コピー使いの異世界探検記
第91話 第3回戦!おにゃん娘奮闘!
『おーっとぉ!サイリョー選手の銃弾がフール選手を襲う!しかしそれをフール選手、華麗な鉄球さばきで全て防ぎ切るぅ!!』
ギエンの実況と、両者を応援する歓声が会場を盛り上げさせる。
あれから30分くらい、この調子でフールとサイリョーは攻めては引いての攻防戦を繰り返していた。フールがモーニングスターで攻撃すると、サイリョーは自慢の瞬発力でそれを避け、サイリョーが銃で隙を突くと、フールはトリッキーな動きでそれを回避する。その動きはまさに、サーカスの一芸のよう。
「うわぁ!また避けられたかぁ!」
「あのフールと言う男、ふざけた道化師の割にはタコのように動くでござるな」
「じゃが、そろそろ両方とも体力の限界じゃろうな」
メアは、リュウヤがあちら側の世界からわざわざ買ってきた水饅頭を頬張りながら接戦を繰り広げる二人の様子を見る。
タクマもメアの隣で相手の動きを観察しながら、こっそりとメアの水饅頭が入った袋から水饅頭を取り出して食べる。
するとその時、フールの右腕にサイリョーの銃が当たったのか、フールは大袈裟に右腕を抑え、無言で痛そうに飛び跳ねた。
「ウフッ、これが俗に言う“さーかす”でありんすか。愉快でありんすな」
「おタツさん、アレはサーカスとは全然違うよ。普通あんな物騒なの振り回さないからね」
タクマは初めてサーカスを見ると言うおタツに、ツッコミながら違うと教える。
その間、痛そうに飛び跳ねているフールに向け、サイリョーは銃を頭に突きつけた。
「チェックメイトだぜ。アディオス」
その声と共に、サイリョーはトリガーに指をかける。辺りにサイリョーの勝利を祝う歓声が響く。
タクマ達の方でも、ブレイクが「うぉぉぉ!かっけぇぇぇ!!」と、メイジュの首を締め上げながら興奮している。それをメイジュは苦しそうに腕を何度も叩きギブを伝える。
だが、一向に銃声は聞こえない。まさか弾切れか?タクマは何が起きたのか、じっくりと二人を見た。
するとその時、フールがサイリョーの隙を突いて殴ったのか、サイリョーは後ろに吹き飛び、ダウンしてしまった。所謂逆転勝利を勝ち取ったのだ。
『勝負ありぃぃぃぃ!!フール・マワススキー選手、逆転勝利だぁぁぁぁ!!!』
今度はフールの勝利を祝す歓声が、会場を覆い尽くす。殴り倒されたサイリョーは、そのまま動く事なく、救護班によって何処かへ連れて行かれた。
だがそんな中、タクマだけはさっきの戦いの違和感に疑問を抱き、首を傾げた。
「タクマ、どうかしたか?」
「え?あぁいや、何でもない。気のせいだ」
タクマはメアを心配させないため、あえて黙る。
そうしていると、第4回戦目の準備が出来た合図のBGMが流れ始めた。今回は特別演出があるようだ。
『皆さんお待たせいたしました!サイリウムステッキは用意しましたか!?それでは皆さまご唱和くださいませ』
実況がそう言うなり、周りの男やメイジュは、急いで法被やらサイリウムステッキの鉢巻などを巻き、即興で作り上げただろううちわを取り出して『ノエち〜ん!』と叫んだ。
すると、西コーナーから「はーい!」と、元気よく白猫のような格好をしたノエルが登場した。それを見て、ドルオタの男たちは立ち上がり『ノーエーちん!ノーエーちん!ノエノエキュンキュン!ウォウウォウウォウ!!』と、よく分からない掛け声を上げる。一体あんたらは何処で打ち合わせをしたんだ。
タクマはツッコミたくなった気持ちを抑え、密かに聞こえるギエンのユニークな紹介を聞いた。
『チェイP監督が新たに生み出した新アイドル!可愛い顔とは裏腹に、鋭い爪付き拳と魔法少女のような杖で敵を殲滅!歌って戦うスーパーアイドル!ノエちん選手だぁぁぁぁ!!』
『豚共〜、応援よろしくニャン!』
ノエルはガルキュイで買った杖に付けられた専用マイクから、実況の電波のようなものを乗っ取り、ファン達にあざとい一言を送る。
それに対し、ファン達は自分達が罵られた事を喜び、皆盛大に『ブヒ〜!!』と叫び出した。もう訳がわからない。早く元のノエちん……いや、ノエルを返してくれ。
『可愛いですねぇ。さぁそんな可愛い可愛いノエちんと対戦するのはこのお方!己の肉には自信満々!三度の飯より筋トレだ!最強の美少女格闘家!ウェンディーヌ選手だぁぁぁぁ!!』
何か引っかかる説明だが、タクマはノエルと対峙するウェンディーヌと言う名の選手の方を見る。名前からして美人なのだろう。誰もがそう想像した。
だが蓋を開けてみれば、そこから現れたのは、顎は割れ、眉毛は某警察ギャグ漫画レベルの太さの繋がり眉、何処からどう見てもヤバい目をした、存在自体が兵器と言っても過言ではない、とんでもないオカマの男が現れたのだ。
美女を期待していた男達は、そのおぞましい姿を見て頭を強く打たれるような感覚に陥り、吐き気を催して何処かへ逃げて行く人まで現れた。
「なんだありゃあ……」
「ひ、酷いでありんす……」
「まさに神が、ゴミとなる筈だった余り物を『これだけで何処まで酷くなるだろう』とか言うノリで作り上げたような見た目じゃ……」
リュウヤ、おタツ、メアの3人は、ノエルの対戦相手であるウェンディーヌをゴミを見るかのような目で見つめた。
吾郎はいつの間にか姿を消していた。多分気分を害して何処かへ行ってしまったのだろう。お大事に。
そう吾郎の事を気の毒そうに思っていると、対戦開始のゴングが鳴らされた。
【戦場】
「行くわよノエちん!」
「望む所ですにゃっ!」
ノエルは出所不明の白い尻尾を振りながら、ウェンディーヌの繰り出すパンチをぬるりと避け、硬い筋肉質な胸を殴る。
だが、ウェンディーヌにはそんな攻撃など効かず、ノエルに掴みかかろうとする。しかしそれも、ノエルには効かず、ぬるりとまたすり抜けられた。
「ンモー、すばしっこいわねぇ」
「私はどちらかと言えばスピード型ですから」
「けど、これは避けらるかしら?ニャンコちゃん」
「フッフーン。かかって来いです!」
ノエルは後ろに下がり、次の攻撃のチャンスを伺う。だがその瞬間、ノエルの立っていた場所だけが切り取られ、宙に浮いた。
その様子を見て、実況のギエンは『どう言う事だぁ!ノエル選手の足場がグングン上がって行くぅ!!』と叫んだ。
「な、何ですかこれぇぇぇぇぇ!!」
「ウフッ、私の《ランディオ》には気付かなかったみたいね。あざといお芝居ももうお終いよ!」
「むぅ〜。けどそっちがその気なら、私も負けません!」
岩に持ち上げられたノエルは、負けじと杖を取り出し、ウェンディーヌに向けて《フリズ・スピア》を放った。
だが、ウェンディーヌはその槍を右手で受け止め、逆にそれを槍投げのように投げ返した。
「キャァァァ!!」
ノエルはその反撃を避けることが出来ず、氷の槍によって頬を切られる。
そして、ノエルは《ランディオ》で切り取られた足場から落ちてしまった。更に、倒れたノエルに追い討ちをかけるように、大きな岩が落ちてきた。
「ペッチャンコになりなさいっ!!」
「断りますっ!!」
やられまいと、ノエルは力強く立ち上がり、岩が落ちて来る場所から、ウェンディーヌが居る方向に逃げた。
ウェンディーヌは「逃さないわよっ!」とこちらに近付いてくるノエルに掴みかかろうとする。
だが、ノエルはウェンディーヌを素通りし、その奥の壁を蹴った。
「まさかっ!」
「食らえぇ!ノエちんキック!」
ノエルは振り向いたウェンディーヌの頬に向けて力強いキックをかまし、ウェンディーヌを吹き飛ばした。その様子を見ていた観客達は歓声を上げ『ノーエーちん!ノーエーちん!』とコールする。
「やってくれたわね。それじゃあアタシ、本気出しちゃう!」
ギエンの実況と、両者を応援する歓声が会場を盛り上げさせる。
あれから30分くらい、この調子でフールとサイリョーは攻めては引いての攻防戦を繰り返していた。フールがモーニングスターで攻撃すると、サイリョーは自慢の瞬発力でそれを避け、サイリョーが銃で隙を突くと、フールはトリッキーな動きでそれを回避する。その動きはまさに、サーカスの一芸のよう。
「うわぁ!また避けられたかぁ!」
「あのフールと言う男、ふざけた道化師の割にはタコのように動くでござるな」
「じゃが、そろそろ両方とも体力の限界じゃろうな」
メアは、リュウヤがあちら側の世界からわざわざ買ってきた水饅頭を頬張りながら接戦を繰り広げる二人の様子を見る。
タクマもメアの隣で相手の動きを観察しながら、こっそりとメアの水饅頭が入った袋から水饅頭を取り出して食べる。
するとその時、フールの右腕にサイリョーの銃が当たったのか、フールは大袈裟に右腕を抑え、無言で痛そうに飛び跳ねた。
「ウフッ、これが俗に言う“さーかす”でありんすか。愉快でありんすな」
「おタツさん、アレはサーカスとは全然違うよ。普通あんな物騒なの振り回さないからね」
タクマは初めてサーカスを見ると言うおタツに、ツッコミながら違うと教える。
その間、痛そうに飛び跳ねているフールに向け、サイリョーは銃を頭に突きつけた。
「チェックメイトだぜ。アディオス」
その声と共に、サイリョーはトリガーに指をかける。辺りにサイリョーの勝利を祝う歓声が響く。
タクマ達の方でも、ブレイクが「うぉぉぉ!かっけぇぇぇ!!」と、メイジュの首を締め上げながら興奮している。それをメイジュは苦しそうに腕を何度も叩きギブを伝える。
だが、一向に銃声は聞こえない。まさか弾切れか?タクマは何が起きたのか、じっくりと二人を見た。
するとその時、フールがサイリョーの隙を突いて殴ったのか、サイリョーは後ろに吹き飛び、ダウンしてしまった。所謂逆転勝利を勝ち取ったのだ。
『勝負ありぃぃぃぃ!!フール・マワススキー選手、逆転勝利だぁぁぁぁ!!!』
今度はフールの勝利を祝す歓声が、会場を覆い尽くす。殴り倒されたサイリョーは、そのまま動く事なく、救護班によって何処かへ連れて行かれた。
だがそんな中、タクマだけはさっきの戦いの違和感に疑問を抱き、首を傾げた。
「タクマ、どうかしたか?」
「え?あぁいや、何でもない。気のせいだ」
タクマはメアを心配させないため、あえて黙る。
そうしていると、第4回戦目の準備が出来た合図のBGMが流れ始めた。今回は特別演出があるようだ。
『皆さんお待たせいたしました!サイリウムステッキは用意しましたか!?それでは皆さまご唱和くださいませ』
実況がそう言うなり、周りの男やメイジュは、急いで法被やらサイリウムステッキの鉢巻などを巻き、即興で作り上げただろううちわを取り出して『ノエち〜ん!』と叫んだ。
すると、西コーナーから「はーい!」と、元気よく白猫のような格好をしたノエルが登場した。それを見て、ドルオタの男たちは立ち上がり『ノーエーちん!ノーエーちん!ノエノエキュンキュン!ウォウウォウウォウ!!』と、よく分からない掛け声を上げる。一体あんたらは何処で打ち合わせをしたんだ。
タクマはツッコミたくなった気持ちを抑え、密かに聞こえるギエンのユニークな紹介を聞いた。
『チェイP監督が新たに生み出した新アイドル!可愛い顔とは裏腹に、鋭い爪付き拳と魔法少女のような杖で敵を殲滅!歌って戦うスーパーアイドル!ノエちん選手だぁぁぁぁ!!』
『豚共〜、応援よろしくニャン!』
ノエルはガルキュイで買った杖に付けられた専用マイクから、実況の電波のようなものを乗っ取り、ファン達にあざとい一言を送る。
それに対し、ファン達は自分達が罵られた事を喜び、皆盛大に『ブヒ〜!!』と叫び出した。もう訳がわからない。早く元のノエちん……いや、ノエルを返してくれ。
『可愛いですねぇ。さぁそんな可愛い可愛いノエちんと対戦するのはこのお方!己の肉には自信満々!三度の飯より筋トレだ!最強の美少女格闘家!ウェンディーヌ選手だぁぁぁぁ!!』
何か引っかかる説明だが、タクマはノエルと対峙するウェンディーヌと言う名の選手の方を見る。名前からして美人なのだろう。誰もがそう想像した。
だが蓋を開けてみれば、そこから現れたのは、顎は割れ、眉毛は某警察ギャグ漫画レベルの太さの繋がり眉、何処からどう見てもヤバい目をした、存在自体が兵器と言っても過言ではない、とんでもないオカマの男が現れたのだ。
美女を期待していた男達は、そのおぞましい姿を見て頭を強く打たれるような感覚に陥り、吐き気を催して何処かへ逃げて行く人まで現れた。
「なんだありゃあ……」
「ひ、酷いでありんす……」
「まさに神が、ゴミとなる筈だった余り物を『これだけで何処まで酷くなるだろう』とか言うノリで作り上げたような見た目じゃ……」
リュウヤ、おタツ、メアの3人は、ノエルの対戦相手であるウェンディーヌをゴミを見るかのような目で見つめた。
吾郎はいつの間にか姿を消していた。多分気分を害して何処かへ行ってしまったのだろう。お大事に。
そう吾郎の事を気の毒そうに思っていると、対戦開始のゴングが鳴らされた。
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「行くわよノエちん!」
「望む所ですにゃっ!」
ノエルは出所不明の白い尻尾を振りながら、ウェンディーヌの繰り出すパンチをぬるりと避け、硬い筋肉質な胸を殴る。
だが、ウェンディーヌにはそんな攻撃など効かず、ノエルに掴みかかろうとする。しかしそれも、ノエルには効かず、ぬるりとまたすり抜けられた。
「ンモー、すばしっこいわねぇ」
「私はどちらかと言えばスピード型ですから」
「けど、これは避けらるかしら?ニャンコちゃん」
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ノエルは後ろに下がり、次の攻撃のチャンスを伺う。だがその瞬間、ノエルの立っていた場所だけが切り取られ、宙に浮いた。
その様子を見て、実況のギエンは『どう言う事だぁ!ノエル選手の足場がグングン上がって行くぅ!!』と叫んだ。
「な、何ですかこれぇぇぇぇぇ!!」
「ウフッ、私の《ランディオ》には気付かなかったみたいね。あざといお芝居ももうお終いよ!」
「むぅ〜。けどそっちがその気なら、私も負けません!」
岩に持ち上げられたノエルは、負けじと杖を取り出し、ウェンディーヌに向けて《フリズ・スピア》を放った。
だが、ウェンディーヌはその槍を右手で受け止め、逆にそれを槍投げのように投げ返した。
「キャァァァ!!」
ノエルはその反撃を避けることが出来ず、氷の槍によって頬を切られる。
そして、ノエルは《ランディオ》で切り取られた足場から落ちてしまった。更に、倒れたノエルに追い討ちをかけるように、大きな岩が落ちてきた。
「ペッチャンコになりなさいっ!!」
「断りますっ!!」
やられまいと、ノエルは力強く立ち上がり、岩が落ちて来る場所から、ウェンディーヌが居る方向に逃げた。
ウェンディーヌは「逃さないわよっ!」とこちらに近付いてくるノエルに掴みかかろうとする。
だが、ノエルはウェンディーヌを素通りし、その奥の壁を蹴った。
「まさかっ!」
「食らえぇ!ノエちんキック!」
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