コピー使いの異世界探検記
第128話 約束!最強狩りの死神
『皆さまお待たせいたしました!これよりアコンダリア武闘会の最終決戦!決勝戦を開催いたします!なお、勝者が決まった数時間後、表彰式に移ります』
これから最後の戦いが始まる。相手はオニキス。メアとリュウヤを退けた最強狩りの死神。
何としてでも倒さねばならない。
そう思っていても、心のどこかに、奴の必殺技、〈クリムゾン・クロー〉を怖がる自分が居る。怖い。
「けど、今更逃げる訳にはいかない。あんなに期待されて、信頼されて見送られたんだから」
タクマは、声に出して弱気になりかけていた心に言い聞かせた。顔を合わせることのできた8人だけでなく、特別ゲストのノブナガまで応援してくれたのだ。
死神が怖くて、何が冒険家だ。
その思いを胸に、タクマは開かれる門へと向かった。
『まずは皆様お待ちかね!謎多きコピー使いの少年タクマ選手!オニキスの技をコピーして、最強狩りの死神の称号を奪い取るのかぁ!!』
「タクマー!やってやれー!」
「タクマさん!頑張ってください!」
「皆……」
後ろを振り返ると、そこには小さいが、立ち上がり、周りに負けない声量で応援しているメア達の姿があった。
もうここまで必死に応援されたら、負ける気がしなくなってくる。
すると、向かい側の門が開き、奥から例の死神が現れた。
『対するは今大会のダークホース!首に300万ゼルンの懸賞金を掛けられた最強狩りの死神、オニキス!剣対剣のバトルに打ち勝ち、またしても最強狩りの称号を防衛するかぁぁぁ!!』
「よぉ、昨日ぶりだな、タクマ」
オニキスは、タクマの顔を見るなり、ニヤリと笑う。昨日は顔を合わせていなかったが、大和で再開した時よりもたくましい顔つきになっている。
やはり、長い武闘会の中でここまで生き残った故だろうか。
「お前、あの異世界みたいな国で言った約束、覚えてるか?」
「約束……?」
「はぁ。やっぱ気絶する直前だったから聞き落としてたか。次会った時は、手加減無しでやらせてもらう、ってな」
そう言うと、オニキスは剣を引き抜いた。今までの舐めプとは違い、記憶にはないが、大和で言った約束通りに、最初から本気で来るようだ。
タクマも、オニキスが剣を構えた後、すぐに剣を抜いた。
「ほぉ、それがお前の剣か。確かその白い奴、マジッカーだったか?」
「ケンさんが特別にサービスしてくれたんだ」
「ま、そんなのをお前が使っても、宝の持ち腐れだがな」
一々腹の立つ事を言いやがる。だが、倒してしまえば減らず口も叩けなくなる。
「おい!さっさとゴングを鳴らせ!始めるぞ!」
『は、はい!それでは決勝戦、開始!』
実況がそう言った瞬間、ゴングが鳴り響いた。それと同時に、オニキスは襲いかかってきた。
先制は与えない。それが、力強さと強く見開いた目から読み取れた。
強い。そして、速い。だが、思い出せ。ここまで戦ってきた全てをぶつけるんだ。
「はぁっ!」
「何っ!?」
「まだまだぁ!」
オニキスの剣を押し返したタクマは、その隙に剣を振り、互角の押し合いへと持っていく。
そして、両者は、全力で剣を振り合う。その度に、力強い金属音が鳴り、辺りに火花が飛び散った。
「テメェ、強くなったじゃねぇか。俺が睨んだ通りだ」
「そりゃどうもな!」
「だが、まだ足りん!」
鍔迫り合いになっている状態から、オニキスは時空を歪める波動でタクマの動きを鈍らせ、その隙に斬撃でタクマを跳ね飛ばした。
しかし、タクマはしぶとく、地面に剣を突き立て、またすぐに帰って来た。クリムゾン・クローを放つ為には一定の距離、そして数秒の時間を要する。だが、すぐに帰って来られてはそんな時間はない。
(昨日の野郎と言いコイツといい、一体何者なんだ)
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
(クソッ!よりにもよって、何故未熟者に押させるんだ!)
オニキスは、心の中で焦っていた。タクマには、もう既に波動で手は打った筈。なのに、まるでそれが効いてないかのように動いている。いや、それを食らったから、返って速く動いている。
ほぼ数日前までは、隙しかない冴えないガキだった存在が、今では自分と互角の勝負ができる存在になってここに居る。その事実に、驚きを隠せないでいた。
「楽しい。楽しいぞ!俺をここまで追い込んだ奴は、昨日のアイツしか居なかったからなぁ!」
「昨日……っ!?」
その時、タクマは昨日、病室でリュウヤと話をした時の事を思い出した。そして、リュウヤと交わした約束が、脳内で再生される。
『仇は俺が取る』
自分が言ったその約束が、無意識に体を動かす神経に火をつけた。
「親友の仇、か」
「あぁ!アイツと、あの子と交わしたんだ!絶対に勝って帰るって!だから、倒させてもらう!」
「テメェの約束なんて知るか!これでも食いやがれ!」
押しつつあったタクマは、気持ちを賭けた一撃を放つ。だが、オニキスの剣は、その一撃を打ち返し、タクマを遠くへと飛ばした。
マズい。このままでは、あの技を食らってしまう。立ち上がっても避けられる気がしない。考えろ、何か策がある筈だ。
だが、考える暇もなく、オニキスは力を溜め終えてしまった。
「終わりだ!〈クリムゾン・クロー〉!」
「っ……」
タクマは、約束を破りたくないと言う思いから、死ぬ覚悟を決め、全身全霊を持って立ち上がろうとする。
しかしその間も、オニキスの斬撃は、待ってはくれなかった。
「タクマァァァァァァァ!!」
メアの叫び声が、会場中に響き渡る。
「オーブは!俺のものだぁ!」
これから最後の戦いが始まる。相手はオニキス。メアとリュウヤを退けた最強狩りの死神。
何としてでも倒さねばならない。
そう思っていても、心のどこかに、奴の必殺技、〈クリムゾン・クロー〉を怖がる自分が居る。怖い。
「けど、今更逃げる訳にはいかない。あんなに期待されて、信頼されて見送られたんだから」
タクマは、声に出して弱気になりかけていた心に言い聞かせた。顔を合わせることのできた8人だけでなく、特別ゲストのノブナガまで応援してくれたのだ。
死神が怖くて、何が冒険家だ。
その思いを胸に、タクマは開かれる門へと向かった。
『まずは皆様お待ちかね!謎多きコピー使いの少年タクマ選手!オニキスの技をコピーして、最強狩りの死神の称号を奪い取るのかぁ!!』
「タクマー!やってやれー!」
「タクマさん!頑張ってください!」
「皆……」
後ろを振り返ると、そこには小さいが、立ち上がり、周りに負けない声量で応援しているメア達の姿があった。
もうここまで必死に応援されたら、負ける気がしなくなってくる。
すると、向かい側の門が開き、奥から例の死神が現れた。
『対するは今大会のダークホース!首に300万ゼルンの懸賞金を掛けられた最強狩りの死神、オニキス!剣対剣のバトルに打ち勝ち、またしても最強狩りの称号を防衛するかぁぁぁ!!』
「よぉ、昨日ぶりだな、タクマ」
オニキスは、タクマの顔を見るなり、ニヤリと笑う。昨日は顔を合わせていなかったが、大和で再開した時よりもたくましい顔つきになっている。
やはり、長い武闘会の中でここまで生き残った故だろうか。
「お前、あの異世界みたいな国で言った約束、覚えてるか?」
「約束……?」
「はぁ。やっぱ気絶する直前だったから聞き落としてたか。次会った時は、手加減無しでやらせてもらう、ってな」
そう言うと、オニキスは剣を引き抜いた。今までの舐めプとは違い、記憶にはないが、大和で言った約束通りに、最初から本気で来るようだ。
タクマも、オニキスが剣を構えた後、すぐに剣を抜いた。
「ほぉ、それがお前の剣か。確かその白い奴、マジッカーだったか?」
「ケンさんが特別にサービスしてくれたんだ」
「ま、そんなのをお前が使っても、宝の持ち腐れだがな」
一々腹の立つ事を言いやがる。だが、倒してしまえば減らず口も叩けなくなる。
「おい!さっさとゴングを鳴らせ!始めるぞ!」
『は、はい!それでは決勝戦、開始!』
実況がそう言った瞬間、ゴングが鳴り響いた。それと同時に、オニキスは襲いかかってきた。
先制は与えない。それが、力強さと強く見開いた目から読み取れた。
強い。そして、速い。だが、思い出せ。ここまで戦ってきた全てをぶつけるんだ。
「はぁっ!」
「何っ!?」
「まだまだぁ!」
オニキスの剣を押し返したタクマは、その隙に剣を振り、互角の押し合いへと持っていく。
そして、両者は、全力で剣を振り合う。その度に、力強い金属音が鳴り、辺りに火花が飛び散った。
「テメェ、強くなったじゃねぇか。俺が睨んだ通りだ」
「そりゃどうもな!」
「だが、まだ足りん!」
鍔迫り合いになっている状態から、オニキスは時空を歪める波動でタクマの動きを鈍らせ、その隙に斬撃でタクマを跳ね飛ばした。
しかし、タクマはしぶとく、地面に剣を突き立て、またすぐに帰って来た。クリムゾン・クローを放つ為には一定の距離、そして数秒の時間を要する。だが、すぐに帰って来られてはそんな時間はない。
(昨日の野郎と言いコイツといい、一体何者なんだ)
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
(クソッ!よりにもよって、何故未熟者に押させるんだ!)
オニキスは、心の中で焦っていた。タクマには、もう既に波動で手は打った筈。なのに、まるでそれが効いてないかのように動いている。いや、それを食らったから、返って速く動いている。
ほぼ数日前までは、隙しかない冴えないガキだった存在が、今では自分と互角の勝負ができる存在になってここに居る。その事実に、驚きを隠せないでいた。
「楽しい。楽しいぞ!俺をここまで追い込んだ奴は、昨日のアイツしか居なかったからなぁ!」
「昨日……っ!?」
その時、タクマは昨日、病室でリュウヤと話をした時の事を思い出した。そして、リュウヤと交わした約束が、脳内で再生される。
『仇は俺が取る』
自分が言ったその約束が、無意識に体を動かす神経に火をつけた。
「親友の仇、か」
「あぁ!アイツと、あの子と交わしたんだ!絶対に勝って帰るって!だから、倒させてもらう!」
「テメェの約束なんて知るか!これでも食いやがれ!」
押しつつあったタクマは、気持ちを賭けた一撃を放つ。だが、オニキスの剣は、その一撃を打ち返し、タクマを遠くへと飛ばした。
マズい。このままでは、あの技を食らってしまう。立ち上がっても避けられる気がしない。考えろ、何か策がある筈だ。
だが、考える暇もなく、オニキスは力を溜め終えてしまった。
「終わりだ!〈クリムゾン・クロー〉!」
「っ……」
タクマは、約束を破りたくないと言う思いから、死ぬ覚悟を決め、全身全霊を持って立ち上がろうとする。
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