そして、デビルベアの爪をリスに変化して回避し、大人版ナノに姿を変え、更に一撃を加えた。
すると、デビルベアの骨が折れたのか、筋肉質で硬かった腹がでっぷりと出てきた。
「今じゃ喰らえ!《メガ・ドゥンケル》!」
「これで終いや!〈餅つき〉!からのヤマアラシミサイル!」
カチン。
メアとナノが、デビルベアにトドメの一撃を放とうとした時、どこからかカチンコの音が鳴った。すると、デビルベアが目の前から消え、そこにメアとナノだけが取り残された。
「あれ?ウチ、勝ったん?」
「いや、まだトドメは刺せておらぬ。一体これは……」
メアは不思議に思い、先程までデビルベアが立っていた地点を触ってみた。
やはりさっきまで立っていたのは確かで、その証拠にまだ地面に温もりがある。そして、周りもデビルベアが破壊したまま、何も変わっていない。
「メアメア、ウチ怖い」
「安心するのじゃ。妾が手を繋いでやろう」
更にその頃、リュウヤとノエルも、カチンコの音により、二人だけ取り残されてしまった。
後ろを振り返っても、さっきまで居た二人は居ない。居るのはリュウヤとノエルの二人だけ。
「リュウヤさん、どうしました?」
「いや、気のせいだ。気楽に行きましょぜ」
しかし、二人は特に気にすることもなく、ゆっくりと歩き続けた。
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