コピー使いの異世界探検記
第71話 復活した男、ハルトマン
「この度は本当に、助けていただきありがとうございます!」
教会に入って早々、見知らぬ男はタクマ達に頭を下げる。
「え……?誰じゃこの人」
「いや知らん、初めて見る」
タクマとメアは驚きながらもそうやり取りをする。
いやそもそも、本当に誰!?
ミイラが着ていた少し高そうな服を纏っているため、少なくともこの教会の神父とかでない事だけは見て取れる。
「あー、つかぬ事をお訊きするが、貴殿は一体……?」
どうする?的な空気の中、吾郎は率先して男の名を訊ねた。
すると男は「そうだった!」と思い出し、タクマ達6人を教会裏手の部屋へ入るように促す。
その内装は普通の木造の家とほとんど変わりはなかったが、その真ん中にはドンと立派な長机があり、その上には7つ、茶の入ったティーカップと大きなポットがあった。
「お話をしたいと頼んでお借りしました、どうぞお掛けください」
「は、はぁ……」
タクマ達は言われるがままに、椅子へと掛ける。
そして、全員が座ると、男はタクマに一枚、名刺のような物を渡した。
ギルドカードとは違い、そのカードには名前と職業しか書かれていなかった。
ハルトマン・ガルーディオ 憲兵、そこにはそう書かれてある。
「私は憲兵、賞金首捜査課のハルトマンと言う者です」
「賞金首捜査課ねぇ、まさかこの世界にも警察みてーなのが居るとは、たまげたなぁ」
リュウヤは名刺をじっと見つめながら言う。
確かに、この世界の治安維持をする存在は各国の兵士とかその辺りかと思っていた。
いやいやそんな事じゃない、まず先に訊くべき話があるじゃあないか。
「お礼ならいくらでも出すよ、君達は何が欲しいのかな?」
「い、いくらでも……!?」
いくらでも、その一言を聞いてノエルは目を光らせる。
だが、タクマは食いつきそうになったノエルを抑えるように「そんなお礼なんて、悪いですよ」と遠慮した。
「良いのかタクマ、貰える物は貰うべきじゃぞ?」
「そうです、今回は私の命が掛かっていたのです。何もお礼せずなんて……」
ハルトマンは必死でお礼をしようと、タクマ達に言う。
その熱意に押されたタクマは、
「じゃあ、この魔法石を一つください」
と、あの時拾った青い宝石を取り出した。
それを見て、ハルトマンは待ち構えていた物とは全然違って驚いたような顔をする。
「いいのかい、お金も全財産の8割くらいはあげるよ?」
「いやいやいやいや、流石に全財産は悪いですって」
「ハハハ、こんなに無欲な人を見るのは初めてだよ」
ハルトマンは凄く遠慮するタクマを見て笑う。
そして「安物だけど、僕が持っていたのは全部あげるよ」と、魔法石を譲った。
「それは風弾石(ふうだんせき)、一回使うと壊れちゃうから、全部あげるよ」
「これが魔法石……凄く綺麗でありんすな」
おタツは、タクマから一つ受け取った魔法石を教会の窓から入る光に当てる。
まるで綺麗な海の一部を切り取って、それを固めたように澄んだ青色をしている。
「そういえばハルトマン殿、貴方様は何故あの森の中で倒れていたのでござる?」
「あぁ、その事だね……」
ここに来る前の経緯として、ハルトマンはこう語った。
「今から大体二日前、僕らに設けられた事務所に、オニキスの情報を持つといった少女が現れたんだ」と。
その少女の姿は、生命力と共に記憶を奪われたせいか容姿は覚えていないそうだが、その人物が若い女性であると言う事だけは覚えているらしい。
「オニキスって、あの最強狩りのですか?」
ノエルが訊ねると、ハルトマンはゆっくりと頷いた。
「あぁ、あのオニキスだよ」
ハルトマンはそう言いながら、内ポケットにしまっていた小さなカードを見せる。
そこにはお世辞にも綺麗とは言えない、ちょっと歪んだ文字で「今夜、ガルキュイ平原の林に火を付ける オニキス」と書かれていた。所謂犯行予告である。
「タクマ、ナゴ助に付いていた手紙と黒い手紙、まだ持っておるか?」
「まだあるけど、どうすんだ?」
タクマは鞄から、ナゴ助がお金と一緒に持ってきた手紙と、味噌汁配りのおじさんから受け取った手紙を渡す。
するとメアは、その手紙二枚を広げ、オニキスが書いたと思われる犯行予告状の筆跡鑑定を始めた。
「それにしても、何でオニキスの犯行予告状を彼女が?」
「それは恐らく、ハルトマンを喰らう為に仕込んだ罠じゃな」
素早く筆跡鑑定を終えたメアは、疑問を抱いたリュウヤにそう答える。
「罠……ですか?」
「うむ、良く見なくとも、オニキスの方が案外整った字をしておる」
「なんて書いてあるか分からないでありんすが、予告状よりも手紙の方が整っている気がするでありんす」
メアの言う通り、良く見るとオニキスの字体は予告状よりも整っている。
まだ男らしさの残っている字体だが、それでもお世辞抜きで綺麗だ。まるでいい家庭に育てられ、いいしつけを叩き込まれた、そんな感じの人の筆跡だ。
「やっぱりそうか……」
「やっぱり?何の事でござるか?」
吾郎はハルトマンに訊ねる。
するとハルトマンはゆっくりと口を開いた。
「その時に気付くべきだったのだけどね、それは件の彼女が私を殺す為にあえて汚く書いた嘘の予告状だったんだ」
教会に入って早々、見知らぬ男はタクマ達に頭を下げる。
「え……?誰じゃこの人」
「いや知らん、初めて見る」
タクマとメアは驚きながらもそうやり取りをする。
いやそもそも、本当に誰!?
ミイラが着ていた少し高そうな服を纏っているため、少なくともこの教会の神父とかでない事だけは見て取れる。
「あー、つかぬ事をお訊きするが、貴殿は一体……?」
どうする?的な空気の中、吾郎は率先して男の名を訊ねた。
すると男は「そうだった!」と思い出し、タクマ達6人を教会裏手の部屋へ入るように促す。
その内装は普通の木造の家とほとんど変わりはなかったが、その真ん中にはドンと立派な長机があり、その上には7つ、茶の入ったティーカップと大きなポットがあった。
「お話をしたいと頼んでお借りしました、どうぞお掛けください」
「は、はぁ……」
タクマ達は言われるがままに、椅子へと掛ける。
そして、全員が座ると、男はタクマに一枚、名刺のような物を渡した。
ギルドカードとは違い、そのカードには名前と職業しか書かれていなかった。
ハルトマン・ガルーディオ 憲兵、そこにはそう書かれてある。
「私は憲兵、賞金首捜査課のハルトマンと言う者です」
「賞金首捜査課ねぇ、まさかこの世界にも警察みてーなのが居るとは、たまげたなぁ」
リュウヤは名刺をじっと見つめながら言う。
確かに、この世界の治安維持をする存在は各国の兵士とかその辺りかと思っていた。
いやいやそんな事じゃない、まず先に訊くべき話があるじゃあないか。
「お礼ならいくらでも出すよ、君達は何が欲しいのかな?」
「い、いくらでも……!?」
いくらでも、その一言を聞いてノエルは目を光らせる。
だが、タクマは食いつきそうになったノエルを抑えるように「そんなお礼なんて、悪いですよ」と遠慮した。
「良いのかタクマ、貰える物は貰うべきじゃぞ?」
「そうです、今回は私の命が掛かっていたのです。何もお礼せずなんて……」
ハルトマンは必死でお礼をしようと、タクマ達に言う。
その熱意に押されたタクマは、
「じゃあ、この魔法石を一つください」
と、あの時拾った青い宝石を取り出した。
それを見て、ハルトマンは待ち構えていた物とは全然違って驚いたような顔をする。
「いいのかい、お金も全財産の8割くらいはあげるよ?」
「いやいやいやいや、流石に全財産は悪いですって」
「ハハハ、こんなに無欲な人を見るのは初めてだよ」
ハルトマンは凄く遠慮するタクマを見て笑う。
そして「安物だけど、僕が持っていたのは全部あげるよ」と、魔法石を譲った。
「それは風弾石(ふうだんせき)、一回使うと壊れちゃうから、全部あげるよ」
「これが魔法石……凄く綺麗でありんすな」
おタツは、タクマから一つ受け取った魔法石を教会の窓から入る光に当てる。
まるで綺麗な海の一部を切り取って、それを固めたように澄んだ青色をしている。
「そういえばハルトマン殿、貴方様は何故あの森の中で倒れていたのでござる?」
「あぁ、その事だね……」
ここに来る前の経緯として、ハルトマンはこう語った。
「今から大体二日前、僕らに設けられた事務所に、オニキスの情報を持つといった少女が現れたんだ」と。
その少女の姿は、生命力と共に記憶を奪われたせいか容姿は覚えていないそうだが、その人物が若い女性であると言う事だけは覚えているらしい。
「オニキスって、あの最強狩りのですか?」
ノエルが訊ねると、ハルトマンはゆっくりと頷いた。
「あぁ、あのオニキスだよ」
ハルトマンはそう言いながら、内ポケットにしまっていた小さなカードを見せる。
そこにはお世辞にも綺麗とは言えない、ちょっと歪んだ文字で「今夜、ガルキュイ平原の林に火を付ける オニキス」と書かれていた。所謂犯行予告である。
「タクマ、ナゴ助に付いていた手紙と黒い手紙、まだ持っておるか?」
「まだあるけど、どうすんだ?」
タクマは鞄から、ナゴ助がお金と一緒に持ってきた手紙と、味噌汁配りのおじさんから受け取った手紙を渡す。
するとメアは、その手紙二枚を広げ、オニキスが書いたと思われる犯行予告状の筆跡鑑定を始めた。
「それにしても、何でオニキスの犯行予告状を彼女が?」
「それは恐らく、ハルトマンを喰らう為に仕込んだ罠じゃな」
素早く筆跡鑑定を終えたメアは、疑問を抱いたリュウヤにそう答える。
「罠……ですか?」
「うむ、良く見なくとも、オニキスの方が案外整った字をしておる」
「なんて書いてあるか分からないでありんすが、予告状よりも手紙の方が整っている気がするでありんす」
メアの言う通り、良く見るとオニキスの字体は予告状よりも整っている。
まだ男らしさの残っている字体だが、それでもお世辞抜きで綺麗だ。まるでいい家庭に育てられ、いいしつけを叩き込まれた、そんな感じの人の筆跡だ。
「やっぱりそうか……」
「やっぱり?何の事でござるか?」
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