コピー使いの異世界探検記
第132話 新たな旅路の計画を
それから一晩宿屋で一泊し、今日は会議をした後に1日観光をする事とした。
そして、朝食時。タクマだけは、荷物をまとめると言って部屋に残り、宿屋一階に備えられた台所を使い、他の6人は食事をする事にした。
「こ、こんなに沢山……全部、ウチらが食べてええんやろ?」
「あぁ、剣崎特製・和の朝食!特に今日の魚は銀鱈に似てる食感の魚を使った奴だ!遠慮せず食いやがれ!」
リュウヤの勢いに乗った吾郎とナノは、「いっただっきまーす!」と席についた。後から、4人も席につく。
「うむ!この骨を気にすることなく味わえる魚、リュウヤ殿のお祖父様特製の味噌汁、そしてさっぱりとした、たくあんと米!食べている筈なのに、だんだん腹が減るでござる!」
吾郎はいつも通り、あまりの美味さに感激した。茶碗から飛び出た山盛りご飯を平らげると、最初から入っていなかったかの如く「おかわり!」と、リュウヤにお椀を渡した。
その様子を見て、メアとノエルは「あの爺さんよく食うなぁ」と横目に見つつ、呑気に味噌汁を飲んだ。
「うわぁ!ねぇリューくん、この白いのと葉っぱと緑のウニョウニョしたのは何や?」
「それははんぺん、豆苗、わかめだ。それ食えば髪がサラサラになるから、レディ達にはちょっと多めに入れたぜ」
「髪がサラサラに……リュウヤさん!私にもそのサラサラください!」
「あいよ、サラサラ一丁!」
「ずるい!妾にもサラサラを寄越すのじゃ!」
「かしこまりぃ!」
リュウヤは、勢いのいい寿司職人のような素早さで、ノエルとメアのお椀にワカメ多めの味噌汁を注ぎ込んだ。
「朝なのにこんなに騒いじゃって。まあ、賑やかなのは良い事でありんすな」
「せやなタツ姐!じー……」
「あらナノナノ、このたくあん欲しくって?」
そう訊くと、ナノは目をキラキラと光らせ、首が飛び跳ねる勢いで縦に振った。首を振るナノに、おタツがたくあんを渡そうとしたその時。
「ああああああ!!」
宿屋が揺れるほどの大きな声が響き渡った。タクマの残っている部屋の方からだ。まさかとんでもない事件が起きたのだろうか。
急いで駆けつけようと、6人は残った朝食を全て胃に流し込み、タクマが居る部屋へと向かった。
「タッくん!何があったんや!」
「敵襲でござるか!?」
ナノと吾郎は、自慢の武器をすぐに取り出せるように構え、扉を開ける。
するとそこには、「ない!ない!」と血眼になって何かを探すタクマの姿があった。
「タクマ、何しておるのじゃ?」
「ないんだ!ないんだよぉ!」
「な、何がないでありんす?」
「地図が、地図がない!そんでもって、代わりにこれが……」
慌てるタクマは、四つ折りに折られた紙をメア達に渡す。
そこには、『まず手始めに、お前らの大事な地図を奪ってやった。ざまーみろ オニキス』と綺麗な字で書かれていた。しかも、オニキスの名前の横には、舌を出して煽っているような長髪の何かが描かれていた。ただ、それだけは何故か、絶望的に下手くそな絵だった。
「折角盗みをするなら普通オーブとか盗むだろ」
「それに、地図なんて買えばいくらでもあるやん」
ナノの冷静な一言に、タクマは我を取り戻し「あ、そうか!」と、「その発想はなかった!」と言わんばかりに納得の声を出した。
ただ、そんな中、メアだけは思った。
(もしかしてあの女もどき、バカ?)
……それからどしたの。と場面は変わり、タクマ達は道具屋で新しい地図を買った。何でオーブを奪わなかったのか、それは分からないが、とにかく奴が一生懸命になって迷惑をかけていると言うことは分かった。むしろ、笑えてくる。
「さーてと、アコンダリア近くだと、どこがいいだろ」
「お前様、そんなに顔を出されたら、つむじしか見えないでありんすよ」
タクマ達は、カフェ・ボルゾックの外庭で、コーヒーを嗜みながら、次の目的地を決めようとしていた。
「アコンダリアと言えば、この近くにアルゴの姉妹国、メルサバがあるぞ」
「鯖の街でござるか?」
「ちゃうわ、ピンクとかを基調とした民家が立ち並ぶ、ファンシーな国やろ?はぁ、ずっと、コソ泥生活しなくなったら行きたい思うてたんや」
「あらあら、そんなにヨダレなんか垂らして、美味しいものでもあるでありんすか?」
「はい。丁度雑誌コーナーに置いてあった観光の勧めによると、そのピンク色の民家を模した『ハウスケーキ』と言うものが大変おいしいとお薦めされています」
その話を聞き、タクマはうんうんと頷いた。そして、それがどの辺りにあるのか、どれほど遠いのか、指で大まかな距離を計測した。
メルサバは、ここアコンダリアから北西、ダリア平原、クリミア村を抜けた先にあると言う事が分かった。
「ようし!なら、クリミア村で一泊して、そのままメルサバにレッツらゴーや!」
ナノはケーキの事しか頭にないのか、小さな体で元気よく飛び跳ね、決まったかのように喜んだ。
しかし、タクマに頭を撫でられながら「いや、まだ決まってないよ」と言われ、口をぷくぅと膨らませた。
「ごめんなナノナノ。俺らの目的はオーブ集めて魔王倒す事だからさ、観光とはちょっと違うのよ」
「ま、タクマにかかれば、一度行った事のある所へは行けるし、タクマだけそこに放り投げればいつでも行けるぞ?」
「こら、ナノに変な事吹き込まない」
タクマは、冷静にツッコミを入れてから、コーヒーを飲む。この薄味がクセになる。
そうどことなく格好つけていると、ノエルが「あれ?」と声を上げた。
「おろ?拙者達に何か御用でござるか?」
「オーブ、返して。」
振り返ると、そこには女王様のような、目だけの仮面を被った黄色目の少女、フローラが、手を差し出して言った。
勿論、いきなりそんな事を言われたタクマ達は、一瞬硬直した後に「え?」と困惑の声を溢す。
「そのオーブは私達のもの。だから返せ」
「……てんでわからない。君は一体どこのドイツなんだい?」
誰だか分からないため、リュウヤは優しく声をかけてみた。しかし、少女は理由を話す訳でもなく、早く寄越せと手を出すばかりだった。
だんだん辺りの空気が悪くなってくる。吾郎に関しては、てきとはんだんしたのか、剣に手をかけている。それをノエルが優しく別の場所に置き換える。
「まーまーまーまー。ほら、ウチのおやつあげるから、喧嘩はめっ!やで」
「いらない」
「ガッ……」
ナノはポケットからおやつを取り出そうとしたが、何が出てくるか見るまでもなく、少女は即答した。
「な、何でや!どんぐりじゃダメなん?」
「ナノナノ、人間はどんぐり食べないぞ」
「そ、そうなん?中のむ……」
「それ以上はダメだナノナノ」
何かマズイ事を言いそうになってる。そう勘付いたリュウヤは、咄嗟にナノに言う。
「はぁ、やっぱり気付かないんだ。メアちゃん」
「メアちゃんメアちゃんって、妾はお主の事……お主の……」
メアは、仮面を外す少女の目をじーっと見て、本当に面識がないかどうか確かめる。
そして、黄色い目と赤い目が合わさりそうなくらい近付いた時、メアは「あーーー!」と叫んだ。
「メア殿、どうしたでござるか?」
「ま、まさか……リオちゃん!?」
そして、朝食時。タクマだけは、荷物をまとめると言って部屋に残り、宿屋一階に備えられた台所を使い、他の6人は食事をする事にした。
「こ、こんなに沢山……全部、ウチらが食べてええんやろ?」
「あぁ、剣崎特製・和の朝食!特に今日の魚は銀鱈に似てる食感の魚を使った奴だ!遠慮せず食いやがれ!」
リュウヤの勢いに乗った吾郎とナノは、「いっただっきまーす!」と席についた。後から、4人も席につく。
「うむ!この骨を気にすることなく味わえる魚、リュウヤ殿のお祖父様特製の味噌汁、そしてさっぱりとした、たくあんと米!食べている筈なのに、だんだん腹が減るでござる!」
吾郎はいつも通り、あまりの美味さに感激した。茶碗から飛び出た山盛りご飯を平らげると、最初から入っていなかったかの如く「おかわり!」と、リュウヤにお椀を渡した。
その様子を見て、メアとノエルは「あの爺さんよく食うなぁ」と横目に見つつ、呑気に味噌汁を飲んだ。
「うわぁ!ねぇリューくん、この白いのと葉っぱと緑のウニョウニョしたのは何や?」
「それははんぺん、豆苗、わかめだ。それ食えば髪がサラサラになるから、レディ達にはちょっと多めに入れたぜ」
「髪がサラサラに……リュウヤさん!私にもそのサラサラください!」
「あいよ、サラサラ一丁!」
「ずるい!妾にもサラサラを寄越すのじゃ!」
「かしこまりぃ!」
リュウヤは、勢いのいい寿司職人のような素早さで、ノエルとメアのお椀にワカメ多めの味噌汁を注ぎ込んだ。
「朝なのにこんなに騒いじゃって。まあ、賑やかなのは良い事でありんすな」
「せやなタツ姐!じー……」
「あらナノナノ、このたくあん欲しくって?」
そう訊くと、ナノは目をキラキラと光らせ、首が飛び跳ねる勢いで縦に振った。首を振るナノに、おタツがたくあんを渡そうとしたその時。
「ああああああ!!」
宿屋が揺れるほどの大きな声が響き渡った。タクマの残っている部屋の方からだ。まさかとんでもない事件が起きたのだろうか。
急いで駆けつけようと、6人は残った朝食を全て胃に流し込み、タクマが居る部屋へと向かった。
「タッくん!何があったんや!」
「敵襲でござるか!?」
ナノと吾郎は、自慢の武器をすぐに取り出せるように構え、扉を開ける。
するとそこには、「ない!ない!」と血眼になって何かを探すタクマの姿があった。
「タクマ、何しておるのじゃ?」
「ないんだ!ないんだよぉ!」
「な、何がないでありんす?」
「地図が、地図がない!そんでもって、代わりにこれが……」
慌てるタクマは、四つ折りに折られた紙をメア達に渡す。
そこには、『まず手始めに、お前らの大事な地図を奪ってやった。ざまーみろ オニキス』と綺麗な字で書かれていた。しかも、オニキスの名前の横には、舌を出して煽っているような長髪の何かが描かれていた。ただ、それだけは何故か、絶望的に下手くそな絵だった。
「折角盗みをするなら普通オーブとか盗むだろ」
「それに、地図なんて買えばいくらでもあるやん」
ナノの冷静な一言に、タクマは我を取り戻し「あ、そうか!」と、「その発想はなかった!」と言わんばかりに納得の声を出した。
ただ、そんな中、メアだけは思った。
(もしかしてあの女もどき、バカ?)
……それからどしたの。と場面は変わり、タクマ達は道具屋で新しい地図を買った。何でオーブを奪わなかったのか、それは分からないが、とにかく奴が一生懸命になって迷惑をかけていると言うことは分かった。むしろ、笑えてくる。
「さーてと、アコンダリア近くだと、どこがいいだろ」
「お前様、そんなに顔を出されたら、つむじしか見えないでありんすよ」
タクマ達は、カフェ・ボルゾックの外庭で、コーヒーを嗜みながら、次の目的地を決めようとしていた。
「アコンダリアと言えば、この近くにアルゴの姉妹国、メルサバがあるぞ」
「鯖の街でござるか?」
「ちゃうわ、ピンクとかを基調とした民家が立ち並ぶ、ファンシーな国やろ?はぁ、ずっと、コソ泥生活しなくなったら行きたい思うてたんや」
「あらあら、そんなにヨダレなんか垂らして、美味しいものでもあるでありんすか?」
「はい。丁度雑誌コーナーに置いてあった観光の勧めによると、そのピンク色の民家を模した『ハウスケーキ』と言うものが大変おいしいとお薦めされています」
その話を聞き、タクマはうんうんと頷いた。そして、それがどの辺りにあるのか、どれほど遠いのか、指で大まかな距離を計測した。
メルサバは、ここアコンダリアから北西、ダリア平原、クリミア村を抜けた先にあると言う事が分かった。
「ようし!なら、クリミア村で一泊して、そのままメルサバにレッツらゴーや!」
ナノはケーキの事しか頭にないのか、小さな体で元気よく飛び跳ね、決まったかのように喜んだ。
しかし、タクマに頭を撫でられながら「いや、まだ決まってないよ」と言われ、口をぷくぅと膨らませた。
「ごめんなナノナノ。俺らの目的はオーブ集めて魔王倒す事だからさ、観光とはちょっと違うのよ」
「ま、タクマにかかれば、一度行った事のある所へは行けるし、タクマだけそこに放り投げればいつでも行けるぞ?」
「こら、ナノに変な事吹き込まない」
タクマは、冷静にツッコミを入れてから、コーヒーを飲む。この薄味がクセになる。
そうどことなく格好つけていると、ノエルが「あれ?」と声を上げた。
「おろ?拙者達に何か御用でござるか?」
「オーブ、返して。」
振り返ると、そこには女王様のような、目だけの仮面を被った黄色目の少女、フローラが、手を差し出して言った。
勿論、いきなりそんな事を言われたタクマ達は、一瞬硬直した後に「え?」と困惑の声を溢す。
「そのオーブは私達のもの。だから返せ」
「……てんでわからない。君は一体どこのドイツなんだい?」
誰だか分からないため、リュウヤは優しく声をかけてみた。しかし、少女は理由を話す訳でもなく、早く寄越せと手を出すばかりだった。
だんだん辺りの空気が悪くなってくる。吾郎に関しては、てきとはんだんしたのか、剣に手をかけている。それをノエルが優しく別の場所に置き換える。
「まーまーまーまー。ほら、ウチのおやつあげるから、喧嘩はめっ!やで」
「いらない」
「ガッ……」
ナノはポケットからおやつを取り出そうとしたが、何が出てくるか見るまでもなく、少女は即答した。
「な、何でや!どんぐりじゃダメなん?」
「ナノナノ、人間はどんぐり食べないぞ」
「そ、そうなん?中のむ……」
「それ以上はダメだナノナノ」
何かマズイ事を言いそうになってる。そう勘付いたリュウヤは、咄嗟にナノに言う。
「はぁ、やっぱり気付かないんだ。メアちゃん」
「メアちゃんメアちゃんって、妾はお主の事……お主の……」
メアは、仮面を外す少女の目をじーっと見て、本当に面識がないかどうか確かめる。
そして、黄色い目と赤い目が合わさりそうなくらい近付いた時、メアは「あーーー!」と叫んだ。
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