コピー使いの異世界探検記
第107話 衝撃!リス娘の秘密
「吾郎爺、わざと負けた?」
そう訊いた瞬間、リュウヤの周りの空間が一瞬、凍りつくように止まる。
すると、その話を聞いたノエルが立ち上がった。
「リュウヤさん!吾郎爺だって頑張ってくれてるのに、何ですかその言い方は!」
「ノエル、気持ちは分かるけど落ち着いてくれ。心ない言葉かもしれないけど……」
タクマに止められ、不服そうにしながらではあるが、ノエルは落ち着いて座った。
そして、リュウヤはノエルに「ごめん」と言い、話を続けた。
「吾郎爺、教えてくれ。何か、理由があるんだろ?」
「……カッカッカ。リュウヤ殿に隠し事はできないでござるな。正直に、あの時の事を話すでござる」
そう言い、吾郎は全てを話す事を決意した。タクマ達は、何故わざと負けたのか、その理由をしっかりと聴くために耳を傾ける。
「仲間の為、そしてオニキスを倒す為に、負けてくれと頼まれたのでござる」
「オニキスと戦わなきゃいけないだって!?」
オニキス、その名前を聞いた瞬間、吾郎以外の5人は全員黒目を小さくして驚いた。そして、顔が次第に青ざめていく。
メアの使うメガ魔法を超える、ギガ魔法を使っていたカイムの魔法が効かない相手。まだ彼は最強と名高かったからこそ死なずに済んだと考えられるが、流石にあんな強すぎる攻撃を少女が食らってしまえば、最悪死にかねない。
「じゃが、何故その理由で負けようと思ったのじゃ?」
「それは……」
「待ってくれ!そっから先はウチから話す」
何処からか声が聞こえる。タクマ達は、辺りを見回して声の主を探した。すると、ケンの出張武器屋のある場所に立っていた少女がこちらにやってきた。
「な、ナノ殿!?どうしてここに」
「あんたらの仲間なんやろ?やったらうちから理由を言うたほうが早い」
すると、まさかナノがこんな可愛いクリクリお目目の少女だと言う事を初めて知ったおタツが、急に顔を真っ赤にしだした。
「おタツ、大丈夫か?」
メアは声をかけ、おタツの背中を撫でる。するとおタツは「か……かわ……」とうわ言を言うように呟いた。
そして……
「可愛い〜!誰この子、撫でていいでありんすか?」
「え、えぇ。まぁ。」
クリクリとした目、ちょこんとしたお団子になっているケモミミ、モフモフでクルンと丸い尻尾。その可愛い姿を見たおタツは、まるで幼女が大好きな怪しい人のような勢いで髪や尻尾を撫で回した。
そう、おタツは生粋の動物好きなのである。
まぁまぁそれは置いといて、満足したおタツはやっと落ち着いて席に着いた。
そして、ナノもおタツの隣に座った。あの短時間でちょっとだけ懐いたようだ。
「それじゃあナノちゃん。何故オニキスと戦わなきゃいけないか、教えてください」
ノエルは、ナノの前にジュースを置いて訊いた。
「アイツは……オニキスはウチらの仇なんや」
「かたき?のぅタクマ、カタキって何じゃ?」
「簡単に言えば、自分の父親を殺した犯人、みたいなもんだよ」
タクマはメアにそう教え、ナノの方に顔を向けさせた。それにしても、こんな少女とオニキスに、何故仇の関係があるのだろうか。
「ねぇナノちゃん。オニキスは、君に何をしたの?」
と、タクマは訊く。するとナノは「アイツは、ウチのオトン代わりだったご主人様を殺したクズなんや!」と力強く答えた。
信じ難い話ではあるが、目を見る限り、怒りの感情を読み取れる。嘘ではなく、本当のようだ。だが、オニキスは人殺しはしない、とタクマにだけだが話していた。
「ご主人様?まさかナノちゃん、奴隷だったでありんすか!?」
「この紋章を見たら分かると思うけど、ウチはこの通り奴隷やったで」
そう言い、ナノは肩に付けられた焼印を見せた。そこには、くっきりと帝国のエンブレムマークのようなものが付いていた。
だが、まだガルキュイの地形も理解していないタクマには、それが何処の国の紋章なのか分からなかった。
「メア、何処のか分かるか?」
「この紋章はペルドゥラスのナルガ帝国のものじゃ。あの帝国は去年の夏、彗星落下によって滅んだ」
「違う!その彗星は、アナザーって名乗ったオニキスが、見たこともない魔法で召喚して滅ぼしたんや。そして、ソイツがウチらのご主人様を殺したんや!」
ナノは机を叩きながら立ち上がり、そう言った。その事を聞いたタクマは、えっ……と目を丸くして驚いた。
アナザーがナノの主人を殺した。それつまり、アナザーとオニキスが同一人物であると言う事だ。
しかし、アナザーの口調はどこかシンプルなヒーローのような感じだった。あんな破天荒な口調のオニキスと、どう照合しようとしても一致しない。
「それは何かの間違いではないのか?あんな荒っぽい女もどきがヒーローだなんて、妾には想像がつかぬ」
「確かに、悪い最強の人を倒したりしていて、子供達からダークヒーローと称えられてますけど、あの人は必ずと言っていいほど倒した人を殺した事はありません」
二人は顎に手を当て、タクマと同じようにオニキスとアナザーを照合した。実際にアナザーの悪行をこの目で見ていないメアとノエルも、同じ意見のようだ。
「ウチも最初は“かもしれない”と考えてたんや。けど、コレが証拠となって、確信に変わった」
「ナノちゃん、それ見せられる?」
「あぁ。」
そう言うと、ナノはアナザーがオニキスと同一人物であるという証拠となる物を見せた。
それは、竜の血を思わせるような、濃く、赤黒い色をした石だった。そう、オニキスがカイムに向けて放った〈クリムゾン・クロー〉の斬撃と同じ色合いだったのだ。
「ナノちゃん、こ、これは何処で手に入れたでありんす?」
「アナザーがナルガ帝国を滅ぼす時に使った彗星、その破片や。」
「ふぅむ。確かにこの禍々しい輝き、オニキスが出現させた斬撃と同じでござる」
「じゃあやっぱり……オニキスが……」
タクマはその赤黒い石を手に取り、オニキスの事を思い浮かべる。するとその時、頭の中に謎のビジョンが現れた。誰かは分からないが、ロン毛の不良少年のような容姿をした少年が、涙を流しながら狂ったように笑い、アナザーの仮面を被る様子が頭に飛び込んだ。
目の部分は、影がかっているせいで見えないが、涙が頬を伝っている。雨が降っているようには見えないから、それしか考えられない。
「それ以外にも、ウチらには金が必要なのや。500億ゼルン、それさえあればウチらはもう物を盗んで暮らさなくて済むんや!」
「物を盗む……」
「そうや。こうやって化けて盗んでたんや」
そう言うと、ナノは葉っぱを取り出し、それを頭に付けて一回転した。すると、化け狸のように、ドロンと黒服に姿を変えた。その姿を見て、タクマは「あ!お前!」と言った。
何故なら、その黒服は、初めて闘技場に入場する時、受付でタクマだけを引き留めたあの男だったからである。
「じゃあまさか……一枚だけチケットが紛失したのって……」
「ウチが盗んだ。けど、打倒オニキスの為にはこうするしかなかったんや」
ナノは黒服姿のまま頭を下げた。するとその時、リュウヤは「ナノちゃん」と名前を呼んだ。
「盗んだ事は怒らないし、気持ちもよくわかる。だから、君を勝たせて、オニキスの仇を取る為の手伝いをする」
「えっ?けどそれじゃあ、アンタらは……」
「だから、その代わりに条件を付ける。」
「条件……?」
「もし優勝したらさ、オーブを俺達に譲ってくれ」
リュウヤは笑顔で手を差し伸べ、そう約束するように言った。ナノはその取引に「アンタら、ホンマにええ奴らやなぁ」と嬉し泣きしながら手を取った。
「さて!腹が減っては戦はできぬと言うし、飯食おうぜ!勿論、全部俺の奢りだぁ!」
「よっリュウヤ大将!太っ腹です!」
そう訊いた瞬間、リュウヤの周りの空間が一瞬、凍りつくように止まる。
すると、その話を聞いたノエルが立ち上がった。
「リュウヤさん!吾郎爺だって頑張ってくれてるのに、何ですかその言い方は!」
「ノエル、気持ちは分かるけど落ち着いてくれ。心ない言葉かもしれないけど……」
タクマに止められ、不服そうにしながらではあるが、ノエルは落ち着いて座った。
そして、リュウヤはノエルに「ごめん」と言い、話を続けた。
「吾郎爺、教えてくれ。何か、理由があるんだろ?」
「……カッカッカ。リュウヤ殿に隠し事はできないでござるな。正直に、あの時の事を話すでござる」
そう言い、吾郎は全てを話す事を決意した。タクマ達は、何故わざと負けたのか、その理由をしっかりと聴くために耳を傾ける。
「仲間の為、そしてオニキスを倒す為に、負けてくれと頼まれたのでござる」
「オニキスと戦わなきゃいけないだって!?」
オニキス、その名前を聞いた瞬間、吾郎以外の5人は全員黒目を小さくして驚いた。そして、顔が次第に青ざめていく。
メアの使うメガ魔法を超える、ギガ魔法を使っていたカイムの魔法が効かない相手。まだ彼は最強と名高かったからこそ死なずに済んだと考えられるが、流石にあんな強すぎる攻撃を少女が食らってしまえば、最悪死にかねない。
「じゃが、何故その理由で負けようと思ったのじゃ?」
「それは……」
「待ってくれ!そっから先はウチから話す」
何処からか声が聞こえる。タクマ達は、辺りを見回して声の主を探した。すると、ケンの出張武器屋のある場所に立っていた少女がこちらにやってきた。
「な、ナノ殿!?どうしてここに」
「あんたらの仲間なんやろ?やったらうちから理由を言うたほうが早い」
すると、まさかナノがこんな可愛いクリクリお目目の少女だと言う事を初めて知ったおタツが、急に顔を真っ赤にしだした。
「おタツ、大丈夫か?」
メアは声をかけ、おタツの背中を撫でる。するとおタツは「か……かわ……」とうわ言を言うように呟いた。
そして……
「可愛い〜!誰この子、撫でていいでありんすか?」
「え、えぇ。まぁ。」
クリクリとした目、ちょこんとしたお団子になっているケモミミ、モフモフでクルンと丸い尻尾。その可愛い姿を見たおタツは、まるで幼女が大好きな怪しい人のような勢いで髪や尻尾を撫で回した。
そう、おタツは生粋の動物好きなのである。
まぁまぁそれは置いといて、満足したおタツはやっと落ち着いて席に着いた。
そして、ナノもおタツの隣に座った。あの短時間でちょっとだけ懐いたようだ。
「それじゃあナノちゃん。何故オニキスと戦わなきゃいけないか、教えてください」
ノエルは、ナノの前にジュースを置いて訊いた。
「アイツは……オニキスはウチらの仇なんや」
「かたき?のぅタクマ、カタキって何じゃ?」
「簡単に言えば、自分の父親を殺した犯人、みたいなもんだよ」
タクマはメアにそう教え、ナノの方に顔を向けさせた。それにしても、こんな少女とオニキスに、何故仇の関係があるのだろうか。
「ねぇナノちゃん。オニキスは、君に何をしたの?」
と、タクマは訊く。するとナノは「アイツは、ウチのオトン代わりだったご主人様を殺したクズなんや!」と力強く答えた。
信じ難い話ではあるが、目を見る限り、怒りの感情を読み取れる。嘘ではなく、本当のようだ。だが、オニキスは人殺しはしない、とタクマにだけだが話していた。
「ご主人様?まさかナノちゃん、奴隷だったでありんすか!?」
「この紋章を見たら分かると思うけど、ウチはこの通り奴隷やったで」
そう言い、ナノは肩に付けられた焼印を見せた。そこには、くっきりと帝国のエンブレムマークのようなものが付いていた。
だが、まだガルキュイの地形も理解していないタクマには、それが何処の国の紋章なのか分からなかった。
「メア、何処のか分かるか?」
「この紋章はペルドゥラスのナルガ帝国のものじゃ。あの帝国は去年の夏、彗星落下によって滅んだ」
「違う!その彗星は、アナザーって名乗ったオニキスが、見たこともない魔法で召喚して滅ぼしたんや。そして、ソイツがウチらのご主人様を殺したんや!」
ナノは机を叩きながら立ち上がり、そう言った。その事を聞いたタクマは、えっ……と目を丸くして驚いた。
アナザーがナノの主人を殺した。それつまり、アナザーとオニキスが同一人物であると言う事だ。
しかし、アナザーの口調はどこかシンプルなヒーローのような感じだった。あんな破天荒な口調のオニキスと、どう照合しようとしても一致しない。
「それは何かの間違いではないのか?あんな荒っぽい女もどきがヒーローだなんて、妾には想像がつかぬ」
「確かに、悪い最強の人を倒したりしていて、子供達からダークヒーローと称えられてますけど、あの人は必ずと言っていいほど倒した人を殺した事はありません」
二人は顎に手を当て、タクマと同じようにオニキスとアナザーを照合した。実際にアナザーの悪行をこの目で見ていないメアとノエルも、同じ意見のようだ。
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「ナノちゃん、それ見せられる?」
「あぁ。」
そう言うと、ナノはアナザーがオニキスと同一人物であるという証拠となる物を見せた。
それは、竜の血を思わせるような、濃く、赤黒い色をした石だった。そう、オニキスがカイムに向けて放った〈クリムゾン・クロー〉の斬撃と同じ色合いだったのだ。
「ナノちゃん、こ、これは何処で手に入れたでありんす?」
「アナザーがナルガ帝国を滅ぼす時に使った彗星、その破片や。」
「ふぅむ。確かにこの禍々しい輝き、オニキスが出現させた斬撃と同じでござる」
「じゃあやっぱり……オニキスが……」
タクマはその赤黒い石を手に取り、オニキスの事を思い浮かべる。するとその時、頭の中に謎のビジョンが現れた。誰かは分からないが、ロン毛の不良少年のような容姿をした少年が、涙を流しながら狂ったように笑い、アナザーの仮面を被る様子が頭に飛び込んだ。
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「それ以外にも、ウチらには金が必要なのや。500億ゼルン、それさえあればウチらはもう物を盗んで暮らさなくて済むんや!」
「物を盗む……」
「そうや。こうやって化けて盗んでたんや」
そう言うと、ナノは葉っぱを取り出し、それを頭に付けて一回転した。すると、化け狸のように、ドロンと黒服に姿を変えた。その姿を見て、タクマは「あ!お前!」と言った。
何故なら、その黒服は、初めて闘技場に入場する時、受付でタクマだけを引き留めたあの男だったからである。
「じゃあまさか……一枚だけチケットが紛失したのって……」
「ウチが盗んだ。けど、打倒オニキスの為にはこうするしかなかったんや」
ナノは黒服姿のまま頭を下げた。するとその時、リュウヤは「ナノちゃん」と名前を呼んだ。
「盗んだ事は怒らないし、気持ちもよくわかる。だから、君を勝たせて、オニキスの仇を取る為の手伝いをする」
「えっ?けどそれじゃあ、アンタらは……」
「だから、その代わりに条件を付ける。」
「条件……?」
「もし優勝したらさ、オーブを俺達に譲ってくれ」
リュウヤは笑顔で手を差し伸べ、そう約束するように言った。ナノはその取引に「アンタら、ホンマにええ奴らやなぁ」と嬉し泣きしながら手を取った。
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