コピー使いの異世界探検記
第78話 イカ、動く
──ンゴォォォォォォ!!
巨大イカは何を理由にこの船、アイズキューラ号を襲ってきたのかは分からない。だが、大きな咆哮と共に船に触手を叩きつける。
それをタクマ達は力一杯に剣を振り、切り落とす。
「ったく、巨大怪獣はもう懲り懲りだってんのによぉ!」
「そう言うなってタクマ、エンヴォスブチのめした俺らにゃどうでこたぁねぇだろ?」
リュウヤは切り離されてもなお動き続ける巨大ゲソをスパリと切り裂き、気楽に言う。
タクマもそれに乗じ、やったらぁ!と武器を振る。
しかし目の前のゲソに気を取られ、後ろからの 《ウォーター》をもろに食らってしまう。
「大丈夫かタクマ」
「メア、サンキューな」
顔を背けながらも差し伸べられたメアの手を、タクマは頬を上げて取る。
「北北東から水の気配、来ます!」
ノエルの 〈共鳴〉による警告を聞き、今度はメアを抱えて避ける。
そして、そこからタクマは、巨大イカの 《ウォーター》をコピーした。
だが、触手を一本斬られたからか、巨大イカは船に絡み付けていた触手を海に戻す。
「何するつもりだ?」
「逃げるんでありんしょうか……」
リュウヤとおタツは気を緩めずに刀を構え、イカの頭を睨む。
「いや違う。タクマ殿!今すぐそこから離れるでござる!」
「え?」
タクマは吾郎の声で振り向く。
するとその瞬間、イカは船をまた掴み、口から息を吸い込んだ。そこに居る人間、つまりタクマ達を食らい尽くすつもりだ。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!無理無理無理!吸い込まれる!!」
タクマは船に剣を突き立て、必死でそれに捕まりながら風に耐える。
しかし、目の前からは空の樽やらが飛んでくる。タクマの体重に耐えきれず、剣が船にジワジワと傷を付けながら、イカの口へと近づいていく。
「タクマさん!今助けます!」
そう叫ぶとノエルは客室廊下への扉前まで走り、助走を付けてこちらに向かってきた。
「の、ノエル……?」
「まさかお主、そのままイカに突っ込むつもりか!?」
「そんな事したら、下手したら食われるんだぞ!?」
メアとリュウヤは、拳に力を貯めながら走るノエルに言う。
しかしノエルは、そんな事分かっていると言わんばかりに「《フリズ・フィスト》」と叫び、飛び上がった。
そしてそのまま、イカの吸い込む力を利用して、イカの口にあるカラストンビ(イカの歯)を1発殴る。
「氷の拳で敵を凍らせると言う事でござるか」
すると、ノエルがカラストンビから離れた瞬間、イカの口が凍りつく。
──ンゴォォォォォォ!!
だが、それでも巨大イカは吸い込み攻撃を止めなかった。
「しつこいのは、嫌われるでありんすよっと」
おタツはノエルと入れ替わるようにして突撃し、イカの口に大量の爆散手裏剣を投げ入れた。
そしてそれは、イカが口を閉じた瞬間に爆発し、カラスの方を破壊する。
するとイカは、痛みに苦しんでいるのか、大量の水魔法を放ちながら、船を叩く。
「後はこのゲソを斬るのみでござる!」
吾郎は水魔法の雨を掻い潜りながら、イカの足を躊躇う事なく切断した。
だが、それでも攻撃の雨は止まず、ついにはタクマが手すり代わりに剣を刺していた場所からヒビが入る。
「ダメだ、もう限界だ!」
タクマは剣を引き抜き、急いでその場から離れる。
するとその瞬間、その場所は陥落した。
「畜生、これじゃあ近付けない……」
「フリズはそこまで効いたように見えませんでした、どうします?」
ノエルは一つ距離を置き、リュウヤに訊く。
するとリュウヤはいきなり耳を澄ませた。
「この波に逆らう音、魚の臭い……なるほど!」
そう叫ぶとリュウヤは、展望デッキの高台に飛び乗り、自分のポケットを漁り出す。
そして、そこから出てきた瓶を思いっきりイカに投げつけた。
「吾郎爺、海の方に出たらソイツを斬ってくれ!」
「だが拙者の刀は潮水のせいで錆びてしまったでござる!」
「それでもいい!とにかく瓶を割ってくれ!!」
その頼みを聞いて、吾郎はその瓶が船から出た瞬間に斬りつけた。
その瓶の中に入っていた赤い液体が、海にぽちゃりと小さな音を立てて落ちる。
「よし、っと。これで楽になるぜ!」
「リュウヤ、一体何を投げたのじゃ?」
メアはついさっき投げたものについて訊ねる。
するとリュウヤは、フッフッフと笑いながら、ついさっき投げた瓶と同じものを取り出した。
「コイツは岩石猪の血だ。こんな事もあろうかと採取してたのさ」
「ですが、何でそれを海に……」
ノエルがそう訊こうとした時、イカが攻撃を再開した。
「邪魔しおって……」
「血じゃなくても、コレがありますよ!」
ノエルは伸びてくるイカの触手に向けて毒瓶を投げる。
それを見たイカは、それが毒薬である事も知らずに瓶を壊す。
すると、毒に触れた場所から足が腐食していった。
「これでも一本だけですか……」
「いや、よくやってくれた!」
タクマはノエルにグーサインを出し、別方向から伸びてきた足に 《コピー・ウォーター》を放った。
そしてそこに、ノエルは《フリズ》を放ち、コンボ魔法で足を凍らせる。
「そんじゃ、俺もいっぺん決めちゃいますかっと」
リュウヤは刀を引き抜き、凍ったイカの足に振り下ろす。
「ぐらんど・ちょっぷ」
「後から言うスタイルでありんすな」
するとイカは、後に引けなくなったのか、海を連続で叩きつける。
それにより船は大きく揺れ出し、タクマ達は転ぶ。
「自暴自棄になってるようじゃ……」
「どうするのでありんす、お前様……」
だがリュウヤは、そんな状況でも「これでいい」と口をにやつかせるだけだった。
タクマは勝ちを確信したような顔をするリュウヤに首を傾げる。
──ンゴォォォォォォ!!
すると後ろの方から、何かに襲われたようなイカの悲鳴が上がった。
「何だこの魚の臭い」
タクマは鼻をつまみながら、イカの方へ顔を向ける。
するとそこには、体をサメに食べられているイカが暴れていた。
「メ、メガロドン!?どうしてメガロドンがこんな所に」
「へっへーん、フカヒレ作戦大成功!」
リュウヤは鼻を親指で一回擦り、喜びの声を上げる。
そして、吾郎はついさっき聞いたばかりの「フカヒレ作戦」と言うものについて訊いた。
「サメってのは近くで血の匂いを嗅ぎ取ると、それに向かって飛びかかるんだ」
「……そうか、あの時投げた血の瓶は、近くのサメをおびき寄せる為の!」
タクマはあー!と、瞬時に理解して頷く。
そして、そうこうしている間にも、メガロドンは一心不乱にイカに噛み付いていた。
「よしメアちゃん、トドメにあの魔法を頼んだ!」
「任せい、ブチ飛ばしてやるのじゃぁぁぁぁ!!」
そう言うとメアは、右腕に全ての魔力を溜める。
「これがお主の最後の晩餐じゃ! 《メガ・ドゥンケル・スマッシュ》!」
メアは闇の気弾を拳状のものに変化させ、自分の右腕と連動させるようにして、闇の拳を放った。
そして、その大きな拳はイカの全身にヒットする。
──ンゴォォォォォォ!!
「海へお帰り」
メアの小さな決め台詞と共に、イカは地平線の彼方へとサメを連れて飛んで行った。
「やりましたねメアさん!」
「あんな拳、どこから出したでありんす?」
ノエルとおタツは、疲れて座り込んだメアに訊く。
メアはその質問に「ノエルの拳をヒントにしたのじゃ」と答え、すぐにぐっすりと眠ってしまった。
「お疲れ、メア」
タクマはメアの顔を見ながら、ゆっくりと呟く。
「さて、この後は巨大ゲソ祭りの開催だ!」
巨大イカは何を理由にこの船、アイズキューラ号を襲ってきたのかは分からない。だが、大きな咆哮と共に船に触手を叩きつける。
それをタクマ達は力一杯に剣を振り、切り落とす。
「ったく、巨大怪獣はもう懲り懲りだってんのによぉ!」
「そう言うなってタクマ、エンヴォスブチのめした俺らにゃどうでこたぁねぇだろ?」
リュウヤは切り離されてもなお動き続ける巨大ゲソをスパリと切り裂き、気楽に言う。
タクマもそれに乗じ、やったらぁ!と武器を振る。
しかし目の前のゲソに気を取られ、後ろからの 《ウォーター》をもろに食らってしまう。
「大丈夫かタクマ」
「メア、サンキューな」
顔を背けながらも差し伸べられたメアの手を、タクマは頬を上げて取る。
「北北東から水の気配、来ます!」
ノエルの 〈共鳴〉による警告を聞き、今度はメアを抱えて避ける。
そして、そこからタクマは、巨大イカの 《ウォーター》をコピーした。
だが、触手を一本斬られたからか、巨大イカは船に絡み付けていた触手を海に戻す。
「何するつもりだ?」
「逃げるんでありんしょうか……」
リュウヤとおタツは気を緩めずに刀を構え、イカの頭を睨む。
「いや違う。タクマ殿!今すぐそこから離れるでござる!」
「え?」
タクマは吾郎の声で振り向く。
するとその瞬間、イカは船をまた掴み、口から息を吸い込んだ。そこに居る人間、つまりタクマ達を食らい尽くすつもりだ。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!無理無理無理!吸い込まれる!!」
タクマは船に剣を突き立て、必死でそれに捕まりながら風に耐える。
しかし、目の前からは空の樽やらが飛んでくる。タクマの体重に耐えきれず、剣が船にジワジワと傷を付けながら、イカの口へと近づいていく。
「タクマさん!今助けます!」
そう叫ぶとノエルは客室廊下への扉前まで走り、助走を付けてこちらに向かってきた。
「の、ノエル……?」
「まさかお主、そのままイカに突っ込むつもりか!?」
「そんな事したら、下手したら食われるんだぞ!?」
メアとリュウヤは、拳に力を貯めながら走るノエルに言う。
しかしノエルは、そんな事分かっていると言わんばかりに「《フリズ・フィスト》」と叫び、飛び上がった。
そしてそのまま、イカの吸い込む力を利用して、イカの口にあるカラストンビ(イカの歯)を1発殴る。
「氷の拳で敵を凍らせると言う事でござるか」
すると、ノエルがカラストンビから離れた瞬間、イカの口が凍りつく。
──ンゴォォォォォォ!!
だが、それでも巨大イカは吸い込み攻撃を止めなかった。
「しつこいのは、嫌われるでありんすよっと」
おタツはノエルと入れ替わるようにして突撃し、イカの口に大量の爆散手裏剣を投げ入れた。
そしてそれは、イカが口を閉じた瞬間に爆発し、カラスの方を破壊する。
するとイカは、痛みに苦しんでいるのか、大量の水魔法を放ちながら、船を叩く。
「後はこのゲソを斬るのみでござる!」
吾郎は水魔法の雨を掻い潜りながら、イカの足を躊躇う事なく切断した。
だが、それでも攻撃の雨は止まず、ついにはタクマが手すり代わりに剣を刺していた場所からヒビが入る。
「ダメだ、もう限界だ!」
タクマは剣を引き抜き、急いでその場から離れる。
するとその瞬間、その場所は陥落した。
「畜生、これじゃあ近付けない……」
「フリズはそこまで効いたように見えませんでした、どうします?」
ノエルは一つ距離を置き、リュウヤに訊く。
するとリュウヤはいきなり耳を澄ませた。
「この波に逆らう音、魚の臭い……なるほど!」
そう叫ぶとリュウヤは、展望デッキの高台に飛び乗り、自分のポケットを漁り出す。
そして、そこから出てきた瓶を思いっきりイカに投げつけた。
「吾郎爺、海の方に出たらソイツを斬ってくれ!」
「だが拙者の刀は潮水のせいで錆びてしまったでござる!」
「それでもいい!とにかく瓶を割ってくれ!!」
その頼みを聞いて、吾郎はその瓶が船から出た瞬間に斬りつけた。
その瓶の中に入っていた赤い液体が、海にぽちゃりと小さな音を立てて落ちる。
「よし、っと。これで楽になるぜ!」
「リュウヤ、一体何を投げたのじゃ?」
メアはついさっき投げたものについて訊ねる。
するとリュウヤは、フッフッフと笑いながら、ついさっき投げた瓶と同じものを取り出した。
「コイツは岩石猪の血だ。こんな事もあろうかと採取してたのさ」
「ですが、何でそれを海に……」
ノエルがそう訊こうとした時、イカが攻撃を再開した。
「邪魔しおって……」
「血じゃなくても、コレがありますよ!」
ノエルは伸びてくるイカの触手に向けて毒瓶を投げる。
それを見たイカは、それが毒薬である事も知らずに瓶を壊す。
すると、毒に触れた場所から足が腐食していった。
「これでも一本だけですか……」
「いや、よくやってくれた!」
タクマはノエルにグーサインを出し、別方向から伸びてきた足に 《コピー・ウォーター》を放った。
そしてそこに、ノエルは《フリズ》を放ち、コンボ魔法で足を凍らせる。
「そんじゃ、俺もいっぺん決めちゃいますかっと」
リュウヤは刀を引き抜き、凍ったイカの足に振り下ろす。
「ぐらんど・ちょっぷ」
「後から言うスタイルでありんすな」
するとイカは、後に引けなくなったのか、海を連続で叩きつける。
それにより船は大きく揺れ出し、タクマ達は転ぶ。
「自暴自棄になってるようじゃ……」
「どうするのでありんす、お前様……」
だがリュウヤは、そんな状況でも「これでいい」と口をにやつかせるだけだった。
タクマは勝ちを確信したような顔をするリュウヤに首を傾げる。
──ンゴォォォォォォ!!
すると後ろの方から、何かに襲われたようなイカの悲鳴が上がった。
「何だこの魚の臭い」
タクマは鼻をつまみながら、イカの方へ顔を向ける。
するとそこには、体をサメに食べられているイカが暴れていた。
「メ、メガロドン!?どうしてメガロドンがこんな所に」
「へっへーん、フカヒレ作戦大成功!」
リュウヤは鼻を親指で一回擦り、喜びの声を上げる。
そして、吾郎はついさっき聞いたばかりの「フカヒレ作戦」と言うものについて訊いた。
「サメってのは近くで血の匂いを嗅ぎ取ると、それに向かって飛びかかるんだ」
「……そうか、あの時投げた血の瓶は、近くのサメをおびき寄せる為の!」
タクマはあー!と、瞬時に理解して頷く。
そして、そうこうしている間にも、メガロドンは一心不乱にイカに噛み付いていた。
「よしメアちゃん、トドメにあの魔法を頼んだ!」
「任せい、ブチ飛ばしてやるのじゃぁぁぁぁ!!」
そう言うとメアは、右腕に全ての魔力を溜める。
「これがお主の最後の晩餐じゃ! 《メガ・ドゥンケル・スマッシュ》!」
メアは闇の気弾を拳状のものに変化させ、自分の右腕と連動させるようにして、闇の拳を放った。
そして、その大きな拳はイカの全身にヒットする。
──ンゴォォォォォォ!!
「海へお帰り」
メアの小さな決め台詞と共に、イカは地平線の彼方へとサメを連れて飛んで行った。
「やりましたねメアさん!」
「あんな拳、どこから出したでありんす?」
ノエルとおタツは、疲れて座り込んだメアに訊く。
メアはその質問に「ノエルの拳をヒントにしたのじゃ」と答え、すぐにぐっすりと眠ってしまった。
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