Door

ノベルバユーザー369032

Door13 電波塔設置護衛依頼

2019年6月 (日曜日)

今日は午前中から向こうに行く事になっている。
昨日は体育祭の疲れと敗北感から、直ぐに帰り寝てしまった。
初めて味わった、負けて悔しいと思ったのは。きっと慢心していたんだろう。
このままじゃダメだな。もっと強くならないと誰も守れない!

「気合い入れて行くか!」

ーーーーーーーーー

向こうに着くと、アリスとアシュトンが待っていた。

「もぉぉ遅いよぉ~。いつまで待たせる気。」
「はいはい、2~3分だろ。どうせ。」
「もう慣れたね、いい加減。」

横でアリスがブーブー言ってたが無視して話を進める。

「もう身体は大丈夫かい?」
「あぁ4日も休んだしな。」
「ホントに心配したんだからね!」
「分かったよ。ところでシャルは?」

シャルだけまだ居なかった。時間にルーズな感じはしないんだけどな。

「シャルはちょっと用事があるから少し遅れるって昨日わざわざ教会に言いに来たよ。」
「そっか。なら待つか。」

それから10分程待つとシャルは来た。

「待たせたわね。蓮、身体は大丈夫なの?」
「あぁ元気有り余ってるよ。んじゃ行くか。」

ギルドに向かう途中にシャルに何気なく聞いてみた。

「用事は済んだのか?」
「えぇ、ちょっと情報を集めていたのよ。今日の依頼にも出るかもしれないわ。」
「ギルドの依頼に関係することなのか?」
「そうよ。昨日私の父の所に、貴方の国の偉い人が来たのよ。」
「マジかよ!」
「まぁ1番偉い人はドア通れないらしくて、その近い人が来たんだけどね。」

日本の1番偉い人って言ったら、総理大臣だよな。まぁ直接来たのは政府の関係者だろう。

「んで、その内容は聞いたのか?」
「勿論私もその場に居たからね。内容はクインローズの周りに特殊電波塔という物を建てるって言ってたわ。」

その話、1年程前にニュースになってたやつだ。
アルフレッドに来るのに武器を持ち込むことは出来ない。だがスマホを持って行くことは出来た。しかしスマホを使おうとしても電源が入らなかった。
そしてこっちに来れる専門家が原因を調べた結果、アルフレッドには特殊な電磁波が常に流れており、それがスマホに影響を及ぼしていた。
それをクインローズの東西南北4ヶ所に、電波塔を設置すればクインローズ周辺で、スマホが使用可能になるという。
電波塔はこちらにある希少な金属を使う為、後は人員さえいれば出来るらしい。

「前々から話しを進めていて今日から本格的に始めるみたいよ。」
「なるほど。ハンターに来る依頼ってのは?」
「電波塔の護衛任務。今日からずっと3交代制で。」

任務の概要は、至って簡単だった。塔には常に4ヶ所を、2つのパーティーで護衛するとの事。

ギルドに着いて依頼を確認する。

「やっぱ国からの依頼だと報酬がいいなぁ。」
「それは日本も絡んでるからでしょ。」
「キミの国はそんなに裕福なトコなの?」
「そうだなぁ、1番って事は無いけどそれなりにかな。」

日本がこんなにもアルフレッドに協力的なのは、勿論資源である。今や日本の2/3はアルフレッドの資源で、経済を支えている。
だからこそ命の危険があるハンターも、日本で認められ自分もここに居るわけだ。

今回依頼を受けるには条件があり、
2つのパーティーで防衛にあたる事。
パーティーは4人である事。
4人の内、1人以上はAランクである事。
条件は満たしているが、今回組むパーティーが気になるとこだな。

ロゼッタさんに案内してもらい、組むパーティーと顔合わせする事になったが、まさかの事態が起きた。そこに居たのは顔見知り、水野だった。

「やっぱ来たのね。芦屋君。」
「水野⁈組むのってお前のパーティーなのか?」
「そうよ。お前は辞めてくれる!そんなに仲良い訳じゃないんだから。」
「あ あぁ悪かった。」
「ふんっ。まぁいいわ。私のパーティーから紹介する。
ガード担当のカイ・シルベスター、サポート兼弓担当の篠宮香里しのみやかおり、アタッカー担当のガイ・シルベスター、因みにカイの兄よ。
そして私がパーティーのリーダーで、アタッカー担当の水野茜よ。」

ダブルアタッカーか。かなり攻撃的な配置だな。こちらのメンバー紹介をして気になってた事を聞いてみる。

「篠宮さんは日本の人ですよね?」
「は はいそうです。横浜に住んでます。」

水野が割って入る。

「何当たり前な事聞いてんのよ。名前聞けば分かるでしょ。」
「へいへい。すませんした。」

水野はSっ気が強いな。それを聞いてたアリスが、

「なんか感じ悪い。」

と少しお怒りだった。
水野は1年前ギルドの紹介で篠宮さん、ガイ兄弟と知り合いパーティーを組んだとの事。ちなみに水野がAランク、ガイ兄弟がBランク、篠宮さんはCランクである。

一通り顔合わせが終わったので、身支度を済ませ早速、任務開始となった。
自分達は西側担当となり、大草原の中を歩く。塔の設置をする職人7名を中心に、パーティーが円を描き全方位を監視して目的地まで向かう。

途中スライムなどの雑魚と遭遇したものの、特に危険も無く目的地に到着する。
ここからもう少し南の方に行くと、自分が初めてこっちに来た場所である。
そして西側にだけ森が広がっている。
1番注意を払うべき所だな。
とりあえずリーダーの水野と作戦を練る。

「2時間ずつ交代で、西側の森を監視するか。」
「そうね。お互い1人ずつ出せば問題ないでしょ。」
「あとは塔を囲むようにパーティーを待機させとけば大丈夫だな。」

個人の能力を2人で話し合いバランス良くなる様に人選した結果、まず始めに自分と篠宮さん、次にアリスと水野、シャルとカイさん、最後にレインとガイさんに決まった。

それをみんなに伝えたところ、アリスだけ反対した。

「アタシあの人苦手だよぉ。仲良くなれる気がしないなぁ。」
「まぁまぁ、アリスの気持ちも十分わかるさ。けどたった2時間だけだから頼むよ。」
「むぅ~。今度何か奢って。」
「分かったよ。飯奢るから我慢してくれ。」
「じゃあ頑張る!」

現金なやつだな。まさか狙ってたんじゃないか。

「じゃあ自分は見張りに立つから、みんなは待機しててくれ。何があるか分からないから、くれぐれも寝たりするなよ、アリス。」
「もぉ、こんなとこで寝れる訳ないじゃん!」

自分とのペアは篠宮さん、年齢は20歳でレインと同じ年である。
性格はおとなしくて、ほんわかしている。
こんなおとなしい人でもハンターやったりするんだな。
自分は西側を見て、篠宮さんには東側を見てもらう。

「篠宮さんは何でハンターやろうと思ったんですか?」
「そうねぇ、私がやる理由は茜かな?茜は最初に会った時から私のこと助けてくれて、今があるのも茜のおかげ。だからずっとそばに居て少しでも、役に立ちたいと思ってる。茜はホントに凄いんだよ。私より年下なのに、いつでもみんなを引っ張って頼りになるんだ。」

2人は本当に仲が良いんだな。信頼してるのがよく分かる。

「ホントは私がもっと、しっかりしないといけないんだけどね…」
「まぁ人には向き不向きがありますし、水野はリーダーに向いてたんだと思いますよ。」
「うん。」
「自分がまだハンター始めた頃に教わったのは、何かに躓いたり壁にぶち当たった時に大事なのはたった1つ。一歩踏み出す勇気だって。自分のハンターの先輩が言ってました。」
「踏み出す勇気か…」

彼女には、彼女なりの悩みもあるということか。
何気ない会話をしながら2時間が経ちアリスと水野に交代となった。

「今のところ何もないが、少し変な気がする。本来ならここら辺には、ハントベアがウロウロしてるはずなんだけどな。まだ1匹も見かけてないんだよ。」

ハントベア。爪獣種。
自分が初めてこの世界に来た時に襲われたモンスター。
デカイ熊で爪が長いのが特徴である。

「確かに変ね。少しの異変でも注意は必要だわ。」
「あぁ、一応警戒しといてくれ。アリスも頼んだよ。」
「うん、任せといて。」

アリス達に任せて自分は待機しつつシャルに小声で話しかけた。

「ところでふと思ったんだけどシャルって、意外と誰にも姫様ってこと気づかれないよな。」
「そりゃそうよ。私は公の場には出ないもの。父か母が出れない場合は、兄か姉が出るから。だから私の素性を知ってるのは、貴方達か城の中の人だけよ。」
「なるほどな。教会の子達も知らないのか。」
「そうね。特に言うことでもないかと思って。」
「それもそうだな。今子供達だけで大丈夫なのか?」
「私の護衛に任せてるから大丈夫よ。それに私からもちゃんと言い聞かせてあるから。」
「あぁ、アイツら何だかんだでシャルの言うことちゃんと聞くからな。」
「2人が親代わりって訳か。もう結婚しちゃえば良いんじゃないか?」

2人して自分を睨む。

「いきなり何言ってんだ⁈」
「そうよ!何でそういう話になるのよ。」

自分は、ははっと冗談ぽく笑う。

「全く、段階ってもんがあるでしょ。」
「ん?段階っすか?」
「何でもないわよ!」

誤魔化された。しばらく話をしながらふとアリスを見ると、水野と話していた。何を話しているか分からないけど、案外普通じゃないか。
心配してたが、何事も無くまた2時間経ちシャルとカイさんに交代となった。
塔の設置も順調に進んでいる。

「これだけ何も無いと流石に退屈だね。」
「変な死亡フラグ立てないでくれよ。
ところで水野と何話してたんだ?」
「ヒ・ミ・ツだよ。乙女の内緒話ってやつかな。」

アリスはそう言いながら口元に指を立てた。

「あぁそうかい。まぁ仲良くやってくれるならいいけどさ。」

たわいもない話をしていると、あまりの暇さ加減に少し睡魔が襲って来た。
いかんいかん。自分でアリスに振っといて寝てしまったら元も子もない。
気合いを入れようとして、立とうと思ったら、横からいきなり重みを感じて見てみるとアリスが寝ていた。おい、結局寝るのかよ。
まぁ今の所何もなさそうだし、寝させとくか。
自分は少しドキドキしてしまった為目が覚めた。

「アリス寝てるじゃねーかよ。」
「なんかあったらビンタでもして起こすよ。」

しばらくすると篠宮さんがやってきた。

「2人とも仲が良いね。長時間になると思ってご飯持って来たから良かったらみんなで食べて。」

自分達もある程度は用意して来たが、また豪勢に持って来たもんだな。

「ありがとうございます。でもそっちで食べる分は大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。余分に持って来たから遠慮しないで。」
「まぁそういうことなら遠慮なくいただくぜ。」

頂いたのは手作りのサンドイッチとクッキーだった。

「じゃあいただきます。ん!美味い!」
「サンドイッチは挟むだけだからねぇ。」
「クッキーも美味しいですよ。いつも料理するんですか?」
「そうだね。暇があれば作ってるんだ。アリスさんの分も用意しといたから、後で渡してくれるかな?」
「すみません、わざわざ。コイツはいつまで寝てんだか。」
「2人はお付き合いしてるの?」
「い いやいや、全然そんなんじゃないですよ。」
「でも仲は良いよな。結婚しちまえ。」

レイン、さっきのお返しか。

「篠宮さんは彼氏はいるんですか?」
「私はいないよ。今はハンターやる事でいっぱいいっぱいだからね。でも、茜はずっと前から好きな人いるみたいだけど。」

なんですと!それは面白い。

「マジですか。どんな人か聞きました?」
「うん。なんでも学校で生徒会長やってて、メガネ掛けたイケメンなんだって。」

確定だ。間違いなく如月だな。

「それは自分も知り合いですね。」
「そぉなんだ。あ、学校一緒なら知ってて当たり前か。それならちょっと助けてあげて欲しいな。」
「何ですか?まぁ自分に出来る事なら。」
「茜、パークのチケット貰ったでしょ。ホントはその人誘いたいけど、中々誘えないらしくて。」

自分でも中々難しいな。ただでさえ如月とは、この間初めて喋っただけなのに。
何か上手い手があればいいけど。

「中々難しいけどやるだけやってみます。」
「ホント!ありがとう。茜って普段はサバサバしてるけど、こうゆう時はモジモジしちゃうんだよねぇ。」

なんとなく分からなくもない。

そんな話をしていると交代の時間になり、最後のレインとガイさんにシャルが引き継いでいると、森の方から木々が倒れる音がした。何かいる。
自分達も慌ててアリスを叩き起こし、見張りのとこまで行くと、木々の間に蠢く生物を見た。

「ありゃなんだ。しかも1匹や2匹じゃねぇぞ。」
「あまり良く見えないがおそらくギアントだ。」

ギアント 昆虫種
まぁとにかく巨大なアリ。体長は約1m程で1匹だけなら大したことはないのだがいつも群れでいる為、戦うとなるとこちらも人数が必要になる。
1匹でも倒そうものなら、直ぐに戦闘態勢に入り群れで襲って来る。

まだこちらから手を出さなければ襲っては来ないはずだ。

「とりあえず今は塔の護衛が優先だから、このまま何もせずやり過ごそう。アリスは反対側にも居ないか確認してくれ。ガイさん、すみませんが水野を呼んで来てもらえますか?」

アリスは、頷くと直ぐに周りを確認しに行った。ガイも指示を理解し答えた。

「じゃあ水野呼んで、俺はそのまま反対側見てるぜ。作戦決まったら教えてくれ。」
「分かりました。お願いします。シャルは職人さんに警戒するように言って、そのまま塔の上から監視してくれ。レインとカイさん、篠宮さんは自分とこの場で待機で。」

一通り指示を出したところで様子を見ると、何か探してるような感じだな。
そして1匹の偵察アリがこちらに気づき、篠宮さんがそれを見てビクッとした。

「ねぇ、何かこっち見てるよ。」 
「こっちから仕掛けなければ大丈夫なはずです。」
「いや、こっちに向かって来たぞ!」

おかしい、まだ何もしてないのに向かってくるのは。
ギアントはジリジリとこちらに近づきついに雄叫びを上げた。

「ギィギィギィィィ ︎」
「ヤバイ来るぞ ︎」

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