Door

ノベルバユーザー369032

Door14 ギアント撃退戦

1匹のギアントが雄叫びをあげた事で、周りに仲間をウジャウジャ呼び寄せこちらに向かって来た。幸いココは森から離れている為、こっちに来るのに少し猶予がある。

「シャル、数はどれくらいだ?」
「大体5~60ってとこかしら。森の奥までは見えないけど。」

正直厳しいな。この草原だと囲まれたら厄介だ。確か東に進むと谷があってそこなら囲まれる心配はない。
問題はどうやってそこまで誘い込むかだ。
作戦を練っていると水野がやって来た。

「様子はって聞かなくても分かるわ。マズイわね。」
「あぁこのまま戦えばジリ貧だ。何とか東の谷に誘い込めばいけそうなんだが。」

考えろ。まず何故奴らは、自分達のことを襲おうとしてるかだ。
奴らは目はあまり良くない。匂いで獲物を察知する。あとはこちらから敵対行動をとることと縄張りに侵入した時。
まてよ、匂いだとするともしかしてあれか!

「誘うとしても何かあるの?」
「奴らがこっちに来てる理由は多分これだ。篠宮さんのサンドイッチとクッキー。この匂いにつられてるんだ。」
「えっ、私の…」
「篠宮さん。他に食べ物持ってますか?」
「ううん。それだけだよ。」
「なら二手に分かれよう。奴らを谷に誘い込む方と塔の護衛で。今すぐに動けるのは自分達だから、自分達が谷に誘い込む。水野達は塔を守ってくれないか。」

アリスが戻って来た。周りには特に異常はないらしい。
しかし食料の匂いだけで奴らがあんなにも襲ってくるものなのか?何か別の理由があるかもしれない。

「分かった。けど貴方達だけで大丈夫なの?」

水野の言う通りだ。奴らはアリと同じで隊列を組んで向かって来る。
上手く誘い込むには、先頭で囮になって惹きつける役、両側から隊列をはみ出したのを倒す役、列の後ろから監視してはぐれたのを倒す役の4人必要で、アリスには、谷に罠を仕掛けてもらいたい。だからあと1人必要だ。

「そうだな。あと1人必要になる。誰か手を貸してもらえるか?」
「分かったわ。それなら…」
「茜、私に行かせて。」

篠宮さんが声を掛けてきた。
正直驚いた。こうゆう時、率先して出るタイプじゃなかったから。

「ちょ ちょっと何言ってるの、ダメよ!そんなの!」
「お願い茜!これは私が招いた事だから。それに気づいたの。茜にあって私に無いもの、それは#一歩踏み出す勇気__・__#だって事が。きっと勇気があれば私もっと強くなれると思う。だから茜…私に勇気をつけさせて…」

それは自分が言った事だった。篠宮さんにとって今が踏み出す時。なら自分がやるべきことは1つ。

「でも香里…」
「自分からも頼むよ。全力で守るからさ。」
「芦屋君…ありがとう。」

水野は少し迷っていたが、観念した様子で、

「分かった、けど約束して。何があっても香里を守りなさい!」
「あぁ任しとけ!みんな行こう!」
「香里、絶対戻って来てね…」
「うん。ありがとう、行ってくるね。」

直ぐに行動を開始しつつみんなに役割を振る。

「まずアリスは先に東の谷に向かって罠を仕掛けてくれ。」
「どんな感じで仕掛ければいいの?」
「爆弾は8個あるよな。それで谷を崩して生き埋めにする。谷の側面に4個ずつ等間隔に仕掛けて、奴らを下に誘い込んだら後ろからシャルの弓矢で起爆させる。」
「なるほどね。じゃあアタシは早速行って仕掛けてくるね。」
「頼んだ。時間との勝負になるけど周りには他のモンスターもいるかもしれないから気を付けてくれ。」
「分かった。行ってくる。」
「レインは右側から奴らを追い込んでくれ。自分は左側を見る。シャルは後ろからで、合図を出すから火の付いた矢で起爆させてくれ。」
「「分かった。」」
「最後に篠宮さん、先頭で囮になって惹きつけて貰えますか?危険だけどこの配置が1番成功率が高い。」
「うん。大丈夫!こう見えて結構足速いんだから。」
「んじゃ作戦開始で!」

まずは篠宮さんにサンドイッチとクッキーを渡し、谷に向かって走ってもらう。
予想通りギアントの群れは篠宮さんに向かって来ている。自分とレインは列の横について1番後ろからシャルが来る。
思っていたよりも篠宮さんは足が速かったので、危なげなくきてはいるが何が起きてもおかしくない世界だ。前方には特に注意しておくべきだろう。

暫く走り谷が見えてくると、前に何かいるのが分かった。
ハントベアだ。しかも2匹いる。こんな時に現れるとは、余程ハントベアと相性が悪いらしい。

「シャル!ここを頼む。前に邪魔が入ったから道を開けてくる。」
「分かったわ。」

すぐさま全力で走り篠宮さんに近づいて行くと、篠宮さんも前に気づき足を止めようとしていたので、すれ違い様に声をかける。

「足は止めないでそのままついてきて下さい!」

篠宮さんが頷いたのを確認して自分はハントベアに真正面から突っ込んだ。
向こうもこっちに気づいたがこちらの方が早かった。

「ハァァッ!」

双剣を両方逆手に持ち2匹の間をすり抜けながら2匹同時に斬りつけた。 
上手いこと深手を負わせ、2匹とも声を上げながら倒れた。
完全に倒すことは出来なかったが、篠宮さんが通れるチャンスは作れたのでその間を篠宮さんは駆け抜けた。

「すごい…さすがAランクだね。」
「いえ、それよりあともう少しです!篠宮さん!」
「うん、分かった!」

少し先に谷が見えてきた。
アリスの方も準備は整っているようで合図を送ってきた。
ここからはタイミングを見計らって起爆させればいい。

「篠宮さん、後はこのまま全力で谷を駆け抜けて下さい。自分は後ろから起爆の合図を出します。」
「任せて!」

自分はそのまま後ろに下がりながらレインにも下がるように合図を送り、シャルと合流し奴らの列の後ろに来たところで、アリスが離れてるか観るとイレギュラーな事態が起きていた。
アリスが谷の上で倒れてる!
何故そんな事になっているか全く分からないが、このまま爆破させればアリスが巻き添えになる!

「くそ!このままじゃまずい!アリスが倒れてるから助けに行ってくる!」
「嘘でしょ!」
「なんであんなとこで倒れてんだ!」
「ここからじゃ分からない。シャル、ロープか何か持ってないか?」
「木に登る時のがあるけど、何に使うの?」
「とにかく今は説明してる暇は無い。上から合図出すから見ててくれ!」
「ちょ ちょっと!」

今は1分1秒が惜しい。アリスのところまでは坂道を登ればすぐに辿り着ける。だがどういう状況で倒れているのかがカギになる。動かすのがまずい場合にはアウトだ。
アリスの元まで来てすぐに状況を理解した。そばを飛んでいるデカいチョウ?か蛾みたいな奴だ。
アイツの鱗粉に身体を麻痺させる作用がある。とはいえ自分まで行けば2人並んで痺れて終わりだ。

「アレを使うか。」

アリスはまだ朦朧とする意識の中で周りを確認しようとした。
身体が全然動かない…頭もクラクラする。でも誰かが近くにいる。
蓮かなと思っていたら思わぬ突風が吹き、咄嗟に目を瞑っていた。

「アリス!大丈夫か⁈」
「やっぱり蓮か…ゴメン…ドジっちゃった。」
「まだ大丈夫だ。手を握れるか?」
「うん、まだ身体は動かないけど。」
「よし、ちょっと荒くなるけど我慢してくれ。もう時間がない。」
「えっ、ななな 何するの⁈」

返事を聞く前に、アリスをお姫様抱っこした。少し恥ずかしいがそれどころじゃないし。もうギアントがいい位置に来る。
このまま崖の反対の森に行けば爆破の巻き添えを食うことは無いが、アリスを抱えて森の中に入れば他のモンスターに会った時に戦えない。なおかつ爆破した後に下の篠宮さんと直ぐに合流出来なくなってしまう。
万が一にもギアントを逃した場合、全力で走ってる篠宮さん1人では心配だ。
持って来たロープで自分とアリスを縛り反対側に自分の剣の柄に縛る。

「ちょ ちょっと苦しいよぉ~。」
「我慢しろって。それより俺の身体をしっかり掴んでてくれ。」

そして剣を思いっきり投げて爆破圏外にある森の太い木に突き刺す。
ロープをピンっと張り片手に剣を持ち準備完了!

「行くぞ!アリス!」
「だから何するのか聞い…て」

思いっきり崖に沿って飛び降りる ︎

「シャル!今だ!」
「何であんな事になってるのよ ︎」
「イヤァァァ~~~~~ ︎」

アリスが叫び声を上げる中、シャルは少しためらいながらも弓を引き、
1発矢を放つと続け様にもう1発放った。
ヒュンっと微かな音を立てて放たれた矢は、弧を描きながら的である爆弾に向かって飛んで行った。

「篠宮さん!伏せろぉ ︎」

ドゴオォォォォン ︎ ︎

2発共見事に命中しとてつもない爆発音と地響きがすると、壁は轟音と共に崩れ落ちてきた。自分たちは落下しながらも、ロープによって引っ張られターザンの如く、岩なだれを上手く交わしていった。
振り子式にロープで戻される前に、壁に剣を刺し、下に降りられる位の高さで止める。

「上手くいったみたいだな。」
「うっ…うぅっ…うぇぇ…」
「あ~、アリス?」

無理させちゃったな。ここは素直に謝っておくべきだな。

「アリスごめんな。怖かったか?」
「いきなり飛び降りるんだもん!怖いに決まってるじゃん!」
「ご ごめん…」
「ご飯…」
「えっ?」
「ご飯奢ってくれなきゃ許さない!」
「わ 分かった分かった。奢るよ。」
「あと身体まだ動かないからおぶってって。」
「分ぁかったよ。何でもするよ。」
「ニヤリ。」

笑ってなかったか今。ほんと怖いわぁこの子。
完全に油断してた時だった。崩れたガレキの山から急に、生き残りのギアントが飛び出してきた!
まずい ︎
その時ギアントの後頭部に何かが突き刺さった。弓矢だ。

「もぉ気抜きすぎだよ。」
「篠宮さん!無事だったんですね。良かったぁ。」
「いつの間にか芦屋君、上にいてビックリしたよぉ。心配になって駆けつけてみたら2人でイチャイチャしてるし。」
「イチャイチャなんかしてないよ⁈ねぇ蓮?」
「そ そうですよ。」
「そんな状態で?」

そういえばお姫様抱っこしたまんまだったわ。

「あ あはは。」
「でも私もこれで一歩前に進めたのかな?」
「そうですね。きっと大丈夫です!」

とにかくギアント討伐完了!

電波塔まで戻ると水野達と合流し、交代のパーティも来ている。更に驚く事にデカいギアントが倒されていた。

「これってギアントクイーンじゃないか⁈どうしたんだ?」

水野達を見ると、クイーンと戦ったせいか皆ボロボロな感じだ。見たところ大きな怪我は無いみたいだが、

「どうしたもないわよ!貴方達が行った後、森が騒がしいと思ったら急に出てきたのよ。最初は私達で防衛に当たってて他のパーティが来てくれてね。一緒に倒したの。」
「そうゆうことか。奴ら巣の引越しの途中だったから敵対心が強かったんだ。」

食べ物の匂いだけで襲ってくるのは、あまりにおかしいし、数が多すぎると思ったらコレが原因か。

「香里!良かった…無事だったのね。」
「茜もボロボロじゃない!私の心配より自分の心配してよ。」
「でも香里がホントに心配だったのよ…」
「茜…わたし頑張ったよ。一歩踏み出せた。」
「香里…」

水野も泣く程心配だったんだな。
ともあれ他のパーティも来たことだし、これで依頼完了だな。ギアント撃退改め討伐完了!

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