コピー使いの異世界探検記
第75話 親友と兄弟
【旅客船内部】
タクマ達は、折角の旅客船を楽しむべく、タクマは海を眺める為に展望デッキへ、ノエルとおタツは船内のアクセサリーショップで雑貨を買いに、吾郎はレストランでピザ大食いチャレンジをやりに、各々旅客船の施設を楽しんでいた。
そしてリュウヤはと言うと……
「ここのオレンジジュースは美味いなぁ、素材の味がしてるぜ」
リュウヤはバーの一角でオレンジジュースを堪能していた。もう一度あえて言うが、これはオレンジジュースである。
すると、リュウヤの席の前に、黒い服の少女、もといメアがやってきた。
「のぅリュウヤ、隣良いか?」
「心配しなくても、隣の席は空いてるぜ」
リュウヤはオレンジジュースをグイッと飲み干しながら、隣の誰もいない丸椅子をポンポンと叩く。
そこにメアは遠慮しつつも座り、カウンターに両手を置いた。
リュウヤは「何か飲みたいもんある?」と訊く。それにメアは「ぶどうジュース」と小さな声で答える。
「ぶどうジュースです、どうぞ」
「ありがとマスター、こいつはお代ね」
リュウヤはマスターにお代 (500ゼルン)を渡し、代わりに瓶コーラのような容器に入ったぶどうジュースを受け取った。
「心配すんなって、コイツは俺の奢りだ。おかわりも良いぜ」
リュウヤは、隣でずっと右親指と左親指をグルグルと回して何か言いたげにしているメアを少しでも落ち着かせるように言う。
しかしメアは、ぶどうジュースも注がずに、ずっと空のグラスを見つめていた。
「……何か、悩んでんのかい?」
何も話さないメアが話しやすいよう、ぶどうジュースの栓を抜きながらリュウヤの方から訊ねる。
パンっと鉄の蓋が曲がって開く音がメアとリュウヤの居る片隅に響く。
「リュウヤは……」
「ん?」
「リュウヤはタクマの何なのじゃ?」
メアの問いを聞き、リュウヤはオレンジジュースを継ぎ足しながら「うーん」と唸る。
そして、小さく「俺がタクマの何なのかねぇ」と質問を繰り返し呟いた。
「答えづらい事なら答えなくてもよい、ただ少し気になってな」
「いや、いきなりの質問で驚いただけ。ちょっと考えさしてくれ」
リュウヤはそう言いながら、グラスに追加で注いだジュースに口をつけた。メアもまた、ぶどうジュースに口をつける。
そして、答えが出たのか、リュウヤはプハーッと息を吐いた後に「やっぱ、俺はタクマの“親友”だな」と少し曖昧に答えた。
「親友……?タクマも言っておったが、それは友達とどう違うのじゃ?」
「友達と親友の違いか、考えたことも無かったなぁ」
リュウヤはまたオレンジジュースを口に含みながら考えた。そしてメアも、答えを待つまでの間、グラスにジュースを注ぐ。
「俺が思うに、親友ってのは素の自分を曝け出して、本音をぶつけ合える、兄弟みたいな存在だと思ってる。友達だと、やっぱ遠慮して自分の意見引っ込めたりしちまうからさ」
リュウヤはいつもの気楽そうな口調で答えた。そしてその気楽そうな感じのまま「何でそんな事聞こうと思ったんだい?メアちゃん」と、今度はメアに訊ねた。
「お主とタクマ、いつも仲良さそうに話とかしておるから、お主はどう思ってるのかと思うてな」
「成る程ねぇ」
リュウヤはメアの答えを興味深い意見だなぁ、と思いながら、オレンジジュースの最後の一滴を飲んだ。
そしてゴクリ、と飲み干した所でリュウヤは「あ」と声に出した。
「もしかしてメアちゃん、俺とタクマが仲良すぎて、結婚しちまうんじゃねぇかってヒヤヒヤしてたなぁ?」
いきなりの言葉に驚いたメアは、ぶどうジュースを詰まらせて咽せる。
「な、何を言う!わ、妾はただお、お主がどう思っておるか気になっておっただけで……」
メアは顔を赤くし、頭から湯気を出して混乱しながら言う。
リュウヤは慌てるメアを見てフフッと笑った後「冗談だよ」と気楽に言った。
「でもまぁ、これで俺も訊こうと思ってた事聞けてよかったぜ」
「訊こうと思ってた事……?」
メアもぶどうジュースの最後の一滴を飲み、カウンターテーブルに優しくグラスを置きながら訊く。
「メアちゃんにとって、タクマはどんな人間に思われてんのかな、って気になってたんだ。」
「妾は何も答えてないぞ?」
「いいや、答えてくれたよ」
リュウヤはバーの天井を見上げながら答える。
そしてすぐ、メアの方に顔を向けて「ありがとよ」と笑顔で言った。
「さてっと、そろそろ部屋戻って眠るとしよう」
リュウヤは丸椅子を使って180度回転し、飛び降りるようにして椅子から降りた。
そして、バーの扉に手をかける。だが、「ありがとうございました」の合図でもあるドアチャイムのシャラシャラ音が鳴った所で、扉を開く手を止め、メアの方を振り返った。
「そうそう、親友と恋心ってのは同じようで実はちょっと違うんだぜ」
リュウヤは人差し指と中指を縦に重ねたような手銃で、撃ち抜くようなジェスチャーをしながら、笑顔で立ち去って行った。
「……って、何故妾がタクマの事を好きになってる程で話しておるのじゃぁぁ!!」
メアはリュウヤに揶揄われていると気づき、顔を真っ赤にしながら、リュウヤを追うようにして、バーを後にした。
タクマ達は、折角の旅客船を楽しむべく、タクマは海を眺める為に展望デッキへ、ノエルとおタツは船内のアクセサリーショップで雑貨を買いに、吾郎はレストランでピザ大食いチャレンジをやりに、各々旅客船の施設を楽しんでいた。
そしてリュウヤはと言うと……
「ここのオレンジジュースは美味いなぁ、素材の味がしてるぜ」
リュウヤはバーの一角でオレンジジュースを堪能していた。もう一度あえて言うが、これはオレンジジュースである。
すると、リュウヤの席の前に、黒い服の少女、もといメアがやってきた。
「のぅリュウヤ、隣良いか?」
「心配しなくても、隣の席は空いてるぜ」
リュウヤはオレンジジュースをグイッと飲み干しながら、隣の誰もいない丸椅子をポンポンと叩く。
そこにメアは遠慮しつつも座り、カウンターに両手を置いた。
リュウヤは「何か飲みたいもんある?」と訊く。それにメアは「ぶどうジュース」と小さな声で答える。
「ぶどうジュースです、どうぞ」
「ありがとマスター、こいつはお代ね」
リュウヤはマスターにお代 (500ゼルン)を渡し、代わりに瓶コーラのような容器に入ったぶどうジュースを受け取った。
「心配すんなって、コイツは俺の奢りだ。おかわりも良いぜ」
リュウヤは、隣でずっと右親指と左親指をグルグルと回して何か言いたげにしているメアを少しでも落ち着かせるように言う。
しかしメアは、ぶどうジュースも注がずに、ずっと空のグラスを見つめていた。
「……何か、悩んでんのかい?」
何も話さないメアが話しやすいよう、ぶどうジュースの栓を抜きながらリュウヤの方から訊ねる。
パンっと鉄の蓋が曲がって開く音がメアとリュウヤの居る片隅に響く。
「リュウヤは……」
「ん?」
「リュウヤはタクマの何なのじゃ?」
メアの問いを聞き、リュウヤはオレンジジュースを継ぎ足しながら「うーん」と唸る。
そして、小さく「俺がタクマの何なのかねぇ」と質問を繰り返し呟いた。
「答えづらい事なら答えなくてもよい、ただ少し気になってな」
「いや、いきなりの質問で驚いただけ。ちょっと考えさしてくれ」
リュウヤはそう言いながら、グラスに追加で注いだジュースに口をつけた。メアもまた、ぶどうジュースに口をつける。
そして、答えが出たのか、リュウヤはプハーッと息を吐いた後に「やっぱ、俺はタクマの“親友”だな」と少し曖昧に答えた。
「親友……?タクマも言っておったが、それは友達とどう違うのじゃ?」
「友達と親友の違いか、考えたことも無かったなぁ」
リュウヤはまたオレンジジュースを口に含みながら考えた。そしてメアも、答えを待つまでの間、グラスにジュースを注ぐ。
「俺が思うに、親友ってのは素の自分を曝け出して、本音をぶつけ合える、兄弟みたいな存在だと思ってる。友達だと、やっぱ遠慮して自分の意見引っ込めたりしちまうからさ」
リュウヤはいつもの気楽そうな口調で答えた。そしてその気楽そうな感じのまま「何でそんな事聞こうと思ったんだい?メアちゃん」と、今度はメアに訊ねた。
「お主とタクマ、いつも仲良さそうに話とかしておるから、お主はどう思ってるのかと思うてな」
「成る程ねぇ」
リュウヤはメアの答えを興味深い意見だなぁ、と思いながら、オレンジジュースの最後の一滴を飲んだ。
そしてゴクリ、と飲み干した所でリュウヤは「あ」と声に出した。
「もしかしてメアちゃん、俺とタクマが仲良すぎて、結婚しちまうんじゃねぇかってヒヤヒヤしてたなぁ?」
いきなりの言葉に驚いたメアは、ぶどうジュースを詰まらせて咽せる。
「な、何を言う!わ、妾はただお、お主がどう思っておるか気になっておっただけで……」
メアは顔を赤くし、頭から湯気を出して混乱しながら言う。
リュウヤは慌てるメアを見てフフッと笑った後「冗談だよ」と気楽に言った。
「でもまぁ、これで俺も訊こうと思ってた事聞けてよかったぜ」
「訊こうと思ってた事……?」
メアもぶどうジュースの最後の一滴を飲み、カウンターテーブルに優しくグラスを置きながら訊く。
「メアちゃんにとって、タクマはどんな人間に思われてんのかな、って気になってたんだ。」
「妾は何も答えてないぞ?」
「いいや、答えてくれたよ」
リュウヤはバーの天井を見上げながら答える。
そしてすぐ、メアの方に顔を向けて「ありがとよ」と笑顔で言った。
「さてっと、そろそろ部屋戻って眠るとしよう」
リュウヤは丸椅子を使って180度回転し、飛び降りるようにして椅子から降りた。
そして、バーの扉に手をかける。だが、「ありがとうございました」の合図でもあるドアチャイムのシャラシャラ音が鳴った所で、扉を開く手を止め、メアの方を振り返った。
「そうそう、親友と恋心ってのは同じようで実はちょっと違うんだぜ」
リュウヤは人差し指と中指を縦に重ねたような手銃で、撃ち抜くようなジェスチャーをしながら、笑顔で立ち去って行った。
「……って、何故妾がタクマの事を好きになってる程で話しておるのじゃぁぁ!!」
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