コピー使いの異世界探検記
第17話 燃えるスマホと温泉街
「温泉街~温泉街~、降り口は左側となっておりま~す!」
運転手のアナウンスが馬車の中に響く。
その音はあまりにも大きく、タクマはやかましいと思いながら顔を上げる。
「さてと、行くぞメ……ア……」
タクマはメアの方を向いた。しかし、そこにいた筈のメアは居なくなっていた。
神が来た時までは隣に居た筈なのにと、タクマは万が一を考えて座席下の荷物入れを覗く。
すると、案の定そこにメアは居た。
「あのなぁ、そう言うのは俺と二人っきりの時にだけやってくれ」
タクマはホッとしたのか少しだけ汗をかきながら、メアをそこから引っ張り出した。
「そう言われても妾は狭い所じゃないと寝られないのじゃ……」
メアは目を擦りながら言う。
それにタクマは呆れ、いいから出てと、引っ張り出した。
【温泉街ウォル ギルド】
タクマ達が降り、ギルドに入ると、そこにはアルゴのギルドと少し似ている空間が広がっていた。
そこはまるで、昔の日本のように、施設の材質は基本が木で出来ており、飯屋にはスプーンやフォークがない代わりに、箸が置いてあった。
そして、アルゴと違う所と言えば、温泉街の名の通り、受付の両サイドにこの世界の文字で「男」と「女」と書かれた暖簾が掛けられている事くらいである。
「そうだ、今の時間は……」
タクマはそう言いながら、時計機能くらいしか使えないスマホを取り出す。
しかし、持てば勝手にロック画面が表示される筈なのに、表示されない。横の起動ボタンを押してもロック画面が表示されない。
「あれ?どうしたんだ……?」
タクマは少々イライラしながらも、横のボタンをカチカチと連打する。
すると、そのスマホから煙が上がってきた。
「た、タクマ……妾の予想が正しければ、超マズくないか?」
メアはその様子を見て震え声でタクマに訊ねる。
「マズイも何もあるかよ……」
タクマは震え声で答え、特に何事もなかったかのようにギルドから出て行った。
流石にこんな所で爆発されれば溜まった物ではない、タクマはメアを置いて、人通りのない裏路地を探して走る。
しかし、どこを見渡しても他の温泉と温泉の間は狭く建てられており、入れそうもない場所ばかりだった。
それでもどこかに希望を持って走る。
すると、あまりに急いでいたため何の店かは分からなかったが、裏路地へ続く道を見つけた。
そして、その道の先には運良く流れが緩やかな川のようなものが流れていた。
これでいつ爆発しようが燃え上がろうが水かけて消化できる! タクマはそう思い、裏路地へと飛び出した。
「よし!ここでなら爆発して……も……」
タクマはその裏路地で小さく叫ぼうとした時、誰かの視線を感じ横に目をやった。
すると、そこには自分より年下っぽい僧侶の女の子が、街のガキらしき子の胸ぐらを掴んで今にも殴ろうと拳に力を溜めていた。
しかも彼女の足元には胸ぐらを掴まれている子のグルらしき子が二人倒れている。
「あ……どうも」
タクマはどうすれば良いか分からず、無意識に挨拶をした。
しかし、その少女はマズイ所を見られたような顔をしながらも、胸ぐらを掴んだ少年に顔面グーパンチをかまして気絶させる。
「……」
謎の少女は完全に隠す事の出来ない一部始終を見られてしまったため、どうするか考えながらタクマを見つめる。
正直、嫌な予感しかしない上に気まずい。
そうして見つめ合っていると、煙が上がったスマホが燃え上がる。
「熱っ!」
タクマはそう言ってスマホを投げ飛ばしてしまった。
すると、それは川の近くに落ちてポン!と言う意外とショボい音を立てながら爆発した。
「あっ!消化消化……」
独り言を言いつつ、タクマは川の水を掬ってはスマホにかけ掬ってはスマホにかけを必死で繰り返し、10回目くらいでやっとその火は消えた。
そして、額から流れた冷や汗を拭いつつ、少女が居た方向を見ると、彼女はもうタクマの目の前に立っていた。
すると、少女はタクマの腹に思いっきりの一撃を喰らわせた上に男の象徴であるアレに、すごい速さで二発の蹴りを入れた。
一部始終を見た者は観光客だろうと張り倒すと言う訳らしい。
そう思い、タクマの目の前は真っ暗になっていった。
「……マ!……クマ!」
どこからか女の声が聞こえる。
熊なのか悪魔なのかは分からないが、自分を呼ばれているのは確かである。
タクマは目を覚まし、あたりを見回す。ここはついさっき、スマホが爆発した裏路地だった。
そして、声の主の方を見るとそこにはメアが座っていた。
「もう、口から泡吹いて全然動かなかったから死んだと思ったぞ……」
「こんな所でまた死んでたまるか」
タクマはそう言い、ついさっきと言っても、もう大分前の話になるだろうが、その時の事を思い出した。
謎の僧侶にボコされた事、そしてその威力が普通の女子の物ではない事を。
「って、あの野郎どこ行きやがった!」
タクマが大声を上げて辺りを見回した時、一人の兵士がこちらに近付いてきた。
「運が悪かったみたいだね、まーたアイツの仕業だよ」
またアイツ、タクマはあの少女の事を思い浮かばせた。
だが、タクマ達はそんな犯人捜査をする為にウォルへ来たのではない。
タクマはこの事を水に流し、ギルドの方の温泉へ向かった。
【ギルド 温泉】
タクマは大きな露天風呂の一角で体の汗を洗い流し、湯船に入った。
熱くもなく冷たくもなく、かと言ってぬるいわけでもない丁度いい温度。
アルゴでの疲れを取り除こうとしていると、何故かそこへタオルを巻いたメアがやってきた。
「ここ、脱衣室から出てくお婆様から聞いた話じゃと混浴らしいぞ」
「じゃああの暖簾そんなに必要ねぇじゃないか!」
タクマはこのギルドに対して小さなツッコミを入れる。
そうして、メアと二人で大笑いした。
「そうだメア、まだギルドカード作ってないよな」
「そうじゃなぁ、上がったらここのカード屋に行くか」
なんだかんだあったものの、いつもと変わらない二人であった。
運転手のアナウンスが馬車の中に響く。
その音はあまりにも大きく、タクマはやかましいと思いながら顔を上げる。
「さてと、行くぞメ……ア……」
タクマはメアの方を向いた。しかし、そこにいた筈のメアは居なくなっていた。
神が来た時までは隣に居た筈なのにと、タクマは万が一を考えて座席下の荷物入れを覗く。
すると、案の定そこにメアは居た。
「あのなぁ、そう言うのは俺と二人っきりの時にだけやってくれ」
タクマはホッとしたのか少しだけ汗をかきながら、メアをそこから引っ張り出した。
「そう言われても妾は狭い所じゃないと寝られないのじゃ……」
メアは目を擦りながら言う。
それにタクマは呆れ、いいから出てと、引っ張り出した。
【温泉街ウォル ギルド】
タクマ達が降り、ギルドに入ると、そこにはアルゴのギルドと少し似ている空間が広がっていた。
そこはまるで、昔の日本のように、施設の材質は基本が木で出来ており、飯屋にはスプーンやフォークがない代わりに、箸が置いてあった。
そして、アルゴと違う所と言えば、温泉街の名の通り、受付の両サイドにこの世界の文字で「男」と「女」と書かれた暖簾が掛けられている事くらいである。
「そうだ、今の時間は……」
タクマはそう言いながら、時計機能くらいしか使えないスマホを取り出す。
しかし、持てば勝手にロック画面が表示される筈なのに、表示されない。横の起動ボタンを押してもロック画面が表示されない。
「あれ?どうしたんだ……?」
タクマは少々イライラしながらも、横のボタンをカチカチと連打する。
すると、そのスマホから煙が上がってきた。
「た、タクマ……妾の予想が正しければ、超マズくないか?」
メアはその様子を見て震え声でタクマに訊ねる。
「マズイも何もあるかよ……」
タクマは震え声で答え、特に何事もなかったかのようにギルドから出て行った。
流石にこんな所で爆発されれば溜まった物ではない、タクマはメアを置いて、人通りのない裏路地を探して走る。
しかし、どこを見渡しても他の温泉と温泉の間は狭く建てられており、入れそうもない場所ばかりだった。
それでもどこかに希望を持って走る。
すると、あまりに急いでいたため何の店かは分からなかったが、裏路地へ続く道を見つけた。
そして、その道の先には運良く流れが緩やかな川のようなものが流れていた。
これでいつ爆発しようが燃え上がろうが水かけて消化できる! タクマはそう思い、裏路地へと飛び出した。
「よし!ここでなら爆発して……も……」
タクマはその裏路地で小さく叫ぼうとした時、誰かの視線を感じ横に目をやった。
すると、そこには自分より年下っぽい僧侶の女の子が、街のガキらしき子の胸ぐらを掴んで今にも殴ろうと拳に力を溜めていた。
しかも彼女の足元には胸ぐらを掴まれている子のグルらしき子が二人倒れている。
「あ……どうも」
タクマはどうすれば良いか分からず、無意識に挨拶をした。
しかし、その少女はマズイ所を見られたような顔をしながらも、胸ぐらを掴んだ少年に顔面グーパンチをかまして気絶させる。
「……」
謎の少女は完全に隠す事の出来ない一部始終を見られてしまったため、どうするか考えながらタクマを見つめる。
正直、嫌な予感しかしない上に気まずい。
そうして見つめ合っていると、煙が上がったスマホが燃え上がる。
「熱っ!」
タクマはそう言ってスマホを投げ飛ばしてしまった。
すると、それは川の近くに落ちてポン!と言う意外とショボい音を立てながら爆発した。
「あっ!消化消化……」
独り言を言いつつ、タクマは川の水を掬ってはスマホにかけ掬ってはスマホにかけを必死で繰り返し、10回目くらいでやっとその火は消えた。
そして、額から流れた冷や汗を拭いつつ、少女が居た方向を見ると、彼女はもうタクマの目の前に立っていた。
すると、少女はタクマの腹に思いっきりの一撃を喰らわせた上に男の象徴であるアレに、すごい速さで二発の蹴りを入れた。
一部始終を見た者は観光客だろうと張り倒すと言う訳らしい。
そう思い、タクマの目の前は真っ暗になっていった。
「……マ!……クマ!」
どこからか女の声が聞こえる。
熊なのか悪魔なのかは分からないが、自分を呼ばれているのは確かである。
タクマは目を覚まし、あたりを見回す。ここはついさっき、スマホが爆発した裏路地だった。
そして、声の主の方を見るとそこにはメアが座っていた。
「もう、口から泡吹いて全然動かなかったから死んだと思ったぞ……」
「こんな所でまた死んでたまるか」
タクマはそう言い、ついさっきと言っても、もう大分前の話になるだろうが、その時の事を思い出した。
謎の僧侶にボコされた事、そしてその威力が普通の女子の物ではない事を。
「って、あの野郎どこ行きやがった!」
タクマが大声を上げて辺りを見回した時、一人の兵士がこちらに近付いてきた。
「運が悪かったみたいだね、まーたアイツの仕業だよ」
またアイツ、タクマはあの少女の事を思い浮かばせた。
だが、タクマ達はそんな犯人捜査をする為にウォルへ来たのではない。
タクマはこの事を水に流し、ギルドの方の温泉へ向かった。
【ギルド 温泉】
タクマは大きな露天風呂の一角で体の汗を洗い流し、湯船に入った。
熱くもなく冷たくもなく、かと言ってぬるいわけでもない丁度いい温度。
アルゴでの疲れを取り除こうとしていると、何故かそこへタオルを巻いたメアがやってきた。
「ここ、脱衣室から出てくお婆様から聞いた話じゃと混浴らしいぞ」
「じゃああの暖簾そんなに必要ねぇじゃないか!」
タクマはこのギルドに対して小さなツッコミを入れる。
そうして、メアと二人で大笑いした。
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