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コピー使いの異世界探検記

鍵宮ファング

第60話 炎、骸骨兵士の最期

「ちぃ、次から次へと……」

メアとノブナガは城下町を暴れ回る骸骨兵士の相手をしながら言う。
しかし、倒しても倒しても、結界の中に入り込んだ骸骨兵士達は、覚醒したエンヴォスの力によってすぐに復活を遂げる。

「こっちも間に合いません!」

ノエルは燃え盛る家々に《ウォーター》を放って消火を試みる。
だが、火の勢いが強く、ノエルのウォーターだけでは対処しきれなかった。
それだけでなく、骸骨兵士は口から赤い霧を吐き出し、全ての骸骨兵士を強化する。

「ならばこれを食うがよい!《メガ・ドゥンケル》!」

メアは両手に極限まで闇の気を貯め、それを先陣を切って飛びかかってきた骸骨兵士に撃ち放つ。
すると、強くなった代わり、に闇を吸収する力が損なわれたのか、骸骨兵士は闇の中へと消えていった。

「まずは1匹!」
「だがまだ油断は出来ぬ……」

ノブナガはパッと消えた気弾の影から現れた第二、第三の骸骨兵士の首に刀を振り、首を切り落とす。
だが、それでも骸骨兵士は首なしでも動き続ける。
しかも、消火の邪魔をするように、ノエルに向けて斬撃を放った。

「ノエル!伏せるのじゃ!」
「わわっ!!」

メアからの警告でノエルは何とか避けたが、斬撃によって、消火に当たっていた家は真っ二つに斬られてしまった。
しかも中から「熱い!熱い!」と悲鳴が聞こえる。
それを聞き、ノエルの目から一瞬光が消える。

「ノエル、ここはワシに任せい!」

だが、ノブナガは絶望しかけたノエルを支えるように、自ら倒壊した家へと突撃した。

「ノブナガ様!!」
「とにかく他を当たるのじゃ!こっちは妾が何とかする!」

メアはノエルが次に火の手が大きいエリアへ行けるように、近くに居る骸骨兵士を手当たり次第にナイフで迎撃する。
だが、それでも骸骨兵士は減らなかった。
《メガ・ドゥンケル》、確かに力は強いが、その分魔力消費も激しい。
それに投げナイフも、そろそろ限界が近づいて来る。

「妾だけではキツいぞ……」
「だったら私も手伝います!!」

ノエルは次の場所へ向かおうとする足を回れ右させ、助走をつけて骸骨兵士を殴った。
そして、馬鹿力が功をなし、骸骨兵士の骨はバッキバキに折れ、再起不能になった。

「それにしても、ノブナガ様大丈夫なんでしょうか……」
「あれから何も聞こえぬが、まさか……」

メアとノエルは骸骨兵士を撃退しながら、ノブナガの事を心配する。
しかし、その油断を突かれ、骸骨兵士は真っ赤に染まった刀をノエルに向けて振り下ろす。

「あ……」

ノエルが気付いた時にはもう既に、避けられない辺りまで降ろされていた。
走馬灯を見る為の猶予か、周りの時が遅くなる。

助けられない、余計な事を考えていたばかりに……

メアはその刹那の中で、自分の不注意を責めた。
だがその時、誰かがメアに語りかけてきた。

『友を、助けたいか……?』
「な、何者じゃ……!?」
『汝、友を助けたいか……?』
「当たり前じゃ!」

メアはうるさいと思いながらも、そう答える。
すると、何故かは分からないが、急に右手が熱くなった。
何事かと右手を見ると、なんとその右手は燃えていた。

「な、何じゃこれは!!」
『それこそ我が力、我と共に唱えるのだ』

そう頭の中に囁かれ、メアは何だか分からないが、その声に従った。

「『炎と心を同調せし時、汝炎を纏いて敵を滅さん』」

その聞き覚えのあるようなないような呪文が、頭の中に流れ込む。
そしてその契約呪文を唱えたと同時に、メアの体は自然と動き出していた。

「仲間に手出しはさせぬ!《ダガー・フレア》!!」

メアは頭の中に浮かんだ技名を叫び、投げナイフと炎を合わせた武器を骸骨兵士に投げつける。
すると、その骸骨兵士の骨は一気に燃え上がり、ノエルの目の前で散った。
しかし一体倒したのも束の間、メアは肩を別の骸骨兵士に斬られてしまった。それも、投げナイフを投げるのに欠かせない右腕を。
この状態で投げれば、傷が広がってしまう。

「くそう、ここまでか……」

だがその時、ノブナガが飛び込んだ民家から、凄まじい炎柱が上がった。
炎柱は城よりも高く立ち上がる。
その姿はまさに、龍のようだった。

「な、何ですか一体……」

ノエルは襲ってきた骸骨兵士をノールックで的確に頭蓋骨を殴り倒しながら、その様子を見る。
するとそこから、炎のオーラを纏った刀 鬼丸国綱を持ち、気絶した少年を抱えたノブナガが現れた。

「ノブナガ様!?」
「生きておったのか!!」

メアは目を丸くして、ノブナガに駆け寄る。
ノブナガは駆け寄ってきたメアの頭を、笑いながら撫でた。

「ワシに炎は効かぬ。それにワシは第六天魔王、この程度で死んでは自ら名乗っておられんわい」
「だいろく……てんまおう?」

メアは首を傾げる。
するとノブナガは、メア達を守るように前線に立ち、ゆっくりと口を開いた。

「住処に困る者に住処を、飯に困る者に飯を与える、それこそが第六天魔王なのだ。覚えておきたまえ」

ノブナガはそう言うと、後ろから不意打ちをかけようとしていた骸骨兵士を斬った。
すると、その骸骨兵士は一瞬で燃えカスとなり、土に還る。
そして更に、周りの炎達を刀に集め、地面に刀を突き刺した。

「煉獄の龍よ、我が本能の鬼火を喰らいて骸を土へと返すがよい!」

そう言うと、突き刺した鬼丸国綱は燃え上がった。
ノブナガはそれを掴み、一気にその刀を引き抜く。
するとそこから炎が血のように吹き出し、メアとノエルにも力を与えた。

「これが煉獄の……ようし、ドンと来い!!」
「妾の魔力も大復活じゃ!!」

力が溢れ出てくるメア達は、それぞれ得意な武器を炎と共に使い、次々と骸骨兵士を倒して行った。
そして残り三体、最後は本気の一撃で決着を付けようと、三人は己の武器を握りしめる。
それと同時に、骸骨兵士達も飛びかかる。

「《ダガー・フレア》!!」
「〈悪霊滅却・鬼斬〉」
「このやろぉぉぉぉぉぉ!!!」

三人は共に三体の骸骨兵士に必殺技を放った。
そして、骸骨兵士達は倒れ、真っ黒な塵となり土へと還る。

「……あぁ〜、疲れました〜」

勝利した事で緊張の糸が解けたノエルは、倒れるように、燃えかけた団子屋の椅子に腰掛ける。

「エンヴォスの方も倒れたようじゃし、もう安心じゃな」
「子供も民も無事、メア、ノエル、協力感謝する」

ノブナガはゆっくりと体を伸ばす二人に、頭を下げて感謝する。
そしてひと段落ついた時、ノブナガは城から邪な気配を感じ取り、城を睨みつけた。

「ノブナガ様……どうかしましたか?」

ノエルは椅子からパッと立ち上がり、ノブナガに訊ねる。
するとノブナガは「嫌な予感がする」と小さく答えた。

「ノエル、とにかく急ぐぞ!」

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