コピー使いの異世界探検記
第56話 記憶、骸の財源
唐突に、大きな骸骨の腕が城の屋根を破壊する。
そしてその屋根の瓦礫が落下し、タクマとリュウヤ達との間に壁を作る。
「リュウヤ!」
しかし、声を掛けて安心したも束の間、廻縁(最上階のバルコニーみたいなもの)を、またその骸骨の腕が掴みかかってきた。
『我が名は嫉妬のエンヴォス、この世全ての妬みを司りし財源の仮面であり、記憶の魔術師だった者ぞ!』
そう名を名乗りながら、巨大な頭蓋骨が現れた。
いや違う、骸骨の巨人が姿を現したのだ。
姿はさっきまで纏っていた漆黒の鎧などを脱ぎ捨てた、ただの巨大な骸骨のよう。
しかし、顔に付けていた不気味な仮面のような物はそのまま巨大化している。
「エンヴォス……それってまさか……!」
エンヴォス、その名を聞いて、タクマはある事を思い出した。
そう、ウォルで医師から聞いたタナカトス伝説に登場した男、そして特殊な記憶操作魔法《デメルモ》を使用していたという者の事を。
「まさか……吾郎爺の記憶を消したのは……」
『いかにも、我の能力《デメルモ》で消した!』
それを聞いた後、壁の向こうから誰かが膝から崩れ落ちるような音がした。
その事実を知って、吾郎が崩れたのだ。
「……何故だ」
「何で吾郎爺の記憶を消したっ!!」
リュウヤはエンヴォスに訊く。
するとエンヴォスは、高笑いしながら何故吾郎の記憶を選んだのか答えた。
『たまたま近くにその老いぼれが居たからな、復活早々の調子確認に使わせてもらった』
「そんな事で他人の記憶を……弄ぶでないっ!!」
怒りに震えた吾郎は、刀を引き抜いてエンヴォスに突っ走った。
しかし侍とはいえ、巨大な骸骨に老人一人では太刀打ち出来ず、タクマとリュウヤ達を阻んでいた壁に打ち付ける。
「ぐはぁっ!!」
「吾郎爺っ!」
タクマはいきなり隣の部屋から飛んできた吾郎のクッション代わりに、わざと当たりに行った。
全身に吾郎の体重がのしかかる。
「すまない……タクマ殿……」
「大丈夫です、それよりアイツを……」
そんな話をしている間にも、エンヴォスは大きな手でノブナガ達を襲う。
「うわぁぁっ!!ノエルちゃん!起きてくれっ!!」
戦闘経験のないリュウヤは、倒れたノエルを担ぎながら、必死に避ける。
そしてノブナガも吾郎も、とにかくダメージを稼ごうと刀を振る。
しかし、エンヴォスの骨は硬く、ノブナガや吾郎の刀も通らない。
勿論タクマの剣も、弾かれてしまった。
「くそッ!デカイし硬いし、勝ち目が……」
「アレを見るでござる」
吾郎はエンヴォスの身体に何かある事を発見し、それを指差す。
そしてそれを見ると、エンヴォスの肋骨の中を、紫の光がフワフワとしている事に気が付いた。
そう、それこそが奴のコア、紫のオーブなのだ。
「そうか、アレを狙えば!」
「けどどうすんだよ……俺は何も……」
するとノブナガは、リュウヤに一本の刀を投げ渡した。
リュウヤはそれを受け取り、鞘から刀を取り出す。
「これって……愛刀の長篠一文字じゃ……」
「リュウヤ!ソイツはお主に託した!勇気を出すのだ!」
「……分かりました、やります!」
リュウヤはノブナガにそう答え、刀を構える。
『フン、貴様らの貧弱な鉄の棒など蚊の針に等しいわ!』
「それはどうかな?骨のデカブツ」
ノブナガは刀を引き抜き、エンヴォスを煽る。
するとエンヴォスはその事に対して鼻で笑い『ならば教えてやろう!貴様が貧弱な王であると!』と乗り、上からノブナガを叩き潰す。
「ノブナガ殿!」
「ノブナガ様!!」
だが様子がおかしい。エンヴォスの手が完全に床へ付いていない。
『なかなかやるな、流石は第六天魔王と名乗るだけはある』
「伊達に47まで生きた訳でない、その程度で死ぬ程貧弱ではない!」
そう、ノブナガは自慢の刀で、エンヴォスの手を受け止めていたのだ。
そして、ノブナガはぎこちないウィンクをタクマ達に向けながら「ここから伝って行け!」と言う。
「よし!行くでござる!」
「あぁ!吾郎爺っ!!」
タクマ達はそう言い、右腕の骨を伝ってコアの場所まで向かった。
しかし、エンヴォスもただ闇雲にノブナガを潰す事だけしか考えていない訳ではなく、その行手を仮面の触手がタクマ達の行手を阻む。
「うおっ!気持ち悪っ!」
リュウヤとタクマ、そして吾郎は、とにかくそれを上手く回避して、肩まで向かおうとする。
だが、触手はただ邪魔をするのではなく、吸盤から沢山の魔弾を撃ってきた。
「それならこっちもお返しだ!」
タクマはまず、邪魔な触手を破壊するために、まず飛んできた光の弾をコピーする。
そして、闇の弾を放っている吸盤の所へ「《コピー・ライトニング》!」と唱えながら光の弾を投げつけた。
「お前そんな隠し芸あったのかよ……」
「お陰様で訳あり冒険家になっちまったけど、結構使えるんだぜコレ」
タクマは驚くリュウヤにそう言いながら、とにかく飛んでくる魔弾をコピーしては反属性の吸盤に打ち付ける。
『ええい!ちょこまかと調子に乗りやがって!』
「うわっ!!」
怒るエンヴォスは、ただひたすらに第一目標の肩へと突っ走る吾郎の体を、仮面の触手で絡み取り、拘束した。
「吾郎爺!」
タクマは叫ぶ。
「拙者の事はいいでござる!」
「良くねぇよ吾郎爺!今助けに行くぞ!!」
そう言ってリュウヤは、吾郎を拘束した触手の前まで向かった。
『こんな老いぼれ風情に自らを犠牲にするか』
そうエンヴォスはリュウヤを馬鹿にし、多くの触手で攻撃をしかけてきた。
だが、リュウヤはそれを利用し、吾郎を拘束している触手の所まで走り、飛び上がる。
「吾郎爺返しやがれ!たこ焼きにすんぞっ!!」
リュウヤは叫び、触手に長篠一文字を斬りつける。
そして、何とか一部だけ触手を切り落とした事により、吾郎の拘束を解いた。
しかし、その油断を逆手に取られ、別の所から来る触手に叩かれ、二人は呆気なく城に打ち付けられてしまう。
「ぐほっ!!」
リュウヤと吾郎は、城の小部屋にある窓にぶつかり、窓の木材と共に倒れる。
「イッテテ……吾郎爺、腰やってないか?」
打ち付けられたリュウヤは、自分の体ではなく、隣で倒れている吾郎を気にして手を差し伸べる。
「かたじけない、どこも怪我は無いでござるよ」
「タクマ!俺らは大丈夫だ!すぐ戻る!!」
リュウヤは壊れた窓から、大声でタクマに伝える。
「わかった!俺もこっちで何とかする!」
そしてその屋根の瓦礫が落下し、タクマとリュウヤ達との間に壁を作る。
「リュウヤ!」
しかし、声を掛けて安心したも束の間、廻縁(最上階のバルコニーみたいなもの)を、またその骸骨の腕が掴みかかってきた。
『我が名は嫉妬のエンヴォス、この世全ての妬みを司りし財源の仮面であり、記憶の魔術師だった者ぞ!』
そう名を名乗りながら、巨大な頭蓋骨が現れた。
いや違う、骸骨の巨人が姿を現したのだ。
姿はさっきまで纏っていた漆黒の鎧などを脱ぎ捨てた、ただの巨大な骸骨のよう。
しかし、顔に付けていた不気味な仮面のような物はそのまま巨大化している。
「エンヴォス……それってまさか……!」
エンヴォス、その名を聞いて、タクマはある事を思い出した。
そう、ウォルで医師から聞いたタナカトス伝説に登場した男、そして特殊な記憶操作魔法《デメルモ》を使用していたという者の事を。
「まさか……吾郎爺の記憶を消したのは……」
『いかにも、我の能力《デメルモ》で消した!』
それを聞いた後、壁の向こうから誰かが膝から崩れ落ちるような音がした。
その事実を知って、吾郎が崩れたのだ。
「……何故だ」
「何で吾郎爺の記憶を消したっ!!」
リュウヤはエンヴォスに訊く。
するとエンヴォスは、高笑いしながら何故吾郎の記憶を選んだのか答えた。
『たまたま近くにその老いぼれが居たからな、復活早々の調子確認に使わせてもらった』
「そんな事で他人の記憶を……弄ぶでないっ!!」
怒りに震えた吾郎は、刀を引き抜いてエンヴォスに突っ走った。
しかし侍とはいえ、巨大な骸骨に老人一人では太刀打ち出来ず、タクマとリュウヤ達を阻んでいた壁に打ち付ける。
「ぐはぁっ!!」
「吾郎爺っ!」
タクマはいきなり隣の部屋から飛んできた吾郎のクッション代わりに、わざと当たりに行った。
全身に吾郎の体重がのしかかる。
「すまない……タクマ殿……」
「大丈夫です、それよりアイツを……」
そんな話をしている間にも、エンヴォスは大きな手でノブナガ達を襲う。
「うわぁぁっ!!ノエルちゃん!起きてくれっ!!」
戦闘経験のないリュウヤは、倒れたノエルを担ぎながら、必死に避ける。
そしてノブナガも吾郎も、とにかくダメージを稼ごうと刀を振る。
しかし、エンヴォスの骨は硬く、ノブナガや吾郎の刀も通らない。
勿論タクマの剣も、弾かれてしまった。
「くそッ!デカイし硬いし、勝ち目が……」
「アレを見るでござる」
吾郎はエンヴォスの身体に何かある事を発見し、それを指差す。
そしてそれを見ると、エンヴォスの肋骨の中を、紫の光がフワフワとしている事に気が付いた。
そう、それこそが奴のコア、紫のオーブなのだ。
「そうか、アレを狙えば!」
「けどどうすんだよ……俺は何も……」
するとノブナガは、リュウヤに一本の刀を投げ渡した。
リュウヤはそれを受け取り、鞘から刀を取り出す。
「これって……愛刀の長篠一文字じゃ……」
「リュウヤ!ソイツはお主に託した!勇気を出すのだ!」
「……分かりました、やります!」
リュウヤはノブナガにそう答え、刀を構える。
『フン、貴様らの貧弱な鉄の棒など蚊の針に等しいわ!』
「それはどうかな?骨のデカブツ」
ノブナガは刀を引き抜き、エンヴォスを煽る。
するとエンヴォスはその事に対して鼻で笑い『ならば教えてやろう!貴様が貧弱な王であると!』と乗り、上からノブナガを叩き潰す。
「ノブナガ殿!」
「ノブナガ様!!」
だが様子がおかしい。エンヴォスの手が完全に床へ付いていない。
『なかなかやるな、流石は第六天魔王と名乗るだけはある』
「伊達に47まで生きた訳でない、その程度で死ぬ程貧弱ではない!」
そう、ノブナガは自慢の刀で、エンヴォスの手を受け止めていたのだ。
そして、ノブナガはぎこちないウィンクをタクマ達に向けながら「ここから伝って行け!」と言う。
「よし!行くでござる!」
「あぁ!吾郎爺っ!!」
タクマ達はそう言い、右腕の骨を伝ってコアの場所まで向かった。
しかし、エンヴォスもただ闇雲にノブナガを潰す事だけしか考えていない訳ではなく、その行手を仮面の触手がタクマ達の行手を阻む。
「うおっ!気持ち悪っ!」
リュウヤとタクマ、そして吾郎は、とにかくそれを上手く回避して、肩まで向かおうとする。
だが、触手はただ邪魔をするのではなく、吸盤から沢山の魔弾を撃ってきた。
「それならこっちもお返しだ!」
タクマはまず、邪魔な触手を破壊するために、まず飛んできた光の弾をコピーする。
そして、闇の弾を放っている吸盤の所へ「《コピー・ライトニング》!」と唱えながら光の弾を投げつけた。
「お前そんな隠し芸あったのかよ……」
「お陰様で訳あり冒険家になっちまったけど、結構使えるんだぜコレ」
タクマは驚くリュウヤにそう言いながら、とにかく飛んでくる魔弾をコピーしては反属性の吸盤に打ち付ける。
『ええい!ちょこまかと調子に乗りやがって!』
「うわっ!!」
怒るエンヴォスは、ただひたすらに第一目標の肩へと突っ走る吾郎の体を、仮面の触手で絡み取り、拘束した。
「吾郎爺!」
タクマは叫ぶ。
「拙者の事はいいでござる!」
「良くねぇよ吾郎爺!今助けに行くぞ!!」
そう言ってリュウヤは、吾郎を拘束した触手の前まで向かった。
『こんな老いぼれ風情に自らを犠牲にするか』
そうエンヴォスはリュウヤを馬鹿にし、多くの触手で攻撃をしかけてきた。
だが、リュウヤはそれを利用し、吾郎を拘束している触手の所まで走り、飛び上がる。
「吾郎爺返しやがれ!たこ焼きにすんぞっ!!」
リュウヤは叫び、触手に長篠一文字を斬りつける。
そして、何とか一部だけ触手を切り落とした事により、吾郎の拘束を解いた。
しかし、その油断を逆手に取られ、別の所から来る触手に叩かれ、二人は呆気なく城に打ち付けられてしまう。
「ぐほっ!!」
リュウヤと吾郎は、城の小部屋にある窓にぶつかり、窓の木材と共に倒れる。
「イッテテ……吾郎爺、腰やってないか?」
打ち付けられたリュウヤは、自分の体ではなく、隣で倒れている吾郎を気にして手を差し伸べる。
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