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コピー使いの異世界探検記

鍵宮ファング

第36話 荒廃した遺跡

【ウォル ギルド居酒屋】

「にしても、その者達の居所すら掴めておらぬのに、キョーハイ遺跡前までの馬車を頼んでどうするつもりじゃ?」

メアは、頼んだグレープジュースを手に取り、訊いた。
それにタクマは、「そこに居る気がするんだ」と、答える。

「実は俺とブレイクさんがハグれた時、その遺跡の前でオニキスに会ってよ」
「その時言ってた“ここは危険だ”、ってのが気になってさ」
「それが、ビーグさんの部下達が居る場所かもしれない……って事ですか?」

コップの氷を全て飲み込んで、ノエルがそう言うと、タクマは頷いた。
そして、タクマは小さく「ありがとよ」と呟いた。

『キョーハイ遺跡行き馬車、発車まであと5分となりました』
「タクマが言うなら多分そう、行くぞお主ら!」

メアは元気に拳を上げ、タクマとノエルを引っ張るようにして馬車に乗った。

「あ、そういやメア……」
「何じゃ?」
「お前、いつからリーダーになったんだ?」
「さぁて、いつからじゃろうな〜」


………
……
【キョーハイ遺跡】
やっと着いた、あの時の場所。
やっぱり、荒廃した都市のような見た目の遺跡、いつ見ても美しく思える。
けど、それと同時に恐ろしくも感じる。
現代とは関係のないモノかもしれないけど、もしかしたら……いやそんな事があるものか
そう考えていると、メアが何かに気付いて走っていった。

「メアさん、どこ行くんですか!」
「お主ら〜!あれを見てみるのじゃ〜!」

タクマ達はそう言われ、メアが指さした廃ビルのようなモノを見た。
すると、そのビルの入り口が空いているのが見えた。

「メア、ノエル、行けるか?」
「は、はいっ!」
「よーし!突入じゃ!!」


【廃ビル 内部】

「ほ、本当にこんな所に残りの5人が居るんですか……?」

ノエルはオドオドしながら訊く。
しかも、杖をすごい力で杖を握って構えている。
しかも何かメシメシ言ってるけど、これ本当に大丈夫か?

タクマ達は、周りを警戒しながらも、色んな部屋などを探した。
だが、大体は崩れたベッド、薬のようなモノが入った古い瓶、上の階から落ちてきた瓦礫など、それくらいしか見当たらなかった。
多分コレを見る限り病院のような場所だったのだろう。

そうして見ていると、「ガタンッ!」と、下の階辺りで何かが落ちるような音がした。

「ヒッ!メ、メアさん……幽霊じゃないですよ……ね?」

ノエルは顔を青ざめさせながら、メアに訊いた。
メアはそれに対し、違うと答える。

「この感じは生きているようじゃな、死せる魂の気配がない」
「でもこの音が俺らじゃないってなら、他にも誰かが……」
「こう言う時にそんな事言わないでください」
「ごめん」

ノエルの真面目なツッコミに、タクマは黙る。

そうしていると、何かを見つけたメアがタクマ達を呼んだ。
メアの見つけた部屋の中を覗く。
すると、そこには地下へと続く階段のような物があった。

「ここか……?」

タクマはそう言い、恐る恐るそこから聞こえる音を聴いた。
なんだろうか、ギアとギアが回転するような、モーターの音のような、そんな感じの機械的な音が聴こえてくる。
少なくとも、機械や化学文明ではないモノ、この世界に存在しないはずのモノがあると言うのは確かだ。

「ここからは俺が先に行く、メアとノエルは後ろを頼んだ」
「おう、任せろ」

そうしてタクマは剣を構えながら、その階段を降りていった。


【廃ビル 地下一階】
だんだんと降りていくと、急に周りの材質が変わった。
まるでSF映画とかで出る、あの壁一面が機械の空間、そう言えば分かってくれるだろうか。

「こ、これは一体……」
「異文明という奴か?こんな場所は聞いたこともないぞ」

そう口々に言いながら降りていくと、左右の道へと続く分かれ道が現れた。
右も左も怪しい、だけどもし仮にどちらかが罠だとしたら……
それにノエルに関しては今も怖がっている、仲のまぁまぁ良いメアを着かせるか?

「それじゃあここは、俺が右を行く」
「となると、妾とノエルは左じゃな?」
「あぁ、ノエルを頼んだ」
「任せておけ」

そうして、3人は分かれて進んだ。
しかしその時、後ろから「ガシャッ!!」と、鉄の何かが落ちてくるような音がした。
「何だ!?」と、タクマ達が振り向くと、来た道が鉄格子で閉ざされていた。

「な、何なんですかこれ!嫌がらせですか!?」
「落ち着けノエル、いちいちビビっていては、敵の思う壺じゃぞ」
「そうですヨ、新しく増えた小娘くん」
「その声、まさかっ!!」

カツンっ、カツンっ、と誰かが階段から降りてくる。
語尾がカタカナの喋り方、そして狡猾な笑い声。
そう、そんな特徴を持つ奴はZ、アイツだ。
すると案の定、Zが現れた。

「Dr.Z!?やっぱりお前か!」

あまりの恐怖にガチギレしたノエルが、思いっきり鉄格子に掴みかかり、正拳突きを放つ。
しかし、それでも鉄格子は砕けなかった。
ノエルは、正拳突きの反動をくらい、のたうちまわる。

「その程度では壊れませんヨ、それより自分の心配をしたらどうかネ?」

Zは口をにやつかせながら、ノエル達の閉じ込められた道を指す。
するとそこから『侵入者、排除スル!』と、恐ろしい機械音声を発しながら、五体の警備アーマーロボが現れた。

「一気に五体!?お主、女相手にみっともないぞ!」
「不法侵入したあなた方が悪い、元々この遺跡の中は立ち入り禁止のハズですからネ」

Zはふざけているような口調でメアをからかうと、次はタクマの方に向けてリモコンのボタンを押した。
すると、そこから大量の警備ロボのようなモノが現れた。
二十体、いや三十体?とにかく、こっちの数は数えきれない。

「コレで満足かな?タクマ君と比べたら、五体は可愛いモノでしょウ」
「Z、何故こんなことをする!」

メアは、鉄格子の隙間から投げナイフを一本投げて訊く。
だが、Zは何事もなかったかのように、鋭いメスで投げナイフをバラバラに切り裂き、ニヤリと笑い答えた。

「この部屋を見られたのでス、君達には消えてもらわなければならないからネ」
「Dr.Z!待ちやがれっ!!」
「まぁご安心なさイ、骨だけはキレイに拾って、骨粉として有効活用して差し上げますからネ」

そう言い、Zは何処かへと消えてしまった。
三人は別々に囲まれ、絶体絶命の状況である。
そんな中、タクマは笑みを浮かべながら「でも、いい情報が手に入った」と呟いた。

「な、何を言っておるこんな時に!」
「Zが来た、それはつまり……」

「ここが部下の居場所、そしてアイツのアジトって訳だ!」

そう言い、タクマ達は襲いかかるロボットの集団と戦闘する事となった。

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