Door
Door4 マリー・パンドラ
2019年5月 (金曜日)
いつも通りのメンバーで登校しているとマリーが突然話を振ってきた。 
「蓮、一人暮らしをしていて思ったのだが、このまま蓮のお世話になり続けるのは申し訳ない。だから自分の生活費は自分で稼ごうと思うのだがどうだろう?」 
マリーがこっちに来て3ヶ月程になるがその間、色々と生活のサポートをしていた。といっても自分がお金を出したりした訳ではない。
実は向こうの世界から日本に来た人は、国からの補助金がでるし住むところも提供される。
なので自分は役所に行って、手続きして住居を案内したくらいだ。
高校では愛花や健斗がサポートしてくれるし、夜は花音がマリーに御飯を持って行ったりする。
「自分がそんなにお世話したとは思わないけどな。でも自立するってのはいいことだな。今日は向こうに行かなきゃならないけど、明日は土曜だしバイト探しでもするか?」
「本当か!ではよろしく頼む。やはり自分の事は自分で何とかしたいしな。」
マリーはやはり真面目だな。何だかからかいたくなるんですよね。
「そしたら昼に集まってどっかで飯食ってから行くか?」
「おぉそれはいいな。私はまだハンバーガーというのを食べた事がないのだが、そこでどうだろうか?」
「あぁあそこか~。んまぁいいか。何かデートの約束みたいだな。」
「ふぇっ!!」 
昨日の自分を見てるようだった。変な声が出てる。
「な なな 何を言ってるんだ。わ 私はただ仕事を探しに行くだけだ!」
顔が真っ赤になってる。これ以上からかうと爆発しそうなのでやめとこう。 
「まぁ私はそれでもいいのだが…」
消え入りそうな声だったので全く聞き取れなかった。
「2人でデート行くの?」
急に愛花が話に入って来たので、マリーに聞きそびれてしまった。
「そそ そんなことある訳ないじゃないか!ただ仕事を探し行くだけだ。なぁ蓮。」
めっちゃ動揺してるな。とはいえ変な誤解を招くのは良くないか。
「あぁそうだ。そろそろマリーもこっちに慣れてきた頃だし、バイト探しでもしようかと思ってな。」
「なぁんだ。結構2人お似合いだと思うけどなぁ。」
「そ、そうか?そうなのか…」
「デートなら俺がいくらでも付き合うぜマリー!」
「……」
マリーは健斗の話を完全にスルーして、心なしか嬉しそうにしている。
「なぁ健斗、すっごい無視された時ってどんな心情ですか? 」
「てへっ。」
何ソレ⁈腹立つし世界跨いでそれ流行ってんのかよ?
「ところで2人も土曜日一緒にどうだ?」
「土曜はバイトだわ。」
「私もね~。」
愛花の両親は老舗の旅館を経営していて健斗はそこでバイトをしている。2人が仲良いのは幼馴染で、親同士も仲が良いからである。
「ならしょうがないか。マリーは2人で大丈夫か?」
「あ あぁ、全然構わないぞ私は。」
マリーはホッとしたような顔をしていた。そしてそれを横目で見ながら愛花はクスっと笑い、マリーに小声で話し掛けていた。
学校が終わり直ぐに帰宅すると、相変わらず凛はソファでゴロゴロしてるので、自分で飯を作り凛と一緒に飯を食い、また異世界に向かった。 
ーーーーーーーーー
城下町に着くと待ち合わせ場所にアリスはいた。
「やっと来たぁ~。待ちくたびれたよ。」
「いや、これでも学校終わって最速で来たんだぞ。」
「えぇ~、アタシは3時間位待ったんだよ。気分的には。」
「そうか?俺は4~5分くらいしか待たせてないぞ。気分的には。」
「むぅ~なかなか言うようになったね。」
今日も変わらずC級の依頼を受けアリスに戦い方を教えている。
アリスは覚えも良く筋がいい。
「なぁアリス、短剣じゃなくて弓使ってみたらどうだ?」
「ごめん、弓は無理。以前試しに使ったけど300発くらいマトに打ったら当たったの5発だったの。」
「それはエグいな。弓は無しか。だけど後衛でサポートとはいえ自分の身を守る術も必要になるからなぁ。それなら細剣なんてどうかな?」
「まぁ別にアタシは短剣にこだわってる訳じゃないからキミがいうならそれでも構わないよ。」
「女性が大剣や双剣を使うのは厳しいけど細剣ならかなり使いやすいし慣れればサポートも同時にこなせる。アリスは中々筋がいいから教えれば直ぐに慣れると思うんだ。」
「そうなの。自分じゃ筋がいいとか分からないから人に言われると嬉しいかな。」
珍しく照れてるな。だが筋がいいのは確かな事だ。
「あ それよりアタシ、剣何選べばいいか分からないから買うの付き合ってくれない?」
「それは全然構わないけど明日は予定があるから明後日でもいいか?」
「うん。それでいいよ。予定ってもしかして相手は女の子かなぁ?」
「あぁそうだよ。」
モンスターを倒しながらだったのでさらっと答えてしまった。
「えっ?!そ そうなんだ。」
「あっ、いやもちろん彼女とかそういうのじゃないよ。ただ向こうの世界で仕事を探しに行くだけだよ。その子アルフレッドの人だから。」
何故か浮気をして必死に言い訳してる人みたいだ。
「へぇ~そうなんだ。でも珍しいね。こっちの人が向こうに行くなんて。」
自分のように地球からアルフレッドに来てるのは今は約2万人いる。最初にドアが開いた時は約3万人いたが、その後1年で1万人が命を落とした。このアルフレッドで生きるのは命懸けである。
だが逆にアルフレッドから地球に来た人は数人しかいない。この差は一体どうゆう事なんだろう。それもまだ謎のままだ。
「そうだな。自分もマリー以外で日本に来てる人は知らないな。」
「マリーって…」
「あ あぁこっちに来てる子だよ。マリー・パンドラって言うんだ。」
「マリー……嘘でしょ…」
アリスは急に崩れ落ちるように座り込んだ。
「生きてたんだ…ほんとに…よかった…」
「お おい、どうしたアリス!?マリーの事知ってるのか?」
アリスが泣いている。こんな時どうすればいいのか分からなかった。
「ゴメンね…突然。マリーが生きてたのが本当に嬉しくて。」
アリスは直ぐに立ち直り涙を拭いた。
「マリーは小さい時からの親友なの。同じ村に住んでていつも一緒だった。だけど3ヵ月前の千年竜の事があって…その時にマリーもいなくなったの…」
アリスは悲痛な表情だった。
前に言ってた千年竜が村を焼き尽くした事件。自分もよく知っている…
「アリスはその時村にいたのか?」
「いいえ、偶然その時は城下町まで買い物に行ってたから無事だった。アタシもお姉ちゃんも子供だった頃は、マリーの両親や村のみんなが親同然な感じで、アタシ達を育ててくれた。だけど千年竜のせいでマリーの両親もみんな亡くなって…だからマリーも死んじゃったのかと思ってた…だから本当に良かった…」
やっぱりそうだったのか…だがアリスにはもう1つ言っておかなくちゃならない。
「アリス、マリーはこっちの世界で元気にやってるが1つ言っておく事があるんだ。」
「何?」
「マリーは3ヵ月前から記憶喪失なんだ。出会う前の記憶が名前以外全くないんだ。だからマリーは家族やアリスの事を覚えてない。」
「そ そんな、何で…」
「恐らく千年竜が村を焼き尽くしたのを目の当たりにしたショックが原因だと思う。その後こっちにくれば記憶が戻るかもと言ったら、相当怖い思いをしたらしくこっちの世界に来れないんだ。完全なトラウマだよ。」
「うぅっ…何で…そんなの悲しすぎるよ。マリーが辛い思いをしてるのに何もしてやれないなんて…大事な親友なのに…」
「心配するな。自分もいるし、向こうでも友達が出来たんだ。最近じゃ笑うようにもなった。アリスには今やるべきことがあるんだから、マリーの事は任せておけ。」
何よりアリスには、これ以上悲しんで欲しくなかった。それにここでの気の迷いは死に繋がる。
「うん、分かった…なんか色々とありがとね。キミには助けられてばっかだね。」
「いいんだよ。仲間なんだからさ。」
「そっか…」
どうやら大丈夫そうだな。アリスは今日1番の笑顔を見せてくれた。
「んで明日はマリーとデートなの?言っとくけど、アタシの親友に手を出したら許さないからね!」
えっ⁈そこに話行くの ︎
いつも通りのメンバーで登校しているとマリーが突然話を振ってきた。 
「蓮、一人暮らしをしていて思ったのだが、このまま蓮のお世話になり続けるのは申し訳ない。だから自分の生活費は自分で稼ごうと思うのだがどうだろう?」 
マリーがこっちに来て3ヶ月程になるがその間、色々と生活のサポートをしていた。といっても自分がお金を出したりした訳ではない。
実は向こうの世界から日本に来た人は、国からの補助金がでるし住むところも提供される。
なので自分は役所に行って、手続きして住居を案内したくらいだ。
高校では愛花や健斗がサポートしてくれるし、夜は花音がマリーに御飯を持って行ったりする。
「自分がそんなにお世話したとは思わないけどな。でも自立するってのはいいことだな。今日は向こうに行かなきゃならないけど、明日は土曜だしバイト探しでもするか?」
「本当か!ではよろしく頼む。やはり自分の事は自分で何とかしたいしな。」
マリーはやはり真面目だな。何だかからかいたくなるんですよね。
「そしたら昼に集まってどっかで飯食ってから行くか?」
「おぉそれはいいな。私はまだハンバーガーというのを食べた事がないのだが、そこでどうだろうか?」
「あぁあそこか~。んまぁいいか。何かデートの約束みたいだな。」
「ふぇっ!!」 
昨日の自分を見てるようだった。変な声が出てる。
「な なな 何を言ってるんだ。わ 私はただ仕事を探しに行くだけだ!」
顔が真っ赤になってる。これ以上からかうと爆発しそうなのでやめとこう。 
「まぁ私はそれでもいいのだが…」
消え入りそうな声だったので全く聞き取れなかった。
「2人でデート行くの?」
急に愛花が話に入って来たので、マリーに聞きそびれてしまった。
「そそ そんなことある訳ないじゃないか!ただ仕事を探し行くだけだ。なぁ蓮。」
めっちゃ動揺してるな。とはいえ変な誤解を招くのは良くないか。
「あぁそうだ。そろそろマリーもこっちに慣れてきた頃だし、バイト探しでもしようかと思ってな。」
「なぁんだ。結構2人お似合いだと思うけどなぁ。」
「そ、そうか?そうなのか…」
「デートなら俺がいくらでも付き合うぜマリー!」
「……」
マリーは健斗の話を完全にスルーして、心なしか嬉しそうにしている。
「なぁ健斗、すっごい無視された時ってどんな心情ですか? 」
「てへっ。」
何ソレ⁈腹立つし世界跨いでそれ流行ってんのかよ?
「ところで2人も土曜日一緒にどうだ?」
「土曜はバイトだわ。」
「私もね~。」
愛花の両親は老舗の旅館を経営していて健斗はそこでバイトをしている。2人が仲良いのは幼馴染で、親同士も仲が良いからである。
「ならしょうがないか。マリーは2人で大丈夫か?」
「あ あぁ、全然構わないぞ私は。」
マリーはホッとしたような顔をしていた。そしてそれを横目で見ながら愛花はクスっと笑い、マリーに小声で話し掛けていた。
学校が終わり直ぐに帰宅すると、相変わらず凛はソファでゴロゴロしてるので、自分で飯を作り凛と一緒に飯を食い、また異世界に向かった。 
ーーーーーーーーー
城下町に着くと待ち合わせ場所にアリスはいた。
「やっと来たぁ~。待ちくたびれたよ。」
「いや、これでも学校終わって最速で来たんだぞ。」
「えぇ~、アタシは3時間位待ったんだよ。気分的には。」
「そうか?俺は4~5分くらいしか待たせてないぞ。気分的には。」
「むぅ~なかなか言うようになったね。」
今日も変わらずC級の依頼を受けアリスに戦い方を教えている。
アリスは覚えも良く筋がいい。
「なぁアリス、短剣じゃなくて弓使ってみたらどうだ?」
「ごめん、弓は無理。以前試しに使ったけど300発くらいマトに打ったら当たったの5発だったの。」
「それはエグいな。弓は無しか。だけど後衛でサポートとはいえ自分の身を守る術も必要になるからなぁ。それなら細剣なんてどうかな?」
「まぁ別にアタシは短剣にこだわってる訳じゃないからキミがいうならそれでも構わないよ。」
「女性が大剣や双剣を使うのは厳しいけど細剣ならかなり使いやすいし慣れればサポートも同時にこなせる。アリスは中々筋がいいから教えれば直ぐに慣れると思うんだ。」
「そうなの。自分じゃ筋がいいとか分からないから人に言われると嬉しいかな。」
珍しく照れてるな。だが筋がいいのは確かな事だ。
「あ それよりアタシ、剣何選べばいいか分からないから買うの付き合ってくれない?」
「それは全然構わないけど明日は予定があるから明後日でもいいか?」
「うん。それでいいよ。予定ってもしかして相手は女の子かなぁ?」
「あぁそうだよ。」
モンスターを倒しながらだったのでさらっと答えてしまった。
「えっ?!そ そうなんだ。」
「あっ、いやもちろん彼女とかそういうのじゃないよ。ただ向こうの世界で仕事を探しに行くだけだよ。その子アルフレッドの人だから。」
何故か浮気をして必死に言い訳してる人みたいだ。
「へぇ~そうなんだ。でも珍しいね。こっちの人が向こうに行くなんて。」
自分のように地球からアルフレッドに来てるのは今は約2万人いる。最初にドアが開いた時は約3万人いたが、その後1年で1万人が命を落とした。このアルフレッドで生きるのは命懸けである。
だが逆にアルフレッドから地球に来た人は数人しかいない。この差は一体どうゆう事なんだろう。それもまだ謎のままだ。
「そうだな。自分もマリー以外で日本に来てる人は知らないな。」
「マリーって…」
「あ あぁこっちに来てる子だよ。マリー・パンドラって言うんだ。」
「マリー……嘘でしょ…」
アリスは急に崩れ落ちるように座り込んだ。
「生きてたんだ…ほんとに…よかった…」
「お おい、どうしたアリス!?マリーの事知ってるのか?」
アリスが泣いている。こんな時どうすればいいのか分からなかった。
「ゴメンね…突然。マリーが生きてたのが本当に嬉しくて。」
アリスは直ぐに立ち直り涙を拭いた。
「マリーは小さい時からの親友なの。同じ村に住んでていつも一緒だった。だけど3ヵ月前の千年竜の事があって…その時にマリーもいなくなったの…」
アリスは悲痛な表情だった。
前に言ってた千年竜が村を焼き尽くした事件。自分もよく知っている…
「アリスはその時村にいたのか?」
「いいえ、偶然その時は城下町まで買い物に行ってたから無事だった。アタシもお姉ちゃんも子供だった頃は、マリーの両親や村のみんなが親同然な感じで、アタシ達を育ててくれた。だけど千年竜のせいでマリーの両親もみんな亡くなって…だからマリーも死んじゃったのかと思ってた…だから本当に良かった…」
やっぱりそうだったのか…だがアリスにはもう1つ言っておかなくちゃならない。
「アリス、マリーはこっちの世界で元気にやってるが1つ言っておく事があるんだ。」
「何?」
「マリーは3ヵ月前から記憶喪失なんだ。出会う前の記憶が名前以外全くないんだ。だからマリーは家族やアリスの事を覚えてない。」
「そ そんな、何で…」
「恐らく千年竜が村を焼き尽くしたのを目の当たりにしたショックが原因だと思う。その後こっちにくれば記憶が戻るかもと言ったら、相当怖い思いをしたらしくこっちの世界に来れないんだ。完全なトラウマだよ。」
「うぅっ…何で…そんなの悲しすぎるよ。マリーが辛い思いをしてるのに何もしてやれないなんて…大事な親友なのに…」
「心配するな。自分もいるし、向こうでも友達が出来たんだ。最近じゃ笑うようにもなった。アリスには今やるべきことがあるんだから、マリーの事は任せておけ。」
何よりアリスには、これ以上悲しんで欲しくなかった。それにここでの気の迷いは死に繋がる。
「うん、分かった…なんか色々とありがとね。キミには助けられてばっかだね。」
「いいんだよ。仲間なんだからさ。」
「そっか…」
どうやら大丈夫そうだな。アリスは今日1番の笑顔を見せてくれた。
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