コピー使いの異世界探検記
第148話 甘くほろ苦い恋の味
「さて、そろそろ出てきたらどう?可愛い可愛いネズミちゃん」
その声を聞いたタクマは、瞬時に剣を構え、身を隠していたテーブルを投げ飛ばした。
すると、そこに置かれていた物がまた、ドサドサと落下するような音が鳴った。
「くそっ、バレてたか!」
「こうなれば戦うしかないで!」
「へぇ、勇敢な子ね。私君みたいな子大好きよ。それに、久しぶりね、タクマ君」
アルルはまるで、滅多に会えない親戚と再会したような顔でタクマを見つめる。
それと同時に、タクマも既視感のあるお姉さんの顔を見て思い出した。
ガルキュイで会ったあの女とそっくりなのである。
「アンタまさか、ガルキュイの……」
「あ、覚えててくれたんだ〜!ありがと〜!」
「けどそれとこれとは別だっ!」
タクマは浮かれているアルルに襲いかかった。だがアルルは、生やしたハート型の尻尾を蛇のように使い、剣を防いだ。
引き剥がしてもう一度剣を降るが、全く効果がなかった。
「なんやコイツ!タっくんの剣が効かない!?」
「無駄よ、アタシはこれでもクィーンの座に着く存在。そんなボロっちい剣とハンマーじゃ倒せないわよ」
「タっくん、次はウチが行く!その隙に行ってくれ!」
そう言い、今度はナノが飛びかかった。リーチが大きい分、狭い部屋での戦闘は不利だが、ナノは気にする事なく店のものを壊してまで殴りかかった。
しかし、どれだけ振り回しても、アルルは石像のように、まったく微動だにしなかった。
「無駄だって言ってるでしょ?何で分からないかなぁ」
「それがどうか、まだ分からないからだっ!」
タクマは言い、背中を狙って剣を振る。しかしその時、何故か尻尾から《ウォーター》が飛び出してきた。
タクマは避ける事が出来ず、それを食らい、テーブルの部屋へと投げ飛ばされてしまった。
「ぐはぁっ!」
「タっくん!こうなりゃ奥の手や!」
「奥の手ねぇ、見せてもらおうかしら、シマリスちゃん」
するとナノは、ハンマーをブンブンと振り回しながら、背中に備えていたハリネズミミサイルを放った。
しかしそのミサイルは、アルルだけでなく、店やタクマまでもを襲う。しかも、当のアルルはそれを華麗に避け、全く当たっていない。
その間、タクマはアルルの放った《ウォーター》をコピーし、テーブルの裏に隠れた。
「ナノ!俺まで殺す気か!早くそれ止めて!」
「無理や!一回回転したらウチはすぐには止まれへん!」
「嘘だろおい!」
その間も、ナノは辺りにミサイルをばら撒きながら攻撃を繰り返した。その度に、辺りの壁がガラガラと崩れ落ち、壁に隠されていた物がゴロゴロと落ちてきた。
しかも、その中には、ミイラ化した人間らしき亡骸もあった。
「あらやだ、私のゴミが見つかっちゃった」
「きゃーーーー!」
そのショックで、コマの如く回っていたナノは、一瞬で失神してしまった。
「ナノ!アンタ一体、何なんだそれは!」
瓦礫の上に倒れそうになったナノを手助けしつつ、タクマは訊いた。
するとアルルはフフッと笑い、「サキュバスのご飯、何か知ってるかしら?」と質問を返してきた。
「それは、男の命。このゴミは、命を食べた男の亡骸。お薬で治るらしいけど、これじゃあどうにもならないわ。あの時の刑事さんみたいに、ね」
「刑事……まさかアンタ、ハルトマンさんを……」
「へぇ、ハルトマンって言うんだ。オニキス君名義で嘘の放火の予告状出したらまんまと引っかかって、楽しかったなぁ」
アルルはまるで、愉快犯のような目と口調で嘲笑うように言った。
その事に腹を立てたタクマは、無言で襲いかかる。だが、剣が刺さると思ったら、すぐに殴り返されてしまった。
「何怒ってるの?アンタ達だって、生きる為に命を奪ってるじゃない。もしかして、人間は別とか考えてるの?」
「くっ……こうなったら……」
微かに残る力を集め、タクマはアルルに向けて  《コピー・ウォーター》を放った。
── それと同時刻、リュウヤ達も、怪しい店へと入ったタクマを探しに、路地裏の付近を調査していた。
しかし、何処を探しても、タクマの気配もナノの気配もなく、残された5人はゲートがあった場所で困り果てていた。
「本当にこの辺でありんすか?」
「ここで間違いない筈でござるが……」
「肝心のゲートがないのぅ」
タクマ達が謎の玉から覗いたその時、確かにゲートは開いていた。しかし、今その場所は、ただの壁に変わっている。
するとその時、ノエルと水の力が 《共鳴》を通じて伝わってきた。
「ここです!やっぱりこの中です!」
「分かるのか?ノエちゃん!」
「ならここは、拙者に任せるでござる!」
そう言うと吾郎は、得意の抜刀術で、壁を斬り裂いた。そして、刀を鞘に戻すと同時に、壁はまるでこんにゃくの様に滑らかに切れていった。
すると、その奥にあった空間で、何事かとフリーズするタクマと、アルルの姿が現れた。
「タクマ、ナノちゃん!無事か!」
「あらあらお仲間が来ちゃったみたいね」
「さて、悪事もここまでじゃぞ!この泥棒猫!」
「さっさとオーブ、寄越すでありんす」
メアとおタツは、ナイフと苦無を構え、アルルの前に立ちはだかる。
だがアルルは、そんな彼らに見向きもせず、悪魔のような翼を生やし、空へと逃げていった。
「ま……待て……」
「6対1は卑怯でしょ?だからアルルちゃん、帰りまーす!」
アルルは、そう言い残し、空へと飛び去ってしまった。
それと同時に、タクマも戦いの疲れにより、フラフラと倒れかける。
「もう、本当に無茶しちゃうんですから」
「とにかく今はタクマ殿とナノ殿を休ませるのが先決でござる」
「だな。タクマ、痛いかもしれねぇが、腹括れよ」
リュウヤは言い、メア達と共にタクマを城へと運んで行った。
その声を聞いたタクマは、瞬時に剣を構え、身を隠していたテーブルを投げ飛ばした。
すると、そこに置かれていた物がまた、ドサドサと落下するような音が鳴った。
「くそっ、バレてたか!」
「こうなれば戦うしかないで!」
「へぇ、勇敢な子ね。私君みたいな子大好きよ。それに、久しぶりね、タクマ君」
アルルはまるで、滅多に会えない親戚と再会したような顔でタクマを見つめる。
それと同時に、タクマも既視感のあるお姉さんの顔を見て思い出した。
ガルキュイで会ったあの女とそっくりなのである。
「アンタまさか、ガルキュイの……」
「あ、覚えててくれたんだ〜!ありがと〜!」
「けどそれとこれとは別だっ!」
タクマは浮かれているアルルに襲いかかった。だがアルルは、生やしたハート型の尻尾を蛇のように使い、剣を防いだ。
引き剥がしてもう一度剣を降るが、全く効果がなかった。
「なんやコイツ!タっくんの剣が効かない!?」
「無駄よ、アタシはこれでもクィーンの座に着く存在。そんなボロっちい剣とハンマーじゃ倒せないわよ」
「タっくん、次はウチが行く!その隙に行ってくれ!」
そう言い、今度はナノが飛びかかった。リーチが大きい分、狭い部屋での戦闘は不利だが、ナノは気にする事なく店のものを壊してまで殴りかかった。
しかし、どれだけ振り回しても、アルルは石像のように、まったく微動だにしなかった。
「無駄だって言ってるでしょ?何で分からないかなぁ」
「それがどうか、まだ分からないからだっ!」
タクマは言い、背中を狙って剣を振る。しかしその時、何故か尻尾から《ウォーター》が飛び出してきた。
タクマは避ける事が出来ず、それを食らい、テーブルの部屋へと投げ飛ばされてしまった。
「ぐはぁっ!」
「タっくん!こうなりゃ奥の手や!」
「奥の手ねぇ、見せてもらおうかしら、シマリスちゃん」
するとナノは、ハンマーをブンブンと振り回しながら、背中に備えていたハリネズミミサイルを放った。
しかしそのミサイルは、アルルだけでなく、店やタクマまでもを襲う。しかも、当のアルルはそれを華麗に避け、全く当たっていない。
その間、タクマはアルルの放った《ウォーター》をコピーし、テーブルの裏に隠れた。
「ナノ!俺まで殺す気か!早くそれ止めて!」
「無理や!一回回転したらウチはすぐには止まれへん!」
「嘘だろおい!」
その間も、ナノは辺りにミサイルをばら撒きながら攻撃を繰り返した。その度に、辺りの壁がガラガラと崩れ落ち、壁に隠されていた物がゴロゴロと落ちてきた。
しかも、その中には、ミイラ化した人間らしき亡骸もあった。
「あらやだ、私のゴミが見つかっちゃった」
「きゃーーーー!」
そのショックで、コマの如く回っていたナノは、一瞬で失神してしまった。
「ナノ!アンタ一体、何なんだそれは!」
瓦礫の上に倒れそうになったナノを手助けしつつ、タクマは訊いた。
するとアルルはフフッと笑い、「サキュバスのご飯、何か知ってるかしら?」と質問を返してきた。
「それは、男の命。このゴミは、命を食べた男の亡骸。お薬で治るらしいけど、これじゃあどうにもならないわ。あの時の刑事さんみたいに、ね」
「刑事……まさかアンタ、ハルトマンさんを……」
「へぇ、ハルトマンって言うんだ。オニキス君名義で嘘の放火の予告状出したらまんまと引っかかって、楽しかったなぁ」
アルルはまるで、愉快犯のような目と口調で嘲笑うように言った。
その事に腹を立てたタクマは、無言で襲いかかる。だが、剣が刺さると思ったら、すぐに殴り返されてしまった。
「何怒ってるの?アンタ達だって、生きる為に命を奪ってるじゃない。もしかして、人間は別とか考えてるの?」
「くっ……こうなったら……」
微かに残る力を集め、タクマはアルルに向けて  《コピー・ウォーター》を放った。
── それと同時刻、リュウヤ達も、怪しい店へと入ったタクマを探しに、路地裏の付近を調査していた。
しかし、何処を探しても、タクマの気配もナノの気配もなく、残された5人はゲートがあった場所で困り果てていた。
「本当にこの辺でありんすか?」
「ここで間違いない筈でござるが……」
「肝心のゲートがないのぅ」
タクマ達が謎の玉から覗いたその時、確かにゲートは開いていた。しかし、今その場所は、ただの壁に変わっている。
するとその時、ノエルと水の力が 《共鳴》を通じて伝わってきた。
「ここです!やっぱりこの中です!」
「分かるのか?ノエちゃん!」
「ならここは、拙者に任せるでござる!」
そう言うと吾郎は、得意の抜刀術で、壁を斬り裂いた。そして、刀を鞘に戻すと同時に、壁はまるでこんにゃくの様に滑らかに切れていった。
すると、その奥にあった空間で、何事かとフリーズするタクマと、アルルの姿が現れた。
「タクマ、ナノちゃん!無事か!」
「あらあらお仲間が来ちゃったみたいね」
「さて、悪事もここまでじゃぞ!この泥棒猫!」
「さっさとオーブ、寄越すでありんす」
メアとおタツは、ナイフと苦無を構え、アルルの前に立ちはだかる。
だがアルルは、そんな彼らに見向きもせず、悪魔のような翼を生やし、空へと逃げていった。
「ま……待て……」
「6対1は卑怯でしょ?だからアルルちゃん、帰りまーす!」
アルルは、そう言い残し、空へと飛び去ってしまった。
それと同時に、タクマも戦いの疲れにより、フラフラと倒れかける。
「もう、本当に無茶しちゃうんですから」
「とにかく今はタクマ殿とナノ殿を休ませるのが先決でござる」
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