コピー使いの異世界探検記
第49話 大和の謎、誰かの野望
それから早朝、タクマは誰かがブツブツと独り言を言う声を聞いて目を覚ます。
声からして、少なくとも神とか名乗ってたあの少年でないのは確かだ。
「やはりこの玉の力は本物のようだな……」
「結界も破れた、後はあの異邦人共をどうにかすれば、この国は……クックック」
まるで、わざと俺達に聞こえるように言っているみたいで気味が悪い。
それより異邦人?俺たちの事か?とにかく何か不穏な事であるのは間違いない。
タクマは、自分の剣を持ち、勢いよく襖を開けた。
今ならまだ止められる、今度こそ目の前の悪行を事前に……
「うわぁっ!!」
襖を開けると、そこにはなんと縁側で刀の手入れをしていたノブナガが居た。
そして、ノブナガは急に後ろから剣を持って現れた人物を見て驚いた。
「何だタクマか、驚かさないでくれ」
ノブナガは現れた人がタクマである事を見て、ホッとする。
しかし、タクマは全然ホッとしなかった。
何故なら、さっきの不穏な声がノブナガ様のものだとしたら、そう思ってしまうからである。
「それよりどうだね?大和は」
「は、はい。すごく綺麗で素晴らしい国かと」
タクマは、そこにノブナガが居るとも思わなかった驚きを隠しながらも、ノブナガの問いに答えた。
だが、何故ここにノブナガ様が……?それに玉って……
そして昨日、骸骨兵士を無慈悲に斬り殺した事。
タクマは勇気を振り絞って、真相を訊こうとした。
「あの、ノブナガ様……」
しかし、名前を呼んだところで、ノブナガは手を挙げて、タクマを黙らせた。
「訊くな、あの事件は結界の綻びが原因、それだけの話だ」
「ワシも何かいい気がせん、悪い事は言わぬ、朝食を食ったら荷物を纏めて帰る準備をしたまえ」
そう強めに言って、ノブナガはどこかへ去ってしまった。
もし仮にあの声がノブナガ本人の物だとしても、そうしたら何故俺達の寝ていた部屋の前でそんな事を……?
けどあの人柄から見ても、ノブナガ様がそんな事をするような人には思えない。
それに、何を目的に自分の国の脅威となる事をすると言うのだ。
「あー、頭がこんがらがるっ!!」
タクマは考えすぎて、心の声が漏れた。
すると、その声を聞いて、メアとノエルが目を覚ました。
「うるさいのぅ、朝っぱらから何騒いでおる」
「すまん、ちょっと難しい考え事をしてたらつい……」
タクマは首裏を掻きながら、そう伝えた。
それはそれとして、あの声がの主が言っていた「玉」とは一体。オーブの事か?
もしそうだとしたら、この国の何処かに?
そう考え込んでいると、タクマの腹がぎゅるると音を立てた。
「そろそろ食事の時間ですかね、私もお腹ペコペコです」
「だな、まずは飯食ってから考えるべ」
【宴会場】
タクマ達がそこへ行くと、既に多くの侍や使用人、ノブナガやリュウヤ達が既に座っていた。
本日のメニューは、白米にたくあん、味噌汁の和朝食のようだ。
「おぉ!今日のご飯も美味しそうですよ!」
「さて、揃った訳だし……」
ノブナガは全員が座ったのを見て、手を合わせながら「いただきます」のご唱和をかけた。
『いただきます』
唱和が終わると、全員一斉に白米を口に運んだ。
「おぉっ!」
ホクホクで柔らかい米の素直な味が、口に広がる。
そして、次に味噌汁を飲む。
剱崎秘伝味噌の独特な味が口に広がり、具材の脆い豆腐が、更に味を引き立てる。
やはり極上和食屋の孫、料理の腕はまさにチート級だ。
箸が止まらない、メア達もアルゴで配布された味噌汁以上に、美味しく飲んでいる。
「やはりリュウヤの飯は最高じゃ!」
「タクマさんったら、こんなに凄い人と親友なんて、ズルいですよ!」
二人に言われ、何故かタクマは照れた。
しかしその時、事件は起きた。
「ぐっ!ぐはぁ!あぁぁぁ!!!」
一人の侍が味噌汁を飲んだ途端、急に首を押さえて悶え出したのだ。
いきなりの出来事に、ノブナガは味噌汁の碗を落とし、すぐさま侍のもとに駆け寄った。
「おい!しっかりしろ!……死んでいる」
ノブナガは動かなくなった侍の脈を測り、そう言った。
そして、見てられなくなったノエルは、タクマに抱きついて泣き出した。
「貴様!飯に何を入れた!」
隣に座っていた黒銀が、リュウヤの胸ぐらを掴み、怒鳴りつけた。
確かに料理に毒が入っていたとなれば、リュウヤが怪しい。
しかし、もし料理に入れるとしたらそのまま全員の味噌汁に入れる事だろう。
と言うより、そもそもフレンドリーなリュウヤがわざわざ飯に毒を入れて殺す筈がない。
それに、リュウヤだって何が何だか分からない表情をしている。
「待ってくれ黒銀さん、俺は本当に何も知らない!それに何のために俺が殺すって言うんだ!それに、料理番は俺たちだけじゃねぇ、毒仕込んでたら誰が仕込んだかなんてすぐに分かる!」
胸ぐらを掴んだ手を握りながら、リュウヤは弁解する。
「そうです、私だってしっかりと味噌汁を見ておりましたが、誰も毒なんて入れてません」
そして、料理番の一人である女性が、リュウヤの無実を証明する。
更に、「確かに、リュウヤが生きがいの和食に毒を仕込むとは思えぬ」と、ノブナガ直々に疑いを晴らされた。
「ちぃ!ノブナガ様に信頼されているからって調子に乗るなよ!」
「うわっ!」
腹を立てた黒銀は、リュウヤを突き飛ばした。
ガッシャーン!と言う大きな音と共に、完食後の碗などが散乱して割れる。
「お前様!」「リュウヤ!」
突き飛ばされたリュウヤに、おタツとタクマは駆け寄る。
そして、親友にした仕打ちに、タクマは怒りを抑えきれなくなった。
「おい!俺の親友になんて事してくれんだ!」
今度はタクマが黒銀の胸ぐらを掴もうとした。
しかし、怒りで暴走する前に、ノエルが胸ぐらに伸ばした腕を止めた。
「ダメです、気持ちは分かりますが……」
「……ごめん」
我を取り戻したタクマは、ゆっくりと腕を戻した。
「全く、最近の若い者はカッとなるとすぐに手を出すから嫌になる」
ご立腹な様子の黒銀は、嫌味混じりでタクマを罵倒して、乱れた着物を戻す。
そして、その後すぐにノブナガは「だがまだこの城に犯人が居るのは確かだ、門を完全封鎖せよ!」と、侍達に伝えた。
声からして、少なくとも神とか名乗ってたあの少年でないのは確かだ。
「やはりこの玉の力は本物のようだな……」
「結界も破れた、後はあの異邦人共をどうにかすれば、この国は……クックック」
まるで、わざと俺達に聞こえるように言っているみたいで気味が悪い。
それより異邦人?俺たちの事か?とにかく何か不穏な事であるのは間違いない。
タクマは、自分の剣を持ち、勢いよく襖を開けた。
今ならまだ止められる、今度こそ目の前の悪行を事前に……
「うわぁっ!!」
襖を開けると、そこにはなんと縁側で刀の手入れをしていたノブナガが居た。
そして、ノブナガは急に後ろから剣を持って現れた人物を見て驚いた。
「何だタクマか、驚かさないでくれ」
ノブナガは現れた人がタクマである事を見て、ホッとする。
しかし、タクマは全然ホッとしなかった。
何故なら、さっきの不穏な声がノブナガ様のものだとしたら、そう思ってしまうからである。
「それよりどうだね?大和は」
「は、はい。すごく綺麗で素晴らしい国かと」
タクマは、そこにノブナガが居るとも思わなかった驚きを隠しながらも、ノブナガの問いに答えた。
だが、何故ここにノブナガ様が……?それに玉って……
そして昨日、骸骨兵士を無慈悲に斬り殺した事。
タクマは勇気を振り絞って、真相を訊こうとした。
「あの、ノブナガ様……」
しかし、名前を呼んだところで、ノブナガは手を挙げて、タクマを黙らせた。
「訊くな、あの事件は結界の綻びが原因、それだけの話だ」
「ワシも何かいい気がせん、悪い事は言わぬ、朝食を食ったら荷物を纏めて帰る準備をしたまえ」
そう強めに言って、ノブナガはどこかへ去ってしまった。
もし仮にあの声がノブナガ本人の物だとしても、そうしたら何故俺達の寝ていた部屋の前でそんな事を……?
けどあの人柄から見ても、ノブナガ様がそんな事をするような人には思えない。
それに、何を目的に自分の国の脅威となる事をすると言うのだ。
「あー、頭がこんがらがるっ!!」
タクマは考えすぎて、心の声が漏れた。
すると、その声を聞いて、メアとノエルが目を覚ました。
「うるさいのぅ、朝っぱらから何騒いでおる」
「すまん、ちょっと難しい考え事をしてたらつい……」
タクマは首裏を掻きながら、そう伝えた。
それはそれとして、あの声がの主が言っていた「玉」とは一体。オーブの事か?
もしそうだとしたら、この国の何処かに?
そう考え込んでいると、タクマの腹がぎゅるると音を立てた。
「そろそろ食事の時間ですかね、私もお腹ペコペコです」
「だな、まずは飯食ってから考えるべ」
【宴会場】
タクマ達がそこへ行くと、既に多くの侍や使用人、ノブナガやリュウヤ達が既に座っていた。
本日のメニューは、白米にたくあん、味噌汁の和朝食のようだ。
「おぉ!今日のご飯も美味しそうですよ!」
「さて、揃った訳だし……」
ノブナガは全員が座ったのを見て、手を合わせながら「いただきます」のご唱和をかけた。
『いただきます』
唱和が終わると、全員一斉に白米を口に運んだ。
「おぉっ!」
ホクホクで柔らかい米の素直な味が、口に広がる。
そして、次に味噌汁を飲む。
剱崎秘伝味噌の独特な味が口に広がり、具材の脆い豆腐が、更に味を引き立てる。
やはり極上和食屋の孫、料理の腕はまさにチート級だ。
箸が止まらない、メア達もアルゴで配布された味噌汁以上に、美味しく飲んでいる。
「やはりリュウヤの飯は最高じゃ!」
「タクマさんったら、こんなに凄い人と親友なんて、ズルいですよ!」
二人に言われ、何故かタクマは照れた。
しかしその時、事件は起きた。
「ぐっ!ぐはぁ!あぁぁぁ!!!」
一人の侍が味噌汁を飲んだ途端、急に首を押さえて悶え出したのだ。
いきなりの出来事に、ノブナガは味噌汁の碗を落とし、すぐさま侍のもとに駆け寄った。
「おい!しっかりしろ!……死んでいる」
ノブナガは動かなくなった侍の脈を測り、そう言った。
そして、見てられなくなったノエルは、タクマに抱きついて泣き出した。
「貴様!飯に何を入れた!」
隣に座っていた黒銀が、リュウヤの胸ぐらを掴み、怒鳴りつけた。
確かに料理に毒が入っていたとなれば、リュウヤが怪しい。
しかし、もし料理に入れるとしたらそのまま全員の味噌汁に入れる事だろう。
と言うより、そもそもフレンドリーなリュウヤがわざわざ飯に毒を入れて殺す筈がない。
それに、リュウヤだって何が何だか分からない表情をしている。
「待ってくれ黒銀さん、俺は本当に何も知らない!それに何のために俺が殺すって言うんだ!それに、料理番は俺たちだけじゃねぇ、毒仕込んでたら誰が仕込んだかなんてすぐに分かる!」
胸ぐらを掴んだ手を握りながら、リュウヤは弁解する。
「そうです、私だってしっかりと味噌汁を見ておりましたが、誰も毒なんて入れてません」
そして、料理番の一人である女性が、リュウヤの無実を証明する。
更に、「確かに、リュウヤが生きがいの和食に毒を仕込むとは思えぬ」と、ノブナガ直々に疑いを晴らされた。
「ちぃ!ノブナガ様に信頼されているからって調子に乗るなよ!」
「うわっ!」
腹を立てた黒銀は、リュウヤを突き飛ばした。
ガッシャーン!と言う大きな音と共に、完食後の碗などが散乱して割れる。
「お前様!」「リュウヤ!」
突き飛ばされたリュウヤに、おタツとタクマは駆け寄る。
そして、親友にした仕打ちに、タクマは怒りを抑えきれなくなった。
「おい!俺の親友になんて事してくれんだ!」
今度はタクマが黒銀の胸ぐらを掴もうとした。
しかし、怒りで暴走する前に、ノエルが胸ぐらに伸ばした腕を止めた。
「ダメです、気持ちは分かりますが……」
「……ごめん」
我を取り戻したタクマは、ゆっくりと腕を戻した。
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